転生したら死食鬼だった件。   作:パイナップル人間

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⚠マジでラルタが最低です。今までの話で一番残酷だし、気持ち悪いです。
ヨウム・ミュウラン・グルーシス推しの人は注意


第72話...お味はどう?

「ねぇカイト」

「んー?」

「グルーシスの腕、どうなってんのコレ」

 

コレと言ってグルーシスの無くなった腕を指し示す。二の腕から先がなく、その断面は血肉の色ではあるものの乾燥していて何処か不毛の土を思わせた。少し指でつついてみれば、ボロボロと屑が床に落ちていく。

 

「セイジ様がやれって言うから」

「コレお前がやったんだ。ユニークスキル?」

「そっ、まぁ別にセイヤから見たら大した事ない能力だけどな。生きてるモノを乾燥させるだけだから」

「確かに大した事ないな」

「ねぇ...火の玉ストレート過ぎない? もっと俺の事も凄いって褒めてくれてもいいんだぜ? それに俺は植物も生み出せるんだから」

「ユニークスキル二つあるの?」

「いや一個」

「対極みたいな能力構成だな、何願ったらそうなるんだよ」

「願い...強いて言えばスラムの腐敗かな。セイヤはあのスラムで沢山苦しんだじゃん? そんなスラムが本当に人すらも生きていけないくらいになればなって」

「くだらない願いだな。でもそれなら植物を生み出せるの可笑しくない?」

「植物って言っても毒草限定。しかも俺一人じゃその毒草すら生み出せない」

「はぁ?」

「いやさ、スキルの内容を知るためにセイジ様に解析してもらって知った事だから俺自身もはぁ?感じなんだって。でもセイジ様曰く、対になるスキルがないと無理なんだと」

「使えね」

「おい!」

 

権能の一つが誰かの力を借りないと発動出来ないのはなかなかに面倒くさそうだ。その対になるスキルが今この世界にあるかも分からないし、誰が持っているかも分からない。仮にこの世界に存在してたとしても毒草を生やす力なんてそれなりにイカれたやつしか使わない。所持者が善人だったらそれまでだな。まぁそしたら奪えばいいだけか。てかわざわざ毒草なんて生やす必要性ない...いや、薬物の大量生産という目で見ると有用かも。

 

てか世界を渡る時すら俺の事考えてるとか、好きかよ。あぁ違う俺の事好きなのか、こいつ。

なんかむず痒い...でも悪い気はしない。

絆されてる? ───まさかな。

檻を挟んで椅子に座っているマラカイトを見て、有り得ないと結論付けた。

 

 

未だに拘束具をガチャガチャ鳴らしているヨウムにもいい加減イラついてきたし、そろそろグルーシスを起こしてしまおう。

頬を何度かペチペチと叩いてみるも、起きる気配はない。体が急な水分の低下に耐えられていないのかもしれない。

吸っていた煙草の火が大分進んで来たことを確認して、閉じた瞼にそれを押し付けた。

 

「あ゙ァ...!」

「起きた? おはよう、今宵はいい夜だよ」

「ッてめぇ......! ヨウム! ミュウラン! おいどうなってんだ、何しやがった」

「起きた瞬間うるさいな。俺お前にはあんまり興味無いからさ、静かに大人しくしてたら酷い殺し方はしないよ。家畜の餌にしてあげる」

「巫山戯んな、何がしたいんだ。アンタはリムル様の半身の筈じゃ」

「えっ俺あれの半身だと思われてんの? 無理」

「何する気...ロンメル! おい、どうなってやがる。なんでロンメルが...あのバケモンはなんだ」

「あーはいはい、うるさい犬っころだな。何するかは見てればわかるよ。観客ってやつ、スタンディングオベーションは歓迎だけど野次は受け付けてない」

 

頭を飛び散らせたロンメルを見て、また一段と騒ぎ出した。

流石に煩いのが二人は嫌すぎるから、ギャーギャーと意味の無い言葉を放ち続けるグルーシスに口枷を取り付けた。ヨウムが付けてたやつだけど...まぁ気にならないだろう。

 

頭を二回ポンポンと叩いて、本題の女の元に歩く。優雅に台の上で眠る姿は中々に見物だ。

魔力も十分な量だし、肉としても上等。口に放り込めばさぞ美味しいだろうが、今回はお預け───ん? なんだろう、この違和感。

ミュウランの中に、別の魔力を持つ何かがある。それは弱く生命としてはあまりに弱い...

