作者のイーグルです。
今回投稿したものは、おかしな部分がある可能性があります。(特にモイジの部分とマールパティアの回想部分)
また、自分の実力不足のせいで後半が、かなり急ぎ足な内容になっていると感じています。
なので、のちに大きく書き直す可能性があります。
この点を御配慮ください。本当に申し訳ございません。
それでは、ロウリア王国編第一話をどうぞ。
日本とクワ・トイネの両国が、国交を樹立し極めて良好な関係に至った半年後。
クワ・トイネ最大の経済都市マイハークは、日本接触前と比較すると大きく発展していた。特に最も発展していたのは、マイハーク郊外に作られたマイハーク駅とマイハーク港、そしてその周辺地域である。
日本から輸出されたディーゼル機関車が、クワ・トイネの各地にある田園地帯から日本に輸出するための農作物を運んでくる。その農作物は、日本が整備した港に運ばれて船に積まれて日本に輸出される。日本への食料輸出は、クワ・トイネ公国に大きな富をもたらしていた。
都市インフラも、日本によって電気で明るく光る街灯、上下水道やガス管が整備され、クワ・トイネの人々はとても快適な生活を満喫していた。
それはクワ・トイネ公国の首都、クワ・トイネもまた発展していた。
「1年前とは、比べられないほどの発展具合ですね。」
クワ・トイネ公国の首相カナタは、夜になっても明るく輝く首都の夜景を眺めていた。
日本による近代化は、この国を大きく発展させることは間違いないだろう。さらに、日本は我が国の軍事力を大きく強化してくれた。日本では、旧式化したという理由で格安で購入できたそれらを見たとき、日本の力を肌で知ることになった。文明圏のものよりはるかに強く、そして使いやすい自動小銃。ワイバーンの火炎弾以上の破壊力を持つ榴弾砲。極めつけは、60式と呼ばれる戦車とNF-1戦闘機である。戦車という兵器は、剣だろうが矢だろうが跳ね返す装甲と、城壁に大穴を一撃で開ける砲を装備する、正に陸戦の王者。戦闘機も古いものばかりだったが、ワイバーンよりもはるかに強力なものだった。どれもこれも、戦争の常識を変えるものばかり。この兵器を売ってくれた日本に対して、カナタはただただ感謝していた。そして後世に日本とは敵対しないように伝える事を、心に決めた。
ロウリアとの国境線に近い都市ギム
国交を結んだ2週間後からこの町の郊外で、轟音と砂煙が引っ切り無しに発生していた。
日本防衛軍によるクワ・トイネ軍に対する訓練が行われているのである。
今日は日本国陸上防衛軍第七師団所属の戦車隊が、ギム防衛隊に属するクワ・トイネ戦車隊に指導を行っていた。また別の場所では、銃の射撃訓練が行われていた。ロウリア王国が戦争を仕掛けてきたら、真っ先に狙われるのはこの町なので、皆真剣に日本製の武器の扱い方を学んでいた。
そのギム防衛隊を指揮する団長のモイジや副官たちは、近代戦を学んでいた。
「ふう・・・・。覚えることが多いな。」
モイジは、講義で学んだことを完璧に覚えるための復習をしていた。日本軍の指揮官である大内田から学ぶことは、今までの我が国の戦術とは全く違うもので覚えることがとても多かった。正直に言って、とても辛いが彼はこの町とこの町に住む愛する家族の為に、誰よりも努力すると決めていた。
一息ついた彼は、再び机の教本に集中する。
窓の外の青空には、訓練を行っているクワ・トイネ飛行隊が描く飛行機雲が浮かんでいた。
ロウリア王国
ロウリア王国の首都である、城塞都市ジン・ハーク。
ロデニウス大陸一の人口密度の都市の中央にある、ハーク城では今、この国の行く末を決める御前会議が行われていた。
「ロウリア王、全ての準備が整いました。」
白銀の鎧に、身を包んだ30代の男が玉座に座る王に跪き、報告する。
