日本国召喚 ~天照の咆哮~   作:イーグル

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最初にアンケートに協力していただき、ありがとうございました。
予想以上の投票の数に、とても驚いています。


初めての番外編、かなり短く、内容もかなり薄いです。






番外編-01

これは、日本とクワ・トイネ公国が同盟を結んだ直後の事である。

 

日本 東京都新宿区 防衛省

 

「総理官邸からの連絡で、我が国とクワ・トイネ公国との間に、無事に国交が樹立された。クワ・トイネ公国は我が国に対して、食料の輸出と引き換えに技術輸出と軍事力の強化を求めて来たとの事だ。この会議は、クワ・トイネ公国へ輸出する兵器の選定を行う。様々な意見が出ることを期待する。私からは、以上だ。」

 

防衛大臣である厳田は、会議室に集まった職員に対して宣言すると、椅子に深く腰かけた。

早速、一人の若い職員が手を挙げ発言をする。

 

「クワ・トイネ公国へ輸出する陸上兵器に関してですが、私は「60式戦車」を提案します。あの戦車は、我が国では完全に退役した旧式であり、法律に記載されている「重要技術」や「最新技術」も使用されていません。更に、状態が非常に良好なものが200両以上あります。迅速な配備が可能と、私は提案します。」

 

「私は反対だ。60式戦車の主砲の貫徹力は現在でも十分通用するレベルだぞ。中世国家には、威力過剰なのではないではないか?」

 

「確かに威力過剰の可能性があるが、我が国に残っている最も古い稼働可能な戦車は60式だけだ。まさか、初代「貫徹お化け」こと99式戦車を再生産するわけにはいくまい?しかも、クワ・トイネ公国は隣国ロウリア王国にいつ攻められるか分からない状態だ。多少は目をつぶり、今すぐ近代化すべきでは?」

 

「過度な近代化は、悪影響になるのではないか?そもそも、・・・・・。」

 

 

新たな世界の新たな友人の為の会議は、様々な意見が出され夜遅くまで活発に議論が行われた。

会議二日目の正午までには、「陸上兵器及びヘリコプターは、最新の物でも1960年までに採用された物までとすること」が、賛成多数の多数決で決まった。

 

陸が決まったら次は、空であった。

こちらは、意見が二分することになった。

 

「私は、NF-01型戦闘機を輸出することを、提案いたします。」

 

「待て待て待て!NF-01型は、超音速戦闘機だぞ!いくら旧式とはいえ基礎的な技術は、現用の機体と同じ物だ!私は断固反対だ!せめて、NF-0型にすべきだ!」

 

「いや、NF-0型こそ現実的では無いだろう!NF-0型の飛行可能な機体は20機程度しかないんだぞ!軍の任務に耐えられる物は、片手の数も残っていないだろう。再生産体制を整えるまで、桁外れの時間と金が掛かる!それよりは、僅かでも生産ラインの残っているNF-01型を輸出すべきだ!」

 

など、会議室は「NF-01型を輸出すべき」と主張する派閥と「NF-0型を輸出すべき」と主張する派閥に分かれて、陸上兵器の選定以上に白熱する事になった。

この議題は、会議三日目になってもなかなか決まらずに四日目までもつれ込む事となった。

最終的に、生産ラインの問題や現在の兵器規格に合わないことが理由となってNF-0型は候補から外れ、NF-01型をクワ・トイネ公国仕様に改修したのちに輸出することに決まった。

 

会議は最後の議題である海上兵器の選定に移ったが、これまで以上に難航することになった。

その理由は、凄く単純なものであった。

 

「輸出できる艦がないか・・・。」

 

「はい、現在モスボール保管されていた艦艇は、ほぼ全ての艦が現役への復帰が決まっています。決まっていないのは、一部の大型艦のみですが・・・。」

 

「きい型やひりゅう型を輸出することは出来んしな・・・。いくら古いとはいえ、戦闘能力が別格に強力すぎる。」

 

「たとえ輸出できたとしても、補助艦艇が一切ない主力艦などいい的だ。だが、我が国は補助艦艇に余裕がない状態だ。つまり・・・。」

 

「新規に建造するしかないですね。問題は、艦の設計図も一から作ることになることです。相当の時間と金が掛かる事が確定しています。設計図さえあれば、大幅に時間を短縮できるのですが。」

 

「ああ、どこかに設計図でも転がっていないもんですかね・・・。」

 

「出来れば、建造されることのなかった未完成艦が良いな。面倒事が無くて助かる。」

 

