作者のイーグルです。
まず最初に、投稿が遅れてしまったことをお詫び申し上げます。
投稿が遅れてしまった原因は、仕事疲れと執筆の筆がなかなか進まなかったが理由です。
更に今回、変な部分が多々あると思っています。
それでも良ければ、どうぞご覧ください。
アルタラス王国 王城アテノール城
日本防衛軍の攻撃によって、パーパルディア皇国の主戦力が根こそぎ壊滅した日の二日後の正午、アルタラス王国王都ル・ブリアスに聳えるアテノール城で最も巨大な部屋に国内外から多くの人々が集まっていた。
彼らは、アルタラス王国、日本の連名による重大発表の場にやってきた日本、クワ・トイネ公国、クイラ王国、ロウリア王国、フェン王国、そして第二文明圏の長である列強ムーの報道関係者達である。
これから発表されることを一単語も聞き逃さない様に、手帳を開いて待機している多くの記者に紛れる様に、日本とムーのテレビ局のカメラが壇上に向けられていた。
彼らは、これから何が伝えられるのかを他社や他国の記者と話しながら待っていた。
一方、壇上の裏では、アルタラス王国皇族のみが身に着けることが出来るドレスに身を包んだルミエスが、これから自分が話すことが書かれた原稿を読んでいた。彼女のすぐそばには、正装に身を包んだ自分の父であるターラ14世が落ち着かない様子でうろうろとしていた。
「・・・お父様、少しは落ち着いてください。みっともないですよ?」
「い、いや、これから我が国の・・・・、いや、第三文明圏の歴史を変える場に出なければいけない事に、物凄く緊張していてな・・・。」
「もう・・・。ニホン国の報道官の方を見てください。とても落ち着いているではありませんか。」
ルミエスが視線を移すと、そこには落ち着きのない父とは違い、静かに椅子に座っている日本政府関係者達がいた。
落ち着いている日本人と落ち着きのないアルタラス王国人、会見の場を待っているこの場面だけでも自分達が日本の足元にも及ばない事をいやでも認識してしまうルミエスだった。
数分後、椅子に座っていた日本国報道官がゆっくりと起立し、ルミエスたちの方を向いた。
「会見の時間になりました。行きましょう、ターラ陛下、ルミエス王女。」
「はい・・・。行きますよ、お父様。」
「わ、分かった。分かったから、袖を引っ張らないでくれ!」
まだ幼い自分の娘に引っ張られながら、会見の場に向かうターラ14世。
その姿は、とても後に歴史書に乗ることになる場に向かう人間の姿には見えなかった・・・。
同時刻 パーパルディア皇国 皇都エストシラント
パラディス城にて開かれている緊急御前会議は、日をまたぎながら続けられていた。
会議の場では、カイオスが会議の進行状況に焦りを感じ始めていた。
あれだけ一方的な攻撃を受けたというのに、力の差を実感したはずなのに会議の流れは、日本に対し徹底抗戦を行う方向で話が進んでいた。
「・・・であり、皇国は経験したことのない危機的状況です。そこで、財務省から大規模な予算調達を行い、軍の早期の再建をします。具体的には、デュロの生産施設を大幅に拡大し兵器の大量生産、属領からの大規模な徴兵を行います。予定では、軍の規模は今までの三倍の規模になる予定です。この圧倒的な量を持って、ニホン国首都トウキョウに夜襲を掛けます。・・・・このような方向性で行きたいと思っていますが、皇帝陛下、よろしいでしょうか?」
「ふむ・・・、アルデよ、この計画はデュロの生産施設を当てにしたものだな?」
「はっ、その通りでございます。」
「もし、カイオスの予想通りデュロがニホン国の攻撃を受けていたのならば、どうするのだ?」
「軍の再建が、大幅に遅れることになりますが・・・。私は、そこまで被害を受けていないと考えています。理由としては、ニホン国は皇都エストシラントと聖都パールネウスへの攻撃に軍の主力を向けている可能性が、非常に高いからです。もし、デュロに軍を向けていたとしても、それは二線級の戦力でしょう。少なくとも、奴らの主力が本国に帰投し、デュロ攻略を行うまでの時間的猶予があると、私は考えています。それまでに、軍の再建を完了してみせます!」
「そうか・・・。」
このやり取りに、カイオスは頭が痛くなる。
アルデの計画は、確かに現段階では最良と言えるかもしれない。
だが、この計画には大きな落とし穴がある。
それは、この計画は「ニホン国が暫くの間、何もしてこない」という、あり得ない論理を基にしていることだ。
何処に、戦争中の敵国が弱まっている所を叩かない国があるだろうか?
それに。皇都を攻撃したのが敵軍の主力の全てだと、どの様に断言することが出来るのだろうか?
