転生したら死食鬼だった件。   作:パイナップル人間

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第78話...死化粧

結合性希少能力(コンパウンド)は、能力自体は各スキルに劣る。単体で互角に渡り合えるのはエクストラスキル程度だろう。

 

では結合性希少能力(コンパウンド)の本質は何か。

魔素と交わることで、魔素を変質させ汚染する事である。周辺の魔素が結合性希少能力(コンパウンド)と交わると、それは“悪素(おそ)”と呼ばれる世界から乖離した元素となる。

その悪素を利用してスキルや魔法を行使することで、世界の概念に囚われた者達では観測すらも困難になる。

それが、究極能力(アルティメットスキル)叡智之王(メーティス)」がセイジ・カミシロの力を未知と表現していた理由である。

 

悪素を生み出し利用する者達は、概念乖離体とされ体を構成する魔素とは別に精神体(スピリチュアルボディ)肉体・物質体(マテリアルボディ)の間に“乖離体(ディスティンクションボディー)”を持つ。

乖離体(ディスティンクションボディー)は悪素で形成されており、魔素で出来た肉体・物質体(マテリアルボディ)で覆うことで、異物である悪素を持ってしても世界で活動ができるようになっている。

 

現在、概念乖離体は三名存在する。

悪素を作り出し、概念乖離体という新しい概念を生み出した創造主───レブル基セイジ・カミシロ。

セイジ・カミシロによって結合性希少能力(コンパウンド)の知見を得た異世界人───ユウキ・カグラザカ。

そして、たった今新しく夢世界から悪素を得て名付けされた概念乖離体───セイヤ・カミシロ。

 

彼らは世界の異物でありながら、我が物顔で世界を生きている。

概念乖離体は世界の様々な元素を汚染する。汚染された元素の中で力を行使し、有り得ない筈の概念を押し付けるのだ。

 

 

《告。名付けによる進化が開始されました。

身体組成が再構成され新たな種族へと進化します。》

 

《確認しました。

種族︰屍食精魔邪鬼(ディアボリックグール)から概念乖離体──屍食聖魔邪霊(マレフィクスグール)の超進化...成功しました。全ての身体能力が大幅に上昇しました。

続けて旧個体にて既得の各種スキル及び耐性を再取得...成功しました。》

《固有スキル「結合性希少能力・元素汚染」を獲得...成功しました。

続けて、新規耐性「全元素耐性」を獲得...成功しました。

以上で進化を完了します。》

 

 

概念乖離体は魂に干渉する事が出来る。

相手の魂を変質させ、あの世にも行けぬ異物にする。彼らが殺した者、関わった者は死にながら生き続け、しかし二度と目覚める事の出来ない存在になりかわる。

 

悪素を操る三名は、人類の味方には成り得ない。

ある者は世界を書き換えようとし、ある者は世界を壊そうとする。

しかしある者は世界がどうなろうとどうでもよかった。利用される生き方しか出来ないから、そうしているだけ。

愛されたい、必要とされたい、生きたい。それだけの漠然とした目的で生きている。

だが、概念乖離体という異物にそれを望む権利はあるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

「───あっ......んん、むぅ」

「ぷっ、何その可愛い声。狙ってる?」

「え、何......カイト?」

「そーだよ、全くぐぅぐぅ寝やがって」

 

低位活動状態(スリープモード)から目覚めると、マラカイトの膝の上にいた。

丸くなって眠っていた俺を撫でくりまわして暇を潰していたらしい。まぁ、俺の毛は確かにふわふわだし? 許してやろう。

人化してもいいが、折角だ。このまま状況を整理しよう。

 

名付けと進化は無事に成功した。

メーティスによれば、スキル等に変化があった訳では無く種族が変わった位の進化らしい。

その種族が......まぁ、ちょっとアレだが。

コンパウンドについては、俺の意思に従ってメーティスが調整してくれるそうだ。実に有難い。悪素は特に気にしなくても使える。

 

ん? ......待てよ。

悪素は基本的に観測されない。なら、テンペストにいちいち盗聴なんてしなくても潜り込めるじゃんか。

名付けも進化も乗り気じゃなかったが、案外良い結果に転びそうだ。

 

そういえば、俺が低位活動状態(スリープモード)に入ってどれくらいたったんだ?

