正直に手を上げなさい。先生怒らないから。
だって先生もこのままじゃすげえ空いちゃうって思ったから。
※26/4/3、一部展開を修正。
「おや、益子さん。早速来ていただいたんですね」
「あぁ、そりゃあ官房付が直々に捜査しろって指示だしゃあな・・・上の連中も流石に動くだろ」
しばらく経ち、会場の従業員用ドアが開かれるとそこから警視庁・鑑識課の益子桑栄(ましこそうえい)が部下を引き連れて現れた。
「さて、今日はウチのトメさん達の班と合同で来たからな。いつもより仕事がしやすいや」
「それは心強いですねぇ」
「官房付からさっさと事件解決しろって言われてんだろ?何かわかったらすぐ教えてやるから邪魔しないでくれよ?」
「勿論、よろしくお願いします」
そう言うと、益子は部下達に指示を出し鑑識作業を行いに散っていく。
(さて、今の間にロビーで冠城君に調べてもらいましょうか)
杉下はスマホを取り出すと冠城にメッセージを手早く送る。
その手にはスマホと一緒に、コナンから手渡されてた紫色のハンカチがあった。
***
ロビー側。
「『紫色のハンカチを持っている筈の人物を調べてください』って言われても右京さん・・・一体どう調べればいいのか・・・」
冠城はコナンと灰原のガードにも注意を払いながら、杉下からの依頼に頭を悩ませる。
「受付で聞けばわかるかも知れないですよ?」
「え、どういう事だい?」
困った様子の冠城に何でもないように声をかけるコナン。
「あのハンカチには『酒巻監督を偲ぶ会』って会の名前が縫い付けられていました。恐らくあれは持ち主がここの受付でもらったハンカチなんですよ」
「それがなんだっていうのよ?持ち主の名前が書いている訳じゃあるまいし」
コナンの解説に灰原が疑問を投げる。
「じゃあ周り見てみろよ。会場の外でたむろしていた参加者達が何人もいるけど皆色の違うハンカチを持ってんだろ?」
「そういえば・・・俺も受付で記帳した時にハンカチを貰ったな、赤色の」
「恐らく監督の代表作にかけて七色のハンカチをランダムに配ったんですよ。つまり受付で調べたら紫色のハンカチを貰った人物をある程度特定できるって訳です」
コナンの話に納得が行った様子の冠城。
「なるほど・・・じゃあ早速、受付で話を聞いてみようか」
そして冠城達は人ごみを掻き分け受付に早速向かっていった。
***
杯戸シティホテル周辺 路上
路上に停車しているポルシェ356A。
その中でウォッカは隣に座るジンに恐る恐る声をかける。
自身が兄貴と慕うジンが、自分の報告で確実に不機嫌になる事が簡単に予想できたから。
「あ、兄貴・・・」
「・・・なんだ。やっとピスコから連絡が来たか?」
「あ、いや・・・バーボンからでして」
その名前にジンの不機嫌度が更に増す。
「・・・バーボン?ベルモットと一緒にサポートに入ってるあの野郎が一体何の連絡をしてきたってんだ?」
「と、取り敢えず、呑口はピスコが殺ったようです。ただ・・・」
「・・・ただ?」
「・・・早々にサツの連中が現れて会場周辺は封鎖・・・殺しの疑いで他の連中と一緒にピスコも中に缶詰だとか」
「・・・は?」
既にジンの不機嫌度は怒りを通り越していると理解しているが、ウォッカはまだ伝えなければならない事があった。
「ベルモットとバーボンがカバーに回ってるようですが・・・しかもですね」
「・・・まだ何かあんのか」
「バーボンからのメールに添付されたファイルを見てみたらこんなのが・・・」
とウォッカはモバイルPCの画面を見せる。
そこに映し出された物を見たジンは目を見開き、しばらく固まった後、口の端を上げニヤリと悪辣な笑みを浮かべる。
「・・・やれやれ。こいつは『あの方』に報告しねえとな・・・」
ジンの笑顔を眺めながらウォッカは理解する。
もうすぐあの男の『終わり』が来るのだと。
***
ロビー 受付
「紫のハンカチを渡した人?」