周りを見ると、大半の出席者は皆自信を取り戻したかのような表情をしているが、カイオスには受け入れがたい現実から顔を背けているようにしか見えない。
アルデの再建計画が承認される、正にその時だった。
「会議中、失礼します!!カイオス様、緊急事態です!!」
急に会議室に入ってきたのは、遂先程の小休憩の時にパラディス城から退城していたヴァルハルであった。
何処からか走ってきたのか、額に大粒の汗を幾つも浮かべていた。
「何があった!?」
「デュロが・・・、デュロがニホン国の攻撃を受け、大損害を受けたとの事です!!」
「なに!?ひ、被害の詳細は!?」
ヴァルハルの言葉に、アルデは大声をあげてしまう。
ルディアスも、人前では滅多にしない表情を浮かべている。
「現時点での複数の報告をまとめたところ、昨日の午後六時ごろデュロ郊外の防衛軍基地と工場群が攻撃を受けたそうです。被害に関してですが、基地に駐屯していた部隊は全滅、工場はほぼ全て破壊されたとの事です!」
「は、う、嘘だろ・・・。」
「そ、そんな!!」
最後の大規模基地の壊滅にアルデは氷の様に固まり、巨額の予算を捻出された財務局長のムーリも、違う意味で顔色が悪くなる。
「更に基地攻撃を受けて、港から出港した戦列艦42隻も消息不明となっております!恐らくは、ニホン国艦隊に・・・。」
皇都と聖都の二つの防衛設備を破壊した後に、皇国の経戦能力と残存戦力を的確に叩く判断力と徹底さ。
そして列強たるパーパルディア皇国の主要戦力を、たった一日で壊滅させた日本の実力に、全員が沈黙する。
しんとした会議室内に、又もや男が飛び込んできた。
カイオスの右腕であるクロムである。よく見ると、彼は公共放送用の魔導通信機を持ってやって来ていた。
「会議中失礼します!!一大事です!!」
「今度はなんだ!?何が起きた!?」
「兎に角、この放送を聞いてください!」
そう言うと、クロムは魔導通信機の電源を入れた。
会議室の誰もが沈黙し、放送に耳を傾ける。
「皆さん、こんにちは。私はアルタラス王国国王ターラ14世です。これより、我が国の同盟国ニホン国との連名で、極めて重要な情報をお話しします・・・・。」
アルタラス王国
「昨日、ニホン国によるパーパルディア皇国皇都エストシラント、聖都パールネウスへの攻撃が行われました。」
様々な国から集まった記者たちは、ターラ14世の言葉を一言一句聞き逃さないように耳を澄ます。
「エストシラント攻撃の前日に我が国より出港したニホン国艦隊は、途中我が国へと向かっていたパーパルディア皇国艦隊を壊滅させつつ、エストシラント沖へと向かいました。パーパルディア皇国は防衛の為に、500騎を超えるワイバーンと600隻以上の戦列艦を投入しました。」
おおっ、という声が会見の場から幾つかあがる。
その声が収まるのを待ってから、ターラ14世は言葉を続ける。
「戦闘の結果は、ニホン国軍の圧勝です!この戦いにおいてニホン軍は一隻の軍艦の沈没もなく、一人の死者も出さず、それどころか一発の被弾すらしませんでした。対するパーパルディア皇国軍は、550隻以上の戦列艦と全てのワイバーンを失い、皇都防衛軍基地と聖都防衛軍基地、海軍総司令部を破壊されました。更に夕暮れには、ニホン軍の別動隊による工業都市デュロへの攻撃が行われ、此方の戦いでもニホン軍は圧勝し、デュロ防衛軍基地とパーパルディア皇国の継戦能力を破壊することが出来ました。それに加えて、皇国の名だたる名将たちも軒並み戦死したという報告も、私の手元には届いています。」
この情報に、日本以外の国から来た記者たちは開いた口がふさがらなかった。圧倒的な数の差を覆したうえで完勝するなど、尋常ではない事だった。
因みに、パーパルディア皇国の名将の戦死に関する情報は、会議の合間を縫ってクロムが日本側にもたらしたものである。
此処で今まで話していたターラ14世に代わり、ルミエスが話し始める。
「パーパルディア皇国は、主要戦力の壊滅によって開いた防衛網の穴を埋めるために、属領統治軍の撤収を始めました。これは、私たちにとって大きなチャンスなのです。」
ルミエスは両手を差し出しながら、その美しい声を張り上げる。
「長きに渡ってパーパルディア皇国に搾取され、苦しんできた人々よ!!今こそ自由と希望を取り戻すときです!第三文明圏を覆っていた闇は今、強く優しく輝く太陽の国「ニホン国」の前に打ち払われようとしています!今こそ、祖国を取り戻すときです!!共に戦い、驕り高ぶったパーパルディア皇国を倒そうではありませんか!!パーパルディア皇国という悪しき巨人を倒すには、皆様の小さくても決して折れる事のない力が必要なのです!!」
ルミエスの演説に、その気迫に誰もが押し黙る。
彼女の父であるターラ14世ですら、自分の娘がこのようなことが出来る事を知らなかった。
最後にスーツ姿の日本人報道官が壇上で口を開いた。
「最後に我が国の、日本国の意思を改めてここに宣言させていただきます・・・・。我が国と我が友に対し、自らの欲のみを満たす、悪烈非道な要求をしたパーパルディア皇国の為政者達よ。お前達の愚かな行為は、十数年の間眠っていた我が国の「血」を、たとえ十万を超える世界最強の軍勢や世界最大の国相手にも臆せずに戦い、勝利した戦闘民族としての「血」を覚醒させた。我が国は、我々は自由と平和を確実にこの手に収めるまで、たとえ後世の人間から愚かな事だと言われることになったとしても戦い続けるだろう・・・。パーパルディア皇国よ、我らの正義の光の前にひれ伏したまえ!!」
日本の宣言の後、記者たちが質問を始める。
日本がどのくらいの軍事力を有しているのか?どの様な攻撃を行って列強の軍隊を壊滅させたのか?次の作戦についてすでに動き始めているのか?
