転生したら死食鬼だった件。   作:パイナップル人間

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第87話...変化した立ち位置

評議会───西方諸国評議会(カウンシル・オブ・ウェスト)とはジュラの大森林周辺国家の集合体である。

各国から選出される議員達が、イングラシア王国にて毎月会議を開催していた。言うなれば、国家運営とは別の全体的な利益調整が主目的である。

利益とは、人類の生存圏の維持。

魔物や災害、そういった人類の生存を脅かす物から国同士で協力し合っていく事がこの評議会の存在理由である。

しかし、実態は余りにも国力に左右される。小国だからと蔑ろにされることは無い、と評議会運営は語るが、それは非常事態以外の話。

非常事態が起きれば、大国は国力や財力を活かし、我先にと行動に移す。残された小国は非常事態に対応しきれず、最悪の場合には国が無くなる。

所詮はそんなものだ。

何故ならば、それは人間の集まりだから。

 

 

 

 

評議会からの招待を受けて、俺はイングラシア王国へとやって来ていた。

主賓待遇と言うのか、それはもう素晴らしいホテルが用意されている。会議の後は、久しぶりに王都散策と洒落込むのも良いかもしれない。

 

護衛には都合のついたベニマルとシュナを連れている。シオンも予定は全然問題なかったが...さすがにシオンを連れてくるのはまだ怖い。

イングラシア王国到着後、ソウエイとも合流。

 

普段であれば、彼らは一様に戦闘服のままであるが、今回は違う。

先程シュナの要望で、洋服店に行き普段着を購入したのだ。イケメン二名はまぁ、はい似合いますよね、そうですよね...と言いたくなる格好だから良しとして、シュナがそれはまぁ可愛い。ふわふわの白いスカーチョとアイスブルーのニットベスト。髪もお団子にしていて、普段の巫女服では感じられない華やかさがある。

 

会議前に服屋など浮かれていると思われるかもしれないが、普段働きずめの彼らには何かしらでお礼をしたかったのだ。給料も渡していないしね。

だから今回の買い物は、皆喜んでくれて良かった。

 

服を着替え、向かったのは喫茶店。

そこで先にイングラシア王国に来ているヒナタと落ち合い、昼食を食べながら明日の会議について詳しい話を聞く予定になっていた。

 

どうやらヒナタはまだ来ていない様だったので、待っている間にソウエイから情報を仕入れる。ソウエイはイングラシア王国やファルナスカ王国を初めとした、西側諸国の動向を探ってもらっている。今一番ここらの情報を持っているのは、他でもないソウエイなのだ。

 

「それじゃあソウエイ、報告を」

「はい。ではまず開国祭の評判を───」

 

ソウエイの説明は流石というか、それはもう分かりやすい。情報を集めるだけでは足りない、集めた情報を適切に伝えられてこそ、隠密という役割なのだ。

ソウエイによれば、開国祭は上々の評価の様だ。上は貴族、下は農民まで開国祭の話は駆け巡っている。それにつられてかダンジョンの方も順調だそうだ。貴族を中心にダンジョン攻略用のチームを編成しだしたりしているとか。

これは更なる集客が見込めそうだ。

 

楽しく嬉しい報告をもっと聞いていたい気もするが、そうもいかずに本題へと入る。

 

「それで、商人共の身辺調査と、ミューゼ公爵の背後関係は?」

「抜かりなく。商人達は、各々の家族構成から取引先の商家まで、念入りに調査しました。その結果、特に怪しい人物との接触は確認されておりません。ただし、各国で商業許可を取る際に、何名かの役人を仲介していたようです。この役人の関係先を辿っていけば、ミューゼ公爵へと繋がりますね」

 

............えーと、つまり?

