エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます   作:グルグル30

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悪役転生の真実

 

「はぁ? 俺が主人公? 何おかしな事言ってんだよ? そんな訳ないだろう?」

「何もおかしなことは言ってない。この世界の主人公はマスター。この世界はマスターの為に作られたもの。これまでの情報からそれは間違いない」

 

 俺は唐突にクラウが言ってきた訳のわからない言葉に思わずそう反論したが、そんな俺の否定の言葉を、クラウは即座に否定した。

 俺はその頑なな様子に思わずいらつきながら、それを否定する事実を告げた。

 

「この世界はインフィニット・ワンの元になった世界。そしてその世界ではフレイ・フォン・シーザックは悪役としての立場を与えられている。それが主人公になるなんてあり得ない話だろう」

 

 これまでの話の流れから考えるのなら、インフィニット・ワンは創世神がこの世界を元にして作り出したゲームだと考えられる。

 つまるところ、あのゲームはこの世界が辿る運命を示したものであり、そこで主人公として活躍したアレクとアリシアが存在しているというのに、唐突に悪役であったフレイが主人公になるのはおかしいと言えるのだ。

 

「でも、そのフレイとマスターでは違いがある。マスターは転生者。マスター自身も悪役転生物の物語を見たことはあるはず」

「それは……いや、それこそが俺が主人公ではないという事実になる。創世神は異世界からの来訪者を予知出来ないはずだ。つまり、異世界転生者である俺の存在を認知していたとは思えない」

 

 確かに俺は転生者としてこの世界をかき回した。

 それは悪役転生物の主人公のような働きだったと言えるかも知れない。

 

 だが、先程までの話を考えれば、創世神は異世界からの侵入者である俺のような異世界転生者の存在を予知出来ないはずだ。

 それなら、俺が主人公の物語を創世神が用意したと考えるより、創世神が予知出来なかった異世界転生者である俺が、創世神が用意していたアレクやアリシアが主人公の物語を崩したと考える方が自然ではないか。

 

 そんな俺の指摘にクラウは冷静に反論する。

 

「当機と同じようにこの世界を作成した時点で、マスターの魂を準備しておけば、その問題は解決する」

「……俺は元からこの世界に転生する予定だったと?」

「ん、マスターがフレイ・フォン・シーザックに、何らかの方法で原作知識が付与された状態で転生することは、この世界では初めから予定されていたこと」

「何らかの方法で原作知識をって……何だよそれ……」

 

 まるで、前世の世界で、自分の意思で楽しんだインフィニット・ワンに関する知識すらも、創世神が用意したもののように語るクラウの話に、俺は不気味さを感じ、鳥肌を立てながら、思わずそう呟いた。

 

「前世の世界にこの世界のシミュレート結果を持った分体を送り込んでゲームを作らせるとか、前世の世界を模したシミュレーターの中でマスターにゲームをプレイさせてその記憶を元々のマスターの記憶の一部と差し替えるとか、方法は色々とある」

「いや、そこまでしなくても、普通に知識だけを埋め込めば良いのでは?」

 

 やたらと手間がかかった方法に思わずそう突っ込む。

 それに対して、クラウはそれは駄目だと言わんばかりに首を振って答えた。

 

「それだと記憶に不整合が出る。ゲームを遊ぶときには、選択肢や装備で何を選択するかなど、プレイヤーの嗜好が大きく影響する部分が出てくる。そんな中で知識だけを埋め込んでしまうと、自分が選ばない選択をした記憶によって、その記憶が誰かによって作られたものだと疑ってしまう事態に陥る可能性が出てくる」

 

 確かにそれはそうかもな。

 

 俺はギャルゲーやエロゲーを多くプレイしていたが、その中でどのヒロインを最初に攻略し、その攻略中の選択肢でどんな選択肢を選ぶのかと言ったことは、それをプレイしている俺自身の好みが反映されたものになっている。

 そんな中で、俺が興味を持たないような相手を攻略していたり、選ばないような選択肢を選んだ記憶があれば、記憶のねつ造を疑うことになっていたか。

 

「だからこそ、どんな方法で原作知識をマスターに与えるのだとしても、マスターには実際にインフィニット・ワンをプレイさせてると思う。ゴットゲームスなんてそのまんまな名前で好き勝手に活動することを、他の世界の神が許すとも思えないし、手間のかからなさを考えれば、記憶の差し替えを行ったと考えるのが自然」

 

 記憶の差し替えか……。

 つまり、俺が不自然に思わないように、別のゲームをプレイしていた記憶を、インフィニット・ワンをプレイしていた記憶にすり替えたってことだな。

 

 記憶を弄られているということ自体は、最後のダウンロードコンテンツの内容を思い出せない時点で予想していたことではあるが、記憶の一部を消すとかならともかく、存在しない記憶を埋め込まれるのはさすがに許容出来なかったから、シミュレーターの中とは言え、俺自身の記憶との差し替えという形で、まだよかったか。

 

 俺がそんな風に考えている間に、クラウの説明は進む。

 

「ともあれ、異世界から入り込んだ異物を感知出来る七彩の神が、異世界の存在であるマスターのことを見落としている時点で、マスターが当機と同じようにこの世界が作られた段階から、この世界に仕込まれていたのは確定的」

「確かにハイセトアがそんな感じのことを言っていたな……」

 

 エルミナで七彩の神が言っていたことを思い出しながら俺はそう呟く。

 その時の話が間違っていないのなら、クラウが言った通り、俺がこの世界に転生することは、元から決まっていたという事になる。

 

 だが、そこで気になるのは――。

 

「なぜ、そんなことしてまで俺を――いや、転生者をこの世界に作り出した?」

 

 そう、それが一番の疑問だ。

 どうしてわざわざ手間暇かけて転生者という存在を創世神は用意した?

