日本国召喚 ~天照の咆哮~   作:イーグル

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遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。
今年も、「超日本国召喚」をよろしくお願いします。

最初にアンケートの回答を打ち切ろうと考えています。
まだの人は、出来るだけ早くお願いします。





パーパルディア皇国編ー05

フェン王国 王都アマノキ

 

フェン王国とは、フィルアデス大陸の東に位置する勾玉を逆にしたような国土を持つ島国である。国民は、幼少期から剣術を学び、剣と共に人生を歩むことを国是としている。この世界の中でも生活レベルが低い方だが、誰もが礼儀正しい国民性であることも有名である。

 

そんな武士の国の王都アマノキを一望する様に聳え立つ、和風な外見を持つアマノキ城の会議室では、剣王シハンの口から重要な事が集まった重役達に告げられた。

 

「皆の者、覚悟して聞いてほしい。パーパルディア皇国と戦争になるかもしれない。」

 

王の言葉を聞いた全員の顔が、サッと蒼くなる。

第三文明圏の最強の国、列強パーパルディア皇国。

魔法技術もない、人口にも大きな差があるフェン王国では到底太刀打ちできない存在である。

 

なぜ、パーパルディア皇国が攻めてくるようなことになったのか?

それは、剣王シハンがパーパルディア皇国の「提案」を蹴ったからである。

その「提案」とは、「フェン王国の南部、縦20km、横20kmの範囲をパーパルディア皇国に献上する。」である。パーパルディア皇国側としては、自分達は国土を手に入れ、フェン王国は自分達の技術によって準列強国になることが出来るという素晴らしいものであったが、シハンはこれを丁寧に断った。

提案が断られると、パーパルディア皇国は第二の提案、「同地を498年租借する。」を出したが、これも断った。

この一連の出来事を「列強の顔を潰された。」と感じたパーパルディア皇国は、フェン王国への懲罰艦隊の派遣を決定した。

 

簡単に言えば、大きな危機がこの国に迫っているのである。

 

「現在、隣国のガハラ神王国に援軍を要請している。それに各方面でも、この一件についての検討をしている。皆もパーパルディア皇国の侵攻に備えてほしい。」

 

会議は進み、もうすぐ終わりになるタイミングで一人の兵士がやって来て、フェン王国剣豪の一人モトムの耳に何かをささやいた。

聞き終わると、モトムの顔はとても驚いた表情で固まっていた。

 

「モトム、どうした?何があった?」

 

「・・・剣王様、二ホン国という国の船団が我が国の沖合に現れました。来航目的は我が国と国交を結ぶためという事です。」

 

「二ホン国?聞いた事が無い国だな、それがどうした?」

 

「その、二ホン国の船団が問題なのです。報告によると、パーパルディア皇国の戦列艦より遥かに巨大な艦のみで構成されていたとの事です。」

 

「「はっ!?」」

 

モトムの発言に、会議室に居た全員が自分の耳を疑った。

パーパルディア皇国の戦列艦、それは第三文明圏の中で最も巨大で最も強力な存在である。

その存在よりもはるかに巨大な船が存在している事など、彼らの常識ではありえない事であった。

 

「そ、それは本当か?」

 

「はい、間違いないとの事です。また、これは商人の間の噂なのですが、二ホン国の水軍は一騎当千の実力があると聞いております。」

 

「二ホン国か・・・、うまくやればパーパルディア皇国に対抗する策を得ることが出来るかも知れないな・・・。よし、直ちに二ホン国の使者を連れてまいれ!」

 

「御意!」

 

 

二時間後、アマノキ城

 

謁見の間に通された柳田達は、部屋の中を見回しながら会談の時間を待っていた。

 

「先輩、何か・・・こう、気がいつも以上に引き締まりますね。」

 

「ああ、しかしこの世界にまるで戦国時代か江戸時代を連想させる国が存在しているとは思ってもいなかったぞ・・・。」

 

彼らが感じた、フェン王国の第一印象は「武士の国」であった。

普段はとても落ち着いている柳田でさえ、興奮して周りを見渡してしまう程、フェン王国はかつての日本に似た文化を持っていた。

 

「剣王様が入られます!」

 

声が上がると、柳田達は気を引き締め直して立ち上がり、開いた扉から室内に入って来た人物に一礼した。

 

「そなた達が二ホン国の使者殿か。」

 

柳田達は、声や動きから目の前にいる人物が只者ではないことを感じていた。

それだけの覇気をシハンは身に纏っていた。

 

「はい。私は日本国外務省の柳田と申します。我々は、貴国との国交を開設及び各種条約を締結したいと思い、参りました。」

 