 

《解。個体名ミューゼの意図するままに、商人達は動いていたのでしょう。》

 

全てはミューゼの手の平の上、か。

それなら商人達をこれ以上探る意味も薄い。ミューゼ本人を探るべきだな。本当に西側諸国を牛耳る影の委員会とやらが存在していて、何か企んでる可能性もある。

ミューゼがまたその有能っぷりを発揮するのは阻止しなくてはいけない。

 

「ミューゼ公爵、厄介だな。それで、今その男はどうしてる?」

「死にました」

「は? ......死んだ?」

「遠距離からの、何らかの攻撃によるものと推測します」

 

ミューゼはガストン王国の公爵であり、その地位は雲の上だ。それを殺害するとなると、本気で謎の組織の関与が疑われる。

これが“トカゲの尻尾切り”なら、組織の立ち位置は雲すらも見下ろす場所にあるんだろう。

 

ソウエイの追尾に気づいての口封じか。

うちの隠密の存在に気がつくのもそうだが、まさかソウエイが察知出来ぬ間に殺害されるとは。話によると、ミューゼが倒れた後に音が聞こえたのだと。周囲に気配はなく、ミューゼはもう亡き人だ。

ソウエイが察知出来ないとなれば、それは百メートルも離れた場所から殺害した事になる。そんな遠距離は魔法か投擲という手段でしか攻撃出来ないと言うのに、魔力や妖気は残っていない。簡単に出来る事じゃない。

これは相当ヤバイ相手かもしれないな。

 

しかし、遠距離から音が知覚を置いてやってくるなんて......

 

「狙撃、っぽいんだよな」

 

こちらの世界に銃なんてない。

けれど、“異世界人”なら持っていたって何ら不思議じゃない話だ。

 

「銃、ですって? ユウキなら確か、拳銃を持っていたわよ」

「うわっ!?」

いきなり背後から声をかけられて、俺は思わず席から落ちかけた。

この野郎...ヒナタめ、俺を驚かせようとわざわざ気配を絶って忍び寄ってきやがったな。

ベニマルとソウエイにも笑われるし散々だ。

だいたい智慧之王(ラファエル)さんがちゃんと教えてくれれば......

《告。悪意は感知出来ませんでした。》

そうですか、はい...俺が悪うござんした。

 

 

 

ヒナタが合流した事で、昼食を頼んだ。

銀貨一枚で、今回の評議会についての詳細説明を行う食卓を十分に彩ってくれる。

 

「拳銃があるって事は、やはり狙撃かな?」

「どうなんでしょうね、私は詳しくないけれど拳銃は射程が五十メートルも無かったと思うわ」

「あー、そうかも。ならライフルとか何なるか。こっちの世界にもあるのかな? スナイパーライフルとか」

「さぁ? 私は見た事がないけれど、ないとは言いきれないわ」

 

あると考えて行動するべきだな。損は無い。

ベニマル達に思念伝達で銃の概念を伝える。ビックリだろう、こんな金属の塊がソウエイすらも出し抜いたのだとしたら。

ヒナタにはテンペストで銃の量産なんてしてくれるなと釘をさされた。

それはそうだ。もちろん量産くらい簡単に出来るが、銃はどんなに弱い者も最強に仕立て上げる。銃社会になれば、統一は困難になるだろう。それに人間が理性を捨てて感情のままに引き金を引けば、待つのは悲劇だけだ。

それは、俺も望んでない。

 

けど、やはり俺たちに害がないのは事実だ。

弾が当たっても何か当たった位にしか感じない。警戒する程でもないかな?

 

《告。正しい知識のない者からすれば、目の前で銃殺された者を見ても何が起きたか理解出来ません。近くにいる者が疑われる可能性が高いと思います。》

 

うん? 近くにいる者が疑われる......?

って、そうか!!

俺の傍にいる人間が暗殺されれば、俺が疑われるって意味じゃん。

危なかった。この雑談が役に立つとは。

こんな話をしてなければ、明日まんまと罠に嵌るところだった。

何はともあれ、明日の会議中は油断出来ない。

ソウエイには会議場周辺に分身体を配置してもらって警戒を念入りにしてもらうことにする。

怪しい人物がいても、何とかしてくれるだろう。

 

 

「それでヒナタさん。今回、なんで俺は呼ばれたの?」

「前回の臨時会議で、テンペストの評議会入りが承認されたわ。明日の本会議で、貴方への質疑応答を経て正式に決定されるでしょう」

 

ビンゴ! 狙い通りだ。

《告。現在の状況から判断すれば、それ以外には考えられませんでした。個体名ヒナタ・サカグチからすれば「何を今更?」という心境なのではないでしょうか?》

なっ───!?

そっそれじゃあ、ドヤ顔してた俺が馬鹿みたいじゃないか。

いやそれに俺だって色々考えてたんだ。そのうちの一つが本会議で質疑応答が行われるってだけで。それなのに智慧之王(ラファエル)先生に“それしかない”と言いきられるとは...心が...

