日本国召喚 ~天照の咆哮~   作:イーグル

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お久しぶりです、作者のイーグルです。
つ、遂に、「日本国召喚~天照の咆哮~」のUA数が十万を突破しました!!
本当に嬉しい気持ちで一杯です!!!

振り返ってみれば、ふとしたその場の思い付きから始まったこのシリーズが、此処まで続いてこれたのは皆さまの応援のお陰です。
これからも、頑張って書いていきますので、如何か応援よろしくお願いします。



さて、皆さまふと疑問に思ったことがありませんか?

「あれ、アルタラス王国で暖機運転行っていた天神は70機だったのに、皇都防衛軍の基地を攻撃したのは35機。残りはどこに行った?」と。

その答えが、今回明らかになります。
それでは、どうぞご覧ください!


パーパルディア皇国編-15

 

パーパルディア皇国 皇都エストシラント 皇城パラディス城

 

緊急御前会議。

それは、国の重役の中でもトップの人間のみが参加し、実質的に皇国の意志決定が行われる緊急会議が、数十年ぶりに始まろうとしていた。

会議の議題は、もちろん日本対策である。

 

会議に参加している主なメンバーは、パーパルディア皇国のトップである皇帝ルディアスを筆頭に、皇族レミール、軍の最高司令官アルデ、第一外務局局長エルト、第二外務局局長リウス、第三外務局局長カイオス、臣民統治機構長パーラス、経済担当局長ムーリが参加し、その他にも各局の幹部の補佐が参加している。

無論、カイオスの右腕であるクロムや、クロムの補佐としてヴァルハルも、この会議に参加している。

 

「まずは、軍の現状からご説明いたします。」

 

青白い顔をしたアルデが、パーパルディア皇国軍の被害を報告する。

 

「海軍の状況についてですが、主力部隊である第一、第二、第三艦隊が壊滅しました。また、アルタラス王国攻略艦隊との交信も途絶えており、状況に鑑みると生存は絶望的です。残存海軍戦力は、現在遠洋航海中の艦隊を含む第一級艦70隻と、監察軍所属の第二級艦を含めた85隻であり、その戦力はアルタラス王国侵攻開始時と比べ、十分の一以下となっており、規模は大幅に縮小しています。」

 

アルデの額には、大粒の汗が幾つも滴る。

残存艦のみであっても、第三文明圏に存在するいずれの国の海軍よりも戦力は上ではあるが、主力艦隊をあっさりと葬り去ってしまった敵と対峙する事を考えた場合、その戦力はあまりにも小さく、頼りなく見える。

 

「次に、陸軍の状況についてご説明いたします。

皇軍三大基地の一つ、皇都防衛軍基地が全滅しました。

壊滅の主な理由である、空中から大量の爆発物投下は今まで全く想定されておりませんでした。

今後基地を建設する際には、戦力を一点に集中させ過ぎないように配慮する必要が生じましたが、この戦いには間に合いそうにありません。」

 

「質問宜しいですかな?アルデ殿。」

 

一通りの被害報告を終えたアルデに、第二外務局局長のリウスが疑問を投げかける。

 

「何でしょうか?」

 

「皇都に攻撃を行った敵の正体は、判明しているのですか?もしや、列強第一位のミリシアルですか?」

 

「そ、それについては・・・。現在の状況と各種情報を照らし合わせてみた結果、敵国は・・・、敵国は、第三文明圏外の新興国である二ホン国の可能性が、最も高いと思われます・・・。」

 

このアルデの答えに、会議の場が一気にざわつく。

第三文明圏で唯一の列強国であるパーパルディア皇国に、大打撃を与えたのが文明圏外の国である日本だとは夢にも思っていなかったのだ。

 

「そんな馬鹿な!?文明圏外の新興国が我らに大打撃を与えただと!?あり得ん!!」

 

「まさか、裏にはミリシアルかムーがいるのではないか?」

 

「両国の大使に、直ちに問い質すべきだ!!」

 

混沌と化した会議場。

彼らが「何故、文明圏外の国であるはずの日本が、あれだけの戦力を持っているのか?」という疑問をあらわにする中、一人の男が手を挙げた。

 

「発言宜しいか?」

 

「カイオス殿、どうぞ。」

 

司会の許可を取ったカイオスは、クロムとヴァルハルに目配せをすると席を立ち、話し始める。

 

「今回の戦争で敵対することになった二ホン国について、皆さまはどの様な認識を持っていますか?」

 

「文明圏外の国であるクワ・トイネ公国との接触を皮切りに、他国との接触を始めた新興国であり、大砲を作ることが出来る事などから、文明国程度の国力があると認識しています。第一外務局の調査書にも、その様な事が書かれていました。」

 

「そうですか・・・。残念ながら、その認識は大きく間違っています。これから、二ホン国についての書類を配布しますので、目を通してください。」

 