「ご挨拶として、幾つかの品を持ってきました。どうぞご覧ください。」

 

そう言うと、ジュラルミン製のアタッシュケースを開き、日本が世界に誇る「物」が次々に並べられていった。

美しい光沢をもつ布で織られた着物や、大粒の真珠で作られたネックレスなどが並び、シハンと側近らはそれらを驚きと興奮の目で見つめる。

シハンは、並べられた品々の内の一つ、日本刀を手に取り、美しい装飾が施された鞘から刀を引き抜く。

 

(何だ、この美しい剣は・・・。細く薄いが丈夫な刀身、手になじむ握り心地と重さ、そしてこの構えやすさ。この剣の前では、我が国のもの等粗品に等しい・・・。これほどの物を作ることが出来るようになるには、相当な時間と工夫の積み重ねが必要だ。・・・二ホン国、侮るべからず。)

 

日本刀を鞘に納めて、元の場所に置くとシハンは、柳田に向き直る。

 

「いいものを見させてもらった。これほどの物を作ることが出来る貴国に、儂は興味が涌いた。」

 

「では、国交の開設を前向きに検討して頂けるという事ですね?」

 

「うむ。」

 

シハンの言葉に、柳田は待ってましたとばかりに国交の開設と各種条約について書かれた資料を、カバンから取り出した。

ちなみに内容は、アルタラス王国に出したものとほぼ同じものである。

書類に目を通し、一通り内容を確認するとシハンはあることを確かめるために、柳田に質問をする。

 

「ヤナギダ殿、失礼ながら儂は貴国の事をよく知らない。この書類に書かれたことが全て本当ならば、我が国は凄まじい国力を持っている貴国と対等な関係になることが出来るという事になる。そのうえで、一つ聞きたい事がある。」

 

「何でしょうか、シハン様。」

 

「貴国の噂の一つに、「たった二隻の軍艦で、3000隻以上の艦を撃破した。」と言うものがある。この噂は、本当の事か?」

 

「おそらくその噂は、ロデニウス沖大海戦の事だと思います。我が国の戦艦いずもと戦艦でわが、ロウリア艦隊を撃滅した戦いです。」

 

「ほう、貴国では軍艦を「戦艦」と呼ぶのか。もしや、あの艦隊の中で一番目立っている軍船も、戦艦の内の一隻なのかね?」

 

シハンは、窓の外の湾に停泊している艦隊の中心を指さす。そこには、艦隊の旗艦を務める戦艦さつまが停泊していた。

 

「はい、その通りです。」

 

「儂は貴国の力を知りたい。そこで、提案が一つある。もう間もなく、我が国で軍祭が開かれる。そこで、貴国の戦艦と水軍の力を見せてほしい。」

 

この提案を聞いた日本使節団の面々は、驚愕の表情で固まってしまった。

国交も開いていないフェン王国が、日本の軍艦の力を見る為に軍祭に参加してほしいと頼んできたのだ。

柳田は、もし前世界ならば、即戦争状態になってしまう事だが異世界だから常識的な考えなのかと、考えていた。

 

(アルタラス王国に続き、フェン王国もか・・・。良好な関係に成りかけていたこの一件を、壊す訳にはいかない。仕方ない、また上に報告するか・・・。)

 

柳田は、異世界だから武力を使った外交が一般的なのか?と、思いつつも本国にこの一件を報告し、判断を仰いだ。

 

この報告を受けた日本政府首脳は、再び緊急会議を行った。

会議の結果、日本政府はフェン王国の要請を受諾し、第七艦隊の軍祭への参加を許可する事に決定した。

 

 

アルタラス王国沖合い

 

日本とフェン王国の会談が行われていた頃、アルタラス王国の沖合100㎞の海域を航行しているパーパルディア皇国の船団がいた。この船団には、アルタラス王国政府から強制退去命令を受けてパーパルディア皇国への帰国の途に就いたアルタラス駐在の大使たちが乗っていた。

 

なぜ、彼らがアルタラス王国から追放されることになってしまったのか?

