作者のイーグルです。
前回の投稿が遅くなってしまったことのお詫びとして、短いですが新たな番外編をここに投稿しようと思います。
それでは、短いですがどうぞご覧ください!
とある海兵の話
「役立たずの木偶の坊」
それが「彼女」の、いや「彼女達」に付けられた最初のあだ名だった。
現在の華々しい活躍が反映された、幾つものあだ名を持つ「彼女達」の最初のあだ名がこんなひどい物なんて、今ではとても信じない事だろう?
だが、これは紛れもない事実の事だ。
この世に「彼女達」の存在が知られた時、一時世界は大騒ぎになったもんさ。
とんでもない化け物が現れた、と・・・。
だが、数日もすればその反応は正反対のものになった。
確かに「彼女達」は桁外れの巨体を持っていたが、訳の分からないモノばかり搭載しているうえに、ノロノロとしか動けない、おまけに最も重要な心臓部がまともに動かないと来たもんだ。
「彼女達」を手に入れようと躍起になっていた各国の政府のお偉いさんたちは、この事を知るとあっという間に興味を失ったばかりか、罵声を「彼女達」に浴びせた。
政府だけじゃない、あらゆる人が「彼女達」に罵声を言い、馬鹿にした。
当時若かった俺もそのうちの一人だ。
時は流れ、人類が経験したことのない大きな戦争が起きた。
列強国の一員だった俺の国も参戦し、俺もまた戦場に赴くこととなった。
俺はとても幸運だった。
何しろ、当時最新鋭の軍艦に配属されたからだ。
最高の火力と、最新の装甲を身に纏い、戦場を駆け巡ることが出来る快足を持った船だった。
最高の気分で甲板を歩いていると、ふとある物が港の沖合に浮かんでいるのが見えた。
それは、遥々極東の海からやってきた「彼女達」、正確に言うならば長女と三女だった。
俺の国のお偉いさんたちは、「彼女達」を自国の最新鋭の軍艦を守る為の大きな囮として利用する為に、極東の海から「彼女達」を呼んだのだと、当時の俺が所属していた班の班長がそう言っていた。
実際、誰もが「彼女達」の事を馬鹿にし、嘲笑していた。
「役立たずの木偶の坊も、ようやく役に立つことが出来る。」
と、誰もが言っていたもんだ。
歴史の残る大海戦が、遂に始まった。
砲声が途切れる事無く轟き、敵味方構わず砲を撃ちまくる。
俺の乗っていた船もそうだった。
だが、最悪な事が起きた、起きてしまった。
敵の戦艦から放たれた一発の砲弾、その一発の砲弾が俺の乗っていた船に致命傷を与えたのだ。
砲塔が撃ち抜かれ大爆発が起き、火災が至る所で発生した。
艦橋にいた多くの士官も負傷し、機関も停止してしまった。
戦場の真っ只中で俺の乗っていた軍艦は、動く事すら出来ない鉄の棺桶となってしまった。
そんな俺達に止めを刺す為に敵の戦艦の砲身が此方を向いた、その時だった!!