カイオスが話している間に、クロムとヴァルハルが資料を会議に参加しているルディアスや各幹部たちに配る。全員の手元に資料がいきわたった事を確認すると、カイオスは自分達が収集した日本についての情報を話し始める。

 

「本戦争での敵対国、二ホン国。6つの大きな島と2000を超える島を国土として抱える島国です。人口は二億一千万人。島国としては、破格の人口を誇ります。」

 

「なに!?島国で人口が二億一千万だと!?」

 

「皇国や、周辺国で最も人口の多いロウリア王国を凌駕しているとは・・・。」

 

「人口が多いのは確かに脅威ですが、二ホン国はそれ以上の力を有しています。皆様、資料の6ページ目を開いてください。」

 

大部屋に紙をめくる音だけが響く。

そのページには、二つの魔写が貼られていた。

 

「ページの右側にある魔写は、ムーのマリンです。最高速度380㎞、7.7ミリの機関銃を二門装備する対空戦闘用の飛行機械です。我が皇国で運用されているワイバーンロードより速く、装備している機関銃はワイバーン種の鱗を容易く貫通します。このマリンに対抗する為に、ワイバーンオーバーロードが開発されたことは周知の事実でしょう。」

 

カイオスの言葉に、会議に参加している皆がうなずく。

 

「さて、ページの左にある魔写は、二ホン国が独自に開発し、運用している戦闘用飛行機械の一つ、「VTOLF-11」です。最高速度はマッハ2.5、時速に直すと3000㎞に達します。」

 

「何だと!?時速3000㎞だと!?速すぎる!」

 

「ミリシアルの天の浮舟以上の速度を出せる飛行機械が、この世に存在しているなんて・・・。」

 

「まるで、古の魔法帝国のようだ・・・。」

 

日本の戦闘機の性能に、会議室にいる全員が驚愕する。

まさか敵国に、列強第一位の国ですら保有していない様な兵器が存在している事など、夢にも思っていなかったのだ。

 

「このVTOLF-11だけでも、二ホン国が非常に高度な技術を保有している事がわかります。私の調査によると、二ホン国には他にも強力な機体が存在している事が確認されています。例えば、皇都防衛軍の基地に大量の爆発物を投下した機体は、二ホン国の大型爆撃機「テンジン」です。数十トンもの爆弾を搭載でき、尚且つ爆弾を満載している状態でも、ワイバーンオーバーロードより速く、高高度を飛行することが出来ます。」

 

全員の顔が、特に日本との戦争原因を作ってしまったレミールや軍を総括するアルデの顔が青くなっていく。

レミールらの様子に、何度目か分からない呆れの感情を抱きながら、カイオスは話を続ける。

 

「次は、二ホン国の海軍戦力です。二ホン国は島国であり、皇国以上に海軍に力を注いでいます。資料の12ページをご覧ください。このページに記載しているのは、二ホン国海軍の主力艦の一つ、フソウ型戦艦です。全長390m、排水量20万トンを超える超巨大艦です。比較としてムーのラ・カサミと、ミリシアルのミスリル級の性能を掲示しています。比較すると、フィシャヌス級より遥かに強力なラ・カサミやミスリル級でさえも、二ホン国のフソウ型戦艦に太刀打ち出来ません。軍艦の性能は、国力を表すと言います。二ホン国は、この強力な戦艦を10隻も保有しているのです。」

 

「「「・・・・・・・。」」」

 

会議室に集まっている全員が黙り、その額に冷や汗をかく。

 

「20ページから記載されているのは、二ホン国の首都トウキョウやオオサカ、フクオカなどの大都市の魔写です。高さが200mを超え、窓ガラスをふんだんに使った建物が、まるで森に生える木々の様に建っています。しかも二ホン国は、自然災害が毎年の様に発生する国であり、写っている建物すべてが非常に高い強度を持っています。皇国の建物が倒れてしまう程の災害が襲ってきたとしても、これらの建物はびくともしません。」

 

この場にいる全員が意気消沈し、ある事に気付き始める。

それは、「自分達は、超列強国を相手に侮辱し、相手を怒らせてしまった。」という事だった。

この資料とカイオスの発言がすべて正しければ、日本はパーパルディア皇国を遥かに凌駕する力を持ち、その差は列強と文明圏外の国以上にあるという事である。

この情報は、日本の事を蛮族の国と認識していた者たちにとって、これ以上にない悲報であった。

 

「二ホン国はとても温厚であり、滅多な事が無い限り軍事行動には出ない国です。我々は、その国と戦争状態に陥ってしまいました・・・。エルト殿、二ホン国大使との会談時の記録はありますか?」

 

「え?ええ・・、手元にありますが・・・?」

 

「少し、見せていただけませんか?」

 

突然のカイオスの要請に戸惑いつつも、エルトはカバンの中から日本との会談時の会話を書き記した書類を手渡す。

カイオスは書類を受け取ると、ぱらぱらとめくり会談の内容を確認していく。

 