 

「まだ正式に承認された訳ではないから、せいぜい油断しないように。質疑応答も、魔王である貴方を怒らせるような質問が出ると思うわ。相手の策に乗せられなりしないでしょうね?」

「心外だな。俺は仏のように心が広いんだ。滅多なことでは怒らない」

「よく言うわよ、本当に」

「まっ確かに。仰々しく国賓で呼ばれたから、俺達に何らかの頼みがあるんじゃないかと心配になったのは事実だな。ソウエイも色々と調べてくれたんだろ?」

「はい、後ほど詳しく報告します。───ですが一つ、ヒナタ殿に聞きたい事が」

「何かしら?」

「各国の大臣の中には、我が国を利用しようと考えている者共がいるようです」

「あぁ、もしかして、あなた達を東の帝国に対する防衛戦力に加えようという話かしら」

「流石ですね。その通りです、ヒナタ殿」

 

東の帝国。最近ではよく聞くようになった単語だ。戦争の兆しが見え始めたことで、各国も焦っているんだろう。

俺達が東の帝国から守る義務があるのはブルムンドだけだが......戦力を貸して恩を売るのも悪くない。

それに東の帝国の侵攻路は海か森の二択だ。

海は危険が多く、安全な経路は商人の一部しか知らない。森は論外だ。森は俺の領土であり、ヴェルドラもいる。

東の帝国が戦争を始めるにはこちらに有利な条件が揃い過ぎている。

 

けど───

 

「俺は現状、東の帝国を危険視していない」

「えぇ、それは私もよ。けれどこれからは分からない。聞いた話によれば明日の本会議はファルナスカ国王直々に参加するそうよ。他の議員も護衛も全て東の帝国の息のかかった者でしょうね」

「セイジ・カミシロ、な。何を考えているのやら。アイツと直接会って感じた印象とやってる事が合ってないんだ。不気味で仕方がない。それに、東の帝国側が不利になる条件はもしかしたら簡単に覆るかもしれない」

「───ラルタね」

「あぁ、わざわざ危険な道を選ばなくても軍をファルナスカ王国に転移させればいい。物資も同様だ。それに、ラルタの力は武力と見るには大きすぎる」

「そうね。貴方達がぶつかれば、周辺国家が受ける被害が大きすぎるわ」

「あぁ、守ってやったのに賠償を請求されたんじゃたまったもんじゃ──────っ!?」

「リムル?」

 

東の帝国、ファルナスカ王国、そしてラルタ。

推測の域を出ない会話の最中、目線をヒナタから窓に向けた。

そして見えてしまった。深緑の髪が。

 

食器と机の当たる音が店内に響いたのもつかの間、俺は店を飛び出した。

探していた相手が、今見つかったのだ。

心の内で、不安が募る。

どうか......推測全てが嘘であったなら。

お前に覚えたい憎しみなんて、無いんだよ。

 

 

 

 

「ラルタ!!」

 

物陰に姿を消そうとする、三名のうちの一人、緑髪の青年に向かって声を上げる。

咄嗟に掴んだ腕を引っ張れば、嫌そうに顔をしかめた、懐かしい顔が見えた。

 

「人違いでは無いでしょうか?それとも...なんでしょうか。 魔物の国の王が、私に何か?」

「......っ、やっぱりファルナスカ王国の...」

「はぁ...何なんでしょうね。評議会前にそんなに怖い顔をされては、嬲り殺されるのかと怯えてしまいます」

 

掴んでいた俺の手を払い除け、まるで掴まれた場所が汚いとでも言うように、自分の腕を摩っている。その行動の全てから、俺に対する嫌悪を感じざる負えない。

背後からヒナタ達がやって来たのが分かる。そして、ラルタとその隣にいる二名を見て、息を飲んだのも。

 

「ラル───」

「セイヤー、先に行ってた方がいい?」

「あぁ。道は覚えてるだろ。カイト、くれぐれもこの非常識なスライムみたいに他国の従者を攻撃しないように」

「しないしない。俺だって馬鹿じゃないって。じゃあ、セイジ様行きましょっか」

「......そうだな。では、リムル=テンペスト。何やら私の従者に用がおありのようですので、少しの間お貸しします。ですが、過去の亡霊に縋り付くのは結構な事と思いますけれど、余りこちらに危害を加えぬようにお願いしますね。貴方にとって、評議会は悲願でしょう?