 

 俺のその疑問にクラウが答える。

 

「手間暇かけてマスターを用意したのは、恐らくこの世界を創造する前のシミュレート段階で、この世界の人々では異界神獣に対抗出来ないということを知ってしまったから。だからこそ、それを解決するために異世界から、その世界が不要として捨てた魂を貰ってきたのだと思う」

「それはおかしくないか? 創世神の力があればこの世界の奴らに問題を解決させるための手段を用意することは出来るだろう? なのに何でわざわざ異世界から魂を持ってきて、問題解決のために使う必要があるんだよ」

 

 何でも出来る創世神なら、何回かシミュレートに失敗し、この世界の人々では異界神獣に対抗出来ないと思ったのだとしても、様々な物を創造し、因果を操作して、トライアンドエラーを繰り返せば最終的には問題解決にたどり着けるはずだ。

 

「それは何度もトライアンドエラーを繰り返したくないから」

「……は?」

 

 俺はクラウが言ったあんまりな一言に思わず唖然としてそんな言葉を漏らした。

 

「創世神にとって、自らが作り出した世界の外部からやってくる異世界の存在は、その世界の運命に対する乱数になり得る」

「乱数……ランダムで入ってくる想像出来ない数値ってことか」

「ん、創世神が自分の世界にあるものだけで問題を解決していくのは、言ってしまえば番号のわからないダイヤル錠で、1から全ての番号を順番に試して、鍵を開ける数値を探していくのと同じこと。創世神としては、そんなものは面倒だからやりたくないし、何よりもそうやって一からパターンを試せば、それだけその世界の未来を知って、楽しみが無くなってしまうことにも繋がる」

「だから、乱数を――異世界転生者を使うってことか」

 

 つまりは、一から順番に試していくのをやりたくないから、9847とか突発的な数字を乱数として放り込んで、その数値を利用することで目的の数値に当たりを付けながら、最小限の試しで鍵を開ける数字を探したいってことだな。

 

「創世神は何でも作れる存在だけど全知全能じゃない。何かを解決するためにはその問題にどんな存在が必要なのか、それを調べて確定させていく必要がある。その問題の解決方法を調べる為に、創世神が異世界転生者を使うのはよくあること」

 

 問題を解決するためのどんな物でも作れるけど、そもそも問題を解決させるための方法がわからなければ、何を作れば良いかもわからない。

 だからこそ、自分の想像の外になる乱数を――異世界の存在を放り込んで、世界を引っかき回すことで、その問題の解決方法を浮き彫りにさせたいってことか。

 

 もしかしたら失敗するかも知れないが、駄目で元々。

 異世界の存在の影響で取っかかりを掴めればそれでよし、掴めなかったら其奴らを捨てて、一から番号を探す方法を試せば良いと考えているわけだ。

 

 ……改めて考えれば創世神の基本的なスタンスは常に一致している。

 ようは此奴らは、やろうと思えば自分で出来るけど、自分でやりたくないから、他人に全部丸投げして、自分は美味しいところだけを持って行きたいのだ。

 

「つまり、俺もそう言った異世界転生者の一人だと?」

「初めはそうだった」

「初めは?」

 

 俺はクラウの言い回しに疑問を覚え、思わずそう問いかける。

 

「恐らく元々は他の魂達と同じように、シミュレート結果に変化を持たせるだけのただの使い捨ての乱数として、創世神が他の世界から用意したものだった。だけど、創世神はマスターの価値に気付き、マスターを主人公にすることを決めた。……マスターがこうしてこの世界に転生していること自体がその証明」

「その言い様だと俺以外にも候補の魂が居て、其奴らはこの世界に転生することが出来なかったというような言い回しだが?」

「乱数を試すときに一つの数値だけでは試さないでしょ?」

「まあ、それはそうだが……」

 

 そりゃあ、乱数を使って当たりを確かめるって言うのなら、その乱数自体を幾つも用意して何度も試していくとは思うが……。

 

「だとすると、使われなかった魂はどうなるんだ?」

 

 俺は思わずそう聞いた。

 俺は何とかこの世界に転生出来たようだが、一歩間違えれば他の魂達と同じ扱いを受けていたのかも知れないのだ。

 だからこそ、俺が選ばれなかった場合の可能性について、気になってしまうのは仕方の無いことだろう。

 

「? そんなの捨てるだけ」

「す、捨てる……? まさか、それって完全に消滅させるってことか?」

 

 俺の言葉にクラウは頷くと言う。

 

「……マスターには言いにくいけど。魂というのは世界を回す潤滑油。優れた魂はその世界を発展させるために何度も同じ世界で転生させるため、余所の世界にそれをあげるなんてことはしない。つまり、創世神が魂を貰える時点で、その魂はその世界に取って邪魔な存在として、廃棄する予定だった魂と言える」

「……」

 

 元の世界で置かれていたあんまりな自分の魂の立場に言葉もでない。

 確かに前世では一度も恋人が出来た事がない駄目な奴だったかも知れないが、世界に取って邪魔だと廃棄されるほどのことだろうか?