 

 

「あぁなるほど。ぷっはは、ヨウムってば王様になれなくて時間があるからって少しお盛ん過ぎるんじゃない? ミュウランの腹、餓鬼が一匹いるじゃん」

「えっ...」

「気づいて無かったのかよ、でもまぁ身篭ってそんな時間たって無さそうだしこの世界の技術力じゃあ腹が膨れるまで分からないか」

 

まさかミュウランとヨウムの間に子供が出来ているとは思いもしなかった。もし正しく生まれていたらなんという名前になっていたのか。両親の愚かさを地獄で恨むことになるんだろう、可哀想に。

ミュウランの膨れてもいない、いつも通りの腹をするりと撫でる。マントもなく、白いワンピース一枚しか着ていないミュウランからは子を宿す母体らしい暖かさが感じられた。

 

「そうだ! せっかく今日でミュウランが死ぬんだ、子供の顔くらい見たいだろう? 俺が見せてあげるよ」

「辞めろ、何する気だ!」

「何する気だってセリフ、今日で何回聞くんだか。俺は時を早めることは出来ないけど、成長を促す事くらいは出来るよ。まぁ成長と言うかは個人の主観が大分入るけれど。大丈夫、すぐにはお前の愛しい奥さんは死なないよ」

 

寝かされているミュウランを先程と同じように頬を叩けばこちらは案外すんなり起きた。

 

「おはよう、クソ女。お前達は揃って寝坊助さんだね」

「っ貴方は......」

「ねぇ今ね、お前の腹にはヨウムとの子供が居るんだ。名前を付けるなら何にするの? 性別は気にせずにさ」

「あっ...えっと、子供? 名前って」

「早く」

「っ......えっと、“ミーム”」

「ふーん安直、もっと面白い名前を期待してたのに」

 

 

台の縁に腰掛けて、細い顎を掴む。顔を寄せて煙草の煙を吹きかければ、その目は恐怖で揺れた。別にこれからお前を抱くという意味で吹きかけた訳じゃないんだからそう怯えなくてもいいのに。

顎にあった手を胸へ、そして子宮のある位置まで見せつけるように滑らせる。簡単に死なないようにミュウランに魔法をかけて、子宮を上から何度か叩く。

 

「お前達はまだ子供を身篭った実感が薄いかもしれないけど、せっかくだからね。出産を手伝ってあげるよ」

「やめっ......」

「遠慮すんなって」

 

もう一度強めに子宮を叩けば、ミュウランがギグッと跳ねた。

皮膚がボコボコと波打ち、腹に宿った子供が外の世界に出てこようと暴れている。ミュウランはその苦しみに吐瀉物やら尿やらを漏らし、余りにも無様だ。汚されるのは勘弁と台からおり、目を背けようとしているヨウムの後ろに周り頭をミュウランの方向に固定する。

 

「ちゃんと見てろって、自分の子だろ?」

「なんで...こんなッ」

「あ゙ァ......あっ! ゔぅぶっ」

「ミュウラン!!」

「ははっ汚ねぇ声」

 

ミュウランからしたら余りにも長く、こちらからしたらそうでも無い時間が経って、ようやくその子は姿を見せた。

母体の腹に穴を開けて、ぐちゃぐちゃの関節を持った細く長い腕が天井へと伸びた。腕は台に捕まってメリメリと子宮という狭い部屋から出てくる。散らばった目と爛れた口の肥大した頭が出てきて、そしてそれに釣り合わない小さな体が血に濡れてこの世界にやってきた。

 

「あっはは、元気な子供が産まれました!」

 

ミュウランも魔法の効果で生きているし、意識もある。流れている涙は、我が子への愛情からだろう。

子供が生まれたあとは、母体に抱っこさせるのが定番だったはず。台から落ちてしまった子を拾い上げてミュウランの顔を近くに座らせる。泣き声とも言えない甲高い声が地下牢に響いている。こうやって見ると存外に可愛らしい。

後でグルーシスに食べさせてあげよう。愛した女を人間に譲ったんだ、子供くらい食べたってバチは当たらない。

でもまぁ譲っちゃったんだから、その女の肉が人間の口に入るのは仕方がないだろう。

 

「あーあ、腹にぽっかり穴が空いちゃった。ちょっとおいたがすぎるよミーム。今から君のママがパパに食べられるところ見てな?」

「待て...食べるって」

「何から食べたい? 子宮はズタズタだからちょっと難しいけど......あっ腎臓とかいいんじゃない。小さめだし、初心者にはオススメ」

 

疲労から声も出せず抵抗も出来ないミュウランの腹に手を入れ、腸を掻き分けて腎臓を引き抜く。うん、美味しそう。

 

「ほら、あーん」

「ひっ...無理だ、そんなのっ!」

「何が無理なんだよ、愛した女の肉だろ? 大丈夫だって簡単に死なないように調整してやるし。ほら、あーん」

 

ヨウムの口を無理矢理開けて、その口に腎臓を捩じ込む。吐き出そうとするのを口と鼻を塞ぐことで飲み込ませる。

それをミームがキャッキャと笑っていた。

 

「美味しい?」

「ゔっ......お゙ぇ...」

「美味しいかって聞いてんの」

「なんで...こんな、俺達がっ、何をしたって言うんだよ...!」

「別に何もしてないよ。お前が無謀に俺に賭けを持ちかけたのが悪い」

「誰も死んでないじゃないか...! それに、その話は終わった筈じゃ......お゙ぇっ...」

「勝手に終わらせてんじゃねーぞ。腎臓結構気に入ったみたいだね、次は何がいいかな?」

 

