日本国召喚 ~天照の咆哮~   作:イーグル

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つかの間の平和編-03

 

日本 防衛庁直轄地 硫黄島

 

日本列島から南に位置する活火山島、それが硫黄島だ。

日本の運命を大きく変えた存在である天照型戦艦が発見されたこの島は、100年前から防衛庁直轄の基地として運用されていた。

本土から離れ、航路からも外れた海域に位置するこの島は、様々な実験や開発を秘密裏にするには最適の立地であり、GAF-001バラムを始めとした様々な新兵器がこの島で誕生した。

 

更には、横須賀、呉、佐世保を凌駕する工廠を有する一大生産拠点でもある。

硫黄島の地下のマグマだまりから溶岩を採掘し、溶岩から多種多様な金属を抽出、製錬し、その資源を用いて艦艇や戦闘機、戦車や小銃などを生産しているのだ。

 

そんな日本の国防で重要な役割を担っている孤島に、百田ら日本陸上防衛軍トーパ王国特別派遣部隊の面々は降り立っていた。

 

「アッチィー!!本当に此処は暑いなぁ!」

 

「仕方ないだろう?一応、硫黄島は亜熱帯気候に属しているからな。・・・とは言え、本当に暑いなぁ。」

 

極寒の北国の気温に慣れた日本陸上防衛軍トーパ王国特別派遣部隊の面々にとって、この島の気温は身に応えるようだった。

 

高温多湿の硫黄島の気候に耐えながら、ジュラルミン製のカバンを持って移動する一行。

此処で何故、彼らがこの島にいるのかを説明すると、彼らが魔王退治の際に全員が装備していた試製18式小銃をはじめとした、避難民救助作戦時に使用した小型火炎放射器や魔王ノスグーラの足を吹き飛ばした「礼賛」などの試作兵器を、この島にいる開発者のもとに返却するためなのだ。

 

島内を迅速に移動する為のリニアモノレールに乗り、目的の建物へ移動していると目的地の付近で突如として爆発が発生した。

 

「お~~い、また第二兵器研究所が爆発したぞ~~~。」

 

「敷島の爺さん、ま~たとんでもない劇物でも作ったのか?」

 

普通、軍事施設が爆発すれば一大事になるのだが、この島の第二兵器研究所だけは日常的に爆発が起きたり、研究所の一部が壊れたりするので、この程度の事では騒ぎは起こらないのだ。

 

(普通に考えれば、おかしい事なんだがな・・・。我々も、毒されてしまったという事か。)

 

常識がおかしくなっている事に百田が苦笑していると、リニアモノレールは目的地の最寄り駅に到着。彼らは空調の効いた車両から降り、太陽がギンギンに照り付ける中、黒煙を上げる目的地「硫黄島第二兵器研究所」の屋内へと入っていく。

 

「すみません、敷島博士はいらっしゃいますか?」

 

「博士は射撃場で新兵器の試射をしているはずです。」

 

「・・・・ちなみに今回は、何作ったんです?」

 

「・・・・なんでも、ビル一つ吹っ飛ばすバズーカを作ったとの事です。」

 

手近な職員から話を聞いた全員が心の中で、

 

(((何作ってんだ、おい!!)))

 

と、突っ込みを入れながら射撃場に向かうと、射撃場の扉が爆音と共に吹っ飛び、大量の黒煙が廊下へと流れ込んできた。

百田が頭を押さえ、城島が呆然とし、猿渡がええぇと困惑の声をあげ、犬神が「な~にやってんだ、爺さん。」と呆れていると、黒煙の中から体の彼方此方が煤けた一人の老人が出てきた。

 

「ハッハーーー!!どうじゃ、ワシの作った12連ロケットランチャーの威力は!?コイツの前には、20階建てのビルだろうが15式だろうが、唯のゴミくずにすぎんわい!!」

 

「「ンなもん、室内でぶっ放さないでください!!こちとら、死にかけたんですよ!?」」

 

「先輩・・・。俺、走馬灯見えた・・・。」

 

「早く慣れろ、新人・・・。ここじゃ、こんなもん日常茶飯事だ・・・。」

 

「・・・お久しぶりです、敷島博士。」

 

老人に振り回されている職員に憐みの視線を向けながら、年に見合わないハイテンションぶりを見せる老人に話し掛ける百田。

 

「おぉ、百田じゃないか!?どうじゃった、魔王ノスグーラとやらは?」

 

「・・・・ええ、かなり強い奴だったですよ。何しろ、バラムの地対空ミサイルの直撃に数発は耐えていましたから。」

 

「ムッ!?対空用とは言え、ミサイルの直撃に耐えたのか!?では、試製18式小銃では全く歯が立たんという事か!?」

 

「奴に撃ったわけではないので、確証は出来ませんが・・・。少なくとも、コイツでは致命傷を与えるのは難しいかと。試製18式小銃自体は、とても良い小銃なんですがねぇ・・・。」