突然、俺の乗っていた船に、砲を向けていた敵の戦艦が爆ぜたんだ。
文字通り木っ端みじんとなり、数秒後には海中へと姿を消していたんだ。
何事かと思った、俺の耳に誰かの声が流れて来た。
「アイツだ・・・。アイツがやってくれたんだ!!」
その声を聴いた全員が、そいつが指差す方向を見ると・・・、居たんだ、「彼女」が。
いつも誰かにバカにされ、嘲笑されてきた「彼女」が・・・。
スクラップにした方が役に立つ、居ないほうが国の為になるとまで言われた「彼女」がそこに居たんだ。
そこからの戦いは、誰もが知っているものさ。
「彼女」は百発以上の戦艦の主砲クラスの砲弾を受けながらも傷一つ負うことなく、翼がついているのかと錯覚するほどの速さで戦場を疾走し、駆逐艦だろうが最新の戦艦だろうが関係なく一撃で撃沈し、俺の乗っていた船を含めた複数の味方艦を曳航して港に帰還し、更には多くの将兵の命まで救った。
この海戦以降、誰も「彼女達」を馬鹿にする者は居なくなった。
海軍、特にこの海戦で戦った俺の国の海兵たちは、「彼女達」に尊敬を通り越して、信仰心の様な物まで芽生え始めていた。
かく言う俺もそのうちの一人だけどな。
「彼女達」の最初のあだ名「役立たずの木偶の坊」はあっという間に否定され、忘れ去られた。
その代わりに新しいあだ名が定着したのだ。
「Great Guardian」、偉大な守護者。
それが日本の守護神にして誇りとなった「彼女達」の、天照型超巨大戦略戦艦の輝かしい伝説の始まりの一ページとなったのさ。
とある日本人技術者の話
「彼女」を初めて目にしたとき、私は自分の目を疑っていました。
何しろ、自分の目の前には日本海海戦の武勲艦である三笠や当時最新鋭の薩摩型戦艦が豆粒に見える程に巨大で傷ついた船が居たのですから。
奇跡的に作動した「彼女達」の推進機関と日本海軍の全ての主力艦を総動員して何とか曳航してきた、傷だらけで彼方此方が歪み、穴が開いていた「彼女」に乗り込むと、そこには訳の分からないモノが沢山ありました。
円盤状で中央に突起の付いたモノや、甲板の至る所にあるハッチの様なもの、半壊した艦橋らしき構造物に取り付けられた正六角形の板等々、何の為の機器なのか我々には見当もつきませんでした。
特に我々を悩ませたのは、艦内の至る所に取り付けられた幾つもの突起物状のボタンとガラスの様なモノがセットになった機械と艦内の中央に据え付けられた謎の機械でした。
臨検を行った海軍の軍人さん達によると、突起物状のボタンの一つを押すと、機械のガラス部分に鮮やかな色の絵やグラフ、文字が浮かび上がったとの事です。
その事を聞いた私の同僚は、これはタイプライターの一種、若しくはその発展型ではないかと言っていました。
その後、世界中から「彼女」が嘲笑されている中でも調査は行われていました。
実はこの時、我々は「彼女」の幾つもの驚くべき事実を知ることが出来ていました。
例えば、艦内の中央に据え付けられた謎の機械は「彼女」の全てを司る、人間に例えると脳に当たる物であり、その正体は電気を使った機械式計算機でした。その性能は一澗を超える計算を計測不能な速度で行うことができ、気象情報を入力すれば、日本列島の全ての集落の十分ごとの正確な天気を予測できるほどでした。
他にも日本どころか、世界中の電力すべてをまかなってしまう程の出力を持つ燃料いらずの機関や圧倒的な破壊力を持つ多数の兵器、水平線の彼方まで観測することが出来る機械など、驚くべき事ばかりでした。
これらの調査結果を受けて我が国の政府は、「彼女達」の真の性能を多くの軍人にすら秘匿しながら、修復作業を行い我が国の戦力にすることにしました。
「彼女達」は暫くの間、発見された場所から「超巨大硫黄島漂流戦艦」と仮の呼称が与えられていましたが、発見から一年、遂に我が国の正式な軍艦となり、新たな名が与えられました。
佐世保に回航された最も損傷の少なく、他の二隻の復元参考になった艦は「八咫烏」。
瀬戸内海の交通を制限したうえで、艦の操舵機能をフル活用して呉に回航された甲板上の多くの構造物が破壊されていたが、一切の浸水が起きていなかった艦は「須佐之男」。
そして私が勤務している横須賀海軍基地に回航された、艦の至る所で浸水が発生し僅かに傾きながらも、海の王者としての風格を放ち、硫黄島にて昇る美しい朝日をバックに海軍軍人達を迎え入れた「彼女」に与えられた新しい名前は・・・。
「本艦を天照型戦艦一番艦、天照と命名する!!」
天照型超巨大戦略戦艦一番艦「天照」、後に世界最大にして世界最強の王者として君臨する超巨大な戦艦の歴史が、この日に始まったのです。
今回の話の内容は、以前いただいた村正宗さんの感想から着想を得た天照型の過去の話です。
感想内容の一部に答える事が出来ていなかったり、最初期に投稿した設定集(仮)と相反する内容がありますが、ある程度本シリーズに奥行きを作ることが出来たと、作者は考えています。
最後に皆さんのお陰で「日本国召喚~天照の咆哮~」は、18万を超える閲覧数と1100件を超えるお気に入り登録数を得ることが出来ました!!
本当にありがとうございます!!
これからも、「日本国召喚~天照の咆哮~」をどうかよろしくお願いします。