UA65000越えとお気に入り登録550件越えに、驚いている作者のイーグルです。
本当にありがとうございます!
まさかここまで伸びるとは、夢にも思っていませんでした。
今の心情を一言で表すのならば、「そんな馬鹿な!」です。
下手な部分もありますが、どうかこれからもよろしくお願いします。
アルタラス王国領海
太陽の光を受けて、宝石のように輝く青い海の上を一機の航空機が飛んでいた。
ムーが世界に誇る旅客機、ラ・カオスの機内には、日本に派遣されることになった軍人や技術者が乗り込んでいた。
彼らが雑談をしたり、読書をしたりして時間を潰していると機内にアナウンスが流れる。
「こちらは機長です。間もなく、アルタラス王国の領空に入ります。席に着き、シートベルトをお付け下さい。なお、護衛の為に二ホン国の戦闘機が二機来てくれる予定になっています。」
「ん~~~!!やっっっっと、アルタラス王国に到着か~~。」
マイラスはアナウンスを聞くと、読んでいた本を閉じて背伸びをする。
日本の技術を直接見る事を楽しみにしているマイラスの隣で、マイラスの同期の戦術士官ラッサンがため息をつきながら、頬に肘をついていた。
「どうした、ラッサン?何か、不満があるのか?」
「いや、二ホン国の本土を見る事が出来るかと思っていたからな。少しガッカリしているんだ。」
「だが、これから降りるルバイル空港は、二ホン国が大きく手を加えたと聞いているぞ。二ホン国の建築に関する技術を見ることが出来るかも知れない。それに、もうすぐ二ホン国の戦闘機がやってくる。しっかりと、目に焼き付けようじゃないか。」
二人が話をしていると、突然耳を破壊する程の雷鳴が機内に轟いた。
何事かと、ムーの観戦武官たちが窓の外を覗くと、そこには彼らの大半が見た事のない形の戦闘機が通り過ぎていた。
矢印の様な胴体に、不思議な形をした翼、そしてムーの飛行機には必ずあるプロペラが無い戦闘機が、ラ・カオスの周りを飛んでいた。
「は・・・、速い!!マリンとは比較にならない程、速い!!」
「プロペラが無いぞ!!もしかして、ミリシアルの天の浮舟と同じか?」
仲間たちが唖然としている中、マイラスは冷静に窓の外の機体を観察していた。
(以前見た垂直離着陸が出来る戦闘機とは、姿が若干違う・・・。別の戦闘機か?)
やがて、ラ・カオスがルバイル空港に到着すると、彼らはあたりを見渡し驚愕した。
見た事のない、綺麗な舗装が施された滑走路と白く輝く建物。
だが、彼らが一番の衝撃を受けたのは、駐機場に綺麗に並べられた何十機もの巨人機であった。
桁外れに巨大な胴体と主翼、ラ・カオスの胴体直径と同じくらいの大きさの四基のエンジン。
自国の誇りとして、世界に宣伝されていたラ・カオスが、この巨大機の前では、とても小さな頼り無い姿に見えてしまう。
日本の戦略爆撃機「天神」を目の前に、彼らは日本が自国より数十年以上進んでいる事を、嫌でも自覚することになった。
「とんでもない国に派遣されてしまったな・・・・。」
ラッサンの呟きは、ムー観戦武官全員の心情を表していた。
ラ・カオスから降りた一行は、空港で勤務している職員の案内で待合室へ向かった。
心地の良い温度と湿度に保たれ、空港を一望できる大部屋の中では、複数の人だかりが出来ていた。
そのうちの一人が、物珍しさから部屋の中をキョロキョロと見渡している、マイラスたちの下にやって来た。
「初めまして、ムーの皆さん。私は、クワ・トイネ公国海軍から派遣されたブルーアイです。」
「は、初めまして。私は、ムー国軍情報分析課に所属する技術士官マイラスです。」
ブルーアイが差し出して来た手を取り、握手するマイラス。
握手し終えるのを見定めた空港職員が、ムーの観戦武官たちに飲み物を配る。
マイラスとラッサンが飲み物を手に、一人用のソファーに腰掛けると向かい合うようにブルーアイが座る。
「ブルーアイさん、なぜ二ホン国が我々をこの部屋で待機させているのか、理由を知りませんか?」
「いえ、私も知らないです・・・。ただ、情報によると港に停泊している二ホン国艦隊に動きがある様です。もしかすると、艦隊出撃が近いのかもしれません。」
「なるほど・・・。となると、あの巨大戦艦アマテラスがいよいよ出撃という事ですかね?」
「そうでしょうね・・・。海軍軍人である私としては、一度でいいからあの巨大戦艦に乗ってみたいものです。」
