虹ヶ咲のメンバーを無自覚に曇らせる転生者の話   作:投稿するヒゲ

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誤字脱字報告ありがとうございます。
この怪文書がルーキーランキングに載っていたみたいですね。さすが虹ヶ咲、大人気ですね。
みなさんが誰を曇らせたいのか気になる今日この頃。
あ、RTAと書いていますがおふざけです。


第四話 メンバー回収RTA

 はい、よーいスタート。

 

 今回はかすみんとエママを除く、現在同好会を離れているメンバーを回収して行く最速タイムを狙っていきたいと思います。

 

 特に最速を狙う必要はありませんが早く全員が集まって、華々しい活躍をしてもらいたいですし、僕が早く全員と会いたいのでこのチャートを組みました。

 

 説明している合間も、かすみんの手を引いて全速力で走っています。

 

 まずは手始めに……同じクラスのしずくさんに会いに行きましょう。

 

 僕は学校を一周して見かけた、演劇部が練習していた場所へと向かった。だからさっき、学校を探検していなければいけなかったんですね。

 

 はい。失礼しますよっと。

 僕達は演劇部の練習中にも関わらず無断で扉を開けて入室します。

 あの〜、桜坂しずくさん居ますか〜。

 お、いたいた。ほら、かすみん部長説得よろ。もはや息も絶え絶えで、目をくるくるとさせて倒れかけているかすみんをしずくさんに投げつけます。

 しずくさんに現状を理解してもらうにはこの方法が一番早いと思います。

 

「かすみさん!? どうしたの!?」

「ほぁ……え、えーとですね。かくかくしかじかでして……」

「同好会が廃部!? わかった、私戻るよ!」

 

 はい、クリア。

 まっ、元々せっちゃんと比べて他のメンバーは同好会から離れていた理由は軽微なものです。

 この調子でドシドシ集めて行くぅ。

 

 しずくさんには皆が待ってる部室へと向かってもらって、次は何処かでお昼寝してるであろう彼方ちゃんを探します。

 

 おっ、居ますねぇ。

 図書室……の近くの休憩スペースでお昼寝してますね。勉強してたのかな?

 

 ここは僕が行きます。

 後ろのかすみんはもう気絶しているので役に立ちません。

 

 おっすおっす、カナたん。今大丈夫っすか?

 

「すぴ〜。彼方ちゃんは今、大変おねむなのだよ〜」

 

 みんなで同好会再開するんで、戻って来てどうぞ。

 

「でも……いいのかな」

 

 何か悩んでいるみたいですね。でも一人で悩んでいても、解決しない事もありますし……とりあえず同好会のみんなに話してみては?

 

 じゃけん、同好会に戻りましょうねぇ〜。

 

「うん……わかった。部室でみんなに話してみるね〜」

 

 はい、オーケー。

 悩んでいる彼方ちゃんは見ていたくありませんね。安らかな寝顔で気持ち良くお昼寝してほしいですね。

 

 エママは時期になれば戻って来るのでいいとして。

 ここで大詰めです。

 

 最後はこの人。

 所変わって、場所は生徒会室。

 かすみんにも流石に起きてもらって堂々の入場。入る際、かすみんから何で生徒会に行くんだみたいな視線を感じるが無視だ無視。せっちゃんについて説明できないからね。仕方ないね。

 

「おや、貴女達は?」

 

 僕は生徒会長モードのせっちゃんに事情を説明します。

 

「なるほど。確かに部員は定数を超えてるみたいですね。では廃部は取り消します」

 

 よしよし。これで同好会はもう無くなることはないですね。後は会長、せっちゃんが戻ってくれば万事解決ですね。

 

「優木せつ菜さんですか? あぁ、彼女ならもうスクールアイドルはやりませんよ」

 

 やっぱりせっちゃんは責任を感じている様子。これは説得が難しそうですね。侑たそを連れて来ればよかった。

 

「どうして会長がせつ菜さんの事を知ってるんですか!?」

「それは……優木さんに、もし同好会の人が来たら伝えてほしいと言われてたのです」

 

 せっちゃんが眼鏡の奥で悲しそうに目を伏せています。やっぱりスクールアイドル続けたいんすねぇ。早く素直になってどうぞ。

 

「私は認めませんよ! せつ菜さんが直接退部するって言うまで認めませんからね!」

「どうしてそこまで……彼女の度が過ぎた特訓のせいで、同好会の雰囲気を悪くさせてしまったのではありませんか?」

「それでも! せつ菜さんは本気で自分の好きなスクールアイドルをしていました。私もそんなせつ菜さんを見て、可愛いを追求できる、そんなアイドルになりたかったんです。あの時は……少し言い過ぎましたけど」

 

 せっちゃんは驚いた様に黙り込んだ。そんな感動的な光景を見て僕は涙を堪えられなかった。

 もはや最速タイムとかそんなの関係ない。

 せっちゃんの抱え込んでしまった思いを、かすみんが想いをぶつけて溶かす。

 

 せっちゃんの情熱(大好き)も、かすみんのカワイイ(大好き)もカタチは違えど同じオモイだったんですよ。

 

 なんて尊い光景なんだ。

 この思い、言葉にする事もできない。

 僕は静かに涙を流し、合掌する事しか出来なかった。

 

「貴女は、あの時の」

 

 せっちゃんの瞳に熱が宿る。

 

 うん!