 

「繁殖は生物の基本機能。それに纏わる行為を一度も出来ていない存在は、例えどれほど優秀であろうとも、欠陥品のレッテルを貼られてしまう存在」

 

 俺の考えを読んだのか、クラウは俺が廃棄される予定だった理由を語る。

 俺はクラウのその言葉を聞いて、その理不尽に対する怒りが込み上げてきた。

 

「クソが……! 神も! 俺みたいに恋人が出来ない奴は! その世界で生きている価値はないと! そう言うのか!!」

 

 前世で散々馬鹿にされた事実。

 どれだけ優秀であろうとも、どれだけ真面目に生きていたとしても、ただ恋人が出来た事が無いというだけで、馬鹿にされ、嘲笑われ、社会不適合者として、まるでゴミを見るような目で見られ、虐げられることになる。

 

 それを只人だけではなく、神が行っているということに、前世での鬱屈した思いが、怒りとなってその場に表れ始めていた。

 

 ふざけんな! そんな欠陥品としてのレッテルを貼って破棄するくらいなら! 俺の恋人候補になる人物を――俺だけのヒロインを用意しろよ! 俺だって前世の世界で好き好んで誰からもモテず、恋人一人すら作ることも出来ずに、寂しく死んだわけじゃねーんだぞ!!

 

 前世の世界でも俺は恋人を得るために頑張った。

 だけど、どれだけ頑張ってもモテなかった。

 それを俺だけのせいにして、魂を破棄するなんて、あんまりじゃないか!

 

 恋愛というものにおいては、生まれなどの個人の努力ではどうにもならないことは、幾らでも存在している。

 そう言った自分ではどうしようも出来ない状況に――女の子からモテない立場に魂を転生させておいて、実際に恋人が出来なかったら、ゴミだと判断して存在を消滅させるとか、理不尽も良いところだ。

 

 だからこそ、俺は改めて決意を露わにする。

 

 認めさせてやる……!

 今度こそ、誰にも有無を言わさない理想の恋人を――俺だけのヒロインを手に入れて! 俺をゴミだと判断したお前達の判断は間違っていたのだと! その事実を証明することで! 認めさせてやる……!!

 

 俺がそう心の中で宣言してる間に、クラウが話を纏める。

 

「マスターが他の魂と違って消滅させられず、こうしてこの世界に転生出来ている以上、それは創世神がマスターに何らかの利用価値を見いだしたことになる」

「つまり、それが俺が主人公である理由だと」

「ん」

 

 俺はクラウの説明を受けて考える。

 確かにこの推論は一見筋が通っているように見えるが――。

 

「だが、それは主人公であることとイコールにはならない」

「どうして?」

「単純に、主人公のサポートを目的にして転生させた可能性もあるだろう。それに転生者が乱数だというのなら、俺をこの世界に転生させた方が、創世神に取っての未知の世界を見られるからという理由で転生させた可能性もある」

 

 俺はそこまで言った所で、絶対的な俺が主人公でない証明を話す。

 

「それに俺が主人公だと言うのなら、俺の為に用意されたイベントが――俺に取っての攻略対象が存在するはずだ。だが、異界神獣というヤバめな敵が現れたこの状況で、未だにそう言った存在は現れていない」

 

 そう、創世神の世界を救うためのやり方を考えると、俺が主人公だとするなら、そんな俺を操作して英雄へと導くために、俺を物語の舞台に引っ張り出す、俺の為のヒロインがこの世界に居るのが自然なはずだ。

 だが、俺が関わってきたのは全てアレクやアリシアの為のイベントであり、俺に対するイベントや攻略対象が現れたことは一度も無い。

 

 この矛盾こそが俺が主人公でない証明。

 主人公という存在にはイベントが用意されるというのなら、そう言ったイベントが用意されていない俺は、主人公では無いということになるのだ。

 

 何よりも、これが俺が主人公の物語だと言うのなら、俺が幸せになるための――ハッピーエンドへの筋道が立っても良いものだろうが、未だにその気配は無いしな。

 

 そんな俺の言葉に対して、それを否定するようにクラウは首を振る。

 

「それはマスターの認識が間違ってる」

「は? 何が間違っているって言うんだよ? どう考えてもこれまでの人生の中で、俺の為のイベントはなかっただろ?」

「それは違う。これまでもマスターの為のイベントはあった」

「もしかして、俺が攻略したアレクやアリシアのイベントのことを言ってるのか? 確かに俺が攻略することになったし、転生者である俺の行動のせいで、本来のイベントからずれたものになってはしまったが……それでもあれらは、アレクやアリシアの為に用意されたもので、俺のイベントじゃないだろう」

 

 あのイベントがアレクとアリシアの為に用意されたものだというのは、インフィニット・ワンというゲームの中で既に確定している。

 俺の行動で変異しているところがあるにせよ、それでも根本的な物語はゲームで見た時と変わらないそれらは、アレクとアリシアの為であるということも、恐らくは変わっていないはずだ。

 

「そこが違う。そもそもそれらは、最初からアレクやアリシアの為のイベントなんかじゃなかった」

「――は?」

 

 訳のわからないことを言いだしたクラウの言葉に、頭が真っ白になって、思わずそんな間抜けな言葉が口から漏れる。

 

 あれだけゲームで、アレクやアリシアがイベントを起こしておいて、そもそもそれは二人の為のイベントじゃなかった? 何を言ってんだ此奴は?