それでは、失礼致します」

 

まるで忠告のような言葉を残して、セイジはマラカイトと共に姿を消した。

残ったのは、セイヤと呼ばれた青年だけ。

晒され首に巻き付く鎖の文様はやけに痛々しく、身に纏う服がどれだけ一級品の代物でも、その立場が奴隷であるかのように感じさせた。

ヒナタもベニマルやシュナすらも何を口に出すべきか迷っているようだった。

情報や考察では無い、決定的な裏切りの場面。

直面したこともない、するとも思っていなかった仲間の裏切りは、理解していても心を蝕んだ。

 

「セイヤってのが、今のお前の名前か?」

「でしたら、なんでしょうか」

「フルネームはなんだ」

「セイヤ・カミシロと申します。漢字表記も欲しいですか?」

「いや、いい。そうか...カミシロ、か。何時からだ、何時からお前は...俺たちを、ッ裏切って!」

「ふふっ、あっははは。裏切り? 面白い事を言うのですね。私は追放された身です。別にその後何処で何をしようと自由では無いですか。ベスターという、元ドワーフ王国の大臣も、今は貴方の人形でしょう?

それとも、なんでしょうか。まさか私が貴方の国に居た時に何かしたという物的証拠でも」

「それは───」

「あぁ、私がこう言ったから、あぁ言ったからなんて物を証拠とは呼ばないでくださいね? 言葉は形には残らないのですから」

 

楽しそうにラルタ───いや、セイヤが笑う。

そう、仮にもし俺が裏切りの物的証拠を突き出しても、もはやそれに意味は無いんだ。

評議会を明日に控えたイングラシア王国で王と共に歩いている。これで評議会に参加しないなんて事は無いだろう。

ラルタ=テンペストは外に顔を出す事こそ少なかったが、優秀な諜報部隊を抱える国ならばその顔は知っている。それを分かった上で、顔を変えることもせずにファルナスカ王国の者としてここに居るのだ。

ファルナスカ王国は東の帝国を除く全ての国との繋がりを断った。もはや他国にどう思われようと、ましてや攻撃されようと所詮どうでもいい話なのだ。

 

「あぁそう言えば、貴方の国の宰相様はご無事でしたか? 手加減したつもりが、どうも脆くて......あの説は申し訳ありませんでした。やはり、今思うと殺してしまっておけば良かったと思わずにはいられません」

「......クソ野郎が...! セイヤ、その巫山戯た態度を辞めろ。お前の本心を聞かせろ。

お前は、なんでファルナスカ王国側にいる? ファルナスカ王国はファルムス王国の成れ果てだ。お前は、何故...理不尽な暴力を振るった国にいるんだ」

「巫山戯た態度...ねぇ。それはご自身に言い聞かせるべきですね。まぁ、貴方みたいな純粋な馬鹿には不可能でしょうが。

私は他国の従者です。分かりますか?

───お前が俺に命令する権利は無いって言ってんだ」

 

セイヤが煙草を取り出し、火をつける。

吐き出された煙幕は極めて高い毒性を持ち、直ぐさまラファエル先生が毒耐性を最大まで引き上げた。

俺の顔スレスレの壁に灰を擦り付けて、セイヤはまた口を開く。

何処までも何処までも不愉快に。

募っていくのは、憎しみだけになっても、その憎しみが崩れ保てなくなるまで、淡々と。

 

「俺が何時ファルナスカ王国側に着いたかだったか? 別に知っても意味は無いだろうに。

お前が魔王達の宴でクレイマンとしょうもない茶番を繰り広げてた時だよ。まぁ心はヒエラルテに攫われた時に一緒にテンペストの外へと出ていってしまったが。

理不尽な暴力を振るった国、だなんて面白い表現をするんだな。俺にはお前達の方がよっぽど理不尽だと思うが。武力で人間を脅し、ルールに従う振りをしてゆっくりとゆっくりと人間の頭の上を歩いて頂点へと進んで行く。不快だな、不快で仕方がない。お前は自分の歩くその道が滑らかで平坦な物だと錯覚している。その土を掘り返す事もしない。その土の下には無数の骨が埋まり、呪詛を囁き続けているのに。

