ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか~金ぴかと白兎~ 作:kejan
ギルガメッシュ視点です。
頬に感じる風。わずかに感じる太陽の光。遠くから聞こえてくる人々の喧騒。
ゆっくりと目を開ける。
上空には青空が広がっているが、建物の影だからか薄暗い。どこかの路地裏なのだろう。
なぜ自分がこんなところにいるのかは思い出せない。また、英霊の座から召喚されたされたのかと考えたが、マスターらしき人物は見当たらない。
そして、何よりも不思議なことに受肉している。
寝起きだからか思考がまとまらない。
「ツッッ・・・!」
いろいろ考えようとした矢先、眉間に痛みが走る。
今の痛みで少しだけ思い出した。冬木の地で行われた第五次聖杯戦争。
『武器の貯蔵は十分か、英雄王』
忌まわしき正義の味方を語る偽善者と赤い外套をはためかせる贋作者の姿が思い出される。
確かにあの時、眉間を撃ち抜かれ我ーギルガメッシュは死んだはずだった。
改めて自分の体を見まわす。
切断されたはずの右腕はしっかりとついている。全身には傷どころか汚れすらついていない。
ん?何か足りないような、そう考えた瞬間だった。
「大丈夫ですか?」
いつの間に近寄ってきたのか白髪に赤い目をした少年がそばに立っていた。どうやら、路地裏で立ち尽くす我に気づき近づいてきたようである。
ひとまず少年と正対し答える。
「なに、少し考え事をしていただけだ。問題ない。」
そう伝えたのに対し少年は、目を見開き何かとんでもないものを見てしまったかのような表情をしている。
「なんで裸なんですかーーーー!?」
少年の絶叫が路地裏に響き渡る。
そうか、足りないのは服か。幾分開放的だと思ったわ。
「少し、待て。」
王の財宝を起動する。起動できたことにわずかに安堵する。何もない空間が歪み、中から服が現れる。
白いシャツと黒のライダースーツに着替える。
少年の様子を確認するが、驚いた顔をしている。構うことなく我は少年に問いを投げかける。
「貴様、名は何という?」
「ぼ、僕はベル、ベル・クラネルです。と、というか今何が起こって・・」
「では、ベル、ここはいったいどこだ?」
「どこといわれましても、ギルド近くの路地裏としか・・」
「たわけ。そういうことを聞いているのではない。国、もしくは都市の名を聞いている。」
「ここはオラリオです。迷宮都市オラリオ。」
聞いたことのない地名である。何はともあれ情報を集める必要がある。
「ベルよ、貴様にこの街を案内する権利をくれてやる。悦べ、クハハハハ!」
これが英雄王ギルガメッシュと冒険者ベル・クラネルの出会いだった。
読んでくださりありがとうございました。