「同感です。」
「私もです。」
この時、彼らは自分達が話題にした戦艦に乗ることになるとは、夢にも思っていなかった。
その後二時間ほど、雑談をして時間を潰していた各国の観戦武官達の下に、防衛軍の軍服を身に纏った日本人がやって来た。
「クワ・トイネ公国、ロウリア王国、アルタラス王国、そしてムー国の観戦武官の皆さん、大変お待たせしました。これから、ヘリコプターで第一護衛艦隊旗艦天照に移動します。荷物を持って、私についてきてください。」
この言葉を聞いて、この部屋に居た大半の人間が、「やれやれ、やっと移動か」と立ち上がったのに対して、マイラス、ラッサン、ブルーアイは石像のように固まっていた。
「は、ハハッ・・。まさか願望がこんなに早く叶うことになるなんて・・・。」
「夢ではないですよね、この状況・・・?」
「と、とりあえず・・・、移動しましょうか。」
他の人たちが出て行くのを見て、ようやく再起動した三人は手荷物を急いで纏めると、部屋を後にした。
空港内に新たに設けられたヘリポートで待っていた、二機の大型ヘリコプターは、観戦武官の一行が乗り終えるとすぐに大空へと飛び立った。
海が見えてくると、皆が顔を押し付ける様に窓際に集まり、窓の外を一心不乱に見始めた。
窓の外には、活気にあふれた港から少し離れた沖合いに、灰色の塗装が施された巨大な軍艦が幾つも停泊しているのが見えた。
その軍艦たちの中心に、他より群を抜いて巨大な天照が静かに海に浮かんでいた。
マイラスとラッサンは、初めて見る日本最大にして最強の戦艦の雄姿に、周りに人がいる事すら忘れて興奮してしまう。
「で、デケェ・・・!アレが二ホン国最強の戦艦、アマテラス・・・!」
「見ろ!ラッサン!アマテラスの隣にいる、フソウ型戦艦が小舟の様に見えるぞ!ラ・カサミの数倍以上の巨体を持つフソウ型がだぞ!?」
かなり大きな声で会話をしている二人だが、そんな彼らを注意する者はこの機内にはいなかった。なぜなら、同乗している他の観戦武官たちも、窓の外に広がる衝撃的な光景を脳に刻み付けるのに必死だったからだ。
数分後、二機のヘリコプターは無事に天照に着艦し、天照の後部ヘリ甲板に降り立った観戦武官たちの目前には、ふそう型の物より一回り巨大な三連装主砲と、その規格外の主砲より遥かに巨大な単装砲が二門、艦の彼方此方に配された数えきれない程の大小様々な砲、そして幾つもの砲に守られるように聳え立つ艦橋があった。
天照に降り立った観戦武官だけでなく、ヘリコプターのパイロットたちでさえも天照の雄姿に言葉を失ってしまう。
この船に初めてやって来た全ての人間の言葉を必ず奪ってしまう、その威容を一言で表すのならば、「摩天楼」が最も合う言葉だろう。
その後、天照の姿に圧倒された観戦武官の一行は、天照の乗員の案内で用意された士官室へと案内された。持ってきた荷物を部屋の中に置くと、指示に従って会議室へと足を運び、乗員から天照艦内で必ず守らなければならない事について、説明を受けた。
説明の内容は、
・戦闘中は、決して甲板に出てはいけない。
・機関室など一部の区画への立ち入り禁止。
・写真撮影、魔写撮影は許可が下りた時のみ可能。
などである。
天照の機関を直接見たかったマイラスは、少しガッカリしてしまったが、日本政府の厚意でこの場に居る事を思い出し、我慢する事にした。
説明が終わると、三度目の乗員の案内で天照の戦闘指揮所へと移動した。
戦闘指揮所にマイラスが入ると、彼は予想していたものと全く違う指揮所に目を見張った。
彼が予想していたのは、明るい照明で照らされた大部屋に幾つもの机が置かれていてそこで多数の軍人が様々な情報が書かれた書類から作戦を練っている光景だった。
だが、目前に広がっている光景は全く別な代物だった。
暗い部屋の中で、複数人の軍人が幾つも備え付けられたテレビ画面と思われる光る板を前に手元で文字が書かれた複数のボタンを叩きながら何かの作業をしていた。
マイラスたちは、自分達の常識からしてみればとても非現実的な光景に目を奪われていたのだった。
観戦武官たちが戦闘指揮所の光景に呆気に取られている頃、日本海上防衛軍第一艦隊に所属する全ての艦艇が出港の準備を終え出撃の時を待っていた。
本来の「作戦計画」通りならば数日後に出撃する予定だった艦隊が、何故出港準備をすでに終えているのか?
