名探偵コナン×相棒   作:餌屋

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大変長らくお待たせしました。
プロットの修正と超絶怒涛の繁忙期により執筆が滞っておりました。



2-4「小五郎の過去」

 

米花中央病院。

 

 

「本当に…ご無事でなによりでした」

「わざわざすまんのう。杉下警部、冠城君」

 

阿笠の病室に杉下達やコナン達が勢ぞろいしていた。

 

自宅にて突如何者かにボウガンで襲われた阿笠だったが、運よくお尻の部分を刺されただけで済んだ。

今は大事を取った方が良いと入院し、ベッドで仰向けになっている。

 

「それで、今回もトランプの遺留品が?」

「ええ、コナン君が見つけてくれました」

 

冠城が話を振ると、白鳥が遺留品を撮った写真を取り出して見せてくれた。

そこには、庭に細長い8の字のように捻じられたモチーフが残されているのが写っていた。

 

「なるほど、確かにスペードの11に描かれている物ですねぇ」

「…しかしまさか阿笠博士のお名前が博士(ひろし)とは思いませんでした」

「ハハハ、良く言われるよ」

 

実は阿笠博士の名前は『阿笠 博士(あがさ ひろし)』という。

 

「『士』はバラすと漢数字の十一…良く犯人は名前を知る事が出来ましたねぇ…」

「相当調べ上げてるって事ですなぁ…」

 

小五郎が杉下の疑問に、眉間に皺を寄せて唸りながら応じた。

 

「でも、なんでわざわざスペードのトランプを選んでるのかしら…?」

 

素朴な疑問を口にする蘭に、白鳥が答える。

 

「…スペードには死の意味があるんですよ」

「死?」

「同じようにハートは愛、ダイヤは金銭、クラブは幸福を意味していると言われています」

「…これで犯人は、死のトランプになぞらえて名前に数字の入っている13から1の人物を順に殺そうとしているのが確定したな」

「それも多分…おじさんに関係のあるね」

 

コナンの一言に一同に戦慄が走る。

 

「コナン君が見たというバイクはどうだったんです?」

「ナンバーを調べましたがやはり盗難車でした」

 

冠城の問いに白鳥が答える。

手掛かりの無い状況に考え込んでしまう一同。

 

 

そこにノックが響く。

入ってきたのはいつもの服に身を包んだ目暮だった。

 

「目暮警部!?」

「どうしてここへ…」

「いやなに、英理さんに続いて阿笠博士まで狙われたと聞いてな」

「しかし傷口はまだ…」

「ちゃーんと縫ってあるから大丈夫だ」

 

安心させるように笑顔で話す目暮。

しかしすぐ真剣な顔つきになる。

 

「話は聞いたよ。犯人は恐らく…村上丈だ」

「村上丈…!」

「何者ですか?」

「一匹狼のカード賭博のディーラーでな。10年前に殺人事件を起こして、1週間前に仮出所をしている」

 

そう言って目暮は懐から1枚の写真を取り出す。

 

「これが10年前の村上だ」

 

そこにはカジノで客相手に左手でトランプを配る村上が写っていた。

 

「村上か…確かに奴なら俺に恨みを抱いていてもおかしくないな…」

「…何か?」

 

小五郎が思い返すかのように呟く。

因縁を感じさせる発言に杉下が問いかけた。

 

「当時、奴を逮捕したのが俺だからです」

「そんなぁ!刑事が犯人を逮捕するのは当たり前じゃないの!」

「…それはそうなんだが」

 

蘭がもっともな不満を口にするが、それにバツの悪そうな顔で返す小五郎。

 

「そういえば僕も聞いたことがあります。確かその男は所轄署に連行された後で…」

「白鳥君!!その話はもう良い…!」

「え、は、はあ…」

 

白鳥が自分の耳にした内容を話そうとするが、強めの口調で目暮が遮ってしまう。

 

「…とにかく、奴は毛利君の周りの人間を襲う事で、じわじわと苦しめていくつもりなんだろう…」

「くっ…」

「ねえ、おじさんの知り合いに10のつく人はいないの?次に狙われるのはその人かもしれないよ!?」

「うーむ…10、じゅう…とお…ま、まさか、十和子さん!!」

「十和子さん、ですか?」

 

聞きなれない名前に杉下が問いかける。

 

