遊戯王:ANOTHER   作:ハヤさん

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第一話 分身

 

ー彼女は、一つの黒い世界に居た。

 

辺りを見渡しても、ただ黒い世界があるだけ。

 

ーと、足音が聞こえはじめる。

 

彼女が音のした方向を見ると、黒い人影が見えた。

 

その人影は徐々にこちらに近づき、彼女の目の前で止まった。

 

「…あなたは…一体?」

 

彼女は人影に聞く。

 

「私は…あなた。」

 

人影は言う。それは、自分の声と全く同じだった。

 

「…あなたは…私?」

 

「そう。私は、あなたの写し身であり分身…。」

 

人影は言う。と、

 

「グオオオオオオオッ!!!」

 

咆哮。それは、人影の後ろから響いた。

 

「私はベガロスト。あなたの分身。」

 

人影は名乗る。その人影の後ろには、巨大な"何か"が居た…

 

―――――――

 

「ハッ…!」

 

ベッドから飛び起きる少女。

 

そこは何時もの自分の部屋だった。

 

「夢…。」

 

パジャマ姿の少女ー黒瀬遊希(くろせゆき)はベッドから出る。

 

(…私の分身…ベガロスト…。)

 

遊希は夢の中で人影が言っていた事を脳内で反芻する。

 

ーと、遊希は机の上に何かがあるのを見つけた。

 

「・・・何よ・・・これ。」

 

昨日まではそこに何もなかった場所。そこには、数枚のカードの束があった。

 

「これは…」

 

遊希がそれを手に取り見てみると、

 

「!!」

 

カードの中に3枚、自分と顔や髪型が似たキャラクターが描かれているカードがあった。

 

そのカードの名前には、こう書かれていた。

 

"METEOR(ミーティア) ベガロスト"と。

 

「ベガ…ロスト…!」

 

ーこれが遊希と遊戯王(ゆうぎおう)というカードゲーム、そして、ベガロストとの出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遊戯王:ANOTHER(アナザー)

 

 

 

遊希はカードの事をそこそこに、家を出て学校へと向かった。

 

(あのカードの事はわからない…何かわからないけど、今は学校に行くしかないわね。)

 

遊希は机の上にあったカードの事を思ったが、首を横に振ってカードの事を頭から追い出そうとする。

そして遊希は、学校への道のりを急いだ。

 

(…いざ学校となると、本当に嫌になるわね…。)

 

遊希の足取りは、途端に重くなった。

 

※ ※ ※

 

彼女の学校―青嵐高等学校(せいらんこうとうがっこう)の1-3教室のドアを開ける遊希。

 

直後、彼女の頭上から黒板消しが落下し頭に直撃した。

 

(ハア…これだ…。)

 

彼女の気分は、最底辺へと落ちていく。

 

彼女は頭に付いたチョークを払い、自分の席に向かう。

が、彼女の椅子の上には大量の泥、そして机には油性のペンにより暴言が書かれていた。

「…ハア…。」

 

ため息をつく遊希。

 

直後、何者かが遊希の頭を掴み、泥まみれの椅子の座面に叩きつけた。

 

「ウッ…!!」

 

遊希の顔に大量の泥が付着する。

 

そして髪を掴まれながら遊希の顔はそこから離される。

 

「よう…また来たのかよてめえ…」

 

そう髪を掴みながら高圧的に言うのは大川 剛(おおかわ つよし)

 

背が高く体も大きい男で喧嘩も強い遊希のクラスメイト。

 

その直後、今度は何者かに腹を殴られた。

 

「ウウウッ…!!」

 

「また来たの…?このクズ。」

 

遊希の腹を殴った彼女の名は、姫島(ひめじま)アスカ。クラス内でも随一の美女として名高い遊希のクラスメイトである。

 

…性格はお世辞にも良いとは言えないが。

 

「そこまでにしておけ、二人とも。」

 

それを制する一人の男。

 

「フン…」

「だな。」

 

アスカは遊希の足を思い切り踏んづけて、剛は遊希を乱暴に投げつけてから男の所へと向かう。

 

「コイツみたいなクズは勝手に何かしでかして勝手に捕まるからな。」

 

そう冷たく言い放つ彼の名は光原 蓮(みつはら れん)

クラス内一番のイケメンでクラスのリーダー的存在。

彼の周りにはいつも多くの女子生徒が居る。

 

 

そう。遊希はいじめの対象であった。

それも、遊希はクラス内のほとんどの人物からいじめられている。

 

「お前みたいな犯罪者の娘と同じ空気を吸う気はないんだよ。さっさと学校やめろ、クズ。」

 