ぐちゃぐちゃと腹の中をまさぐって何がいいか選別していく。腸は長すぎて食べずらいだろうし、肝臓とかが良いだろうか。

 

 

 

そうやって肝臓を初めとして小さい臓器から最終的には腸もヨウムの口に捩じ込んだ。流石にお腹いっぱいになってしまったらしい。

診療台の上には骨だけが残り、肉が着いているのは頭だけになっていた。それでもまだミュウランは息をしている。それもこれもリムルが作った擬似心臓のおかげ。むき出しになった心臓はもうない体のために今も鼓動を続けている。

 

「無様だね、ミュウラン」

「.........ぁぁ...キュっぃ」

「全然伝わってこないんだけど。本当に可哀想、あんなクソ男に掛け金として差し出されて。そうでなかったら、お前はこんな無様に死ぬ事はなかったのに...」

 

首の骨からミュウランの頭を外してヨウムの元へと持っていく。

頭だけでも、まだ息を続けている。あの心臓を俺が弄ったから、この世界からミュウランという存在の全てなくなってもあの心臓が動いている限り、生きている事になる。心臓がリムルとの間に回路が繋がっていないせいでやりたい放題だ。リムルの詰めの甘さかとも思ったが、あいつの先生がそんなミスをすると思えないから、リムルの指示なんだろう。本当に馬鹿。優しさがこうも仇になるなんて。

 

「ほら、これで最後だよ。お前が愛した女を全部食い尽くすんだ」

「あ......ぁ?」

「ふふっもう壊れちゃったかな。防衛本能がお前の精神を壊したのかもね。愛って無力だなぁ。ほら、あーん」

「あ............」

「いい子」

 

ちゃんと口を開いたヨウムが近づけたミュウランの頬を食いちぎる。

少しづつ消えていくミュウランという存在が愛の無力さを俺に証明した。

 

付着した血まで舐めとられた頭蓋骨が床を転がる。ヨウムはそれを合図に気絶してしまった。

 

 

さて、次はグルーシスだ。

台の上でママの骨を玩具にしているミームを抱き抱えてグルーシスの所へと向かう。

 

グルーシスは口枷の隙間から吐瀉物を零してはいるが意識はあるらしい。

吐瀉物に濡れた口枷を外してやる。

 

「ゴホッゴホッ......てめぇ、殺してやる!このイカレ野郎。何がそんなに楽しいんだよ!」

「俺の嫌いな奴が、苦しんでるんだ。これ以上楽しい事なんてない」

「こんな奴が、リムル様の傍にいたなんて反吐が出る」

「それは、こんなイカレ野郎に気づけなかったリムルに対してかな。まぁなんでもいいけど」

 

ミームの肥大した頭を人撫でして、結晶化させる。その結晶をグルーシスの口に捩じ込む。それはもう凄い暴れられたが、腕もない獣人なんて脅威にはなり得ない。

 

結晶が胃に落ちたのを確認して、グルーシスに笑いかける。

 

「お前のことは別に嫌いじゃないから。今は機嫌がいいしチャンスをあげる。ミームとお前、生き残った方は逃がしてあげるよ

───行くよ? よーい、どん!」

 

どん! と言うのと同時に結晶化を解く。

腹の中で急に増した質量にグルーシスは暴れ、ミームもまた慣れない魔力に苦しんでいる。

 

先に敗れたのはグルーシスだった。腹に大きな穴を開けられてショックで死んでしまった。

けれどミームもまた、グルーシスの魔力に飲まれて死んでしまった。

 

 

そこまで広くもない檻の中、もうまともに生きている者はいない。

唯一生きているヨウムを仰向けに寝かせ、ミュウランの心臓をヨウム自身の心臓と入れ替える。ちゃんと神経が繋がったことを確認して、檻の中の汚れを全て片した。

 

「そいつ生かすの?」

「ほぼ死んでるよ、英雄ヨウムはもうこの世にはいない」

「でも息はしてる。なんか理由があんの?」

「そろそろ西方諸国の会議がある。今死なれるのは困るし、コイツにはまだ利便性がある。英雄ヨウムは死んじゃったけど、その体はまだ生かす」

「なるほど。でも世間様にバレないか? 英雄が急に姿を消したら」

「ばーか、本人がいなくても武勇伝なんていくらでも流せる」

「流石。で、満足した? そろそろ朝になるけど」

「大満足。ヨウムはこのまま地下に閉まっておいて、横にいる部下たちは家畜の餌にする」

「了解。なら家畜のところにぶち込むついでに飯食いに行こうぜ」

「賛成。何食べる?」

「美味しいスープの店があるからそこにしよ」

「いいね」

 

檻を出て、さっさと残りの部下を回収して地上への階段を上る。

マラカイトは後ろから、上機嫌そうだと俺の事を笑った。




ラルタの最低ムーブのおかげでスランプを脱出できそうです。

ヨウムが王様にならなかったことで、ミュウランが子供を宿すのが原作より早くなっています。
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