彼の名前は、将軍パタジン。
「ふむ、クワ・トイネとクイラの二国を同時に敵に回して、勝てるか?」
王としての威厳を持つ、34代ロウリア王国大王、ハーク・ロウリア34世は若い将軍に尋ねる。
「一国は、農民の国であり、もう一国は不毛の国、どちらも亜人の比率の多い国です。わが精強なるロウリア軍の敵ではありませぬ。必ず勝てます。」
「そうか・・・。しかし、ついにこのロデニウス大陸が我が国によって統一され、歴代の王たちの悲願だった亜人殲滅が実行されると思うと、私は嬉しいぞ。」
「大王様、大陸統一の暁には、あの約束も、お忘れなく。クックック」
真っ黒のローブを被った男が気味の悪い声で囁く。
「解っておるわ!!!」
王は、怒気をはらんだ声で、言い返す。
(ちっ、文明圏外の国だからと思ってバカにしおって。ロデニウスを統一したら、お前たちの国があるフィルアデス大陸にも攻め込んでやるわ)
「将軍、今回の作戦の概要を説明せよ。」
「はっ!説明いたします。今回の動員戦力は50万人で、侵攻用の兵力は40万人です。残り10万人は本土防衛用です。
クワ・トイネ侵攻計画第一段階は、国境に近い人口10万の都市ギムを強襲、制圧いたします。なお、兵站については、現地調達とします。
ギム制圧作戦と並行して、艦船4400隻の大艦隊でクワ・トイネ最大の経済都市、マイハークを制圧します。
我が国は陸海空全ての戦力が、クワ・トイネを凌駕しております。
なお、クイラ王国については食料の輸出を止めるだけで、簡単に干上がるでしょう。」
「クワ・トイネの戦力は、5万人程度の戦力しかありません。即応戦力はもっと少ないでしょう。我が戦力をぶつければ、いかなる小賢しい作戦も正面から叩き潰せるでしょう。6年間の準備が実を結ぶことでしょう。」
「そうか・・・ふっふっふ・はっはっはっはあーっはっはっは!!!今宵は我が人生で一番良い日だ!!余は、クワ・トイネ、クイラに対する戦争を許可する!!!」
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーー
ハーク王城は喧噪に包まれた。
翌日には、侵攻部隊がジン・ハークから出発した。
だが、誰も気づかなかった。この進軍は最初から見張られていたことに。
ギム日本国陸上防衛隊基地司令部
「ということで、我が国の「おおとりⅡ」がロウリア軍の出撃を確認した。確認された兵力は40万人、ワイバーン500騎余りの大軍勢だ。そのうちの約3万が先行している。目標はおそらく、ここギムだ。我々は、日桑軍事同盟に基づきこれを迎撃する。何か質問はあるか。」
会議室に集められた陸上防衛軍幹部たちは、たとえロウリア王国がこの大陸一の人口だったとしてもその兵力に呆れ、モイジらクワ・トイネ側は、日本の情報収集能力に驚いた。日本の実力については理解したつもりだったが、我が国の強力な同盟国はまだ力を隠しているようだ。
モイジは、挙手をし発言をする。
「ワイバーンのほうは、我がクワ・トイネの航空隊でもなんとかなるでしょう。問題は、陸上戦力への対応についてですが。」
ここで一区切りをつけ、大内田に向き合う。
そして、頭を下げる。
「陸上戦力については、大内田将軍に指揮を執ってもらいたいのです。」
この発言は、会議室に大きなざわめきを生む。
「モイジ殿、なぜそのようなことを。」
「私はまだ将軍から教わった、近代戦を完全に習得していません。私の作戦の不備で大事な部下を失うわけにはいかないのです。それに、あなた方は日本陸軍の精鋭中の精鋭と聞き及んでいます。確かに、同盟国とはいえ他国に軍の指揮を託すのはおかしいと、私自身思っています。ですが・・・・」