事の発端は、日本海上防衛軍第七艦隊がアルタラス王国に来航した日である。

 

あの日、港で魔導写真機の乾板(かんばん)と手帳のページをすべて使い切ったクロムは、すぐさま大使館へと戻り、緊急会議を開いた。

会議の場でクロムは、

 

「アルタラス王国が港に来航した艦隊を有する国、二ホン国と同盟を結ぶ可能性が非常に高い。皆々、慎重にパーパルディア皇国に最善となる行動をしてほしい。」

 

と、発言した。

彼は、日本の国力がパーパルディア皇国より遥かに上であることを、来航した第七艦隊から感じており、今までの姿勢でアルタラス王国に接すれば、遠くない未来パーパルディア皇国に破滅がやってくることを確信していた。その事態を避けるためには、アルタラス王国を怒らせるような行動は慎まなければならないと、考えていた。

彼の言葉は、この考えに基づいたものであった。

 

だが、残念な事に大半の職員はこのことを正しく理解できなかった。

彼らの常識では、パーパルディア皇国は第三文明圏最強の国であり、ゆくゆくは世界を統一し支配する国である、という考えが一般的であった。

そんな考えを持っている職員達は、クロムの言葉の中の「パーパルディア皇国に最善となる行動」を曲解してしまったのである。

栄えある皇国が、アルタラス王国と名も知れぬ文明圏外の蛮族の国になめられている。

皇国の威厳を理解しないのならば、恭順しないのならば武力を以て滅ぼしてしまえ。

と、考えてしまったのである。

 

そして、日本とアルタラス王国が国交を開き同盟を結んだ、次の日遂に取り返しのつかないことをしてしまうのである。

駐アルタラス大使であるカストが、国王であるターラ14世を呼び出し、横暴な態度で以下のようなことを言ってしまったのである。

 

・パーパルディア皇国にシルウトラス鉱山を直ちに献上する事。

 

・ルミエス王女の奴隷化

 

で、ある。

完全にクロムの言葉に逆行した内容である。しかも、呆れる事にルミエス王女の一件はカストの私利私欲の為であった。

そのことを知ると、当然のごとくターラ14世は激怒した。そしてターラ14世はその場で、パーパルディア皇国と国交を断絶し、資産をすべて凍結する事、大使館職員の即時国外退去をカストに宣言した。

 

こうして、パーパルディア皇国の大使館職員はアルタラス王国から追い出される事になってしまったのである。

 

パーパルディア皇国の皇都、エストシラントに向かう船団の内の一隻、100門級戦列艦「レイモンド」の一室では、クロムがアルタラス王国で手に入れた日本国についての情報を纏め、レポートを作成していた。

 

(ミリシアルのミスリル級より巨大な機械動力で動く戦艦、天の浮舟に似た外見の飛行機械とそれを運用する事の出来る軍艦・・・。ヴァルハルの言っていたことは、事実だったという事か。二ホン国、侮るべからず、か。しかし・・・。)

 

ふそう型やたけみかずち型、VTOL-11型について、自分が見た事を元に文章を書いていたが、ふとアルタラス王国での出来事を思い出していた。

 

(クソ!カストめ!!俺の努力をすべて台無しにしやがって!!しかも、自分の私利私欲の為だけに他国の王族を奴隷にしようとしただと!?ふざけるのも大概にしろ!他の連中もそうだ!なぜ、止めなかった!)

 

嫌な事を思い出し、机をバンバンと叩くクロム。

今回の一件を、パーパルディア皇国上層部はアルタラス王国に攻め入る絶好の機会と捉えるだろう。

しかし、彼はアルタラス王国に攻め入る事は、即パーパルディア皇国の終焉に繋がると考えていた。

 

(とりあえず、馬鹿共の事は一旦置いておこう。今は兎に角、この情報をカイオス様に正確にお伝えしなければならない!)

 

彼は頬を叩き、気持ちを落ち着かせると、レポート作成を再開する。

 

 

フェン王国 王都アマノキ

 

「何度見てもデカいな、二ホン国の軍艦は。まるで海に聳え立つ城のようだ。」

 

「城というよりは、動く島そのものだな。」

 

アマノキの港に停泊している、日本の軍艦を見てシハン達は率直な意見を呟く。

日本艦隊を見ているのは、シハンやフェン王国の民だけではない。

この国で開かれている軍祭に参加する為に来航している、様々な国の代表者や軍人達が日本艦隊を見ていた。

 

「マグレブ、二ホン国の戦艦をどう思う?」

 

「私は、過去に何度かパーパルディア皇国に赴き、奴らの戦列艦を見てきました。ですが、あれの前では玩具同然の代物です。」

 

「確かにな・・・。奴らが保有する最大の戦列艦でさえも、二ホン国の軍艦の前では、小舟同然だな。」

 

フェン王国の騎士長マグレブとシハンは、日本の戦艦とパーパルディア皇国の戦列艦をそう例えた。

 

 

戦艦さつま CIC

 

フェン王国や軍祭に参加している国の人々が、日本艦隊の異様に驚愕している一方で、日本艦隊側もある事実に驚愕していた。

 

「う~む、信じられないな。これは、本当か?」

 

「はい、間違いありません。」

 

