虹ヶ咲のメンバーを無自覚に曇らせる転生者の話 作:投稿するヒゲ
今のところ曇ってないせつ菜回です。
以前の歩ぴょんとのお出かけの時に彼女の思いを聞いた。どうも歩ぴょんは自分に自信を持てない様子。あんなに可愛いのに何故自信が持てないのか……コレガワカラナイ。
いや、まあ自信を持ち過ぎてナルシストになったら嫌だなぁとも思うけど……いや、ナルシストな歩ぴょんも意外とアリだな。
やっぱり同好会のメンバーは何か悩みを抱えているんじゃないか。一人ひとりがしっかりしている様に見えて、どこか思い詰めているんじゃないか。そんなふうに感じた。
侑ちゃんさん様、君の力が今こそ必要だ。同好会をまとめて、私を導いてくれ(他力本願)。
「そうなんだね。皆に悩みかー、私に出来る事ってあるのかな?」
いや、あるでしょ。寧ろ君にしか出来ないと思うんだよね。
「うーん、私も出来る事がないか考えてみるね。結ちゃんも何が出来るか考えてみて。私達二人で一緒に同好会をサポートしていこうね」
はーい。
僕は侑たそのポジティブ溢れる笑顔に脳死で頷いた。
そして平日は特訓をして過ごして、今日は休日。
僕にも久しぶりに休息が必要だ。
財布の中身を確認して、こっそりと玄関に向かう。
「どこかへ行くのですか?」
背後から声をかけられて、ドキッとする。
瞳に光の無い栞子が、真顔でコチラを見つめていた。
マズイ。非常にマズイ。
これから先向かう場所に栞子を連れて行く訳にはいかない。
僕は心を鬼にして栞子に嘘を伝えた。
「……そうですか。大丈夫です、結にも一人で行きたい場所もありますよね」
ゴメン。凄いゴメン。何かお土産買ってくるから許してクレメンス。
僕は逃げる様に玄関から走り出た。
そして向かったのはアニメやゲーム、少しディープなグッズ。所謂オタクグッズを取り扱ってる専門店。同人グッズなども置いてある、あの某有名な例の店だ。
何種類かあるが、全ショップを巡る予定なので大丈夫。こういう店は大体近くに連なって存在していると言うのはオタクにとってはもはや常識だろう。
いや〜、この雰囲気堪りませんな〜。
この場所は同類の巣窟。数少ない
今日はたまりに溜まった購入意欲を発散して帰る所存であります!
いざ、尋常に、仲谷結、突貫します!!
「こんにちは、結さん。偶然ですね」
アイエエエエ! ユウキ⁉︎ ユウキセツナ=サン⁉︎ ナンデ⁉︎
せっちゃんの持つカゴには、異様な量のキャラグッズや漫画、ラノベにアニメディスク等々が入れられていた。
なぜ。なぜ故生徒会長様がこんな場所に!?
ここは我らが聖域ではなかったのか!?
ええい、一般モブ生徒会員達は何をしている! こんな不健全な場所に生徒会長を放り出すなど言語道断。即刻ご退場願いたい。
驚きでタブレット操作も出来ないまま放心していると、せっちゃんが空いている方の手で僕の手を握る。
「結さんもこういったものに興味がおありとは意外ですね……私、喜びが抑えられません! 是非、一緒に見て回りましょう!」
そういう事になった。
どういう事だってばよ……せっちゃんってこんなキャラだったのか?
くそッ、こんな事なら転生してから覚えている事を何かにメモしておくんだった。
「結さんはどんなジャンルが好きですか? 私はある程度全般好きですが、特にファンタジーものや、ニチアサに放送されている某魔法少女の番組とか特撮も好きですね!」
オタクちゃん自分語りしがち。
でも可愛いから許す。
そうだなぁ、僕も全般的に好きだけど、アニメを特に見ますねぇ!
「そうなんですね! 私もアニメはそこそこ嗜んでますよ〜!」
おいおい、楽しいかよ。
これただのオタクの会話じゃねぇか。嗜むとか言いつつその台詞は絶対ガチだゾ。僕は詳しいから分かるんだ。
でも、いいねこういうの。僕も誰かと同じ趣味について語り合いたかったんだよ。
それから僕達は生き別れた姉妹の様に、お互いの話をした。グッズを見ながら、たわいのない話をする。いつも、スクールアイドル絡みの会話ばかりだったのが、今は等身大の自分で話す事ができている気がした。
昼前から来たと言うのに、すっかり日が沈んでしまった。
「今日はありがとうございます。とても楽しかったです」
僕も最高に楽しかった。
また一緒に遊びたいね。
僕は付き合ってもらったお礼に一つのストラップを渡す。
「これは!? まだ現存していたのですね、まり◯っこり!? ありがとうございます。大切にしますね」
そこまで喜ばれると僕も嬉しくなる。
今度はスクールアイドル記念館とかも一緒に行きたいですね。
じゃ、僕も帰りますね。
門限も近いので僕は急いで家に帰った。
玄関を開ければ栞子が真っ暗の中立っていた。
ヒエッ⁉︎
怖い、コワイ、恐い!
服を乱れさせながら立ち尽くす栞子。
「お帰りなさい。今日は随分と遅かったのですね」
お、おう。
ごめんなさい。遅くなりました。
だからその伽藍洞な瞳で僕を見るのはやめて下さい。お願いします。
あっ、そうだ(唐突)。
これ、お土産ッス。自分、栞子さんにお土産買うて来たッス。
「これは……リボンですか」
赤いリボンです。栞子、いつも同じリボン着けてたから偶には赤色もいいかなって。
「派手すぎませんか?」
頬をリボンと同じ色で染めながらリボンを着ける栞子。
いやいや、寧ろ栞子なら赤色も気品のある上品さが出て凄く似合うと思いますよ(ガチャガチャで出たとは言えない)。
「……こんな事で誤魔化されませんよ。ほら、こんなにも別の誰かのニオイが」
栞子が僕の首に顔を埋める。
どうして僕は玄関先でこんな高度なプレイをしているのだろうか。興奮するじゃないの。
僕は思わず抱きしめてしまった。
「結、なにを」
でも、そうだよね。友達が自分に隠れて誰かと遊んで来たら、少し寂しいよね。
わかる。わかるよ。
相手にそんな気がなくても、置いて行かれた気がしちゃうもんよなぁ。
いつか、栞子ともオタ活出来たらいいなぁ。
「結、ありがとうございます。今日はくっついて寝てもいいですか?」
お安い御用で御座いますよお嬢様。
ちょっとスケベな抱き枕なら買って来ているので貸してあげようか?
いや、常識的に考えて健全な乙女に半裸の少女の載った抱き枕は犯罪でしょ。
僕は背骨が軋む程抱きしめられて寝たせいで、次の日特訓を行えず学園へと向かった。
オタクを揶揄する意図はありません。
不快に思われた方には深くお詫び申し上げます。