ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか~金ぴかと白兎~ 作:kejan
彼が向かったのは。
ベル
気が付いたら店を飛び出していた。
人通りの少なくなった夜の大通りを駆け抜ける。
『雑魚じゃアイズ・ヴァレンシュタインには釣り合わねえんだよ。』
あの人の言葉が脳裏によみがえる。
その通りだと思った。
あの人の隣に立つには、強くなくちゃいけないんだ。
気が付いた時には迷宮に足を踏み入れていた。
がむしゃらにナイフを振るう。
普段なら、安全に考慮してペース配分して戦闘するがそんなことを考えられるほど冷静ではなかった。
ナイフを振る。ナイフを振る。攻撃が来ても構わずナイフを振る。
気が付けば、体は傷だらけになっていた。
不思議と痛みは感じなかった。
それ以上に自分の弱さが悔しかった。
迷宮から出ると、ちょうど朝日が差し込んできていた。
「気は済んだか?」
迷宮の入り口の陰から王様が現れ声をかけてきた。
「王様、僕、強くなりたいです。」
心から出た僕の願望に王様はいつもより優しく、そして諭すように告げてくる。
「凡俗なら数をこなせ、才能がないなら自信をつけろ。それだけが貴様の願望をかなえるものだ。」
王様の言葉は僕の中にすっと入ってきた。
ひとまずホームに帰って休もう。そして、また迷宮に行く。それの繰り返ししかない。
拠点に帰ると神様が出迎えてくれた。
「おかえりベル君、王様君!遅かったじゃないかって、ボロボロじゃないか!?大丈夫かい。」
「はい、ちょっと一晩中迷宮にいたので。」
「えぇ!無茶したら駄目じゃないか!なんだって急に・・」
「とりあえず疲れたので寝ますね。おやすみなさい。」
「ベル君!?ちょっと冷たくないかい!?」
ごめんなさい神様。夜通し迷宮で戦っていたのでさすがに疲れています。
「うるさいぞ、駄女神。」
「王様君、ベル君どうしちゃったんだい?」
「なに、強くなるためにがむしゃらに努力しているのだろう。貴様もベルの主神というのなら少しは役に立て。」
「ひどい!?なんだい、なんだい!ちゃんと恩恵を授けたじゃないか。ってふたりとも?おーい。」
体力の限界だったのか、ソファーに倒れこむとすぐに睡魔が襲ってきた。
ギルガメッシュ
ベッドに横になり先ほどの光景を思い出す。
『王様、僕、強くなりたいです。』
強い意志を宿した少年が立っていた。
発現したスキルも相まってこれからの成長速度は段違いになるな。
このまま英雄に向かって進んでいくのか、はたまた途中で挫折しただの雑種になり下がるかいずれにしても退屈しなさそうだな。
そうして、我は瞼を閉じた。
見てくださりありがとうございました。
これでアニメ1話分くらいと考えると、作家ってすごいなって思います。