「良く世話になってる銀座のクラブのママです。彼女の名前には漢字の10が付いています!」

「なるほど…よし。取りあえず彼女のところへ行ってみるぞ!」

 

目暮の号令で、皆が部屋を出ていく。

ところが、杉下達は付いていく素振りを見せない。

その事に気づいたコナンは杉下に近づいて小声で問いかけた。

 

「…どうしたんですか?杉下警部」

「…いえ、ちょっと気になる事がありまして。そちらは君にお任せします」

「…わかりました」

「…また合流して、情報交換をするという事で」

「…了解です。何かあれば連絡します」

「…充分気を付けてくださいね…まだ可能性は低いですが『彼ら』の仕業の可能性もありえますから」

「…『彼ら』…っ!!…分かりました」

 

そうして杉下と手短に予定を決めたコナンは小走りで小五郎達を追いかけていった。

 

「二人ともどうかしたのかね」

「いえ、あちらは彼に任せて我々は別の方面から調べてみようと思いましてね」

「なるほど」

「それでは我々もこれで」

「お大事になさってくださいね」

「ありがとう。頼みましたぞ」

 

阿笠に挨拶を済ませ、杉下達も病室を出て行く。

 

「しかし、どうします?調べるといっても、一体何を調べればいいやら…」

「…そうですねぇ。まずは、村上丈について僕達も調べてみましょう」

「わかりました。取りあえず俺は資料室に行ってみます。今日は徹夜になりそうですねぇ…」

 

廊下を歩きつつ、今後の動き方を決めた二人は足早に警視庁へ帰っていった。

 

 

***

 

 

翌日午前、特命係。

 

 

「おっす。暇か?…じゃないみたいだな」

「おはようございます」

「見りゃ分かるでしょ。忙しくてゆうべは寝てませんよ…」

 

いつものようにコーヒーを入れに来た角田課長が調べ物をする杉下達を見て苦笑いを浮かべる。

 

「やっぱり例のトランプ事件について調べてるのか?あの『ジョーカー』が容疑者らしいな」

「『ジョーカー』、村上の当時のあだ名ですか」

「あれ、課長は村上をご存じなんですか?」

「お前俺を誰だと思ってんの?組対よ?あいつの逮捕の時は俺らも一課に協力してたんだから」

 

思わぬ繋がりに、杉下は立ち上がって課長にずいずいと近づく。

 

「課長、一つよろしいですか?」

「…お前の『一つよろしいですか』は怖えんだよ…」

 

課長のツッコミを無視して杉下は話を続ける。

 

「10年前、村上丈を逮捕した時に一体何があったのか教えて頂けませんでしょうか」

「何って…」

「どうも妙なんです。調べているとどうやら村上を逮捕した後間もなく、毛利さんが警察を依願退職されているようなんですよ」

「…それは」

「警察のデータベースを調べても詳しい事が載っておらず、誰に伺えば良いものかと困っていたところでして…いかがですか」

「…ったく。まあどうせお前ならすぐ調べるだろうしな」

 

呆れたようにため息をついた課長は、近くのソファーに座ると当時の事を話し出した。

 

「10年前。所轄署の刑事だった毛利と当時警部補だった一課の目暮は必死の捜査で遂に村上を逮捕した。

その後すぐの取り調べで、村上がトイレに行きたいと言い出してな。係りの警官に一緒について行かせて自分達は一服することにしたらしい。

だが…一瞬の隙を突きやがった村上は、警官の持っていた拳銃を奪いやがった」

「拳銃を?」

「それは…大問題ですね」

「…だがそれ以上に問題だったのは、トイレから出てきた村上が側にいた民間人を人質に取ったんだ」

「人質!?」

「その民間人というのはまさか…」

「ああ。ちょうどその時、毛利の娘の…蘭ちゃんだったか?あの子と一緒に着替えを持ってきた嫁さんの妃英理が人質にされちまってな。もう最悪だよ。このままじゃあとんでもねえ事になっちまう。そう思っていたんだが…」

「…だが?」

「…毛利はためらう事無く撃ちやがった」

「ええ!?」

「…」

 

思わぬ内容に驚く冠城と、対照的に黙り込む杉下。

 