蓮に呼応するかのように罵声を浴びせる女子生徒たち。

遊希はこの光景を何度も見てきた。この言葉を何度も聞かされていた。

 

 

 

遊希は、我慢の限界であった。

 

遊希はカバンを持って席を立つ。そして、教室から出た。

 

「…クズはあなたたちよ。」

 

ーそんな捨て台詞を残して。

 

教室でどっと笑い声がしたが、彼女は気に掛ける事無く学校を足早に去っていった。

 

※ ※ ※

 

背の高い女性が校門を通過する。

 

「ハア…今日からまた学校か…。面倒だなホント…。」

 

その美しい顔立ちからは想像もつかない口調で喋る女性。

 

ーとその時、その女性は一人の少女…遊希とすれ違った。

 

「…アイツ…校門を出ている…。」

 

女性は校門から足早に出ていく遊希を見る。

 

「…ちょっと面白そうだな。やめだやめだ。今日はサボるか。」

 

と言い、彼女は来た道を引き返す。

 

と、

 

「おーい楓!どこ行くんだよ!」

 

楓と呼ばれた女性の友達と思しき少年が女性を呼び止める。

 

「悪いお前ら!今日サボるわ!」

 

そうして女性ー桐山 楓(きりやま かえで)は校門の外へと走り出した。

 

「…しょうがねえか…。」

「ええ、行きましょう。」

 

楓の友達である二人、一宮 剣斗(いちのみや けんと)赤城(あかぎ) レイカはそう言って学校へと入っていった。

 

※ ※ ※

 

家に入ってベッドへと飛び込む遊希。

 

(…流石に限界よ…いつもいつもいつもこんな事になって…。)

 

と、遊希の眼に何かが映った。

それは、朝にも見たカードの束であった。

 

(カード…)

 

遊希はカードの中の一枚ーベガロストのカードを手に取る。

 

(ベガロスト…私に似たカード…夢に出て来た私の分身…。)

 

遊希はベガロストのカードを見ながら考える。

 

(このカードは一体…。分かればちょっとはこのモヤモヤも晴れるかもね。)

 

遊希は黒を基調とした私服に着替え、財布とスマホを持って家を飛び出した。

 

※ ※ ※

 

遊希は地図で調べた自分の家から一番近いカードショップへと向かう。

 

そこは、ショッピングモールの中にあるカードショップであった。

 

(…カードショップなんて、初めて来たわね。)

 

ショップの中へと入る遊希。

 

「いらっしゃい、カードショップ:ユナイトへようこそ。」

 

若い男の店員と思しき男が挨拶をする。

平日だったからか、ショップ内は空いていた。

 

「えっと…あの…。」

 

どもってしまう遊希。

と、再びショップのドアが開いた。

 

「お、いらっしゃい楓ちゃん。」

 

店員は来た客にフランクな挨拶をする。

気になった遊希が後ろを向くと、そこには身長が170前後はある女性が居た。

 

「よ、リョウちゃん。」

 

それに女性は軽い感じで返す。

 

「今日も来たのか楓ちゃん。」

「まあな。」

 

そんな店員と女性の会話が気になったのか、

 

「あの…この人は?」

「うん?ああ、ウチの常連さん。」

「桐山 楓だ。この人は店長の志麻 涼治(しま りょうじ)。」

「楓ちゃんからはリョウちゃんって呼ばれてるよ。よろしくね。」

 

涼治が右手を軽く上げて挨拶する。

 

「ところでお前…さっき校門から出てたよな?」

「!?」

 

楓が悪戯っぽく遊希に言う。それに遊希は驚く。

 

「ハッハッハ!実は私、青嵐高校の先輩なんだ。よろしくな♪」

「は…はい、よろしくお願いします…。」

 

遊希に顔を近づける楓。思わず遊希はたじろぐ。

と、楓は遊希の手にカードがあるのを見つけた。

 

「お…それって遊戯王の…!」

「…遊戯王…?」

 

楓の口から出た謎のワードに疑問を持つ遊希。

 

「知らないのか?」

「すいません…たまたま手に入れて…。」

「へえ…ちょっと見せてみろよ。」

「はい…」

 

遊希は楓にカードを見せる。

 

「…このカード…お前によく似てるじゃねえか。」

 

楓は遊希にベガロストのカードを見せながら言う。

 

「はい…何故か…。」

「ふう~ん…いいカードだな。それにカッコいい。ありがとな。」

「いえ…。」

 

 楓は遊希にカードの束を返す。

 

「ちょっとお前の名前聞かせてくれるか?」

 