 

 そんな俺の思いを無視して、少し考えるとクラウは言う。

 

「マスターの記憶によると、アレクってクリスティアに憧れて、ルーレリア学園に入って来たんだよね?」

「え、あ、ああ。よくある憧れの先輩ポジって奴だな。恋人になりたいと思っているけど、身分とか何かしらの高い壁があって、努力しないとそう言った関係になれない高値の花的な存在――ゲームのパッケージとかに乗るような、メインヒロインにはありがちな設定の一つだな」

 

 突然の話の方向転換に困惑しながらも俺はそう答えた。

 

「つまり、アレクはクリスティアが好きなんだよね?」

「ん? まあ、そう言うことになると思うぞ?」

「それなのに、アレクは大勢のヒロインと恋愛するの? クリスティアの存在を完全に忘れて? それっておかしいよね?」

「いや、エロゲーやギャルゲーってそういうもん……」

 

 クラウからエロゲーやギャルゲーに対する禁句が飛び出し、俺はそれに対して思わず冷や汗を流しながら、目を泳がせて答えた。

 

 エロゲーやギャルゲーにおいては、主人公が憧れの先輩と付き合うためにと、一念発起して色々と活動し始めることが物語の始まり方の一パターンとなっている。

 ただ、そう言った物語では、その活動の結果で他のヒロイン達が主人公に興味を持って関わり始め、主人公自身も憧れの先輩のことなんてすっかりと忘れて、そのヒロイン達との日々を楽しみ、そして付き合い出したりしてしまう。

 ただ、それは複数のヒロインを用意することで、多くのプレイヤーに楽しんで貰おうとする制作側の努力の賜物であり、ヒロインを落とす過程を楽しむというエロゲーやギャルゲーの都合上、切って離せない業なのだ。

 

「確かにただのエロゲーやギャルゲーならそうかも知れないけど、インフィニット・ワンはこの世界を救うために創世神が用意したゲーム」

「……だからこそ、大勢のヒロインがいるんじゃないか? 主人公の運命を操るためには、其奴の周りでイベントを起こすのが一番なんだろ?」

「だからって、全てが恋愛である必要もないし、学園外も含めてこれほどの数をわざわざ用意する必要もない」

 

 インフィニット・ワンは、多数の攻略対象によるストーリーの豊富さが話題となったゲームだ。

 その評判が前世を模したシミュレーターの中でのものだったとしても、俺自身がそのゲームをプレイして、攻略対象の多さに度肝を抜かれたのは事実だ。

 

 アレクやアリシアに主人公としての物語を歩ませるために、あれほどの数の攻略対象が必要だったか……?

 いや、創世神がこの世界をシミュレートして、ある程度のルートを絞れるなら、あれだけの数は不要だったはず……。

 

「……まあ、確かにそれもそうか。あれだけ詳細にこの世界の状況をゲームに落とし込めたんだ。アレクとアリシアの為に幾つかルートを作らないといけないとしても、その数はもっと絞れてもいいはずだよな」

 

 俺は考えた内容を元にそう口にする。

 クラウの言う通り、あれほどの数――それも恋愛相手に限った存在は、アレクやアリシアを主人公としての動かすためだとしても不要のはずだ。

 

「つまりあれらは、別の目的で後付けされたものだと考えられる。……恐らくだけど、本来のアレクの物語にはクリスティアルートしか存在しなかった」

「本来の物語? それはつまり、インフィニット・ワンの題材となった、この世界の最初の状況での話ってことか?」

「ん、この世界を状態で分けると三つに分けられる。説明の為に、創世神が手を加えていない最初の状態を第一世界、創世神が因果操作をするなど手を加え、異世界転生者であるマスターが行動しなければ、インフィニット・ワンと同じ出来事が起こっていた世界を第二世界、マスターの行動によって変化した今の世界の状態を第三世界と呼称する。その内の第一世界での話」

 

 俺の言葉にクラウは頷くと、そう言ってそれぞれの世界に名称を付けた。

 

「元からあった物語だからこそ、このルートはプレイヤー受けしない王道の物語であり、そしてアレクの性格も突飛なものではなかった」

「……」

 

 確かに無数のルートがあったインフィニット・ワンでは、エミリアルートのようにギャグのようなルートや、サラやナタリア、キッカルートなどのようにアレクが鬼畜アレクになるなど、他とは性格が違うルートなども存在していた。

 それに比べれば、クリスティアルートは王族のお家騒動という、ありがちな王道の物語で、プレイヤーを楽しませるようなギャグやエロ要素も少なく、アレク自身の性格もキャラ説明で書かれていたような、熱血漢の好青年と言った感じだった。

 ゲームをやっていた時は、パッケージに載るメインヒロインだから突飛さのない安牌な話にしたんだな、と思っていたが、無理矢理作られた物語では無く、本来あるべき物語だから、そう言った形になっていたと考えることも出来なくはない。

 

「……つまり、クリスティアルート以外の全てのルートは、何らかの目的で、創世神によって因果を操作されることで、後から作り出されたルートだと?」

「ん、マスターの言う通り」

「……だとするなら、やっぱりそれはアレクのためのイベント――ってことになるんじゃないか? 確かに不必要なほど数多く、アレクと攻略対象が恋愛を行う運命があるのは不自然だが、どんな目的があるにせよ、アレクのためという理由以外に、アレクと攻略対象が恋愛する運命を作る意味なんて――」

 

 俺はそこで気付く。

 

 アレクと攻略対象が恋愛する運命を作る。

 それは本当にアレクのためにしかならないことか?

 

 いや、そもそもの話――世界を救うのに恋人が必要なのか?