「モイジ殿、あなたの気持ちは十分理解しました。だからこそ、今回の戦闘の指揮はあなたが執るべきです。指揮に不安があるのならば、私が補佐しましょう。クワ・トイネの地はクワ・トイネ軍が守るべきです。」
「大内田将軍・・・・。解りました。」
こうして、指揮官をモイジ、その補佐を大内田が行うこととした。
その後、ギムの防衛についての作戦が練られた。
簡潔にまとめると
・ギムから数km離れた地点を戦場にする。
・戦車砲と榴弾砲、対地多弾頭ロケットなどで、攻撃する。
・接近されたときに備え塹壕と鉄条網を用意して、有利に迎撃できるようにする。
・陸戦を有利にするために、敵ワイバーンを撃墜し制空権を確保する。
・万が一に備えて、ギムの市民を避難させる。
などである。
作戦目標はロウリア軍には何もさせずに、殲滅することが目的である。
日本とクワ・トイネは、ロウリア軍襲来に備える準備を始めた。
それから、二週間後。
クワ・トイネが日本と共に撃退の体制を整えていることなど露ほども知らず、
ロデニウス大陸統一を目指すべく進軍するロウリア王国軍は国境付近に陣を敷いた。
クワ・トイネ公国からは、何度も国境から兵を引くように魔法通信にて連絡があった。
もちろん、ロウリア軍は全てを無視する。もう戦争をすることは、決定しているのだ。
「明日、ギムを落とすぞ。」
討伐軍を預かる将軍パンドールは、クワ・トイネ攻略第一作戦として計画されたギム攻略を明日行うことを決定した。投入される兵力は、歩兵だけでも2万人、ほかの兵科と合わせると合計約3万人。
これだけでも、簡単にギムを落とせるだろう。それだけでなく、ワイバーンが150騎いる。ワイバーンは、空の覇者であり、10騎で1万の兵を足止めできる。それが150騎。
負ける様子がない。
パンドールは満面の笑みを浮かべ、自分が指揮する部隊を見つめていた。
ワイバーンはとても高価な兵器である。ロウリア王国の国力であれば、200騎程が限界だろう。
しかし、今回は、このクワ・トイネ公国攻略に、500騎参加している。
噂では、フィルアデス大陸にある列強、パーパルディア皇国からの軍事物資の支援があったとされている。
いずれにせよ、先遣隊に150騎のワイバーン。この明らかに過剰な戦力に、パンドールは満足だった。
「パンドール様、ギムでの戦利品はいかがしましょうか?」
副将のアデムが話しかける。彼は、冷酷な騎士であり残虐な人間だった。その為、部下からは恐れられ上官からは気味が悪いと言われている男である。しかし、優秀な人物ではあった。
「アデム君、君に任せる。」
「了解しました。」
アデムは、将軍に一礼して天幕から出ようとした。
その時である。聞き慣れない音が聞こえてきた。
アデムが天幕から出ると、異形の何かが空にいた。ずんぐりとした胴体、胴体の上には何かが高速で回っていた。その物体から音声が流れていた。
「こちらは日本国陸上防衛軍である!!!ロウリア軍に告ぐ、直ちに国境線付近から軍を引かれたし!!!」
二ホン国?聞いたことのない国だ。おそらくどこからか来た蛮族の国だろう。アデムはそう考える。
「直ちに撤退せよ!!!貴軍が、クワ・トイネ侵攻を実行するのならばこちらも然るべき対応を取る!!!」
「ふざけるな!いやらしい亜人どもを殲滅できるまたとない機会なのだ。蛮国が一つ増えたところで我々は止まるものか!!」
アデムの怒声が聞こえたのかわからないが、謎の飛行物体はクワ・トイネ側に飛び去って行った。
「見ていろよ、蛮族どもめ。一人残らず殺してやる。」
アデムは、ギム攻略の暁にはギムの市民を一人残らず甚振って殺すことを決めた。
ギム日本国陸上防衛軍基地司令部
「ロウリア軍、撤退しません。」
「ふむ、分かった。全軍に戦闘準備を命令してくれ。」
「はい、了解しました。」