楓はおもむろにの遊希を聞く。

「えっと…黒瀬 遊希です。」

「それじゃあ遊希。」

 

ー楓は一間置き、言った。

 

「遊戯王…始めてみるか?」

 

「…えっ…?」

 

※ ※ ※

 

午後4時…

 

遊希は疲れたような…それでいて楽しそうな表情でショッピングモールのベンチに座っていた。

 

「楽しかったか?」

「ええ。これだけ他人と遊んだのは初めてよ。」

「まあ、私ら初対面だしな…。でも今からは友達だな!」

「まあ…そうなるわね。」

 

遊希は遊戯王のルールをものの1~2時間で理解し、フリースペースでのデュエルも問題なくこなした。

その後、二人でショッピングモールの様々な場所で遊んだ。

 

「それにしても遊戯王って面白いわね。私が持ってきたカードを使ったデッキも作ってくれたし、ルールも覚えられたし。…でも明日からは学校にちゃんと行かなきゃね。」

「だな…。」

 

遊ぶうちに2人はタメ口呼び捨てでしゃべれる程に仲良くなることができた。

楽しそうに会話する2人。

 

「そう言えば…どうして遊希は学校から出てたんだ?」

 

おもむろに遊希に聞く楓。

 

「…え?」

「いや、私のほかにも学校サボる奴が居るんだなって。」

「…。」

 

遊希は黙ってしまう。いじめの件を話したくないと彼女は思っていた。

 

「ま、話したくないんなら別にいいぞ。」

「…ええ。」

 

2人がそんな会話をしていると、何者かが入って来た。

―入ってきた者たちは…。

 

「!!」

 

蓮、剛、アスカの三人だった。

途端に顔を青くする遊希。

蓮も遊希に気づき、冷たい視線を浴びせる。

 

「…ごめん。」

 

楓に一言だけ告げてから店を出ようとする遊希。

 

「無視すんじゃねえよオラア!!」

 

逃がさないと言わんばかりに遊希の顔を殴る剛。

尻餅をつき倒れる遊希。

 

「どうしてアンタがここに居るワケ?このクズ!!」

 

アスカが遊希の髪を引っ張り上げながら耳元で叫ぶ。

 

「逃げ出したと思ったらカードショップか…。」

 

蓮は遊希を冷たく見下し、彼女の手に持っていたカードを奪い取った。

 

「あっ…!」

 

奪い取られたのは、ベガロストのカードだった。

 

「遊戯王か・・・見ろよこのカード!遊希そっくりの顔してるぜ!」

「マジかよオイ・・・」

「マジうける~」

 

ベガロストのカードを見て嘲笑する三人。

そのまま蓮はベガロストのカードを地面へと叩きつけ、踏みつけた。

 

「…!!」

 

一瞬何も考えられなくなってしまう遊希。

 

「フン!こんなもの!!!」

 

と言い、蓮はもう一度ベガロストのカードを踏みつけようと足を振り下ろす。

 

―と、その足を何者かの足が止めた。

 

「あ゛…?」

 

…止めたのは、楓だった。

 

「…どけよ。その足を。」

 

自分とほぼ同じ体格の楓を睨みながら言う蓮。

 

「クズのカード1枚が潰れるだけだろうが!!」

 

と叫び、蓮はもう一度足を振り下ろす。

 

「オラッ!!!」

 

楓は蓮の顔面を掌底で打ちつける。

 

「ガアッ…!」

 

後ろに吹き飛び倒れる蓮。

 

「な…何しやがる!コイツ!」

 

激怒して楓に殴りかかる剛。

楓はそれを回避して、右手を取り背負い投げをする。

 

「うわあっ!」

 

間の抜けた声を出しながら地面へと叩きつけられる剛。

 

「ウッ…ヤアアアアアアアアアア!」

 

やぶれかぶれになったアスカは楓にタックルするが、楓はそれを容易く止める。

そして、アスカの足を軽く蹴りアスカを転ばせた。

 

「ウウッ…!」

 

楓は地面に伸びているアスカを横目に地面に落ちたベガロストのカードを手に取り、付いた汚れを軽く払う。

 

「ほらよ。お前の大事なカードだろ?」

 

楓はベガロストのカードを遊希に手渡した。

 

「あ…ありがとう…。」

 

それを受け取った遊希は楓の顔を見る。

―楓の顔は、心なしか怒っているようだった。

 

「痛つつつ…お前!何しやがる!」

 

楓に向かって叫ぶ蓮。

 

「何しやがるはコッチのセリフだ。事情はよく分からんが、人の大切なカードを踏みつけるような奴は…大嫌いなんだよ。」

 