それは、アルタラス王国侵攻の主力部隊と思われる大船団が確認されたからだった。
時はマイラスら、ムーの観戦武官の一行がルバイル空港に到着したころに遡る。
パーパルディア皇国周辺を監視していたアークバードが、エストシラント港から200隻以上の帆船で構成された艦隊が出撃したことを報告して来た。
この報告を受けた防衛省は「作戦計画」を前倒しにすることを決断し、第一艦隊に観戦武官を受け入れたのち直ちに出撃するよう命じたのだった。
多くの人でにぎわっている港に、突然汽笛の音が轟いた。
港に居た軍人や商人、買い出しに来た市民の大半が音のした方向に目を向けると、彼らに絶対の安心を与えてくれた異国の艦隊が錨を上げて動き出していた。
今まで自分達を苦しめた悪の皇国に太陽の旗を掲げた艦隊が正義の鉄槌を下しに向かうのだと、出港を見守っていた誰もが感じていた。
最初、つい先ほどまでの喧騒が嘘の様に静かだったが、
「・・・、頑張れよーーー!!!!!」
と、誰かが大声で声援を送ると、港全体、いや王都全体が震えるほどの叫びが彼方此方から上がり始めた。
「パーパルディアのクソ野郎をぶっ飛ばしてきてくれ!!!」
「頼むぞ、勝ってきてくれーーーー!!!!」
「太陽神よ、どうか彼らに戦勝の加護をお与えください・・・。」
パーパルディア皇国への恨みを晴らしてくれと叫ぶ声や、第一艦隊の勝利を望む声、日本艦隊の勝利を神に祈る声など、王都のあらゆるところから上がった「願い」を一身に受け止めながら日本海上防衛軍第一艦隊は出航していった。
パーパルディア皇国 エストシラント沖
蒼い海を埋め尽くすかのように航行する、エストシラント港から出撃した200隻以上の戦列艦。
以前、日本海上防衛軍第七艦隊が退けた監察軍東洋艦隊と違い艦隊を構成している戦列艦のほぼ全てがパーパルディア皇国が世界に誇る、100門級戦列艦フィシャヌス級で構成されている。
第三文明圏において絶大な破壊力を誇る魔導砲と、第三文明圏で運用されているあらゆる兵器を弾く対魔弾鉄鋼式装甲を装備したパーパルディア皇国最強の兵器の一つである。
第三文明圏で運用されてるあらゆる艦船より巨大なフィシャヌス級で編成された艦隊の中央には、更に巨大な船体を持つ120門級超フィシャヌス級戦列艦の内の一隻、艦隊旗艦パールが航行していた。
パールの甲板では、アルタラス王国侵攻軍の総司令官であるシウスが眼前に広がる青い海と艦隊を眺めながら考え事をしていた。
(あと一日半でアルタラス王国か・・・。アルタラス王国の制圧と、アルタラス王国にいる二ホン人を捕らえるのが我々の目標だが・・・。エストシラントに来航した二ホン国艦隊は、機械動力船である可能性が高いと聞いている。我々が保有していない様な船を、持っている彼らに勝つことが出来るか?上層部は、二ホン国が第三文明圏外の国である事と砲が一門しかない事を理由に大した脅威ではないと判断しているが・・・。なんだ、この嫌な予感は・・・。)
パーパルディア皇国の力に酔っている軍人が多い中で、比較的冷静に物事を判断できるシウスは未だ謎に包まれている日本の力に不安を感じていた。
監察軍の東洋艦隊はパーパルディア皇国内では二流戦力だが、第三文明圏外の国には決して負けない実力を持っている。その艦隊を返り討ちにした事と、日本がパーパルディア皇国の艦隊を退けたという事実を全く誇っていない事に彼は不安を感じていたのだった。