 

ジュラルミン製のカバンから取り出した試製18式小銃を敷島に手渡しながら話す百田。

敷島は百田の試製18式小銃を受け取ると、目にも止まらない動きで目視確認しつつ、色々といじりながら銃の動作を確認する。

 

「ふ~~む、かなりライフリングが消耗しておるな・・・。従来の小銃より、銃身強度を20%ほど上げたんじゃが焼け石に水じゃったか。」

 

「そこは仕方ないかと・・・。本来なら、あと数年は掛かるはずの物を前倒しで作ったのですから。」

 

「何を言う!兵の命を預かる兵器は完璧に仕上げんとアカン!これは、ワシの大失態なのじゃ!!」

 

(((これで所かまわず武器をぶっ放す事と自殺志願が無ければ、完璧なんだがな・・・。)))

 

内心で敷島に突っ込みを入れる百田一行と助手たち。

 

「自分の作った兵器で死にたい」と言うとんでもない思想を持つ、十人中十人が変人と認定する敷島だが、同時に世界最高の兵器開発者でもある。

試製18式小銃をはじめ、10式対艦誘導弾、15式戦車、更にはバラムの武装や特一号艦の兵装などの開発に主要人物として関わり、軍部の要求した性能の120%の性能の兵器を生みだす日本が世界に誇る技術者でもあるのだ。

 

試製18式小銃を一通り弄り終わり、ある程度落ち着いた所で犬神が話し掛ける。

 

「・・・博士、「礼賛」お返しします。」

 

「犬神よ、コイツの使い心地はどうじゃった!?」

 

「そうですね・・・。ハッキリと言って、今まで触ってきた銃の中で一番扱いやすかったですね。従来のものと比べて、少し大きく重く発射時の反動がキツイですが、コイツの直進性と弾速、破壊力は段違いです。」

 

「そうか、そうか!!何しろコイツ・・・、ライサンダーはワシの最高傑作の一つじゃからな!聞いたぞ、このライサンダーで魔王の足を吹き飛ばしたそうじゃな!!」

 

「はい、姿勢を崩せればよいと思っていましたが、まさか両足を破壊するほどの威力と奴が反応できない程の弾速を持っているとは夢にも思っていませんでした。」

 

試製18式次世代型電磁狙撃銃「ライサンダー」。

敷島が個人的に開発していた一丁で、今回のオペレーションモモタロウに嘗て自分の武器の試射をしていた犬神が参加する事を知った敷島が実地試験の為に託した銃で、その概要は専用の12.7㎜銃弾を最大秒速6750mで発射する次世代のスナイパーライフルである。

長銃身と電磁加速により、音の二十倍という弾速から生み出される破壊力は、一般的な装甲車は勿論、戦車やトーチカ、ヘリコプターに戦闘機、更には軍艦にも有効打を与える事が出来る程である。

 

「小官としてはコイツをそのまま量産配備してもらいたいのですが・・・。」

 

「う~む、それは難しいな・・・。何しろコイツには、希少金属をふんだんに使用しているから非常に高価且つ複雑で量産には向いていないのじゃ。量産するとしても、設計を大幅に変更しないと採用試験にすら辿り着けんじゃろうて。」

 

「そうですか・・・、それは残念です。・・・ところで博士、貴方の後ろにあるゲテモノは何ですか?」

 

ライサンダーを専用のケースに戻す敷島の背後に見える様々な形状の手持ち火器の山に、我慢が出来なくなった犬神が質問をすると、嬉々とした様子で敷島が説明を始める。

 

「これは全て今日試射をする予定のワシの自慢の武器じゃ!!まずはこれだ!!」

 

ごそごそと武器の山から異形の武器を取り出す敷島。

 

「まずはコイツ、マグマ砲じゃ!!」

 

「ま、マグマ砲?何です、それ?」

 

「コイツは火炎放射器の決定版と言うべき代物!コイツの放つ8000度の火炎は、まさにレーザー光線その物じゃ!!見ろ、この炎を!!」

 

射撃場の中に駆け込んだ敷島がマグマ砲の引き金を引くと、灼熱の炎が200mほど離れた的をあっという間にドロドロに融解させてしまった。

 

「うっへぇ・・・。」

 

「威力過剰だぜ、こりゃぁ・・・・。」

 

「なら、コイツはどうじゃ!?」

 

マグマ砲の威力に一同が唖然としている中、未だに興奮が収まらない敷島が武器の山のまた別の武器を取り出す。

 

「・・・なんかまた、どえらい見た目の武器が出てきたぞ。」

 

「コイツはウラン徹甲噴進弾。50㎝の装甲をぶち抜く!!」

 

武器の説明をしながら大型のランチャーを肩に構え、試作武器をぶっ放すと僅かに残っていた的ごと建物の壁を跡形もなく吹き飛ばしてしまった。

 

