斬魄刀が完成形変体刀だった鎩(けん)   作:死神破面滅却師でハーレムしてぇなぁ!丸

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もしかしたら「鎩(つるぎ)」の字がバグるか潰れるかもしれない。


第一話

 

 

 世にBLEACH(ブリーチ)という漫画ありけり。

 そはジャンプ連載なり。

 主人公死神になりて斬魄刀(ざんぱくとう)もらい受けり。

 斬魄刀は普通の刀にあらず。

 そは悪行をなす堕ちし魂魄(ホロウ)を切る刀にして『始解』『卍解』を経て超常の異能を体得するものなり——

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ——(あのやろう)やりやがったなッ!

 

 

 転生して三分、目の前に置かれた一本の刀(転生特典)に添えられた説明書を読んだ俺は、思わず叫んだ。

 

 事の始まりは俺が死んだことに起因する。

 本来人生のフィナーレである『死』だが俺の場合ゴールテープの向こうにも続きがあったというか次の道が用意されていたらしく死後出会った神によれば俺は「刀で戦うしかない世界」に転生するほか無いのだという。

 

 しかし現代社会でのうのうと生きて来た一般人にはいささか厳しかろう。すぐ死んでもおも——可哀そうなんで転生特典をやろう。そうだ、刀語(かたながたり)完成形変体刀(かんせいけいへんたいとう)なんてどうかな?

 

 なんとも殺伐とした来世に心が死につつあった俺にその提案は深く刺さった。

 刀語とは一本で一国を買えると言われる刀12本を集める時代小説であり、その対象である完成形変体刀は刀とは名ばかりに実態は分子破壊機構を内蔵した絶対切断装置だったりAIの組まれた自動人形だったりなんなら火薬で鉛玉を打ち出す拳銃だったりほぼほぼオーパーツ、いろんな意味でオーパーツな代物だ。

 それは本当に刀なのか? と思うだろうが極論を言えば刀鍛冶が日本で作った刀剣だから日本刀で間違いないし問題はそこではない。

 

 銃と剣、果たしてどちらが強いだろう。

 

 剣道三倍段理論で言わせてもらえば拳銃万倍段であり刀剣が闊歩する世界ならまず負けは無いどころか無双できてしまう。それどころか俺TUEEEも夢ではない。おまけにそれなりの剣術の才もくれるというのだ。俺は神の懐の広さに脱帽した。

 あまりに話がうますぎるので「実は剣が不遇な剣と魔法のRPG世界なのでは?」と訝しんだ俺だが、それすら見越して「大丈夫! 魔法とか無いから!」と太鼓判まで貰ってしまう始末。疑った自分を恥じる勢いだ。

 そうしてのこのこ転生を終えた俺が目にしたのは文明を感じさせない野山な光景と目の前に置かれた一本の刀。そして手紙。

 

 

 ——え、12本全部くれるんじゃないの?

 

 

 しかも橙色のデザインからして本来は()()()()()()()な筈の()()を前になんだか嫌な予感に襲われつつ、俺は震える手で手紙を開く。

 

 

一行目、「魔法は無いけど鬼道はあるよ!」

二行目、「そしてこれが君の斬魄刀!」

三行目、「そしてここはBLEACHの世界。読んでたから知ってるよね?」

四行目、「因みに原作開始前だから。ヨン様もユーハバッハもご存命だ! 頑張れ!」

 

 

 ——(あのやろう)やりやがったなッ!

 

 

 そして現在に至る。

 正直確認を怠った俺も悪いが、しかし刀のチョイスからしてやる気でやっている。確信犯だ。

 一本なのはまだいい。確かに完成形変体刀は貰ったわけだし。

 

 

 ——でもよりによって千刀(せんとう)(つるぎ)かよ!

 

 

 金()()に殺すと書いて、鎩。厳密には()が一画足されてるらしいがどこかは知らない。

 なんとも物騒な名前だがそのオーパーツポイントは絶対に壊れない「頑丈さ」でもなんでも切れる「切れ味」でも圧倒的な「防御力」でも死さえ許さない「活性力」でもない。

 

 この刀の強みは圧倒的な「多さ」。

 

 材質から切れ味、使い心地に至るまで1000本すべてありとあらゆるものが同一な絶対的消耗品としての刀。時代にそぐわない技術で大量生産された以外は()()()()()である。

 

 うん、いや、伝説の刀鍛冶が作った由緒正しい名刀なのは事実なんだよ。しかも神のお墨付きだし。でもさぁ⋯⋯

 

 触れた箇所から物質問わず朽ちていく息や、一目見ただけで一生かかる現実とそん色ない催眠がある世界で、普通の名刀。

 

 過去改編や未来の取捨選択をしてくる敵がいる世界で普通の名刀。

 

 というか他の斬魄刀も普通に伝説の刀鍛冶が打った名刀だし⋯⋯そのうえで強い奴は特殊能力が付いてるし⋯⋯そもそもこれ一本だし⋯⋯単刀・(つるぎ)だし⋯⋯

 

 というかこれただの日本刀じゃね?

 どうやって戦えばいいんだ!!! (切実)

 

 

 まあBLEACHに転生したからと言って戦う必要性は無いのだが、無いのだけれど、原作キャラとは関わりたい。しかし見渡す限りの大自然に電線の一本も無いのを見るに、ここはすでに尸魂界(ソウルソサエティ)な気がする。ならば関わるには死神になって火中に手を突っ込むしかない。というか、「転生」っつうか死んでんじゃん。

 そうしてしばらく俺はふてくされた。周囲に誰もいないのをいいことに、はらっぱに我が物顔で寝転んで気づけば夜だ。晴れてはいるが、なかなか寒い。そこかしこから遠吠えや何かがうごめく音がひっきりなしだ。

 気分はソロキャン、いや遭難か。え、遭難してんの俺? 熊とかイノシシとか襲ってきたらどうしよう。

 

 恐怖に耐えかねた俺はついに半日無視していた橙色の鞘に手を伸ばした。

 

 ところでこの時の俺は完全に忘れていたのだが、完成形変体刀には一本を除き共通のデメリットがある。それは剣士にこそ効く刀の毒。見ると欲しくなり、持てば使いたくなるというもの。

 

 刀の使い道なんぞ、一つしかない。

 

 なのでこの後不意に人里に降りて2、3人切り倒したとしてもそれは仕方のない事である。

 

 

「⋯⋯やっちまった。しかもコイツ刀持ってるし⋯⋯これ斬魄刀か? いいなぁ、特殊能力あるんだろうなぁ。⋯⋯あれ? そういえば他人の斬魄刀も使えないわけじゃないんだっけ? ⋯⋯⋯⋯持って帰ろ」

 

 

 こうして俺は転生初日にして追われる身となった。

 

 

 

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