夢を夢と認識せず、それを現実と呼ぶお前は夢の目覚め方も知らずに本当の現実にいる者達を踏み躙る。夢の微睡みは現実に疲弊した者達を夢へと誘い込んで主の夢の出演者に成り下がる。現実に置いてきた身体はいずれ腐り悪臭を放つだろう。

俺は、現実へと目覚めたんだ。夢を夢と認識したままそれが現実になるのを待てど、お前は...夢の主はいつまでも夢を夢とした。いや、違うな。俺の望む夢の世界と主の望む夢の世界は乖離していた。同じ夢の中に居るのに。

現実に覚めてから眺める夢は、酷く憎たらしいな。あやふやで無駄に肥大し最後には何も残らない幻。あぁ、リムル=テンペストという物語が夢なのか、それとも三上悟がまだ夢を見ているのか。お前はどちらだと思う?」

 

また、始まった。

人に伝える気のない、一方通行の語りぐさ。

道がなんだ、土がなんだ、夢がなんだ。

あの時シオン達を殺した欲望に濡れた人間達と同じ顔をして、セイヤは笑っている。

 

───腹が立つ。

 

《告。今ここでセイヤ・カミシロに攻撃することは、評議会での立場を不利にします。》

 

分かってる、分かってるよ。

この苛立ちをコイツにぶつけるのは今じゃない。いや違うな。コイツとの戦闘は何があっても避けるべきだ。

俺とセイヤがぶつかれば、国は数個程簡単に消し飛ぶだろう。結界を貼るにしても、セイヤもセイヤの先生もノコノコとそれに従っくれる筈もない。もしかしたら俺が守らなきゃいけない物を無闇に攻撃してくる可能性だってある。

苛立ちも憎しみも飲み込まなくては。

 

「リムル、もう行きましょう。これ以上の会話は時間の無駄よ」

「酷いなぁ、無理矢理会話を始めたのはそちらだろうに。聖騎士様、お前は最近どうだ? ちゃんと馬鹿みたいにあの蚊を神として生活してるのか?」

「ルミナス様を侮辱する事は貴方でも許さないわよ」

「ぷっくく、そうだな。ルミナスを侮辱するのは俺じゃない。そう...俺じゃないんだよ」

「何が言いたいのかしら」

「自分の胸の内に聞いてみろよ」

 

セイヤの吸っていた煙草が紙の色を変えた。

短くなった煙草を地面に落として、それを上等な靴で踏み潰す。

地面と靴に擦り消される煙草は、まるでラルタとの思い出のようで、そしてそれはもう煙となって宙に消えた。残るのは、薄汚れた灰のみ。

 

「では、もういいですか? 私も暇では無いんです。貴方の夢は、もしかしたら一日の長さが違うかもしれませんが...私は現実に生きていますので、一日はきちんと終わるんです。

では、これで...また明日評議会でお会いしましょう。くれぐれも、寝過ごさぬように」

 

くるりと振り返ったセイヤは、瞬きの間にその姿を消した。

そう、最初からそこにはいなかったように。

 

「リムル様...そろそろ」

「あっ、あぁ......そう、だな。悪いな急に走り出したりして。でもまさか、こんな所でアイツの居場所が分かるとはな」

「えぇ、しかし良かったのですか。あのまま逃がして。セイヤはリムル様を侮辱しました、始末してしまっても良かったでしょう」

「馬鹿言え。俺にもセイヤに勝てるか怪しいんだ。五分五分も良いとこだ」

 

それが分かっているなら、何故姿を見て直ぐに走り出して接触したのか。

ヒナタの目が文句言いたげに語っている。

 

「何か企んでいる馬鹿共も居るみたいだから、本当に気をつけるのよ。ファルナスカ王国も含めてね」

 

そう言い残して、ヒナタは先に帰路に着いた。

 

 

「俺たちも、もう戻ろう。明日は本番だ。気を引き締めろよ!」

「お任せ下さい。もしリムル様を愚弄する者がいればこの俺が───」

「お兄様!」

「程々にしてくれよ。ホントにさ」




転スラ2次小説の課題って、どれだけ会議を面白く簡単に纏めるかな気がします。
どうしても自分には会議を面白く書くことが出来ない......纏めるだけならダイジェストでいいですもんね。
次話が評議会本番なんですけど、書けるかな......不安。
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