これらの質問に重要な部分は濁らせつつも、一つ一つ応えていく。
こうして、第三文明圏に大きな希望をもたらし、パーパルディア皇国に混乱と絶望を与える、アルタラス王国が開戦時から日本とひそかに用意していた「実体のない最強の剣」は、振り下ろされることになったのだ。
パーパルディア皇国 皇都エストシラント
アルタラス王国の放送が終わった時、パラディス城の会議室は不気味なほどに静かであった。
パーパルディア皇国の首脳部、特に皇帝ルディアスやレミール、アルデなどの顔色は青白くなっていた。
何故、彼らの顔から血の気が無くなっているのか?
それは、彼らがパーパルディア皇国の政治体制における最大の弱点を知っているからだ。
これまでパーパルディア皇国は強大な軍事力を背景に恐怖政治を行い、属領や周辺国から富を吸い上げる事で列強国としての地位と第三文明圏最大の発展をしてきた。
だがその源である、第三文明圏の国々が恐れた最強の軍隊が、文明圏外の国、日本の手によってたった一日で砕かれてしまった。
もし、その事実を今まで虐げられてきた属領に住む人々が知ればどうなるか?
それは、どんなに政治に疎い人間でも簡単に想像する事が出来るだろう。
「・・・・おのれ。おのれ、ニホン国めぇぇぇぇぇ!!!!」
この事態に対して、ルディアスはただ怒りの言葉を叫ぶ事しか出来なかった。
そして、彼らが思い浮かべた最悪の事態はその日の内に現実へとなっていった。
パーパルディア皇国 属領クーズ
パーパルディア皇国に攻め滅ぼされ、属領となったクーズ。
憎きパーパルディア皇国を追い出し、クーズ王国の再建を目指しひそかに水面下で活動を続ける「クーズ王国再建軍」のリーダー、ハキは魔導通信機の前で今すぐにでも叫びたい衝動を抑えつつも、人生最大の興奮を感じていた。
「パーパルディア皇国の主力が一日で壊滅だと!?ニホン国、なんて強さだ!!」
「とても信じられないがこの情報が本当ならば、ここ数日の属領統治軍の動きも説明できる。恐らく壊滅した主力軍の穴埋めをするために、引き上げたのだろう。」
「時は来たんだ!!今こそ、クーズを我らの手に取り戻すチャンスだ!!」
「そうだ!!僅かな兵しかいないのならば、我らにも勝機はあるぞ!!」
ハキの周りでは、再建軍の幹部たちが盛んに意見を交わし合っている。
彼らの熱気にあてられたのか、普段は冷静なイキアも攻勢に出る事を提案している。
「・・・・よし、皆!今日の午後三時に武装蜂起を行おう!!人数分の装備はすでに整っているし、僅かな数だがパ皇のマスケット銃も手に入れた!!クーズ王国を、俺たちの祖国をパーパルディアの連中から、取り戻すぞ!!」
「「「おう!!!」」」
ハキの決定に、全員が賛同の声を返す。
彼らは、皇国に対し武装蜂起をし、彼らの愛する国を取り戻す事を決定した。
この時、パーパルディア皇国から祖国を取り戻す為の行動を起こしたのは、クーズだけではなかった。
長年に渡って、侵略者によって虐げられ苦しめられたパーパルディア皇国の属領。
彼らにとって、パーパルディア皇国は強大な力をもつ悪魔のような存在であり、何としても打倒したい存在だったが、同時に決して敵わない存在でもあった。
そんな彼らにとって、悪魔のような皇国自慢の軍の主力部隊が、かつての自分達と同じ文明圏外の国の攻撃によって、手も足も出せずに全滅した。
この報せは、祖国の解放を目指す者たちにとってこれ以上にない朗報であり、希望をもたらしてくれるものだったのだ。
彼らがパーパルディア皇国から自由と誇りを取り戻す為の行動に移るのは、時間の問題だった。
結果として、アルタラス王国での会見が行われたその日の内に、パーパルディア皇国の属領全てが武装蜂起を起こしたのだった。
パーパルディア皇国の終わりの時は、刻一刻と彼らに近づいていた・・・・。