 

 その考えが頭に浮かんだ瞬間、俺は確認を取るようにクラウに問いかけた。

 

「なあ、アレクのように思い人が決まっている者が、あんなに数多くの恋愛をするのはおかしいって言ったよな? じゃあ、逆に聞くが、学園だけじゃなく世界中で、あれほどの恋愛対象を作るような者がいるとすれば、それはどんな奴だ?」

「特定の誰かが好きということもなく、自分の理想に当てはまる存在なら誰でも良くて、その理想に当てはまるような存在を――理想のヒロインを手に入れるために、世界中を巡って探し求める――マスターのような人」

 

 その言葉を聞いた瞬間にパチリとピースが嵌まる。

 創世神が行う世界救済のやり方、不自然なほど多いアレクの攻略対象、原作知識を持って転生させられた俺、全てを繋ぐ一つの答えは――。

 

「ハッ! ハハハッ! そうか! そう言うことか! つまりはキーファか!!」

 

 俺はその答えに気付き、その答えに対する様々な感情が混ざり、言葉に表せない感情から、思わず漏れ出た笑い声と共に、その答えについて言及した。

 

 キーファ――それはかの有名なRPGシリーズの7作目のメインキャラクターにして、多くのプレイヤーから種泥棒と怒りを買う存在だ。

 

 なぜ彼が種泥棒と呼ばれてしまっているのか?

 それはドラ○エⅦの物語に理由がある。

 

 主人公の親友でもある彼は、物語の冒険が始まる切っ掛けを作った存在であり、メインキャラとして初期の方からパーティーに参加する存在だった。

 そのような重要人物だったからこそ、多くのプレイヤーが彼を強化するためにステータスを上げる貴重な種を彼に与えるなどしていたが――。

 

 彼はそのプレイヤー達の期待を裏切った。

 

 過去の時代で出会った踊り子に恋をし、そのまま自分が本当にやりたいことをするためにと、パーティーを抜けることになってしまうのだ。

 そして、そのまま物語に関わることなく、キーファの存在はエンディングまで出ることなく進んで行くことになってしまうのだ。

 

 物語の中で、勝手にメインキャラが恋をして、世界を救うことになる旅から降り、そして物語の舞台から永久離脱をする――それこそが種を彼に使うほど期待していたプレイヤーが種泥棒と彼を罵る理由だ。

 

「キーファのように、勝手に物語の舞台から降りさせないためにか!」

 

 例えば、これからドラ○エのように世界を救うためのゲームを始めるとして、その主人公が物語の途中でキーファと同じように女と添い遂げたいからと、勝手に冒険の舞台から降り、そこからヒロインとイチャイチャするだけで物語が終わったら、そのゲームをプレイしていたプレイヤーはどう思う?

 

 いや、それだけじゃない。

 

 他にも、親孝行がしたいからと言って世界を救うための冒険の旅に出ずにずっと地元でうろうろするだけだったり、殺す覚悟とか言って自問自答したあげく倒すべき敵を逃してしまったり、物語を進める上で有利な情報を持っているのに、実際にはその情報とは違うかも知れないからと、その情報を利用しなかったり――そんな風に効率的に世界を救う旅を行えない主人公いたらプレイヤーはどう思う?

 

 きっとこう思うんじゃないか? 

 

 『なんだ、このクソゲーは! 俺は世界を救うためにこの冒険を始めたんだぞ!? それなのに主人公がうだうだとしているせいで話が全然進まねー! もっと気持ちよく世界を救わせろよ! 設定は良いのに主人公がクソ過ぎて、マジでこのゲームはクソゲーだわ!』――と。

 

 そしてそれは創世神も同じということだ。

 

 簡単に言ってしまえば、彼らは自分の世界を救うために、自分が主人公と定めたもので、世界を救うためのゲームをやっていると言える。

 だからこそ、世界を救うためにと用意した主人公が、キーファのように色恋で勝手に舞台から降りたり、変な持論を持ち出して出来ることをしないなど、自分に取ってはどうでもいいことで、物語も進めず身勝手なことをされるのが嫌なのだ。

 

 彼らに取って必要な主人公とは、どれだけ行動しても満足出来ず、常に新しいものを求めて冒険の旅に出て、ゲームの敵キャラを殺すように必要とあれば戸惑い無く敵を殺し、持っている知識を最大限に利用して無駄なく行動出来る――言ってしまえばプレイヤーキャラのように、世界を救うためだけにあるような、ゲームの終わりに向かって効率的に前に進み続けるだけの存在なのだ。

 

「マスターの考えは正しい」

 

 クラウは俺の到った考えを肯定すると言う。

 

「これがゲームなら、主人公の行く末はどう足掻こうとも世界を救うというものしかない。なぜなら、物語の終わり方が決まっている以上、どれだけ寄り道をしたとしても、最終的にそれ以外のことは出来なくなるから」

 

 ここ最近はマルチエンディングのゲームも多くなってきたが、それでも基本的にゲームのエンディングというのは一つだけのものが多い。

 だからこそ、ひたすらに経験値を稼いで最強を目指したり、カジノなどのゲーム内のミニゲームで遊んだり、ヒロインとイチャイチャするなど、どれだけ寄り道をしたとしても、最終的に物語を終わらせるためには、ラスボスを倒しに行くしかない。

 

「だけど、これが現実ならそうはいかない。主人公には幾らでも自分の物語を終わらせる方法が存在している。世界を救わずに物語を締めくくる終わらせ方が」

 

 それこそ、冒険を止めようと主人公が思った時点でその物語は終わる。

 昔、父親に話しかけて引退を告げるだけで、ゲーム開始時にエンディングにいけると言うメタルマッ○スと言うゲームがあったが、それと同じように物語が始まった瞬間にも冒険が終わる可能性はあり得るのだ。

 