命令を受けた部下が退室するのを見届けたモイジは、目の前で遅めの昼飯を取る人物に向かい合う。
「これでよろしいでしょうか、大内田将軍。」
「モイジ殿、あなたが指揮官だ。私に余り頼らないで頂きたいですな。部下に示しが付かないでしょう。」
すみませんと、謝りモイジは目をつぶる。
出来ることはした。後は、全力で侵略者どもに挑むだけだ。
目の前にいる人のように、落ち着いて指揮ができるようにならなければならないと思った。
翌日、早朝
整然と整列する軍勢。上空には、精鋭のワイバーン隊。
パンドールはただ、一言命令を下した。
「進撃を開始せよ。」
ロウリア軍は、ギムに向かって行進を開始した。
この事は無人偵察機によってすぐに、ギムに通報された。
「スクランブルだ!!全機発進急げ!!」
モイジが吠えるように命令を下す。
基地から、日本航空防衛軍のVTOLF-11とクワ・トイネ空軍のNF-1戦闘機がスクランブル発進する。
クワ・トイネのパイロットの中には、日本の戦闘機を初めて見た竜騎士のマールパティマもいた。
彼は自分の新たな愛機に搭乗し、離陸準備をしながらここ数か月を振り返る。
日本と同盟を結んだ直後、日本から購入した戦闘機のパイロットになれと命令されたときは、とても驚いた。飛竜隊一目がよいことが理由だった。
ギムに着任し、日本軍の指導官に訓練でいやという程扱かれた。新たな乗機の性能は凄まじく、軽く加速しただけでワイバーン以上の圧力が体にかかり、とても辛かった。何度も気絶しかけた。
やめたいという気持ちが、積もっていった。あの瞬間までは。
あの時のことは、鮮明に覚えている。
訓練で飛んでいたとき、視界全てが一瞬だが雲に覆われたかと思うと音が突然聞こえなくなった。機体からの振動だけを感じる静寂。教官からの言葉が人生で一番の感動をくれた。
「おめでとう、君は音を超えた。君は、この大陸で最も速い人間になった。」
嬉しかった、ただ単純に。このために生きてきたと感じたほどだった。
そのあとの訓練もきつかったが、結局辞めずにここまで来た。
今日の戦いで戦果を挙げ、教官たちに恩を返す。そう決心した所で自分の離陸の番になった。
「ギム11,発進します!!!」
スロットを上げ、マールパティマは空に上がった。
日本とクワ・トイネの混合航空隊は、一旦基地上空で合流して編隊を組んだあと、ロウリア軍飛竜隊に向かった。
ロウリア軍の竜騎士ムーラは、威風堂々と進軍する自軍を見下ろして、誇りに思った。
今まで誰も達成できなかった、ロデニウス大陸統一。その偉業を自国は必ず達成できるだろう。
そして、大きく発展するだろう。食料が豊富にとれるクワ・トイネと、鉱物資源の豊富なクイラの地が同時に手に入るのだ。発展しないほうがおかしいだろう。
そのように考えていた時、不意に魔導通信が入る。団長からだ。
「これより、敵の飛竜隊を食い破り敵の陣地に突撃する!クワ・トイネの野蛮人どもに我らの力を見せつけてやれ!ロウリア王国、万歳!!」
勝鬨を上げ、最高速力で向かう、ロウリア軍飛竜隊。ロウリア軍の誰もが、飛竜隊の大活躍を確信していた。
だが、次の瞬間。
飛竜隊団長搭乗騎やその周りにいたワイバーンが突然爆発し、木っ端みじんになった。
「・・・・・え?」
ムーラは、理解できなかった。
その間にも、仲間たちがどんどん爆発し死んでいく。
攻撃された、そう認識したとき彼はとっさに魔導通信機のスイッチを入れた。
「敵の攻撃だ!!全員さんk」
「上空から何か来るぞ!!」
この報告を受けたムーラは、上空から来た何かを探す。
それは、凄まじい速度で降下してきた。矢じりのような形、灰色に塗られた機体、後ろから炎を2本吐きながらそれはやってきた。光弾を高速でばらまきながら、ワイバーン隊とすれ違う。
ドーーーーン!!!!!!
