ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか~金ぴかと白兎~ 作:kejan
りりルカ
「1000バリスだな。」
ベルから奪ったナイフを査定していた商人からの言葉に思わず驚いてしまう。
「それなりのナイフだな。どうする?」
そんなはずはない。
あれほどのモンスターを倒して刃こぼれ一つしないナイフが業物でないはずがない。
結局ナイフは売らずに返してもらった。
「1000バリス・・」
提示された額に納得いかず思わずつぶやいてしまう。
「ほう、思ったより安かったな。」
「なぜあなたがここに⁉}
声を掛けられたほうを振り向くと、金髪の青年が立っていた。
ギルガメッシュ
ギルドで少女の情報集した後、ヴィマーナを使用し上空から少女の捜索を開始した。
こう言う時に役に立つのがーチャーのクラススキルだ。
上空からでもよく見える。
すぐに探していた少女は見つかった。
こういう時自身の優秀さが恐ろしくなる。
少女に気取られないように気を付けながら着地する。
「1000バリス・・・」
少女のつぶやきが聞こえる。
ふむ、1000バリスか。
我が手間暇かけてヒエログリフを彫った1点ものだぞ。
そんなことを言っている場合ではないな。
「ほう、思ったより安かったな。」
急ぎ少女の背後から声をかける。
「なぜあなたがここに⁉」
王の財宝からヘスティアナイフを取り出す。
「探索中、貴様の注意はこれに寄せられていたからな。我がいなくなったら盗ると思っていたぞ。」
少女の顔が驚きに染まる。
「どうしてベル様に狙われていると教えなかったのですか?」
「盗むほうも悪いが盗まれるほうも悪い。特にあやつは警戒心が足りなさすぎる。これも一つ経験になったであろう。」
「ここに来たのはリリを始末するためですか?」
「それもいいが、そんなことをすればあやつが悲しむからな。故に貴様を試させて貰う。」
我は握っていたナイフを少女の足元に向け投げつける。
ナイフは地面にはじかれ少女の足元に転がる。
やはりベルでなければナイフの性能は発揮されんか。
「今頃、ナイフを探して走り回っているだろう。貴様が届けてやれ。」
「このナイフをリリが売るとは思わないのですか?」
「そんななまくらが売れると思うか?」
少女は何も言わず足元のナイフを拾い上げると大通りに向け歩き出した。
迷える民草を導くのも王の務めか、とはいえ我も甘くなったな。
これもベルの影響か。
リリルカ
金髪の青年、ベル様からは王様と言われている人物の考えていることがわからなかった。
確かにこのナイフは、ベル様が使っていた時とは別物のようになっている。
渡してどうすればいい。
考えのまとまらないまま、大通りに出た時だった。
通りを走っていた何者かとぶつかってしまった。
「ごめんなさい。大丈夫ですか?ってリリ!ちょうどよかった!」
ぶつかった相手はタイミングがいいのか悪いのかベル様だった。
「ベル様!ちょうどリリも用があって。」
「僕に用?って僕のナイフ知らない?どこかに落としちゃったみたいで!」
どこかに落とした、ということはリリが盗んだことには気づいてないみたいです。
ならばここは話を合わせよう、そう考えたとき心が少し傷んだ。
まだ自分に良心があることに驚いた。
「ちょうどナイフのことで用があって。これですよね?}
金髪の青年から託されたナイフを渡す。
「これだよ!ありがとう、リリ。拾ってくれてたんだね。」
笑顔でお礼を伝えてくるベル様に罪悪感が押し寄せる。
「じゃあ、また明日迷宮前で!」
そう言って去っていく背中を見つめながら思った。
どこで自分は間違えたのだろうと。
読んでいただきありがとうございました。