「ん?未完成艦?・・・あ、あぁぁぁぁ!!!!」

 

「未完成艦」という言葉を聞き、何かを思い出したように大声を出す一人の職員。

あまりに声が大きく突然に発したので、厳田を始め全員が驚き、その職員に目を向ける。

 

「どうした?何か思い出したのか?」

 

「大臣!未完成艦の設計図はありますよ!幻に終わった『35年度艦隊増備計画』の物が!!!」

 

「そうか、あれか!?確かにあの計画は来るべき第二次世界大戦に備えて、戦艦や空母、巡洋艦、駆逐艦など、全ての艦種の更新を計画していたな!」

 

「それに加えて、航空戦艦や航空巡洋艦、更に大型巡洋艦の建造も計画されていました。戦争の早期終結や、当時の仮想敵国であるドイツが海軍をあまり復興させなかったので、結局一隻も建造されませんでしたが、設計だけは全て完了していたはずです。」

 

「しかし、半世紀以上前の設計図だぞ。まだ、残っているのか?」

 

「それについては安心してください。防衛省の地下の資料室に保管されています。」

 

一人の職員がパソコンを使ってデータベースにアクセスし、「35年度艦隊増備計画」の設計図が、資料室に全て保管されていることを確認した。

 

「よし、クワ・トイネ公国への輸出艦は『35年度艦隊増備計画』の物を現代仕様に改良して建造する。これに、反対する者はいるか?」

 

この意見に反対する者はいなかった。

こうして、異世界兵器輸出会議は無事に終わり、兵器輸出に向けて各々の職員はそれぞれ行動を開始した。

 

 

会議が終わった日の夜 首相官邸

 

「・・・・という事で、クワ・トイネ公国への兵器輸出は説明した物を輸出することに決定しました。」

 

日本国総理大臣である武田は、厳田から会議で決定した事の報告を受けていた。

 

「なるほど理解した。しかし、あの幻の計画を再利用することになるとはな。先人達に感謝しなければならないな。」

 

「その通りですな。ただ、現在の仕様に設計変更を行う為、海上戦力の輸出は暫く時間が掛かりそうです。陸空については、半年以内に輸出できます。」

 

「この件については、専門家である君達防衛省に一任するよ。ところで、他に報告することはないのかね?」

 

「・・・総理、人払いをしてください。例の計画の進捗状況についての報告があります。」

 

「分かった。少し、待ってくれ。」

 

武田は、SPを含めた人員を部屋の外に待機する様に命令を出して、人払いをした。

 

「この部屋にいるのは、私だけだ。報告をしてくれ。」

 

「はい。「ProjectA」と「ProjectT」は一号機が完成し、現在稼働試験を行っております。早ければ来年には、実戦配備が出来ると予測されています。「ProjectS」、「ProjectN」は試作機の製造が開始されました。こちらは、2年から3年程掛かると見込まれています。」

 

「おお!?あの二つのプロジェクトが遂に実を結ぶというのか!」

 

「はい、我々の長年の努力が遂に形になることになります。これで、我が国の防衛力は飛躍的に向上することになります。出来れば、抑止力として運用したいのですが・・・。」

 

「前世界なら可能だったと思うが、現世界は覇を唱える国がとても多い。確実に戦力として運用することになるだろう。無論、その様なことにならない様に、最大限努力するがね。」

 

「「ProjectS」、「ProjectN」の両プロジェクトも、出来るだけ早く完了する様に全力を出します。」

 

「頼むぞ、いつまでも我が国の防衛を天照型に頼り続ける訳にはいかない。」

 

「はっ、ではこれで失礼します。」

 

電話が終わると、武田は別室で待機していた職員を呼び戻して仕事を再開した。

 

後日、日本国はクワ・トイネ公国への兵器輸出と軍事指導を開始した。

 

 




35年度艦隊増備計画について
1935年に発令された海軍増備計画。
来たる第二次世界大戦に備えて、旧式艦艇を20年以内に全て置き換える計画の第一陣。
最新技術を盛り込んだうえで、当時考えられる全ての艦種の設計が行われていた。
仮想敵としてドイツ海軍が想定されていたが、ドイツが海軍をあまり復興させなかった事と、早期終戦を迎えた事で計画は中断する事となった。

