虹ヶ咲のメンバーを無自覚に曇らせる転生者の話 作:投稿するヒゲ
虹ヶ咲のスクールアイドルとしての活躍を観たい方はアニメをみて下さい。
僕の朝のルーティンは意外と過酷だ。
同好会へと入り、僕にとってのスクールアイドル活動を支援する為の準備として行うトレーニング。
毎朝午前四時に起床し、太陽が昇る前に五キロ近いランニングをこなす。少しの柔軟の後、軽い筋トレ、ダンス、声帯トレーニングを一通り終わらせてからシャワーを浴びて……二度寝する。
そして栞子に起こされて学校へと向かう。
ここまでしなければいけないのかって?
ここまでしなければ、過酷なアイドル活動を行う彼女達へ向き合う事はできない。ましてや支援等と豪語するならば、彼女達以上の努力が必要になるのだ。
さて、そんな事をしていれば少しは僕の周囲も変わる訳で──
「おはよう、今日も走っていたのかしら?」
「果林ちゃんも朝それぐらい強いといいのになぁ」
学園の近くで二人と出会う。
本当に高校生かわからないプロポーションで、現役読モとかいう完璧さ。しかし、朝の弱さと迷子属性とかいうしっかりと弱点も存在する萌えキャラ──朝香果林。
もう何がとは言わないがある部分がバケモン。そして、人をダメにする母性のバケモン。そのそばかすが僕を狂わせる──エマ・ヴェルデ。
この二人は、僕の朝の個人レッスンを指導してくれた先生とも言える存在だ。元からトレーニングの知識も無い僕にいろいろと教えてくれた。そして、今日は参加していなかったけれど偶に二人して朝から一緒にトレーニングをしてくれる日もある。
果林先輩はエママに強制的に連行されてくる。その姿が普段クールな彼女とは違っていて二人の仲の良さが伺えるというものだ。
そんな、朝から濃い二人の掛け合いを見られるのは僕にとってご褒美となっている。
その事を栞子に伝えたら、朝から栞子も参加すると言って来たが生徒会でただでさえ帰宅するのが遅いのだから朝ぐらいはゆっくりしてほしい、と断腸の思いで断った。
そんな恩人である二人と別れてふと考える。
これでほぼ同好会のメンバーは揃った事となった。
しかし、僕は一つの懸念を抱えていた。順調。そう、同好会は順調に知名度を上げてきていた。サイトには各メンバーのソロ曲を上げて、それぞれのファンが作ったファンクラブなんかも出来たりしている。
側から見ても順調極まりない。
だけど僕は思う。
こんなんだったっけ?
僕が見ていたアニメの内容ってこんな感じだったかな。
主人公である侑ちゃんを中心に、スクールアイドルを通して、それぞれが人としての成長をしていく物語だった筈だ。
それが、なんだろう……物事が順調に進み過ぎている。
僕が変に考え過ぎなんだろうか?
いや……ダメだ。不安でしょうがない。ここはひとつ、我らがチート主人公様に相談してみよう。
空き教室で侑たそを連れ添って洗いざらい悩みを打ち明けてみた。
「ふむふむ、なるほどね。そうなるんだ……つまり結ちゃんは、皆がどんな想いでスクールアイドルをしているかわからないから不安になるんじゃないかな」
……そうかも。
結局の所、僕は皆を応援するといいながらも誰かに踏み込む事を躊躇していたのかもしれない。
「と言う事で、明日は休日だよね。だったら──」
侑たそは、耳元で僕に囁く。
それが、僕にとっては苦行とも言える内容となる事をこの時の僕は知る由もなかった。
◇
待ち合わせ場所で僕は時間を確認した。
集合場所は学園近くのバス停。時間としては大体二時間前に僕は待機している。
侑たそに今日、ここに来る様に指定されたけれど内容までは教えてくれていない。
トレーニングでもするんだろうか?
僕は動きやすいシャツにジーパンと言った、到底女子が休日にする格好では無い私服でベンチに座っていた。
「お待たせ、待ったかな?」
目の前には例のピンク──いや、巫山戯るのはやめよう。フリフリの白いブラウスに薄ピンク色のプリーツスカート。どこからどう見ても超絶美少女の上原歩夢その人が僕の前にいた。
──歩ぴょんの私服可愛すぎだろッ!!
僕は思わず気絶しそうになる意識を無理やり奮い立たせる。
そうだ。どうして歩ぴょんがいるのか理由を聞かなければッ!
「侑ちゃんから聞いてないんだ? 私も詳しくは聞いてないんだけど」
その時、僕と歩ぴょんのスマホに同時に通知音が鳴る。
『今日、行けない、二人、楽しんで』
何が!?
