エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます   作:グルグル30

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区切りのいいところまで更新してその後は書き溜めするスタイルです。
エロゲー転生だけあって、エッチなシーンも結構あるのでご注意ください。


プロローグ

 

 あ、これ悪役転生ってやつだ。

 俺がそれに気付いたのは、俺の名を呼ぶ両親の姿を見た時だった。

 

 【インフィニット・ワン】――無限の中の一つという意味合いからタイトルを決めたというそのゲームは、アクションRPGであり、様々なヒロインやヒーローとの恋愛とエッチなCGを楽しむ、いわゆるエロゲーというやつだった。

 

 主人公であるアレクまたはアリシアは、ごく普通の平民でありながらその才を第一王女に見いだされ、国一番の学園であるルーレリア学園に入学することになる、という乙女ゲームでありがちな背景から始まる物語は、チュートリアルでもある共通パートを越えると、各ヒロインやヒーローとの個別の物語に入っていく。

 

 その共通パートで出てくるボスこそが、今の俺、シーザック侯爵家の嫡子――フレイ・フォン・シーザックだ。

 此奴は端的に言えばマルフォ○のような奴で、所謂血統を笠に威張る噛ませ貴族そのものと言った存在だった。

 だからこそ、平民出身の主人公を見下し、様々な嫌がらせをした後、決闘によってコテンパンにされ、ざまぁをされるという分かりやすい結末を迎えるのだ。

 

 だが、俺はこのフレイがそこまで嫌いではない。

 なぜなら、噛ませ貴族という彼の立ち位置は、彼が持つ一面でしかないからだ。

 

 インフィニット・ワンはそのタイトルが語る通り、ヒロインやヒーローに合わせた無数のルートが存在している。

 基本システムをRPGツ○ールのような2Dドットの簡易なものにすることで実現出来たそれは、それこそルート次第では、世界の状況やキャラの立ち位置が容易く代わり、とあるストーリーでは情けないやられ訳だったキャラが、別のストーリーでは強キャラとして物語の主軸になるなど、そのキャラの様々な一面と世界観の深さを見せてくれるものだった。

 

 フレイも同様にヒロインのルートによって見せる一面を変えた。

 フレイが主にメインとして関わるのは、彼の妹であるレシリア、彼の従者である一禍、彼の婚約者であるエルザ、そして魔族の村の娘であるビーチェの四ルートとなるが、その中でレシリアのルートでは、彼が噛ませ貴族のような性格になった理由が明かされ、そして魔族の少女ルートでは、主人公と共闘して、主人公や村の者の命を守るために、自らを犠牲にする姿が描かれるのだ。

 

 俺はこのゲームをやり込んでおり、大体のルートは網羅している。

 だからこそ、当然のようにこの四ルートもプレイしており……だからこそ、フレイを嫌いになることができなかったのだ。

 

 フレイになったこと事態に不満はないが、これから如何するかだよな~。

 俺は両親にあやされながら、ふとそんな事を考える。

 

 多くの悪役転生ものでは大体三パターンに分かれるだろう。

 悪役としての立場を改善させて、主人公の立場を奪い取り、攻略対象達を次々と寝取っていくパターン。

 物語に関わらないようにと、極力主人公達をさけて、別ルートを通りながら、主人公が関わらない攻略対象達を落としていくパターン。

 あえて物語の悪役コースを邁進して、元から自分側である攻略対象達を落としながら、最後には主人公に打たれて終わるパターン。

 

 ざっくりと言えば、こんな感じだ。

 どのパターンであっても、攻略対象達を落としていくのは変わらない。

 なぜなら、それこそが悪役転生ものの物語の面白さだからだ。

 本来悪役であり、駄目人間な奴の代わりに、自分が行動することで、主人公が得るはずだった美男美女を奪っていくことができる。

 それ故に前世で駄目人間だった俺が、自分の力で多くの者を魅了したという俺Tueeeeeが味わえることこそが、悪役転生ものの良さなのだ。

 

 だが――。

 

 俺はそこで心の底から沸きあがってきた思いに身を任せる。

 

 ――本当に攻略対象が欲しいか?

 

 それこそが俺が心の底から言いたい本音だった。

 

 攻略対象というのはその名の通り、ゲームで攻略する対象だ。

 だからこそ、俺は主人公である彼と攻略対象達のラブロマンスをみている。

 それは言ってしまえば、俺はこの世界で生まれおちる前から、攻略対象であるヒロイン達の前の彼氏(アレク)を知ってしまっているといえる状況なのだ。

 

 もし、ヒロイン達を落としてデートしたとしても、俺はきっと、ゲームでアレクと来た時はあの動物を見てはしゃいでたなとか、この木の下でアレクとラブラブなキスをしてたんだなとか、そのようなことを考えてしまうだろう。

 

 何より、インフィニット・ワンはエロゲーだ。

 メイン部分はRP○ツクールのような作りだったが、各キャラパートの重要な部分では美麗な一枚絵CGで物語を盛り上げており、当然エロパートでも複数枚のCGと声優の迫真の演技で、プレイの内容が露わにされ、プレイヤーがしっかりと出すものを出せるようになっていた。

 

 ドSで普段強気なのに、夜のやり取りでは立場が逆転し、アレクにバックで突かれてお馬さんのようになりながら、ヒンヒンとしおらしくなるエルザや、胸にあるほくろがアレクに見つかり、そこを執拗に責められて喘ぐ一禍など、ヒロイン達の情事を俺は既に知っている。

 

 言ってしまえば、この世界に生まれる前から、攻略対象達は既にアレクによって汚されているようなものなのだ。

 

 それを踏まえて俺は思う。

 

 攻略対象が欲しい……? 絶対無理! 攻略対象とか絶対無理だわ!!

 

 それが俺の偽らざる本音だった。

 何が悲しくて生まれ変わったというのに、アレクの女を寝取りに行かなければならないというのか。

 こちとら前世を含めて童貞歴三十年以上、溜めに溜めてきた恋愛への思い、恋人にするならばもっと欠点がない最高の相手にしたい。

 だからこそ、俺は強く思う。

 

 この世界で、誰かのものではない、俺だけのヒロインを見つけ、そのヒロインと、爽やかで楽しいボーイミーツガールのような青春を送りたい!

 

 そうだ! エロゲーの世界に来たからと言って、攻略対象を落とさなければいけないという理由はない! 攻略対象を避けて、モブの中から自分のヒロインになってくれるような素晴らしい女性を見つけよう!

 

 俺は心の中でそう深く決意を決め、「だぁ」と手を天へと突き上げた。

 

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