衝撃波が襲う。彼らを襲ったのはクワトイネ空軍所属のNF-1戦闘機だった。
既に、半数近くがやられた。何も出来ずにだ。だが、ロウリア軍飛竜隊にさらなる恐怖が迫っていた。
「う、うわー----!!!奴が来たぞ!!!しかも、30騎もいるぞ!!!」
ムーラ達に、絶望が襲い掛かる。
ここで少し時を戻して、日本、クワ・トイネ側
混成飛行隊40機は翼下のパイロンに搭載された、空対空ミサイルを各機二発ずつ発射した。
日本製の高性能なミサイルは、寸分狂わずにロウリア軍のワイバーン隊を襲った。飛行隊はミサイルを発射した後、速やかに高度を取る。敵ワイバーン隊上空7000mに達したとき、マールパティマは自分の隊長に向けて、無線を飛ばした。
「隊長、敵への突撃の一番槍は私が行ってもよろしいですか?」
「ギム11、マールパティマか・・・。よし、行ってこい!ただし、地面とキスはするなよ!」
「了解!いっけぇー----!!!」
操縦桿を倒し、急降下する。
あっという間に敵に近づき、狙いを定め機関砲のトリガーを引く。対空目標に対して、絶大な破壊力を持つ2門の20㎜機関砲が唸りを上げる。射撃開始から数秒で、敵とクロスした。地面と接触しないように操縦桿を引き、急上昇する。
今の攻撃で、3騎は確実に落とした。高揚感に胸が躍ったが、すぐに、ここは戦場だと気を引き締める。
仲間たちや、日本空軍の方々も急降下攻撃を敢行したようだ。敵が次々に落ちていく。
マールパティマは、再び敵に向かった。
「は・・・は・・・速すぎる!!!!!」
「なんなんだ!!!!」
ロウリア軍竜騎士団は、混乱の極みにあった。
精鋭の竜騎士たちが何も出来ずに、一方的に撃墜されて、空に散っていく。
反撃をしようにも、敵騎が速すぎて狙いが付かない。そもそも狙っている余裕がない。敵を狙っていたら、別の敵から攻撃を受けるからだ。
ムーラは、絶望感に襲われながらも必死に相棒を操り、低空を飛んでいた。どうやら敵は、あの高速性を生かした一撃離脱を心掛けているようだ。低空なら、生き残れるかもしれない。そう思った時、殺気・・・いや死の予感を感じた。慌てて振り返ると、敵が低空を飛んで追ってきたのだ。そして、光弾をばらまいてきた。
やられる!と、思った瞬間、ムーラは浮遊感を覚えた。自分の乗騎であるワイバーンが身をよじって、自分を振り落としたのである。ムーラのワイバーンは、光弾に貫かれ絶命した。
「あ、相棒ー------!!!」
竜騎士ムーラは、運よく沼に落ちて命拾いした。そしてこの戦いでロウリア側唯一生存した竜騎士となった。
のちに「ギム航空戦」と呼ばれる戦いで、ロウリア軍ギム攻略隊の航空戦力は壊滅することになった。
戦場は静まり返っていた。ギムへの進軍の足も止まっていた。
10騎で1万の兵を足止めできる、この大陸最強の戦力であるワイバーン150騎が赤子の手を捻るように殲滅された。
アデムは、わなわなと手を震わせていた。圧倒的な戦力のはずだった。ロウリアの常識ではギムなど簡単に制圧できるはずだった・・・なのに、このような屈辱を野蛮人どもから受けることになろうとは。彼は、上官であるパンドール将軍にギムへの突撃を上申しようとした。この時のアデムは完全に冷静さを失っていた。
だからこそ、アデムは気づかなかった・・・死神は自分たちにも刃を仕向けていたことを。
「敵部隊、完全に足が止まっています。」
「ああ、今がチャンスだ。多弾頭ロケットと自走砲でやる。照準合わせ急げ!!」
モイジの指令によって、各兵器の照準が足の止まっているロウリア軍に合わせられる。
「各砲の照準、全て完了しました。」
「よし・・・・・。撃て。」
地獄の釜の蓋が開いた。
ドーン!!!バラバラバラバラバラドーン!!!!!!