クワ・トイネ級戦艦(35年度計画名:土佐型戦艦)
全長 250m
全幅 35m
喫水 9.4m
排水量 55000トン
機関 ガスタービンエンジン(皇紀九〇式改ガスタービン、出力合計22万馬力)
最大速力 34ノット
巡航速力 20ノット
航続距離 6000海里
乗員 2000名
兵装 40.6㎝三連装砲 4基
   12.7㎝両用速射砲 8基
   35㎜近接防御火器 36基
   VLS 64セル
艦載機搭載数 4機
同型艦 BBKw-001 クワ・トイネ
    BBKw-002 エジェイ

35年度計画の標準戦艦土佐型を元にした輸出型戦艦。
計画時最大の主砲である46㎝砲こそ搭載していなかったが、当時の最新技術を採用した高速戦艦だった。
クワ・トイネ級戦艦は、ブラックボックスを無断で分解、解析しないことを条件にミサイル運用能力やFCSなどを追加した艦である。
一番艦は呉、二番艦は長崎で建造された。

マイハーク級大型巡洋艦(35年度計画名:秩父型大型巡洋艦)
全長 240m
全幅 29m
喫水 8.9m
排水量 35000トン
機関 ガスタービンエンジン(皇紀九〇式改ガスタービン、出力合計18万馬力)
最大速力 36ノット
巡航速力 20ノット
航続距離 7000海里
乗員 1600名
兵装 30㎝三連装砲 4基
   12.7㎝連装砲 8基
   35㎜近接防御火器 20基
   53㎝三連装魚雷発射管 2基
   VLS 32セル
艦載機搭載機数 3機
同型艦 CBKw-001 マイハーク
    CBKw-002 リーン・ノウ
    CBKw-003 ギム

35年度計画において計画された大型巡洋艦秩父型を元に建造された艦。
計画ではドイツのポケット戦艦に対抗する為に設計されたが、計画中止の影響で建造されなかった幻の艦である。
マイハーク級は秩父型をベースにVLSと魚雷発射管を追加した艦で、戦艦より安価で列強の戦艦と同等の戦闘力を持つため多数建造される予定である。

エージェイ級駆逐艦(35年度計画名:大月型防空駆逐艦)
全長 160m
全幅 10.1m
喫水 4.7m
排水量 4000トン
機関 ガスタービンエンジン(皇紀九〇式改ガスタービン、出力合計15万馬力)
最大速力 36ノット
巡航速力 20ノット
航続距離 7000海里
乗員 400名
兵装 12.7㎝連装速射砲 4基
   35㎜近接防御火器 10基
   53㎝三連装魚雷発射管 2基
   12連装対空ミサイルランチャー 1基
   20連装対潜ロケットランチャー 1基
同型艦 DDKw-001 エージェイ
    DDKw-002 ダイタル
    DDKw-003 ル・エルク
    10番艦まで建造中(4番艦から10番艦は艦名未定)

35年度計画で計画された艦隊型駆逐艦。
それまでの雷撃重視の駆逐艦と違い、対空戦闘と対潜重視した設計となっている。
エージェイ級は、レーダーやソナーなどが現代の物に強化された。

NF-0型戦闘機
全長 11.3m
翼長 11.4m
最高速度 1000㎞
最高高度 14000m
武装 20㎜機関砲 6門
   零式空対空ミサイル 4基

日本初の国産ジェット戦闘機。
今までの格闘戦を重視した設計と、操縦性と整備性が高いレベルでまとまっている傑作機である。
本機は1940年から本格量産が開始する予定だったが、第二次世界大戦の開戦で1939年から生産が開始することになった。また、要請により連合国側に大量に提供されることになった。各国はこの傑作機を徹底的に研究し、次々に自国のジェット戦闘機の開発、生産を開始した。
なお、1949年の「アラビア半島戦争」では、資本主義(米英など)と共産主義(ソ連など)の両陣営がNF-0型を投入し、フレンドリーファイアが多発した。その為、この戦争は「NF-0型戦争」とも言われている。


99式戦車
全長 8.467 m
車体長 7.307 m
全高 3.049 m
最高速度 50㎞
行動距離 180㎞~200㎞
武装 105㎜戦車砲 1門
   7.7㎜同軸機銃 1門
   12.7㎜機銃  1門
日本が開発した初の主力戦車。
海軍向けに開発していた「10cm両用速射砲」を、戦車向けに改良した「105㎜戦車砲」を搭載した戦車。対艦戦闘を想定して開発された砲の為、貫徹力が当時としては桁外れに高く、防ぐことが出来る戦車は当時存在していなかった。
第二次世界大戦において大活躍した為、「貫徹お化け」「Great warhorse(偉大な軍馬)」と呼ばれた。
戦後の余剰分は、イギリスやフランスへと輸出された。

   
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