警戒されないよう、コナンが受付の女性にハンカチを拾った事を伝え情報を聞き出そうとする。
「うん!落とした人に返したくて!あのハンカチ、後で何かに使うつもりだったんじゃない?」
「ええ、会の終わりに色を決めて、その色のハンカチを持っている人にコメントを貰う予定になってたみたいだけど・・・」
「じゃあ名前教えてくれない?持っていない人捜して渡すからさ!」
「え、ええと・・・」
困惑する女性に冠城が更に声をかける。
「すみません、突然。あ、僕警察の者なんですが・・・」
「け、警察?」
「この子達の優しさに心打たれまして協力を・・・是非貴女もご協力いただけませんか?」
「・・・わ、わかりました///」
冠城のさわやかな笑顔に頬を染める女性。
なお、そんな冠城をコナンと灰原がジト目で見ているのを冠城は意図的に無視したのは余談である。
***
「・・・というわけで、これでハンカチの持ち主候補が分かった訳だね」
「・・・」
「・・・」
「いい加減その冷たい目辞めてくれない?」
とはいえ何だかんだで引き続くジト目に流石に気まずくなってきた冠城。
「・・・ま、これを杉下警部に送れば依頼解決ですね」
「さてこの7人が一体どう関わってくるのか・・・それに」
「・・・しっかり入ってますね。枡山さん」
「・・・やっぱり。怪しさ満点すぎるね。やっぱりあのハンカチが何か鍵を握っているのかな」
と、得られた情報で推理を巡らせている一同。
その時。
「・・・っ!?!?!?」
灰原が突然体を震わせ始める。
「・・・?ど、どうした灰原?」
「・・・き、急に寒気が・・・彼らが・・・彼らが近づいてきてる・・・!」
「彼らって・・・!まさか!」
「ずっと嫌な感覚はあったけど・・・ここまでじゃなかった!早く・・・早くここから離れましょう・・・!」
「冠城さん!急いでホテル前の博士の所に戻ろう!!」
突然の灰原の豹変と焦りだしたコナンに困惑する冠城。
「え、一体どうしたんだい?」
「あいつらが・・・
組織の連中が集まってきてるかもしれない!!」
***
一方その頃。
会場内で杉下は一人、事件当時の流れを思い出していた。
(あの時、会場の明かりが消えて、スライドショーが始まりました。
その途中、フラッシュのような光が起きて・・・
その後、かすかに何というか・・・キュインという音が聞こえて・・・)
あの時、一体何が起きたのか。
謎を解くピースを手に入れればすぐにはめ込めるように形を整えていく杉下。
そこに益子が声をかけてきた。
「おう、待たせたな」
「あぁ、何か分かりましたか?」
ピースが手に入ることを期待する杉下。
「まあ、色々とな。とはいっても大した程の成果は無かったが・・・」
「というと?」
「まずこれだ」
と、懐から証拠品入れのビニール袋を取り出す益子。
そこには鎖の破片が入ってあった。
「鎖の破片ですか?」
「ああ、シャンデリア側の飯ん中に入ってあった。多分シャンデリアが落ちた時に飛び散ったんだろう・・・しかもこいつに微量だが蛍光塗料の跡があった」
「蛍光塗料?」
「ホントに極わずかしか残っていなかったがな。多分落ちる前はここに塗料が付いているって知らなきゃ気付かないレベルだったかもしれねえ」
「良く気づきましたねぇ」
「トメさんが見つけたんだよ。それも偶々体の影になって気付いたレベルだったみたいだがな」
「なるほど・・・しかしこんな塗料があったとなると」
「ま、何か仕掛けがあったのかなんなのかは分かんねえが・・・蛍光塗料がついてただけで『はい、これは殺人の証拠です』とはならんだろ」
そうため息をつく益子。
(確かに、これだけは何とも言えませんが・・・あの謎の音・・・)
「それに殺人ってなると、ガイシャを何とかしてシャンデリアの真下に連れてこないといけない訳だろ?その後どうやってシャンデリアを落としたのかも分からねえしなあ」