「そうか・・・。しかし、まさか異世界に早期警戒機並みの電波を発することが出来る存在がいるとは・・・。」

 

フェン王国の隣国ガハラ神国からやって来て、今上空を飛行している「風竜」と呼ばれている生物から、レーダーの様な電波が照射されている。航空機に搭載されている物としては、地球で運用されていた物と比べてもかなり高出力なものであり、航空機には十分脅威となる代物である。

この世界において、文明圏外と呼ばれている地域でレーダーを持つ飛行物体が確認された。つまり、文明圏と呼ばれる地域にある国にはレーダーを量産し、運用している国があるかもしれない、という事である。

 

後に、今回の一件を受けた日本政府は、次世代戦闘機のステルス機能の排除案を撤回する事になる。

 

「艦長、フェン王国から『全ての準備が整った』との報告が入りました。」

 

「よし、いっちょ派手にやるぞ!教練対水上戦闘用意!!」

 

さつま艦長の号令を受けた乗組員は、各々の部署へと急ぐ。

号令を受けてから、わずか2分で全員が戦闘配置に就いていた。

 

「全主砲右砲戦、用意!弾種、演習弾!目標、右舷(みぎげん)の演習標的!」

 

「了解!弾種、演習弾!目標、右舷標的!主砲、砲撃よーい!」

 

射撃命令を受けた砲術長は、キーボードを叩き装填する砲弾を選択すると、標的艦に測距儀を向ける。

さつまの艦橋上部に取り付けられた二式20m測距儀が、標的艦の方向に旋回し砲撃に必要な情報を取得する。測距儀で取得した各種情報は、コンピューターで処理され最適化され、必要な値を算出する。

算出された値は、主砲管制システムへと伝達され、自動で砲塔が目標へと向けられる。

 

「おお、あの巨砲が動いたぞ。」

 

「見ましたか、剣王様!あの巨大な砲が、あんなに速く動きましたよ!」

 

シハン達は、さつまの巨大な主砲の動きを見ながら、これから起きる事に心を躍らせながら待っていた。

 

「全主砲、発射準備完了!退避ブザー、鳴らします!」

 

主砲の発射準備が整い、退避を告げるブザーが鳴り艦外にいる乗員が艦内に退避する。

 

「全乗員の退避を確認!」

 

「主砲一斉射、てぇーー!!」

 

「主砲、てぇーー!!」

 

砲術長が引き金を引いた瞬間、アマノキ全体に雷鳴が近くで鳴った時のような轟音が轟いた。

軍祭に参加していた軍人や軍祭を見学していた市民達は、思わず耳をふさぎ後ずさる。

中には、聞いた事のない轟音に腰を抜かしたり、椅子から転げ落ちる人もいた。

 

「うわぁぁぁ!!??」

 

「な、何事だ!!??」

 

爆音に驚愕している彼らに、更なる驚愕が襲い掛かる。

爆音が響いた直後、フェン王国が用意した標的艦の周りに、見た事のないほどの高さの水柱が12本立ち上がり、標的艦は水のカーテンの中へと消えていった。

30秒して水柱が収まると、先程までそこに存在していた筈の標的艦は姿を消し、海面には細かく砕け散った木片だけが浮かんでいた。

 

フェン王国の用意した標的艦は、文字通り木っ端みじんとなって轟沈したのであった。

 

「なんと・・・・。」

 

シハンは、目の前に広がる光景に言葉が出なかった。

 

「たった一撃で、船が跡形もなく破壊されるとは・・・。」

 

「なんて威力の魔導砲だ。それを十二門も装備しているとは・・・。」

 

「我が国の水軍が戦ったとしても、あの船の前では鎧袖一触、あっという間に全滅してしまうだろうな・・・。」

 

フェン王国首脳部は、想像をはるかに超える日本の戦艦の実力に刮目する。

たった一撃で十隻以上の船を容易く撃破する事などパーパルディア皇国でも、出来ない芸当であることをここにいる誰もが否応が無く理解していた。

 

「すぐにでも、二ホン国と国交を開く準備に取り掛かることにしよう。無論、二ホン国が要求して来た案件も検討する事にしよう。」

 

「御意。しかし、二ホン国が覇権国家でなくて助かりましたな。正しく、剣神のお陰でありましょう。」

 

「そうだな、我が国はもうパーパルディア皇国の魔の手に怯える必要はない!はっはっはっ!!!」

 

日本と同盟を結べば、もうパーパルディア皇国を恐れなくてよい。この結論にたどり着いたシハンらは、笑みの表情を浮かべる。

 

だが、彼らは気付いていなかった。

列強の魔の手が刻一刻と、フェン王国に忍び寄っている事に・・・。

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