大変お待たせしました。標的3話です。
東都大学病院。
杉下達の通報で駆け付けた救急車によって、英理はここに緊急搬送された。
連絡を聞き飛んできた小五郎達や白鳥と、同行した杉下達、そして英理が倒れた時側にいた女性、秘書の栗山は、救命処置が終わるのを今か今かと待ちかねていた。
手術中の明かりが消え、中から担当医師が出てくる。
「母は…」
蘭が不安そうに声をかける。
医師は笑みを浮かべながら振り返った。
「もう大丈夫です。すぐに胃の洗浄をしたので命に別状はありません」
「はあ…良かった…ありがとうございました」
朗報に安堵する一同。
安心した白鳥は早速、手帳を取り出しながら医師に尋ねる。
「やはり毒物でしょうか?」
「ええ…農薬系のものかと思われます」
と、手術室から英理が出てくる。
力なくベッドで寝ているが、どこか顔色も良い。
「お母さん!」
「英理…」
「蘭…貴方も…来てくれたの」
「大丈夫?おばさん」
「コナン君も…ありがとう、大丈夫よ」
小五郎達が英理に声をかける。
「杉下さんに冠城さんも…」
「ご無事で何よりでした」
「お二人が救急車を呼んでくださったんだ」
「そう…ありがとうございました」
「取りあえず今はゆっくり休んでください」
杉下達に気づいた英理は、小五郎からの説明を聞き礼を言う。
「念の為、大事をとって今日一日は入院した方が良いかと思われます」
「そうですか…よろしくお願いします」
医師から今後について説明を受けた小五郎は英理の事を託す。
それを聞き、医師と看護師達によって英理は病室に運ばれていった。
「…しかし、警部殿に続き英理まで。これは偶然なのか…?」
「確か、チョコレートを食べた途端倒れたとか」
白鳥が側に控えていた所轄の刑事に質問する。
「ええ、事務所の郵便受けに差出人不明で入っていたそうです」
と、刑事は証拠品袋に入れたチョコレートの紙袋を見せる。
その紙袋を見て小五郎が驚きの声をあげた。
「『ジゴバ』だ!それに、この紙製の花…」
「まさか、同じ犯人?」
白鳥がある可能性に気づき、深刻そうな顔を浮かべる。
「毛利さん、『ジゴバ』をご存じで?」
そこに、小五郎の驚きように引っかかった杉下が声をかける。
「ええ…英理が好きなブランドです」
「そうですか…しかし、妙ですねぇ…」
「?どうしたんです?右京さん」
首をかしげる杉下に冠城が問いかける。
「差出人不明で送られてきたチョコレートなど、普通なら怪しんで口にはしません。しっかりされている妃先生なら猶更でしょう。しかし、実際には特に不審に思わず食べてしまった…」
「確かに妙ですね…まさか誰が送ったか分かっていた訳でも無いですし…」
「…あっ!そういえば先生、チョコレートを送った犯人は誰か分かっていると仰っていました…」
英理にチョコレートを渡したときの事を思い出し、栗山が声をあげる。
「…本当ですか?」
「という事は…少なくとも誰が送って来たか妃先生なりに分かった上で口にした…」
「…もしかして、おじさんが送ったと思ったんじゃない?」
話を聞いていたコナンはふと先日のある一件を思い出した。
「どういう事だ?」
「ほら、この間おばさんと皆で食事をした時おじさん、おばさんを怒らせちゃったじゃない?」
「食事…そういえばそのような事をお会いした時仰っていましたねぇ」
「そっか…!それのお詫びにお父さんが送ったと思い込んだのね!」
「うん。でも、名前入りで送るのも恥ずかしい、だから名乗らずに郵便受けに入れた…そう考えたとしたら?」
「なるほど…英理が無警戒に食べたとしても不思議じゃないな…」
コナンの推理に一同がだんだん状況を理解してくる。
「しかしこの紙製の花…同一犯だとしたら一体…」
「それに、警察関係者だと考えていたら次は妃先生です。今後誰が狙われるのか…」
「あぁ、それなんですが…」
小五郎と白鳥が頭を抱えていると、杉下がそこに口を挟む。
「実は、狙われる法則性が分かったかもしれません」
「本当ですか!?」
「もしかして、この遺留品が何なのか分かったの!?」