「そして、それは主人公役として用意した転生者でも変わらない。彼らはこの世界での異分子であるからこそ、この世界に溶け込もうとして、一般人としてその一生を終えることを目指してしまう……それが彼らが転生した理由と真逆のものだとも知らずに」

 

 『誤って殺してしまった。お詫びに転生させてやるぞい!』と言った、いわゆる土下座神転生ならいざ知らず、わざわざその世界にない存在を――異世界人を自分の世界に転生させるのなら、そこには何かしらの目的がある。

 その目的は単純に言ってしまえば、この世界の存在では出来ないことがあるから、それを代わりにやって欲しいと考えているものであり、そんな風にこの世界の常識と違った存在を求めて転生させているのに、勝手にこの世界の常識に染まって馴染もうとする転生者は、創世神にとっては使えなくて思わずいらないと思ってしまうような存在だということだ。

 

「そうやって、世界を救うというルートに向かうこと無く、一般人としての慎ましい幸せに向かうルートは創世神にとって全て失敗作」

 

 主人公に選ばれた奴だって、親孝行したいとか、恋人を作りたいとか、自らの物語の締めくくりにするほどの大切な思いがある。

 だが、そんなことは世界を救うために駒として、主人公を用意した創世神には何の意味もなく、どうだっていいことだということだ。

 だからこそ、世界を救うという結末以外の主人公が幸せになるだけのルートは、創世神にとっては排除すべきバッドエンドに過ぎないのだ。

 

「それなら、滅びの未来を先に伝えておけばと思うかも知れない。だけど、その主人公が世界に滅亡の危機が訪れると知っていたとしても、最後までそれを解決するために進み続けることが出来るとは限らない。英雄と呼ばれるほどの優良な魂なら話は別かも知れないけど……転生者達は世界から使えないと捨てられた魂、そんな使えない魂では、いずれ来たる破滅の未来に対して絶望して何もせずに諦めるか、まだ大丈夫と余裕をぶっこいて何もせずに過ごし、実際にその時が来た時に慌てて何かしようとしてそのまま滅びるだけ」

 

 クラウはそう、現実世界で物語の主人公を作ることの難しさを語る。

 

「だからこそ、ゲームのように別の目的のイベントを少しずつこなして、未来で起こる問題を意識させず、世界を救うために必要な工程を進ませていくことが重要。――そして、それが出来るからこそ、創世神はマスターを主人公に選んだ」

「つまりは――俺は人参を吊された馬ってことだろ? 俺だけのヒロインになり得ると俺が誤認するような存在を用意し、それに向けて努力したところで攻略対象だと明かす。そうすれば、俺は其奴を諦めて、別の相手を探しに行くことになる」

「ん、マスターは自分の夢を――俺だけのヒロインを得ることを絶対に諦めない。だからこそ、その行動の誘導は簡単だったし、目の前に偽物の餌を吊してあげれば、他の転生者と違って、その餌で満足すること無く、最後まで走り続けることが出来る。そうして走り続けていれば、何時かは世界を救う結末へと辿り着く」

 

 そこまで言った所でクラウは俺を見据える。

 

「マスターは英雄じゃない。何処にでもいるような凡人で……むしろ、色々なものをこじらせた面倒くさい駄目人間で凡人以下の存在。だけど――そんなマスターだからこそ、この世界を救うことが出来る。色々なものをこじらせた面倒な駄目人間だからこそ、意地汚く最後まで足掻き、理想を追い求めることで、世界を救うという結末に到れる」

「ああ、そうか……」

 

 俺はクラウのその言葉を聞いて気付いた。

 この世界に来た時から抱いてきた疑問の答えに。

 

「ずっと何で悪役転生なんだろうと疑問に思っていた……主人公に転生させてくれれば、こんな苦労はしなかったのにと――だけどその答えは単純なものだった!」

 

 そして俺は理解する。

 

 異世界の魂の中からなぜ俺が転生者に選ばれたのかを。

 そして、そんな俺がなぜ悪役に転生することになったのかを。

 

「全てを奪われる悪役に! こじらせた者を転生させることで! わき道に逸れず、前に進み続ける! 優秀な転生者(プレイヤーキャラ)を作りたかった! それが俺がこの世界に――フレイ・フォン・シーザックに転生した理由か!」

 

 悪役転生した者の原動力が何かというと、全てが奪われるという現状を解決するために動こうとする意思だ。

 破滅フラグであれ、婚約者の略奪であれ、そのままにしておけない事柄があるからこそ、その転生者達はそれを改善するために足掻いていく。

 

 しかし、それでもその足掻きには限界がある。

 

 破滅フラグの回避や、婚約者の略奪阻止、そう言った問題の解決によって、その転生者達は安堵をし、そこから進むことを――問題解決の為に努力し続ける事を止めてしまう。

 

 だが、俺にはその心配がない。

 

 理想のヒロインが欲しいとこじらせた俺を、周囲のヒロインが全てアレクに寝取られる悪役に転生させれば、俺はそのヒロイン達を諦めて、他のヒロイン達を探しに世界を飛び回って物語を進め続けることになる――そう創世神は読んでいた。

 

 ――つまり、奴は、俺が決してヒロインを得ることは無いと、そう決めつけていたのだ!

