虹ヶ咲のメンバーを無自覚に曇らせる転生者の話   作:投稿するヒゲ

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遂に、書き貯めが尽きました。
不定期更新タグが本領発揮する可能性が大です。
後、オリ主の目はいろんな意味で腐ってます。


第五話 男友達

 今日は珍しく同好会の部室で一人だった。本当に珍しい。いつもなら誰かしらは居て、基礎トレーニングをこなしているものなのだが、今日は誰一人として部室には居なかった。

 

 いつもいつの間にか隣に居る栞子も、今日は生徒会の用事で帰りも遅い。他のメンバーも何かしらの用事があるのだろう。

 皆、うら若き青春ド真ん中の高校生。スクールアイドルだけじゃなく、個人的な趣味もあるだろう。

 

 しかし、僕には皆を応援する使命がある。今こそ!一人だから出来る事もある筈だ。

 

 いつもは栞子が軽く裁いてくれている同好会の経費や各種資料の整理……は難しいとして。ついこの間撮った全員分の紹介動画。まだまだ活動したてで、知名度が低いからとの理由で撮った動画だが、全てリナリーが編集して同好会の公式サイトに公開されている。そのサイトを紹介するサイトを作ってみてはどうだろう。N◯VERまとめ的な……あっ、サイト作りとかした事ないな。

 

 うむ、僕に出来る事ってある??

 無いな!!

 終わり!閉廷!以上、皆解散!

 

……帰るか。

 

 僕が扉に手をかければ、自然と扉側が勝手に開いた。

 

「やっと、見つけた」

 

 顔面距離にして感覚一センチ。これがガチ恋距離ってやつですか?

 

 オタクに優しいギャルであり、もはや誰よりも純情なのではないかと思っている御仁──宮下愛がそこに居た。

 

 驚いたのも束の間、いきなり全身タックルをしかけられて、僕の身体は全身で床に強打してしまう。

 

 痛ったあ!痛ェ!痛ってェェ!

 

 全身の痛みにより、何故押し倒されているのかという疑問が思考から吹き飛ぶ。僕は無駄に整った顔面偏差値最高レベルの顔で目の前を埋め尽くされていた。

 

「会えた! やっと……やっと見つけた。君、君だよね! 昔、お店に来てくれてたのって!」

 

 むかし?

 何の話だろうか。僕は愛さんとは初対面なはず。いや……リナリーとの一件もある。実はどこかで知り合ってましたなんて言われても驚きはしない。

 

「ほら、お母さんと一緒に食べに来てくれてたのよね? その時一緒に遊んだんだよ。白と赤の入った帽子を被ってたんだけど覚えてないかな?」

 

 白と赤?

 マイマザーとの思い出って少ないんだよね。無駄に美人なマザーの事は大好きだったんだけど……もう会う事もないからなぁ。

 

 昔、貧乏なのに誕生日にどこかの店に連れて行ってくれた様な……その時だっけ?店の男の子と友達になったんだけど、その子が愛さんな訳ないしなぁ。

 

 あの子、元気かな。僕の渾身のおっくせんまん!を披露してあげた時はキャッキャ、キャッキャと喜んでくれたのも良い思い出だ。

 

「覚えてないよね……じゃあさ、じゃあさ、君って今スクールアイドルの同好会に入ってるんだよね? 私も入っていいかな?」

 

 お、おう。

 押しが強いな。でも、この押しの強さこそ彼女のコミュ強の所以。僕もこのぐらいコミュ力があれば友達も増えるんだけどなぁ。

 

 つか、これ愛さん加入イベントじゃん!

 大歓迎ですよ。いつでも来てくれて構わないぜ!

 

「ありがとう! じゃあこれからよろしくね、むーちゃん!」

 

 おっふ。

 ニックネームなんて初めて呼ばれたわ。思わず気持ち悪い声が漏れそうだった。

 

 僕の無い胸にぐりぐりと顔を擦り付けて喜ぶ姿を見て、しみじみと愛さんの可愛さに萌え殺されるのだった。

 

 

 

 

 私は学校中を探し回っていた。

 彼女──仲谷結を探り当てたのは偶然だった。むーちゃんの姿を見たのは、『優木せつ菜』というスクールアイドルのライブでの事だ。

 

 目立つ銀髪の少女が目の前でライブをしていたスクールアイドルにサインを貰いに行っていた。それだけでは私は顔も思い出す事は無かったと思う。銀髪の女の子なんて見渡せばどこにでも居る。

 

 しかし、彼女の前髪で隠れた瞳を見た時私は思い出の中の名前も知らない少女の事を思い出した。

 