(何故、我が国の艦隊を打ち破った事を誇らないのだ・・・?・・・まさか、二ホン国にとって監察軍を打ち破った事など誇るべきことですらないというのか!?もし、そうだとしたら二ホン国の実力は・・・。)
「シウス様、どうされましたか?何か、不安な事があるのですか?」
シウスの脳内で恐るべき仮説が浮かび上がって来たタイミングで、旗艦パールの艦長を務めているダルタが話しかけて来た。
頭の中で考えていた不安事項で表情が曇っていた事に気付いたシウスは、自分の周りにいる船員に不安感を与えない様にする為に無理やり表情を変える。
「・・・不安にさせてすまない。少し、二ホン国の事で考え事をしていたのだ。」
「二ホン国?ああ、我が国に喧嘩を売った哀れな蛮族の国の事ですか?」
「君はエストシラントに来た、二ホン国の艦隊を見て不安に感じないのかね?」
「全くありません!確かに機械動力の船を持っている事は驚く事ですが、ただそれだけです。たった一門の砲しか積んでいない船に、一体何が出来るというのですか?我々は第三文明圏で最強です。我らの行軍はたとえミリシアルの「第零式魔導艦隊」が相手だったとしても、止まる事はないでしょう。」
ダルタの考えに内心呆れつつもそうだなと言葉を返すとシウスは、不安感を拭う為に視線を水平線へと向けた。
絶対の自信をもって、アルタラス王国に進軍するパーパルディア皇国の大艦隊。
だが、この艦隊は出航前から既に監視されている事、破滅の時が刻一刻と近づいている事に誰も気づかなかった。
同時刻、アルタラス王国沖合い
港から出港した第一艦隊は、旗艦天照を先頭にした陣形を組んで航行していた。
天照の艦橋に設置された大モニターには、偵察衛星とアークバードからの情報を元にしたパーパルディア皇国の大艦隊が映し出されていた。
「パーパルディア皇国艦隊、進路変わらず。速力10ノットで航行中。」
「このままの速力と進路では、数時間以内に間違いなく接敵することになります。司令、如何しましょうか?」
モニターに映る情報を腕を組みながら見ていた艦隊司令の佐々木は、少しばかり目を瞑り考えを巡らした。
十数秒間思考した後、彼は艦内電話で戦闘指揮所に居る天照艦長倉田に連絡を入れた。
「何でしょう、佐々木司令。」
「倉田君、200隻の戦列艦ごときに時間を割いている余裕は、我々には無い。」
「存じております。」
「だからと言って、放置するわけにもいかん。一撃で敵艦隊を粉砕するしかない。艦首の100㎝超電磁砲を使うぞ!弾種は、君の判断に任せる!」
「はっ!了解しました!」
佐々木からの命令を受け取ると、倉田は直ぐに行動に移った。
「砲術長!艦首100㎝超電磁砲用意!!弾種、対艦隊殲滅弾装填!目標、敵艦隊中央部!」
「了解!艦首超電磁砲起動します!対艦隊殲滅弾、装填準備!砲撃シーケンススタート!」
「了解!艦首超電磁砲へのエネルギー回路、開きます!」
「砲塔内の回路、全て正常!砲身冷却機能の動作、確認!」
「艦内重力バランサー、超電磁砲発射モードに移行!」
「全艦に次ぐ、これより本艦は超電磁砲による対艦攻撃を行う!直ちに安全海域に退避せよ!繰り返す、直ちに安全海域に退避せよ!」
天照の装備の中でも特に目立つ100㎝超電磁砲の発射準備が行われる様子を、マイラスたちは一言も話さずに黙って見ていた。これから起きる事を、何一つ見逃さない様にする為に・・・。
「艦外要員の艦内への退避を確認!」