「真下に連れてくる方法はある程度察しがつきます」
「え、おいマジか?」
「ですが、益子さんがおっしゃる通りどうやってシャンデリアを落としたのかが・・・蛍光塗料を目印に何かした?・・・っ・・・まさか」
と杉下はある事に気づきハンカチを取り出して広げる。
「おい、なんだよそのハンカチ」
「・・・事件当時、近くに落ちていたハンカチを僕が預かっていたんです。一体どのような関係があるのかと思っていましたが・・・益子さん、ここを」
と、益子にハンカチの一部分を見せる。
「ん?・・・おいこの焦げ・・・まさか拳銃の火花か?」
「硝煙反応検査は必要でしょうが・・・可能性はあります」
「よし待ってろ、すぐやってきてやる」
そういうと杉下からハンカチを受け取り、小走りで部下のもとに走っていく益子。
その背中を見送った杉下に小さく声がかかった。
「杉下さん」
「ん・・・貴方は、安室さん?」
杉下が振り返るとそこには先日枡山邸近くで出会った探偵、安室透がウェイター姿で立っていた。
「そういえば貴方も参加すると言っていましたね」
「ええ、それがまさかこんな事件が起きるだなんて・・・大変な事になってますね」
「まあ、流石に人が亡くなりましたからねぇ・・・それはそうと貴方は確か『別件』とやらで参加すると仰っていましたがそちらも大変なのでは?」
「そりゃあまあ、この状況ですから。僕の方もどうしようも無くなってしまってますね」
「なるほど・・・それはそれは・・・」
「ところで・・・」
と安室は芝居がかった仕草で話を変える。
「シャンデリアが落ちる前のあの光。何が光ったのか分かったんですか?」
「光?あぁ、あれですか」
「いやあ、ウェイター仲間が色々話題にしてましてね?多分どこかの雑誌社のカメラマンが炊いたフラッシュだとは思うんですが」
「まあでしょうねぇ」
「でもその後、シャンデリアが落ちたじゃないですか?だからあの光は何か重要なシーンを映しているんだ!とか言う人もいて・・・そんな都合の良い話、ある訳ないと思うんです・・・けど」
「・・・けど?」
杉下の問いに安室は微笑みを浮かべる。
「さっきそこで週刊フォトスのカメラマンを見かけたもので・・・あの雑誌のカメラマンがシャッターを切ったという事は何かとんでもない写真が取れているんじゃないかな、と」
***
あれは、バーボン・・・一緒にいるのはさっき『彼』と話していた刑事・・・?
・・・ふぅん・・・
※後書き26/4/3修正(最後に追記)
5話でした。
大はしごで天井の銃弾見つけるくだりはごめんなさい。マジでご都合主義です。
でも!!!言い訳させてくれ!!!
普通死人が出てたら現場検証と鑑識作業はするもんじゃないんですか!?!?!?
シャンデリアも確認しませんか!!!!
・・・違うのかな?(;^ω^)
まあ大目に見て頂けますと助かります。
前回、たくさんのコメント、UA、お気に入りなどなど本当にありがとうございました!
日刊ランキングも乗りました!
本当ありがたすぎて仕事中泣きました(割とマジ)
最近暑かったり寒かったり本当おかしな天気ですが、皆様体調には十分お気をつけくださいませ。
なお私は喉がいかれてきました。
勘弁しちくり。
それではまた次回。
餌屋TwitterID @esaya_syosetu
※追記
修正前、大はしごで天井に銃弾があるのを見つけるくだりがありました。
そちらのくだりは削除。
修正し、天井から発見はしないが、杉下右京の脳細胞フル回転で、拳銃を使った可能性に気づく・・・という流れに変更しました。
・・・前回投稿後、友人に「流石にご都合主義が過ぎる」と言われてしまいました(;^ω^)
まあ修正後もご都合主義はご都合主義なのですが、原作の流れを考えればまだマシかなと思っています。
さて、全く更新しないままもう2026年になってしまいました。
申し訳ない。
次回はなるべく早く頑張って投稿します。