 私が小学生の頃。

 子どもながらにお店を手伝いたくて、半ば無理矢理親に頼み込んで店員の真似事をしてた。

 今思い出せば恥ずかしくなるけれど、その時の私は自分の出来る事を精一杯しているつもりだった。

 

 そんな時店を訪れたお客の一人がむーちゃんだった。

 歳が近い事もあって初めて会ったのにも関わらず、すぐに仲良く話す事が出来た。

 

「その帽子ちょっと貸して」

 

 そう言って、室内でも被る程お気に入りであった帽子をつばを上に向く様に被った。

 

「ウ◯トラマンセブン!」

 

 何の事だかわからないけれど、勢いで私の笑いを誘う。

 そして何かを口ずさみながら、店の鉄板に使っていたヘラを二つ使ってその特徴的な瞳を隠す。

 

「これじゃウルト◯マンの眼にはならないか……じゃあ、交互にヘラを取って、赤信号、青信号! ハハッ……しょーもな」

 

 右と左で違う瞳の色。右目は煌びやかに光る紅眼、左目は透き通る様な瑠璃色の碧眼。

 

 その美しさに眼を奪われた私は思わず見惚れてしまった。しかし、むーちゃんはその後母親にはしゃいでいた事を叱られて帰ってしまった。

 

 私は次に会える日を楽しみにしていた。だけど来る日も来る日もむーちゃんは来なかった。

 どうしても会いたかった私は、お母さんにむーちゃんはいつ来るのかと尋ねてみたのだ。

 

「愛、あの子の事はもう忘れなさい」

 

 その時の衝撃は忘れられない。

 

 結局理由は話してもらえなかった。

 私は癇癪を起こして、お母さんにどうして、どうしてと泣きながらに聞いた。

 でも、返ってくる答えは、「ごめんね」、「今はわからなくてもいい」、とかそんな曖昧な返答ばかり。

 その日の夜、私は泣き疲れて寝てしまった。

 

 そして気づけば記憶に蓋をして、今の今まで過ごしてしまった。

 私に”楽しい”を教えてくれた大切な友だちだったのに。

 

 思い出した私はもう止まらなかった。

 むーちゃんを見つけるために学校中を駆け回った。

 部室棟、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会と書かれた扉を開けた時、彼女は居た。

 

 いた、居た、イタ。

 

 諦めていた想いが溢れる。思わずむーちゃんに飛びついてしまったけれど、彼女は余裕の表情で受け止めてくれた。

 昔と違ってむーちゃんはタブレット越しでしか対話してくれなかったが些細な事だ。

 近くで覗き込めば、左目だけ前髪で隠れた碧眼が薄く光っていた。

 

 むーちゃんの両目を覗いていれば、自然と私の心はあたたかい何かで満たされた。

 

──あぁ、ずっと見ていたい。

 

 もっと近くで、ずっと近くで。

 この瞳を永遠に見続けられればどれほど幸せだろう。きっと胸がドキドキして……その感覚が楽しみで仕方ない。

 

──ホシイナ。

 

 私は少しの間、息を呑む。

 何を考えているんだろう。大切な友だちに対してこんな事考えちゃいけない。

 

 誤魔化す様にむーちゃんの胸に顔を埋める。

 彼女の鼓動が伝わってくる。頭の中で彼女の鼓動と私の鼓動が重なり、胸のあたたかさとは別のなにかが迫り上がってきた。

 

 ダメダメ!

 せっかく再開したんだ。むーちゃんは私の事を覚えて無いみたいなんだから、ここからしっかりと友だちにならなくちゃ。

 きっと、むーちゃんと一緒にスクールアイドルをするのは楽しいに違いない。

 

 私は迫り上がってきた感情を口から吐き出す為に、彼女へ向けて笑いかけたのだった。




感想などに直接返信はしない方向でいこうと思います。
それはそれとして、疑問返信コーナー。
Q.第三話にて璃奈ちゃんの台詞、解釈違いです!

A.ワイトもそう思います。

Q.オリ主は人の負の感情を感じんのか?

A.美男美女になにされてもご褒美だよなぁ。真面目な理由としては、オリ主はこの世界に転生した事を間違いだと思っていますので基本何されても受け入れます。

Q.オリ主の思考内での各キャラに対する呼び名が受け付けないが?

A.話せる様になった時のオタバレ回への伏線です。許されよ、許されよ。

Q.メタ視点での設定でのアナタちゃんの能力値が加算されてるのはオリ主ですか?

A.侑ちゃんです。ボツ設定ではありますが、転生特典でオリ主に容姿だけじゃなくアナタちゃんの最適解選択能力を与えてチートオリ主百合ハーレムにしようとする案がありました。

今回はここまでです。
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