虹ヶ咲のメンバーを無自覚に曇らせる転生者の話   作:投稿するヒゲ

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第一話 虹ヶ咲での出会い

 久しぶりに出た外は少し肌寒かった。重度の引き篭もりである僕は滅多な事では外出しないプロの引き篭もりなのだ。

 

 そんな僕が今年から虹ヶ咲へと通う事にしたのは、単に原作、及び僕の知っているアニメの物語が始まる事に機する。

 中学での美少女達とのキャッキャウフフとした日々は気付けば終わりを迎えていて、唐突に三船邸へと住まわされる珍事が起こったので、忙しくてそれどころではなかったが、これからは積極的に彼女達の為に努力できると思えば興奮してくるというものだ。

 

 あんな場面やこんな場面に出くわせると考えれば、一種の聖地巡礼ではないだろうかとワクワクしてくる。

 

「あー!久しぶりだね!」

 

 学園も直前という所で、特徴的なツインテールの先を少し緑色にした少女が僕達の元へと近づいてくる。

 

「待ってよー、侑ちゃん」

「歩夢、遅いよ何やってんの」

 

 そう。我らが主人公こと、アナタちゃんであり、僕達の集合的概念のメタファー。

 そして同じく、背後から粘着質な程のストーキング能力を持つ淫◯ピンクであり、アナタちゃんの事大好き幼馴染。

 

 高咲侑(たかさきゆう)上原歩夢(うえはらあゆむ)である。

 

 この二人とは中学生の時、僕が美男美女の陽キャ集団に『エ◯同人みたいに!』、な展開にされかけた場面で助けてもらってからの仲だ。栞子の存在を認知し、ラブライブキャラ達の事を認識してしまった僕は緊張からか声を出す事が出来ずに中学校でもボッチを決め込んでいたのだが、別の学年ではあったけれど彼女達が僕と友達になってくれたのだ。

 

 正に天使。侑たそは純真無垢で何にでもときめく、ときめきキチではあるけれどこんな僕に優しい時点で聖人確定である。

 そして、そんな優しい侑たその相棒であるあゆぴょんも天使だ。どんな時も優しく気遣ってくれる姿勢は僕のコミニケーション能力の向上に役に立つと勝手に思い参考にしている。

 

 僕は軽く挨拶を交わすと、同じく隣の栞子も挨拶をした。

 

「全員同じ学科だから同じ時間に会えるね」

「そうですね。私はともかく結を一人にはしたくありませんから」

「栞子ちゃんはいつも結ちゃんと一緒だからね」

 

 アラ^~、イイデスワゾー。

 

 やっぱり、美少女達が戯れている光景は眼福でござるなぁ。

 

 僕がそんな事を考えている間に教室に着いた。

 右隣の席が当然の様に栞子で、その他にも見た事ある顔がちらほらと。

 

 ここで登場するのがこの三人。

 前方、同好会部長であり、お調子者担当のかすかすこと、中須(なかす)かすみ。

 左隣、演劇部の生粋の変態、桜坂(おうさか)しずく。

 後方、無表情とスケッチブックという僕とキャラ被りしている、天王寺璃奈(てんのうじりな)

虹ヶ咲メンバー一年生大集合である。

 

 こんな偶然ある?

 一部原作だと学科が違う生徒も居るんですが?

 絶対誰かの工作的な意志を感じる。

 

 ともかくだ。僕は予期せぬ有名人との出会いで入学早々にキャパオーバーであった。

 緊張とドキドキで頭の中は真っ白になって椅子に座りながら黒板をひたすらに見つめる。

 

「結、今日はこれで終わりですよ」

 

 どうやら今日はもう帰ってもいいみたいです。早く帰っていったん情報を整理せねば僕の心がもたない。

 

「結、久しぶり」

 

 背後から控えめにリナリーから声がかかる。なんだこのソプラノボイス。ときめきがとまらねェよ。

 

「知り合いですか?」

「うん、結とは保育園の時一緒に遊んだ。まさかここで再会できるとは思わなかった。璃奈ちゃんボード『にっこりん』」

 

 ボードには『(>v<)』と可愛らしいピンクのペンで描かれている。

 

 で、デター!

 リナリー特有のボード会話。僕は密かに感動で打ち震えた。

 

 まさかの保育園友達。僕は全く憶えていないんだけど……これは新たな幼馴染候補出現ですね。

 

 僕もお返しとばかりにタブレットを使って返事を返す。

 それから何度かボードとタブレットの応酬が続いた。

 

「また今度家で遊ぼうね」

 

 そう言ってリナリーと別れた。

 いやー、やっぱり普通の会話より緊張しないから話しやすいわ。リナリーとはこれからも仲良くできそう。

 

 それから栞子が何故か無言のまま家まで帰った。いつもなら僕が何も話さなくても栞子が話を切り出してくれるのに珍しい。

 何かあったのだろうかと、考えていれば玄関で栞子が覗き込む様にコチラを見ていた。

 

「随分、仲がよろしいのですね?」

 

 誰の事だか一瞬わからなかったが、おそらくリナリーの事だと思った。

 仲が良い?

 久しぶりに会って仲良いと思われるという事は、僕とリナリーは相性が良いのかもしれない。これは幸先のいいスタートだぜ!

 

 僕は頷いて返事を返す。

 

「ですが、結は私の幼馴染ですので」

 

 何を言いたいのか理解できなかった。

 何を今更当たり前の事をと思い、タブレットを使用する為に栞子から手を離そうとする。

 

「離さないで」

 

 唐突に鋭い声色で詰められる。帰り道ですら少し痛い程に握られた手が、一層強く握り込まれる。

 痛がってしまい表情が歪まない様に注意する。ここで痛がってしまえば栞子に変に気を遣わせてしまうのが嫌だからだ。

 

「貴女の家はここです。私が結を引き取ったのですから、貴女は私と一緒に居ないといけないんです」

 

 よくわからないけど栞子が俯きながら震えている。理由はなんであれ根っからの真面目な彼女の事だ。何か深い悩みがあるのかもしれない。

 

 僕は咄嗟に栞子の腕を引いて正面を向かせる。そして安心して欲しくて、元気な笑顔を浮かべて欲しくて、控えめに頭を抱く。

 

 なんてこった。僕は今、三船栞子の頭を抱え込んでいる。しかも合法的に栞子の香りを味わう副効果付きでだ。これは今すぐに香水化して売り出してほしい。僕が買い占めるから。

 

 栞子は少し落ち着いたみたいでその後はいつも通りに過ごせた。

 

 一緒に風呂に入って、一緒の布団で寝るまで終始ニコニコと機嫌が良かったので悩みは解決したのだろう。

 

 僕は安心して眠りについたのだった。

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