なにこのメッセージ。もはや、ダイイングメッセージとも言える内容に僕は呆然とする。
侑たその目的は結局全然わからないけど、今のこの状況なら僕にも少しは分かる。
二人でどこかにお出かけ。つまりこれって、所謂デートって奴なのでは……自戒案件です。
オイオイ、死んだわ僕。ネームドメンバーとデートとか大罪。Dead or Dead。デート・◯・ライブ。
これは帰宅後、生皮剥がなきゃ。いや、それは栞子にバレそうだからせめて爪剥ぎか指を二、三本へし折らねば割に合わない。
一旦落ち着こう。そもそもデートと言っても僕たちは女の子どうし。つまり、これはデートではなく、ただのお出かけイベ。
そう、これはデートじゃない。
誰が何と言おうがデートじゃないんだ(血涙)。
「えーと、どうしよっか?」
どうするんですかね?
僕、引きこもりだからお出かけスポットなんて知らないゾ。
「もし良かったら……今日は私に付き合ってほしい……です」
応よ! 任せろや!!
僕は混乱する頭を、ひたすらに上下に揺する事しかできなかった。
◆
私の胸は、張り裂けそうな程に鼓動していた。
近くで見つけたクレープ屋さんで購入した、バナナチョコパクチーアイスクレープを小さな口で頬張る結ちゃん。その姿は小動物の様な愛らしさがあり、私は思わず口角が上がるのを自覚する。
今日、こんな幸運に見舞われたのは侑ちゃんのお陰だ。唐突に侑ちゃんから遊びに誘われた時、またときめき探しでもするのかなと思っていた。
しかし蓋を開けて見れば、密かに憧れていた結ちゃんとデート出来る事になったのだから感謝しかない。流石、長年の親友。私は静かに侑ちゃんの家の方向にサムズアップする。
結ちゃんと出会ったのは中学生の時だった。休憩時間、彼女が一人図書室の窓からどこかを見ている姿に一目惚れした。あの時の感覚は今も鮮明に憶えている。身体全体が熱くなり、お腹の下からドクドクとした何かが溢れ出していた。当時、その感覚が何かはわからなかったけれど。
しかし、私に自分の気持ちを自覚する機会が訪れる。結ちゃんが男女複数人の生徒に暴行を加えられる事件が起こった。複数の女子生徒に羽交い締めにされ、服を脱がされていた光景を見て、私の中にかつてない程の高揚感が生まれた。後少し、後一歩遅ければ、私は何かを踏み違えてしまっていたかもしれない。侑ちゃんに先生達に知らせて欲しいと言われた時に興奮の収まりと共に目が覚めた。
後日、私は自分の醜い感情に嫌悪し、同時に興奮もしていた。滅茶苦茶にしたい、滅茶苦茶にされたい。愛したい、壊したい。妄想の中で、誰よりも純白な彼女を穢した。それが何よりも哀しくて、悦びを感じてしまう。そんな相反する想いを抱いている事に罪悪感を感じた。
私は矛盾する想いを抱えたまま、結ちゃんと友だちとなってからは彼女の力になれる様に常に側に居た。栞子ちゃんには負けるけども、彼女が一人にならない様に気を使って生活した。
それが、私が感じている罪悪感からの気遣いなのを自覚しながら。
今も隣で純粋に笑う彼女を見て、私は目を合わせられなかった。
こんなにも醜い私が彼女の友だちでいいのだろうか。侑ちゃんや結ちゃんは、私を可愛いと言ってくれる。でも、私は私に自信が無くて、可愛いと思えなかった。
私は思わず成り行きでスクールアイドルをしている事を話してしまう。このままでも良いのか。皆が大切にしているスクールアイドルをこんな私がしても良いのか。そんな愚痴の様なものを口にしてしまっていた。
『上原歩夢は可愛い。可愛いは正義。世界は可愛いを求めてる』
結ちゃんはタブレットを私の顔の前まで持ってくる。
私は、タブレットの内容を見て胸のしこりが消えた様な気がした。
スクールアイドルは私にとっても楽しい。ファンの皆にも元気を貰えるし、私を応援してくれるのはとても嬉しい。
だけど、彼女が可愛いと言ってくれる。それだけで、自分に少しだけ自信を持てる気がした。
ぽむの性癖壊れる。
虹ヶ咲のメンバーは基本オリ主が絡まなければ仲良く過ごしてます。オリ主が知らないだけでアニメ内での仲良しエピソードも発生してます。