ロケットと自走砲の砲弾が着弾したとき、ロウリア軍の3割が吹っ飛んだ。
「な、何が起きたんだ!!」
「噴火でも起きたのか!!??」
パンドール、アデムらはただ茫然とその光景を眺めていた。
今まで戦ってきた戦友や、歴戦の猛者、優秀な将軍や魔導士たち。
爆発が起きるたびに全てがあっけなく死んでいく。
「い、一体何を我々は相手にしているのだ。」
「クワ・トイネは、神龍を味方につけたというのか!?」
死神は彼等だけを逃してはくれなかった。
何かが空気を切る音を聞いたと感じた瞬間、今まで感じたことのない衝撃が襲った。
自分や隣にいたパンドールの体がバラバラになって飛んでいく姿、それがアデムの見た人生最後の記憶になった。
その後十分の間、日本とクワ・トイネの容赦のない攻撃が続きそれが終わった後、その強大な力によって地面には大穴がいくつも開き、ロウリア軍に立っている者は馬を含めて一人もいなかった。
ここに、ロウリア軍ギム攻略部隊は消滅した。
「敵部隊殲滅しました。」
「よし、戦闘態勢を解除し、警戒態勢に移行。敵の生存者がいたら捕虜として捕らえろ。」
「了解しました。」
モイジは、戦闘の終了を宣言しロウリア兵の生き残りを探索するように命令した。
外では、建物が震えるような大きな歓声が起きていた。絶望的な戦力差をひっくり返したから、当たり前だ。
しかしモイジは、高揚感を覚えなかった。数倍以上いた敵を、被害なく撃破したのにだ。寧ろ、自分たちの得た力に恐怖すら感じていた。
「これが、二ホン国の力・・・異世界の戦闘とは、なんとも恐ろしいものだ。」
モイジは、自分たちが得た力を自覚し、そしてこの力を悪用しないことを後世に伝えていくことを決めた。
モイジはその後、クワトイネ公国陸軍の近代化に大きく貢献し歴史に名を遺す人物となった。
用語説明
NF-1戦闘機
全長 17.85m
翼長 10.88m
最高速度 1700㎞
最高高度 15000m
武装 (クワトイネ仕様)
20㎜機関砲 2門
55式空対空ミサイル改 4発
53式空対艦ミサイル改 2発
VTOLFシリーズや、UAVFシリーズと違い日本独自に設計したジェット戦闘機。
外見は、史実のF-1支援戦闘機と同じである。
設計コンプセクトは、一撃離脱で当時の航空機では最速レベルの速力を持っていた。
だが、従来の格闘戦を好むパイロットからは不評だった。
1954年に正式採用されて、後継機登場まで空軍の主力として活躍。
後継機登場後は、対地攻撃機や練習機として運用され日本では1985年までに全機退役した。
日本以外の国でも運用されていたため最終生産は退役直前まで生産されていた。一部地域では、日本転移時でも現役のため,予備の部品用のモスボール保管機が大量にあった。
クワトイネ公国に渡ったのは、良好な状態を維持していた150機である。
現在は輸出用の再生産が計画されている。
60式戦車
全長 9.41m
車体長 6.7m
全高 2.25m
重量 38t
最高速度 60㎞
行動距離 450㎞
武装 105㎜滑降砲 1門
7.7㎜機銃 2門(主砲同軸)
12.7㎜重機関銃(砲塔上面)
日本がNF-01戦闘機と同じ時期に、独自開発した国産戦車。
当時採用されていた皇紀5年式戦車の後継車両として、生産された。
その性能は当時の各国の戦車を一気に陳腐化させた。
外見は、74式戦車と同じである。ただし性能は、74式を大きく凌駕している。
日本では、新型が登場した後は徐々に退役していき、2000年に完全に引退した。
モスボール保管された200両が、クワトイネ公国に譲渡された。
この戦車も、再生産計画がある。
おおとりⅡ
日本転移後に、打ち上げられた偵察衛星。先代のおおとりとの差異はない。
最後に
アンケートの途中結果に驚いています。アークバードの人気、半端じゃないですね。あと、N-ノーチラスと羅号が僅差になっているのも意外でした。
次回は、海軍活躍回になると思います。