 

「ククッ! ハハハッ! 俺は自分を駄目な転生者だと思っていた! 他の物語の転生者達のように前世の未練も果たせない駄目な奴だって! だけどそれは違った! 俺は誰よりも優秀な――転生者(てごま)だった!」

 

 心の底から湧き出す言葉に言い表せない感情によって笑い続ける俺。

 それを見て、クラウが気の毒そうに答える。

 

「マスター……。気に病まないで。相手は創世神。神の中で最上位の存在。いいように操られるのも仕方のないこと」

「別に操られること自体はいいんだよ」

 

 俺は何かを勘違いしているクラウの言葉にそう返す。

 クラウがその言葉に対して疑問を口にする。

 

「どういうこと?」

「俺は幸せな結末を――ハッピーエンドを得られるのなら、それが誰かの引いたレールの上だって構わないんだよ」

 

 俺はそうきっぱりと口にした。

 そう、俺は、俺を主人公にして行動を誘導していたことに対する恨みは無い。

 

「よく操り人形は嫌だとか、俺は俺の道を進むとか、そんな感じのことを言う奴もいるが、俺から言わせたら、そんなことを言える奴らは、自分で道を作り出して、その先で必ず成功して幸せになれるって自信のある途方もない自信家だ。……俺はそんな風に思うことは出来ない。だから、幸せになれるって言うのなら、誰かの手の平の上で踊る操り人形でもいいんだ」

 

 先がわからず、何の保証も無い道を、進み続けるのは恐ろしい。

 だからこそ、その先の全てがわかって、幸せになる結末が用意されていると言うのなら、それが誰かの意思によるものでも喜んで受け入れる――俺はそんな奴だ。

 だって、実際に自らの足で進んだ結果、何も得られなかった結末を――自らの前世を知っているのだから、それを避けたいと思うのが当然だろう?

 

 故に俺は正直に言えば、攻略対象達を羨ましく思う。

 なぜなら、彼らや彼女らは、アレクやアリシアによって自分の問題が解決され、そして彼らの恋人になって、幸せになるというストーリーが定められている。

 俺が望んでいる人生の保証が、愛し合う相手と添い遂げ、そして幸せな気持ちのまま結末を迎えるというハッピーエンドが約束されているからだ。

 もし、俺が攻略対象の立場なら、それが誰かによって作られた運命だと知っても、喜んでその運命に身を委ねて、何も考えずに幸せを享受していただろう。

 

「でも、これは違うだろう?」

 

 俺は思わずそう口にする。

 

 創世神は何も持たない者である悪役に俺を転生させた。

 そうさせることで主人公として色恋に耽けず前に進んで欲しかったからだ。

 

 ……それを考えれば、攻略対象がなんなのかも見えてくる。

 

「俺は、攻略対象達は世界が作った誰かの為のヒロインだと――アレクの為に用意されたヒロインだとそう思っていた。だけど、その考えは、半分当たっていて、半分間違っていた――攻略対象達はアレクの為のヒロインではなかった」

 

 俺は答え合わせをするかのように、クラウにそう語り続ける。

 

「俺と恋愛をさせないために、先に恋人としてアレクにくっ付けておくヒロイン――つまりは、俺の為のヒロイン――それこそが攻略対象の正体だ」

 

 ……少なからずおかしいと思っていた。

 

 幾ら悪役だからと言っても、婚約者や従者など、家族を除く親しい周りの女性が、根こそぎアレクに取られるというフレイ・フォン・シーザックの状況も。

 それから逃れるように世界を飛び回った先々で、まるで呪われているかのように、次々と出現して出会うことになる攻略対象達も。

 

 だが、答えは単純なものだった。

 ようは順序が逆だったのだ。

 

 俺が出会う相手がなぜか攻略対象ばかりになっているのではなく、俺が出会って恋愛をする可能性がある相手だと、シミュレートでわかっているからこそ、創世神は彼女達を攻略対象にしたというだけの話だったのだ。

 

「つまりは、俺が理想のヒロインを何よりも求めていると知りながら、それが手に入らないようにアレクに寝取らせ続けたってことだよな」

 

 俺と恋愛をしないように攻略対象にしたということは、創世神が何も手を加えなければ、彼女達は俺と恋仲になっていた可能性があるということだ。

 来幸達には、アレクとの出会いやそれに纏わる物語なんてものはなく、順当に俺と愛を育んで添い遂げ、俺は満足してハッピーエンドを迎える――そんな結末も本来ならあり得たのだ。

 

 言ってしまえば、俺は俺の本懐を本来なら遂げられていたはずなのだ。

 だが、それは創世神の妨害によって、全てなかったことにされてしまった。

 

 先程も言ったように俺は操られていることは許せる。

 だけど、俺の目的である夢の実現を邪魔をしたことだけは許せない……!

 

 俺がそう怒りを覚える中でクラウが俺の言葉に頷く。

 

「ん、マスターの言う通り、一部の者を除けば、攻略対象は、マスターを満足させず、前に進ませ続けるために、マスターと相思相愛になれる女性を、アレクに無理矢理寝取らせたものだと思う」

 

 これこそが、クラウが最初からアレクの為のイベントじゃなかったと語った理由。

 つまるところ、押し付ける先にアレクが丁度良かっただけで、別にあのイベントの相手自体は元から誰でも良かったのだ。

 

 俺はそこまで考えたところで、クラウの発言の中にあった、気になる部分について思わず問い返す。

 

「一部の者を除けば?」

「レディシアとかのこと。あれはマスターの好みと異なる。本来の世界でマスターと相思相愛になったとは思えない」

「確かにな……」

 

 ゲームとして楽しむ分にはああいうキャラもありだが、現実として恋人にするのは絶対に御免被りたい相手だ。

 そんな相手と俺が相思相愛になったとは思えない。

 