《約三日間です。》

 

「三日!?」

「うわっびっくりした。急に叫ぶなよ...」

「お前...三日も、よくこんな所に居られたな」

「他何処に行けるんだよ! しかも寝てるセイヤを守らなきゃいけませんし? 三日位大したことない」

「やっば......」

 

てか時間かかりすぎだろ、魔王への進化の時はすぐに終わったのに。

《夢世界の時間的概念に従い、主様の進化を行いました。最短です。》

あっ、そう......。

 

 

もうなんでもいいや。

とりあえず、この世界を出て次の所に行かないと。その前に一日位何処かで休むべきか? マラカイトの精神状態を加味して、予定を......

 

「なぁなぁ」

「ん、何。どうした」

「アレってお前の杖じゃないの? セイヤを包んでた炎が消えた後、見た目が変わったんだよ」

「杖? 見た目が変わったって...えっ」

 

マラカイトが指を指したのは、墓の前に置いた杖だった。

確かにマラカイトの言う通り見た目が変わっている。杖は俺の魔素を込めて成長させてたから、悪素に影響されて見た目が変わったのだろうか。杖の新調を考えていたし、ラッキーと言えばそうなのだろうか。

 

だが、一つ問題がある。

これを杖と呼ぶのは絶対に違うと言うことだ。

元々この杖はランタンがぶら下がった木の棒だった筈。それが、どうして──────

双刃刀になっているんだ。

それは近接武器だろう。俺は後方支援型だから、刃物なんて杖に付いてても困るんだが。

 

とりあえず、手に取ってみると皮肉な事に手に馴染む。

高さは大体200cm位だろうか、両方に刃物が着いたことで明らかに長くなっている。

両刃にご丁寧につけられている鞘は黒塗りで様々な色の水晶が鱗上に模様を描いていた。

杖......杖? いやこれは杖だ。絶対違うけど。

杖に意識を向ければ、それに習って鞘が消え去る。現れた刃は細身の薙刀だった。香豌豆が掘られている。

そして刃と柄の付け根、そこに輪っかが浮いていた。一つの玉を通して金色の輪っかが、淡く燃えている。微かに、杖の名残を感じる。

柄の長さも、俺が座って移動するのには申し分ない。

 

これ、誰がデザインしたんだ。

《私です。》

............お前、最近勝手が過ぎない?

《お似合いだと思います。》

 

「あー、もうヤダ」

「それセイヤの新しい武器? めっちゃかっこいい!」

「あーあー、コイツもダメだ」

 

まぁ、いいだろう。

肉弾戦もするし、武器として使えるならそれもいい。杖の役割である魔法の補佐の役割もちゃんと担えるようだし文句は無い。そう、無い。

刀やら剣やらがてんで使えない俺に、近接武器を渡したいとメーティスが思案し導きだしたのが振り回すだけでいい双刃刀なのだろう。

 

「とりあえず、目的は達成した。ここを出るぞ」

「どうやって?」

「魚の腹を割いて出る」

 

新しくなった武器を倉庫にしまって、塔を降りた。

 




ステータス
名前:セイヤ・カミシロ
種族:概念乖離体──屍食聖魔邪霊
加護:反逆者の紋章
称号:魔王
魔法:元素魔法、精霊魔法、神聖魔法、内撃魔法
究極能力︰叡智之王、悪心之王、繚乱之王、背教之王
ユニークスキル:虚言者
固有スキル:結合性希少能力、無限再生、万能感知、魔王覇気、元素汚染
耐性:物理攻撃耐性、痛覚無効、自然影響無効、状態異常無効、精神攻撃耐性、聖魔攻撃耐性、全元素耐性

所持武器:双刃刀(自称、杖)

この武器は普段は鞘が付いてて、戦闘に入ると自動で鞘が消えます。
メーティスにすら近接武器を渡される辺たり、後方支援型だと思ってるのは本人だけ。
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