 うん。それでいいんです!

 寧ろ、それがいいんです!

 それぞれのオモイとカタチでいいんです。

 十人十色、それこそ虹の様に目指すものは別々でも、同好会は一つでいいんです!

 アニメで見た!

 

「そう……そうだよね。うん、わかりました!」

 

 僕達の目の前で眼鏡を投げ捨て、三つ編みを豪快に解いた。

 

「なっ! 貴女はっ!?」

「かすみさんも貴女も、ありがとうございます。私は勘違いしていました」

 

 せっちゃんは制服を勢いよく脱ぎ捨てた。その下からは学校探索の時に見た『優木せつ菜』のアイドル衣装。

 

「私達の目指すものは違うけれど、私達は一人じゃない。貴女達が教えてくれた……もう、どうしてくれるんですか。このオモイ、抑えられません! もう誰にも、私を止められませんよー!!」

 

 かすみんが驚きで顎が外れそうな程に口を開けている正面で、せっちゃんが最初のステージで見せてくれた誰もを魅了する笑顔で天高く宣言するのだった。

 

 

 

 

 かすみんには、もう訳が分かりませんでした。

 

「では、同好会の存続、そして新しい部員の歓迎を祝いまして、乾杯!」

 

 そう高らかと音頭を取るのは、生徒会長である『中川菜々』さんであり、大人気スクールアイドルである『優木せつ菜』先輩です。

 

 全員が紙コップに注がれたジュースを片手に笑い合っています。

 そんな中、私はあまりの出来事に頭がパンクしてしまい、一人椅子に座って茫然としていました。

 

「どうかしたの?」

 

 しず子が気を効かして声をかけてくれます。そんな気を効かしてくれるなら、同好会から離れず演劇部だけに専念しないでほしかったと思ってしまう私は我儘なのでしょうか。

 

 この半日で何もかもが目まぐるしく変わってしまい心が追いつきません。

 

 その原因である、新しい同好会のメンバー。四人居る中の一人で、私と同じクラスの『仲谷結』さんです。

 

 彼女、このカワイイの具現化であるかすみんよりも認めたくはないけれど可愛い。初めてクラスで見かけた時、可愛い過ぎて顔を直接見る事も出来なかったぐらいです。

 しかし、かすみんも負けてないと思っています。というか、そう思っていないとやっていられない心境ですよ。

 

 そんな結さんに学校中を引きずり回されるとは夢にも思いませんでした。落ち着いた時、一応同好会に誘ってみるつもりでしたけど。まさかあんなに行動派だとは……。

 理由も話さずに同好会に来なくなってしまったメンバーを次々に集め、最後に何故か生徒会室に入り、そして今世紀いえ、少し言い過ぎました。私史上、最大の驚愕の事実を知る事になりました。

 

 そう。この学校の生徒会長がまさかの、謎のスクールアイドル『優木せつ菜』だったのです。

 なぜ偽名を使ってまで正体を隠しているのかとか、なぜ結さんがせつ菜先輩の正体を知っているのかとか、気になる事を挙げるとキリがありません。

 

 しかし、今はもう一度スクールアイドルをする事ができる事と、同好会が新たなスタートを切る事ができた事。

 

 そして何より──せつ菜先輩へ向けて結さんが泣きながらもタブレットに書いて送った言葉が私の心に残っています。

 

『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会はそれぞれのスクールアイドルを目指す場所。グループじゃなくてソロ、でも一人じゃなくて皆で頑張れるそんな場所』

 

 結さんの事は何も知りません。でも、私はその一言で彼女がスクールアイドルを、同好会をどんなふうに思っているのかを知る事ができました。

 

 そしてそれは私だけじゃなく、せつ菜先輩にも伝わった様子で……ある意味伝わったせいで彼女はハジけた。

 

 なんだかよくわからない内にキャラの濃い面子ばかりが集まってしまった気がします。

ですが!

 私──かすみんが一番で、せかいいちカワイイスクールアイドルを目指す事は変わりありません!

 

「かすみんが部長としてしっかりしないといけませんね」

「かすみさんが部長だったんだ」

 

 どうやら当面の目標は、かすみんが部長である事をみなさんに知ってもらうところから始めないといけませんね……。




かすみんはこの作品唯一の良識人枠です。
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