「「「どっへぇ・・・」」」

 

余りの破壊力にトーパ王国特別派遣部隊の面々は、言葉を失ってしまう。

 

「ふっふっふ・・・、どうじゃ!ワシの発明は!!」

 

「もう・・・、言葉が・・・出ません。」

 

「はっはっは!!だらしないぞ、犬神よ!!そんなお前にはこれを試してもらおうか。」

 

余りの性能の武器の数々に憔悴してしまった犬神に、敷島はまた異形の銃を手渡す。

その銃は、今までの物より近未来的な見た目をしており、何より一般的なアサルトライフルには必ずあるマガジンスロットらしきものが見当たらなかった。

 

「これは一体・・・?」

 

「コイツの名前は「ブレイザー」。史上初の実用型レーザーライフルなのじゃ!!」

 

「レーザーライフル!?完成していたのですか!?」

 

「完成したと言っても、レーザーライフルとしての最低限の機能を備えただけじゃがの。バッテリーによる重量問題、精密機器を搭載したことによる耐久性の問題、生産コスト・・・。特に、威力がそこまで高くないのが問題なのじゃ。」

 

「それでもすごいですよ!!光学兵器をこのサイズまで小型化するなんて!!」

 

敷島の為した偉業を珍しく素直に褒めたたえながら、犬神は射撃場に立ち唯一残っていた的に向けてブレイザーを向けるとその引き金を引いた。

次の瞬間、ブレイザーの銃口から赤色の光線が発射され、瞬時に光線は的を融解、貫通した。

 

「すげぇ、ホントにレーザー光線が出たぞ!」

 

「SFが近いうちに現実になるのか・・・。本当にすごい時代になったな・・・。」

 

「犬神貸してくれ、ちょっと持ってみたいんだ・・・。うぉ、結構重いなコイツ!」

 

「博士が独自に導き出した理論に基づき作られているから、かなり持ちやすいはずなんだがこの重さでは、とても行軍は無理だな。接敵する前にバテてしまうぞ。」

 

空想上の存在であった光線銃の実物に、トーパ王国特別派遣部隊の面々が群がっているのをカッカッカッと笑う敷島にスーツを着た男性が慌てた様子で近寄ってくる。

 

「博士、何やってんですか!?もうすぐ式典の時間ですよ!?今すぐ、身嗜みを整えてください!!」

 

「うん?もうこんな時間か!?分かった、ちょっと待っとれ!」

 

ライサンダーや18式小銃の入ったケースを脇に器用に挟み、バタバタと自分の研究室に戻る敷島を見送ると、百田は汗を拭いている職員に話を聞く。

 

「失礼、式典とは?」

 

「百田隊長、お見苦しいところを見せてしまい、申し訳ありません。ご存じですか?この島で建造されている大型艦の事を?」

 

「ええ、少しは。何でも、新設計の大型戦艦が三隻建造されているとか?」

 

「その通りです。ふそう型10番艦いせ以来、半世紀ぶりに建造された最新鋭戦艦で一部の性能は、天照型すら上回る物と謳われている新世代の戦艦です。その完成、就役式典が今日の13時から始まるのです。・・・全く、前々に通知しておいたのに、なんで忘れているのかな・・・?」

 

「悪かったな、約束忘れてて。」

 

説明と言いつつ後半、敷島への愚痴を言う男性職員。

その為、自分の後ろにいつの間にか現れていた敷島に、全く気付かなかった。

 

「おわぁ!!博士、いつの間に!?」

 

「一部の性能は~~~、からじゃ。いくら「日本の誇る技術者」と謳われるワシだって、所詮は人間。どこかしら、失敗するモノじゃ。・・・ああ、そうじゃ、お前達も見に来るか?わしらが総力を挙げて開発した新型戦艦を?」

 

「ええ!?飛び入り参加していいのですか?」

 

「別にかまわん!!見て減る物でもないし、それに彼女らの初の晴れ舞台じゃ。より大勢の人間にその姿を見てもらった方が良いじゃろて。異論はないな?さあ、行くぞ!!」

 

「ちょっと、博士!!だぁ~、クソ!トーパ王国特別派遣部隊、博士を追いかけるぞ!!」

 

「「「了解!!」」」

 

「隊長!もし、上が文句言ってきたらどうします!?」

 

「そん時は、全部博士のせいにすればいい!!」

 

「了解!・・・えっ、今なんて?」

 

半ばやけくそ気味で、ハイテンションの敷島を追いかけ、研究所を後にするトーパ王国特別派遣部隊の面々。

その姿は、とても伝説の存在を討ち取った英雄には見えなかった・・・。

 




なんとか、今年中に投稿することができました。
来年も自分のペースで投稿を続けていきます。
来年もよろしくお願いします。
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