楓は拳を握り締める。

 

「ふざけるな…!こいつは踏んづけられて当然の女だ!こいつの父親は犯罪者!逮捕されて刑務所行き!その後舌を噛み切ったっていうとんでもねえ奴なんだよ!こいつはその娘!踏んづけられて当然だ!」

 

遊希を指差して叫ぶ蓮。

―が、

 

「で…言いたいことはそれだけか?」

 

楓はそれを歯牙にもかけず言う。

 

「何…!?」

「遊希はな、見ず知らずだった私の誘いを受けてくれた。一緒に学校をサボった。一緒にメシも食った。一緒にゲーセンで遊んだ。遊戯王のルールも覚えてくれた!誰の娘かって、そんなものは何一つ関係無い。踏んづけられて当然なのは…いや、踏んづけられなきゃいけないのは、そんな優しい奴の大事なものを足蹴にした、テメエらだ!」

 

楓は蓮にそう言い放つ。

 

「楓…!」

 

遊希は嬉しいような、それでいて泣きそうな、そんな気持ちになった。

初めて自分の為に怒ってくれた。そんな楓が、遊希には格好良く見えた。

 

「認めねえ…認めねえ認めねえ認めねえ!」

 

蓮は顔を真っ赤にしてそう叫ぶ。そして、遊戯王のカードの束…デッキを取り出し叫んだ。

 

「オイクズ!俺とコイツで勝負しやがれ!」

「…どうして?」

 

遊希は疑問を口にする。

 

「五月蠅うるさい!今ここでテメーをぶちのめさねえと気が済まねえんだよ!」

「逃げたら、次に会った時にお前をブン殴るけどな。」

「そうよ。逃げたらどうなるか…分かったものじゃないわよ?」

 

蓮は支離滅裂な理論を展開する。

それに賛同する取り巻き二人。

 

「…放っておけ、こいつらは私が…。」

 

楓は遊希にそう耳打ちするが…

 

「いや…良いわ。受けて立つ。」

 

遊希は決意に満ちた表情で蓮を睨みつけた。

 

「お前…良いんだよ!こういう奴らは私が…!」

 

楓が遊希を制止しようとするが、遊希の表情は変わらなかった。

 

「…この私にも、プライドというものが在るわ。あなたのお陰で、死にかけていたその心が蘇った。今私はこいつらに勝ちたい。そう思ってるわ。…それに、許せないのよ。このカードを踏みつけられたのが。このカードは、私と遊戯王…そして楓を繋いでくれたカードなのよ。アンタはそのカードを踏みつけた。だから…。」

 

遊希は踏みつけられて汚れたベガロストのカードを見ながら言う。

 

「…遊希…。」

 

楓は、遊希の決意に満ちた眼を見て思った。

―こいつは…本気なんだと。

 

遊希は立ち上がり、蓮に向かい指を差した。

 

「…光原 蓮…アンタは…私が倒す!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―続く

 

(イメージED パンダヒーロー)

 

 

 

次回予告

 

自分の分身となるカード、ベガロストを踏みつけられた怒りを胸に蓮と相対する遊希。

だが、クラス内で遊戯王が一番強い蓮に、遊希は追い詰められていく。

果たして、遊希の決意は蓮に届くのか…!

 

次回、「遊戯王:ANOTHER」 「METEOR-ミーティア-」

 

遊希「私の分身、それは黒き逆襲の流星!」

 

 

 

 




はじめまして。ハヤさんです。
初投稿小説「遊戯王:ANOTHER」は如何だったでしょうか。

この作品は私の大好きな遊戯王の二次創作ですが…とあるssにインスパイアされまして作成しました小説でございます。(遊戯王GENEVOLと葛城隼さんマジで神)

この「遊戯王:ANOTHER」のメインテーマは、「青春」です。
歴代遊戯王シリーズにはなかった要素だと思うんですよこの"青春"というテーマは。
主人公が高校生という歴代でも年上の方、また、辛い過去が在ったという設定ですので、このテーマに決まりました。

また今作は、遊戯王がアニメや漫画のフィクション設定であるという設定、オリカが主体ですがOCGオマージュのカードが多々ある、また、各種アニメなどのコピペ、パロディの要素、文才が無い、更新が遅いなどの注意事項がございますので、よろしくお願いします。

また、早めにオリカの設定をまとめたものを出しますので…お待ち下さい。
また、本家よろしくカード紹介コーナーもやっていきますのでよろしくお願いします。

それではこの辺で!評価や感想などよろしくお願いします!
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