「僚艦の安全海域への退避完了!」
「艦首超電磁砲、発射準備完了!いつでも撃てます!」
「砲術長、照準はどうか!?」
「敵艦隊中央部の一回り大きな戦列艦を捕捉、現在追尾中!」
「了解した!艦首超電磁砲発射用意!総員、対ショック姿勢!」
そこまで言うと倉田は、後ろで自分達の様子を観察している観戦武官たちに向かって話し掛ける。
「皆さん、これから超電磁砲を発射します!本艦の衝撃吸収機構を最大出力で稼働させていますが、それでも桁外れの衝撃が発生します!全員、壁際の手すりか床に固定されている物に摑まって下さい!」
倉田の強い口調と目の前で繰り広げられていたやり取りから、自分達では想像する事すら出来ない事が起きると感じた観戦武官たちは、倉田の指示通りに壁際や床に固定されている机にしがみついた。
全員が対ショック姿勢を取ったことを確認すると、倉田は前に向き直る。
「目標パーパルディア皇国艦隊、艦首100㎝超電磁砲・・・。てぇーーー!!!」
「艦首100㎝超電磁砲・・・、てぇーーーー!!!」
倉田が腹の底から絞り出したような声で、発射命令を下す。
命令を受けた砲術長が引き金を引くと、二門の超電磁砲の砲身が青く光りプラズマを纏う。
その直後、10トン近くの重量を持つ砲弾が発射され、防音設備が整った艦内にすら響き渡る轟音が轟き、500万トンを超える排水量を持つ天照が大きく揺れ、艦内に大きな衝撃が走った。
その時は唐突に訪れた。
長年のカンのお陰だろうか?
シウスが強烈な殺意が向かって来ている事を感じた次の瞬間、高速で飛来したナニかが自分達の頭上で爆ぜた。
反射的に空を見上げると、突如としてふたつの太陽が空に現れていた。
それがシウスのこの世で見た最後の光景となった。
パーパルディア皇国艦隊旗艦パールの上空に達した二発の砲弾は、設定どおりに起爆しその莫大なエネルギーを一気に解放した。
「いずも」と「でわ」がロウリア王国飛竜部隊に使用した対空殲滅弾の数十倍の威力を持つ、数万度の灼熱の風がパーパルディア皇国艦隊を襲った。戦列艦はあっという間にバラバラになり、木材だろうが装甲だろうが関係なく燃やし尽くした。無論、戦列艦に乗っていた人々も何が起きたのか理解できず、炎の風の中で形を失っていった。
砲弾の起爆から一分後、地獄を生み出していた爆発が収まると、そこには青い海が広がるのみでそれ以外はなにも存在していなかった。
パーパルディア皇国が世界に誇るフィシャヌス級戦列艦200隻で構成された大艦隊は、日本艦隊を見る事もなく、あっけなくこの世から消滅することになった。
マイラスは、パーパルディア皇国艦隊が消滅する様子を無人機からの映像で目撃し、石像の様に固まってしまった。
ムーでは既に使われていない旧式の戦列艦とは言え、200隻以上の大艦隊をたった一撃で全滅させてしまうのは、脅威という言葉しか浮かんでこなかった。
マイラス以外の観戦武官たちも一言も発さずに、ただ茫然と立っていたのだった。
パーパルディア皇国艦隊が存在していた海域の現状を、オペレーターが報告する。
「敵艦隊の殲滅を確認。」
「了解した。」
パーパルディア皇国艦隊を全滅させた事を確認した佐々木や倉田、天照の乗員は目を瞑り、死んでいったパーパルディア皇国兵に黙祷をした。
数秒後、目を開いた佐々木は命令を下す。
「作戦の障害を排除した。これより進軍を再開する!目標、パーパルディア皇国皇都エストシラント!」