虹ヶ咲のメンバーを無自覚に曇らせる転生者の話   作:投稿するヒゲ

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これにて同好会メンバーとのキズナエピソードは終わりです。
次回から、オリ主&栞子編に入ります。


第十話 お出かけ

 今日も今日とて特訓だ!

 と行きたかったのだが栞子に、お前、特訓し過ぎだよ。帰れ。と言われたので一人でトボトボ帰っております。流石に毎日毎日、平日は基礎トレーニングばかり。そして、隙を見ては各人が歌える場所を探す。その作業が苦であった事はない。だけど皆にとっては僕が過労気味に見えたのだろう。心配症だなぁ。

 

 そして休日も……特訓禁止との事だ。

 生徒会の用事で居ない栞子に恨み言の一つでも言いたくなる。

 僕から特訓取ったら何が残るんだよ!

 そう叫びたかったが、気分転換して来なさいと家からも追い出されてしまった。

 

 ふっ、久々に街の観光も悪くない。一人で時間を潰す事に関しては、僕の右に出る者はいないと思えよバカヤロー(ヤケクソ)。

 

 さて、どこへ向かおうか。やはり学生と言えばゲーセンか?

 おや、道路の中心に人影が……って、誰か倒れているんだけど!?

 

「ごめんねぇ……ごめんねぇ」

 

 カナたん!?

 いったい、どうしたんだ。『ごめんねぇ』を繰り返し続ける妖怪みたいになってる。

 

「結ちゃん……聞いてよ〜」

 

 倒れていたカナたんを起き上がらせて話を聞いた。

 どうやら僕と同じ様に家から追い出されたみたいだ。理由は、まぁ、妹さんと喧嘩したらしい。姉妹喧嘩とは仲良いですねぇ!

 身体の方は、疲れはあるけど大丈夫みたい。だが、妹と喧嘩したせいで精神的に死にかけていて、それが原因で道路の真ん中で倒れていたみたい。おい、美少女が迂闊に倒れるもんじゃありませんよ。こりゃ妹さん相当過保護になりますね。

 

 じゃ、暇だし僕と一緒に時間潰しましょうね〜。

 

「どこ行くの〜?」

 

 マブなJKとしては……えーと、しょ、ショッピングモールにでも行っときゃええやろ。

 僕はマップアプリで近くのショッピングモールを探す。

 

 ヘイ、S◯ri、近くのショッピングモールを探して。

 

『近くにアニメ専門店はありません』

 

 違う、そうじゃない。

 おい、僕の検索履歴を勝手に反映させるな。まるで買い物をする時はいつもそこへ行ってるみたいじゃないか……行ってたわ(自己完結)。

 

 僕達はこの世界で言うイ◯ン的な、ファミリー層が比較的多いショッピングモールへと向かった。

 

 とりあえずここで、妹さんに貢ぐ為の商品を探していきましょうか。

 

「ねぇ、喧嘩した時ってどうしたらいいのかな〜」

 

 喧嘩ねぇ。

 そういえば、昔栞子とも喧嘩ばかりしてたな。栞子って出会ってからしばらくは、僕を見かける度に一方的に喧嘩をふっかけて来て困ったものだ。

 何が目的なのかとか、私の友人としての適正はないだとか、いろいろ適当な事言われたっけ。でも、いつの間にか仲良くなってたんだよなぁ。

 

 僕が言えるのは、とりあえず話しをするしかないって事。話さないと相手が思ってる事だったり、自分が思っている事なんて何も伝わらない。純情な感情ほど空回って、三分の一も伝わらないからね。

 

「そうだよね。私、勝手にあれこれ考えて、本当は遥ちゃんの事ちゃんと見れてなかったのかも」

 

 そうそう。つまりはプレゼントで機嫌を取って、後はなあなあで相手と自分の妥協点を見つければ解決よ。

 

「あら、奇遇ね。彼方に結ちゃん」

「二人して一緒なんて珍しいね」

 

 エママと果林先輩だ。

 二人してお出かけとか……へぇ、デートかよ。お前ら二人の腕が離れない様にシルバーチェーンで繋いでやろうか。

 

「良かったら一緒に回らない?」

 

 そういう事になった。

 

 

 

 

 私は彼方と共にベンチに座って休憩していた。

 

「果林ちゃんもありがとね〜。これで遥ちゃんも仲直りできるよ〜」

 

 私達、四人で選んだ服を大事そうに胸に抱きながら礼を言う彼方の表情は、昨日よりも晴れやかだった。

 

 エマと結ちゃんは、まだ服を選んでいるみたいだ。内容は、エマが一方的に結ちゃんの服を選んで着せ替え人形にしているだけだが。

 

 私にとって、同好会とは不思議な場所だった。初めはエマの手伝いで参加していただけの、言ってしまえば暇つぶしに近い。だけど、スクールアイドルに興味があったのも事実で、実際同好会のメンバーがスクールアイドルとして活動する姿に惹かれていった。

 

 けど、私は同好会に入る事はしなかった。

 実の所、入るのが怖かった。入ってしまえば私の中のなにかが変わってしまう気がして。

 

 モデルとしての私と、同好会でしたい、スクールアイドルに憧れる私は別。クールでミステリアスな私ではない、別の側面を見られるのが怖かった。

 

 エマに何度も勧誘された私は、同好会から離れる事も考えた。しかし、どうしても未練がましく結局手伝ってしまう。今日だって、エマにライブで使う衣装の参考にという名目で、気を使われてしまった。

 

 だからだろう。何かしら悩みを抱えていたはずの彼女が晴れやかな表情になった。そんな彼方に、私にしては珍しく話してしまった。

 

「前にね、同好会が無くなりかけた事があったよね」

 

 そうだ。

 エマが実家に帰っていた頃に、一度同好会は廃部になっていたと聞いた。

 

「その時にね、結ちゃんがせつ菜ちゃんに言ってたんだって。同好会は、自分が自分らしく居られる場所だって」

「そうだったのね」

 

 やはり、仲谷結という人物がキーになっていた。結ちゃんが同好会のメンバーを集めて、同好会の廃部を阻止したらしい。

 彼女、ともかく不思議な存在だ。誰も彼もが彼女に関わると、何かしらの変化が起こる。まるで彼女を起点に物語が進んでいるみたいだった。

 

「私もね、結ちゃんに言われたんだ。話してみれば分かり合える。だから、果林ちゃんもきっと同好会で新しい自分と出会える筈だよ」

 

 あぁ、駄目だ。

 私の胸が熱くなる。

 

「それでもダメなら私達に話してみてよ。同好会のメンバーはグループじゃないけど、一人でもない。私達はいつでも果林ちゃんの味方だから」

 

 こんな所で姉属性を発揮しないでほしい。

 これじゃあ、私も動かない訳にはいかないじゃない。

 

 これは、変化だ。

 誰が起こした変化なのか、私が変わろうとした変化なのか、それとも彼女が起こした変化の余波なのか。

 しかし、私にとってはこの変化は間違いなく嬉しく、楽しい、良い変化だった。

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