夏の魔物   作:ぺもんちょふ

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どうも、甲子園の季節ですね。
というわけで野球のお話書いていきます。


プロローグ

4月とはいえ少し暑さが目立つ今日この頃。

入学式を終えた私はなぜかキャッチボールをしていた。

 

「光ちゃん!どうしてこんなにいいボールを持ってるのに野球してないの!?もったいない!」

 

何がもったいないのか理解できない。

大して運動もしてこなかった私はもちろんスポーツ観戦などしたことがないし興味もない。それより昨日録画した恋愛ドラマの続きが見たいくらいだ。ただ”若干”コミュ障な私はそんなことは言えず、

 

「い、いえ。そそ、そんなことわぁ…」

 

とどもる。

 

「本当に野球したことないの?ドッヂボールとかは?」

 

「ほほほ、本当です。あ、でもドッヂボールなら小学生の時に…」

 

「だよねだよね!そうじゃなかったらこんなに投球フォームが綺麗…」

 

「体育の時間にやったことが…」

 

コミュ障の弱点。会話かぶりが発動。

すると彼女の顔が決して女の子がしてはいけない顔へと変わってしまった。

何というか、そう、とてもブチャイクな顔をしていた。

 

「はは…嘘はいけないよ光の旦那ぁ…」

 

ブチャイクな顔のまま渋い声でしか口調まで変わってしまった。

 

「ほ、本当です」

 

「ああ!もうどうでもいいや!!光ちゃん。私の”ココ”めがけて思い切り投げてみて」

 

”ココ”と強調された胸元のグローブを注視する。距離にして約20メートルほどだろうか。正確な距離は分からないが大体そのくらいだろう。

 

「で、ですが…」

 

「いいから!投げてよ。変なところ行ってもいいからさ」

 

彼女はそんなことを言うがこんな石みたいなボールが誰かに当たってしまったら大ケガでは済まないかもしれない。私はこんなことで事故の加害者にはなりたくはない。

しかし彼女は頑なにグローブを胸元から下ろそうとはせず、そしてとても真剣なまなざしだった。

 

「変なところ行ってもし、知りませんからねっ…!」

 

別に投げないでしらを切ればよかったのかもしれない。だけどあまりの真剣なまなざしにちょっとだけ答えようと思ってしまった。

思い切り投げるならばさっきの緩い体の動かし方ではなく…。

もうちょっと踏み込んで、そして…。

腕を強く…振るっ!

そうして投じられた1球はみるみるうちに彼女のグローブへといい音を立てて収まった。

 

「想像以上だよ…。ナイスボール!!」

 

彼女はにっこりと笑い大きな声で私にそう言った。

そんな彼女の声は私の耳を通り過ぎていく。

誰でも聞き取れる高く透き通ったかわいい声。うれしそうな笑み。見た人をほれぼれさせるような彼女よりも。

今自分が投じた1球で指先がジンジンと熱く、そして何より今までに無いくらいの胸の高鳴りに支配されていた。

 

「…い。おーい。どうしたの?」

 

いつの間にか戻ってきた彼女が私の顔を覗き込む。

 

「あ、いえ…」

 

「よし、じゃあ…」

 

彼女がいたずらっ子のような笑みを浮かべて

 

「野球部作ろっか!」

 

なんて言い始めたのだった。




野球面白いですよね
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