「しかもその弾は嫁さんの足をかすめ、その場に転倒。それに気を取られた村上に毛利はすかさず二発目を撃って奴を制圧した」

「人質に当たっているだなんて…」

「…そのような事が」

「当時上の方でも、人質に構わず撃った事が問題視されてな。そのすぐ後だよ、毛利が警察を依願退職したのは」

「毛利さんは、発砲した事について何と?」

「詳しくは知らん。ただ噂じゃあ『村上に当てられると高を括ってた』って一部には言われてる…警察一の射撃の天才と言われた男、数少ないミスショットって訳だ」

「ミスショット、ですか」

「ま、そんな訳だ。まあ撃たれた村上からすりゃあ恨んでもおかしくはないわな」

 

小五郎の驚きの過去話を終えた課長は立ち上がり特命係を出て行った。

 

「驚きましたね。そんな過去があったとは…」

「…本当にミスショットだったのでしょうか?」

「と言いますと?」

「僕は常日頃から言っている通り、拳銃が嫌いです。発砲した毛利さんを認める気もありません。しかし…あの毛利さんが、幾ら自信があったとはいえ奥さんが危険にさらされているのに、腕前に驕って短絡的に発砲するとは思えないのですがねぇ…」

「まあ、確かにそんな人には見えませんよね…でもミスショットじゃないなら何で妃先生に一発目を…まさかわざと当てた訳じゃあるまいし」

「わざと…なるほど、わざとですか…」

 

ピピピ…

 

その時、杉下の携帯にメッセージが入る。

 

「…工藤君からです。どうやら新しく10のつく人物が見つかったようですね」

「本当ですか!?誰です?」

「プロゴルファーの辻弘樹さんだそうです。毛利さんのご友人だそうですねぇ。今から趣味でヘリコプターを操縦しに行くとの事で空港に向かっているそうです」

「え、あの辻弘樹ですか?毛利さん、交友関係がお広いんですね…」

「妙ですねぇ…」

 

コナンからの連絡に考え込む杉下。

 

「何が妙なんです?」

「…もし村上丈が犯人ならば、あまりにも毛利さんの交友関係を知りすぎでは無いでしょうか。仮出所したのは1週間前の筈です」

「確かに…家族や同僚ならまだしも、プロゴルファーの友人まで調べ上げるには相当な労力が要るはずですよね」

「しかも、犯人は妃先生が好きなチョコレートの銘柄まで知っていました。少なくとも、毛利さんの事を良く知っている人物の協力が無いと不可能な筈です」

「じゃあ、まさか共犯?」

「…断定するには手掛かりがまだまだ足りません。取りあえず辻さんの方は工藤君に任せて僕達は出所してからの村上の足取りを追いましょう」

 

 

この後しばらくして、コナンから杉下に連絡が届く。

 

辻とコナン達が乗ったヘリコプターが不時着。大破炎上したとの知らせだった。

 

 

***

 

 

 

 

 

ああ、私だ。

 

…そうか、奴を消すか。

 

丁度いいタイミングだった。

 

都合よく明日、オープン予定の奴の商業施設に招待を受けていてな。

 

機会があればその時に済ませるとしよう。

 

ふふ、安心しろ。私もまだまだ動ける。

 

ああ。また連絡する。じゃあな、

 

 

 

ジン。

 

 

 





改めまして、大変お待たせしました。
リハビリも兼ねての4話でしたが、いかがでしたでしょうか。
執筆力がまた落ちている気がして不安で仕方ない自分がいます…笑
拙い点がありましたら申し訳ありません。

また、いつも閲覧、感想ありがとうございます。
誤字報告もありがとうございます。非常に助かります。



阿笠博士の本名がまんま博士(ひろし)は流石に気づきませんよね。
原作では当然のようにコナンが博士の本名を言っていましたが、その前に説明ありましたっけ…?
分かる訳ねえよ!と当時から突っ込んでいた覚えがあるのですが。


杉下とコナンが手分けして捜査を始めました。
今回以降どんどんコナンと杉下の協力捜査が増えてきます。
お楽しみに。


今後の事を考え、タグに「オリジナル展開」を追加しました。
原作コナンとも違う展開になります。お楽しみに。


感想返信についてですが、大変申し訳ありません。
個人的都合により今後お返しできない場合があります。
全て目を通してはいますのでその点に関してはご安心ください。

これからも楽しんで執筆続けてまいります。
応援よろしくお願いいたします。



さて、繁忙期がまだまだ終わりませんが、何とか今年中に標的編を終わらせたいため鋭意執筆中です。更新は未定としか言えませんがご容赦ください。頑張ります!


ではまた。


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