「・・・・何をしているのだ、カイオスよ?」

 

「はっ、実は二ホン国の怒り具合を表す言葉がある事が、調査の結果判明いたしました。その言葉を我が国に対して発言していないか、調べているのです、皇帝陛下。」

 

何かしらの言葉を探し、何度も書類を確認するカイオス。

数分後、彼の表情に変化が訪れた。

彼はしかめっ面をしながら、後ろに控えているクロムらにもそれを見せる。

二人もまた、その内容に天を仰ぐように顔を上に向ける。

 

「何があったのだ、カイオスよ?」

 

「・・・陛下、どうやら二ホン国は相当頭にきているようです。」

 

そう言うと、彼は失礼しますと言いながらルディアスの隣に行き、ある一文を指さす。

 

「陛下、二ホン国大使が最後に放ったこの言葉、『我が国の守護神の怒りの雷に打たれることを覚悟しておけ』が、二ホン国の怒りの程度を表しています。」

 

「ふむ、どの様な意味が込められているのだ?」

 

「意訳しますと、『我が国の持つ最大の力を使ってでも、お前たちの国を解体してやる』です・・・。」

 

「な、何だと!!??」

 

まさかの内容に、全員が驚愕する。

つまり日本は、「全力でパーパルディア皇国を滅ぼしてやる」と、会談の場で宣言していたのだった。

もしこれが他の国、例えばロウリア王国の様な文明圏外の国が言ったことならば、笑いごとで済む話だが、明らかに超列強とまで言える実力を持っている日本相手では、冗談で済む話ではない。

 

「・・・陛下、事は予想以上に深刻です。我が国は、建国以来の重大な危機に瀕しております。おそらく二ホン国は本気です。本気で皇国を地上から消し去るつもりです。」

 

「し、しかし、我が国にはまだ聖都パールネウスと、工業都市デュロの陸軍基地が残っています!それにいくら二ホン国の軍隊が強力だったとしても、皇国の全土に攻撃を加える事なんて不可能だ!!」

 

カイオスの言葉に、思わずアルデが反論した時だった。

会議場の扉が勢い良く開かれ、汗だくの兵が入ってきた。

 

「何事だ!?御前会議の場であるぞ!」

 

「そ、それが・・・、緊急事態です・・・!」

 

「だからと言って、この場にの――」

 

「よい、パーラス。それで、何があった?」

 

突然の乱入者にパーラスが叱責したが、ルディアスが彼を止め、汗だくの兵に問い掛ける。

兵の言葉を聞き間違いしない様に、全員が耳を澄ませる。

 

「はっ!聖都パールネウスからの緊急連絡によりますと、今日の正午頃に謎の巨大な飛行物体が南方より複数飛来、パールネウス郊外への基地へと攻撃を仕掛けて来たとの事です!!」

 

「な、何だと!?パールネウスが攻撃を受けただと!?ひ、被害は!?」

 

「ほう、報告によりますと、基地の被害は甚大であり、駐屯していた部隊は上空哨戒に就いていた飛竜隊もろとも全滅したとの事です!!」

 

この最悪の情報に、会議に参加している全員の顔から血の気が引いていく。

たった一日、たった一日でパーパルディア皇国は二つの一大拠点と海軍戦力のほぼ全てを破壊され、無力化されたのだ。

今まで受けた事のない、今まで聞いた事すらない被害に、ある程度日本の事を知っているカイオスやクロムですら絶望感に包まれていた。普段は、列強国の皇族としての振る舞いをしているルディアスも、苦悶の表情を浮かべ、手が震えていたが、それを隠しながらカイオスに問う。

 

「・・・・カイオスよ。我が国において、二ホン国の事について誰よりも精通している貴様ならば、二ホン国の次の行動が予測出来るのではないか?率直に言ってくれ、二ホン国は今後どの様な行動をとると思う?」

 

「・・・恐らく、我が国最後の一大拠点であり、生産拠点でもある工業都市デュロに攻撃を加えると思われます。皇国の軍事拠点を的確に破壊している二ホン国ならば、デュロの重要性は確実に認識しているはずです。」

 

「そうか・・・。アルデよ、全力でデュロを守り切るのだ!!どのような手を使っても構わん!!」

 

「は、はははっ!!」

 

ルディアスがアルデに命令を下しているのを、席に座りながら見ていたカイオスは、誰にも聞こえない様な言葉で呟いた。

 

「・・・・もう、デュロは手遅れかも知れないな・・・。」

 

奇しくも、カイオスの直感は当たっていた。

この時既に、パーパルディア皇国最大の工業都市デュロは業火と轟音、人々の悲鳴に包まれていたのだった。

 

 

 

 

パーパルディア皇国の悪夢が覚める時は、未だに遥か遠くに存在していた・・・。

 

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