「ええ、二つともトランプの絵柄に関係しています」
「トランプ?」
「…そうか!キングの持ってる剣!」
コナンは思い至った遺留品の正体について、一同に杉下は説明を始めた。
***
「…そして、この紙製の花。スペードのクイーンに描かれている花とそっくりです。恐らく間違いないでしょう」
「なるほど…もし杉下警部の推理が当たっているなら、次はスペードのジャック。11に関係する人が狙われるという事ですか…」
白鳥が杉下の推理を聞き、次の標的について思案する。
「ええ…そして、目暮警部、妃先生、お二人に共通する何かに関係する人でしょう…」
「しかし妃先生が狙われた以上、警察関係者という線は薄くなりましたよね?」
「ええ…他に可能性があるとすれば、例えば…」
と、杉下は小五郎の方に顔を向ける。
「…俺っすか?」
「…ええ。あくまで可能性ではありますが、お二人とも毛利さんと縁深い方です。勿論、そう言い出すと他にも沢山いらっしゃいますがね。ですが、念の為警戒した方が良いでしょう」
「うーん…しかし杉下警部殿…俺の知り合いに11に関連する名前なんていなかったと思うのですが…」
「まあ、一度調べてみて頂けますか。思いもよらない方かもしれませんから」
***
昼過ぎ、特命係。
病院から戻ってきてずっと、杉下は自席で考えに耽っていた。
「…右京さん、どうかしたんですか?」
杉下の様子を訝しんだ冠城が声をかける。
「ええ…次の11に関連する人物を絞り込む方法が、何か無いものかと思いましてねぇ…」
「確かに、今のままじゃ調べるのは骨ですしね」
「それに、まだ本当に毛利さんが共通点なのか確証がありません。もっと他にも、可能性がある人物が…」
と、杉下はふと引っかかりを覚える。
(目暮警部…妃先生…共通点は毛利さんだけでなく、例えば蘭さんもそうです…そして…)
「っ!まさか!!…いやですが」
「!?どうしたんですか…?」
ある可能性に思い当たり突然立ち上がった杉下。
「…先程、狙われる共通点に毛利さんと縁深い人物の可能性を上げました。しかし、もう一つ。可能性があったんです」
「…え?一体何です?」
「工藤君です。彼も、お二人と縁深い人物と言えます」
「まあ確かにそうですが、それを言い出したら毛利さんと同じく…まさか」
冠城は杉下が何を言いたいのか辿り着く。
「黒ずくめの組織…?」
「…ええ。万が一、工藤君の生存がバレているとしたら今回の事件は彼らの仕業と考える事も出来ます」
「まさか…じゃあ、次に狙われるのは工藤君の関係者の中に!?」
「…ですが正直、可能性は限りなく低いと思われますが…」
「…というと?」
「考えても見てください。彼らは雲を掴むような存在。決して証拠を残すことはなく、このような遺留品を残すのはらしくありません。また彼らがもし本当に犯行を行っているのなら真っ先に工藤君を狙うはずです。勿論、工藤君の居場所が分からず誘き寄せるため、と考える事も出来ますが、にしては妃先生を狙うのは回りくどい気がしますねぇ」
「確かに、その場合は真っ先に仲の良かった蘭ちゃんや阿笠博士を狙うでしょうね…」
「…とにかく、念の為工藤君には伝えておいた方が良いでしょう。万が一があってはいけません」
万が一とはいえ、事の重大さに内心焦りを覚えている杉下は自分の携帯に手を伸ばす。
その時、突然狙いすましたかのように携帯が鳴る。
相手は、コナンだった。
「!…工藤君です!もしもし?今ちょうど連絡を取ろうとしていたところでして…」
『杉下さん!阿笠博士が襲われました!!』
「…何ですって!?」
残念ながら阿笠博士への襲撃も行われてしまいました。
流石に杉下はたどり着けませんでした。ご存じの方も多いでしょうが、流石に知らないと分からんと思います…笑
阿笠博士の本名は次回にて。
さて遂に本日、相棒21が始まりますね。
いやはや、情報公開から楽しみ過ぎてウズウズしていました。
亀山がどのように帰ってくるのか、本当に楽しみです。
皆様21時、楽しみましょう!
TwitterID @esaya_syosetu