「恐らくレディシアは、マスターが異界神獣を倒す為に必要な要素を得るために、攻略対象にされた存在だと考えられる」

「本来の意図での攻略対象の使い方ってことか。俺と相思相愛になれる相手だけを攻略対象にしても、それじゃあ俺が止まる理由を潰しただけで、最終的な目的に向けた準備にはならないだろうからな……」

「ん、レディシアが銀神教を立ち上げたことでマスターは神になった。創世神にとって、マスターを神にすることは、異界神獣を倒す為に達成しなければいけない、必要なフラグの一つだったということ」

 

 そう言われると納得出来る部分も多い。

 神様扱いされたからこそ、こうして俺の権限が大きくなり、各国の者に命令を出して、異界神獣への対策の為の準備として招集出来ているのだ。

 これが、ただのフェルノ王国の貴族としてでは、ここまで円滑に準備を進めることは出来なかっただろうし、クラウを目覚めさせることも出来なかっただろう。

 

「あとはアリシアの攻略対象達もすべてレディシアと同じように、マスターの立場を押し上げたり、情報源になったりするためのものだと思う。実際にマスターは攻略対象であるケイトス達を部下にしているし、エロゲマッサージなど有用な情報をその攻略対象達から得ている」

 

 まあ、理想のヒロインを求める俺が男と恋愛するとは思えないし、普通に考えればアリシアの攻略対象はすべて物語を進めるためのものってことになるか。

 

 そこで俺はふと思いついたことを聞く。

 

「……もしかして、アリシアの攻略対象の年齢の幅がアレクに比べて大きかったのは、ユーザーの性差による意識の違いだからではなく、俺の恋愛対象として年齢が近くなりがちなヒロインと違って、年齢の幅に制限がなかったからって話なのか?」

「ん、恐らくそう。それに加えて年齢が高い方が、社会的地位や技術を持っている可能性が高いからというのもあると思う」

「なるほどな……」

 

 学園に通う攻略対象がヒロインに偏っていたのもこれが理由か。

 こうやって、理由を突き詰めれば突き詰めるほど、今までゲームだからと流していた疑問の答えが、意外な形で現れることになるな……。

 

「インフィニット・ワンはエロゲー。その中でそう言ったものをマスターに提供するために、女性主人公であるアリシアは作られたのだと思う」

「ああ、そうか、アリシアは元々はいなかったのか」

 

 俺はクラウの言葉からそのことに気づく。

 創世神が手を加える前の第一世界、そこで活躍したのがアレクと言うのなら、その代わりであるアリシアは、この世界に本来は存在していなかったということだ。

 

「言ってしまえばアリシアは創世神が作り出したオリキャラ。後から完全に付け足した存在だからこそ、基盤となる人格は存在せず、攻略対象に合わせた八方ビッチと言われるほどに、自由に人格を作ることが出来た」

「そこもゲーム的な都合というわけじゃなかったのか……」

「ヒーローもアリシアも、例えイベントが起こらなかったとしても、マスターは恋愛対象にはなり得ないから、実際にこの世界に現れた時のアリシアの人格を考慮する必要は無い。だから、無理な因果操作をしないように、八方ビッチのような人格を固定しない人物像にしたんだと思う。無理矢理な因果操作にはリスクがあるから」

「リスク? 因果操作はリスクがあるのか?」

 

 俺はクラウの話を聞いて思わず問いかけた。

 それに対してクラウは首を横に振る。

 

「因果操作自体にはそこまでリスクは無い。問題があるのは本来はなかった因果を無理矢理作り出そうとすること」

「本来はなかった因果……?」

「マスターとレディシアが恋愛するような運命を作ること。元来の性格や性質的に二人はお互いのことを恋愛対象にはしないよね?」

「まあ、そうだろうな」

 

 理想の俺だけのヒロインを追い求め、たった一人の相手と添い遂げたい俺と、楽しめれば何でも良いと、好き放題に様々な相手とその場限りの関係を続けるレディシアは、まさに水と油の関係だ。どう足掻いても恋愛することになるとは思えない。

 

「でも因果操作ならそんな二人を恋人にすることも出来る。だけど本来ではあり得ないことを実現する因果操作では、それを実現するために負荷が発生する」

「負荷……例えば俺と恋人になるまでは、レディシアがどれだけ男遊びをしようとしても、その相手が何故か片っ端から事故死してしまって、それを実行することが出来ず、誰にも恋心を向けないままの日々を過ごすとか?」

「ん、そう言うこと。因果操作によって起こる結果を実現するために、普通では起こりえない自然な流れでは無い出来事が発生する。それが負荷」

 

 因果――運命を先に決めた結果、それを実現出来ない状況にあるのなら、そこに到るまでの過程も含めて改変して、定めた運命が起こる状況を整えるってことか。

 

「そしてこの負荷は、アレクとヒロインの間で発生しているものになる」

 

 俺はそのクラウの言葉を聞いて出ている情報を整理する。

 

 アリシアとヒーローの場合は、元からヒーローが恋する可能性がある人格にアリシアを変えられるから、その二人が恋愛する運命を作るのだとしても、それはあり得る可能性を強めるだけで、本来なかった因果を作るようなものではない。

 だけど、俺への妨害の為に、インフィニット・ワン通りの内容でこの世界に登場させる必要があるアレクとヒロインの場合は、本来の存在から大きく人格等を変えることが出来ないため、因果操作で無理矢理二人の関係を作るしかないってとこか。

 

「よくよく考えて見れば当たり前か……。アレクがいかに天才的なモテ男だったとしても、クリスティアやレディシアと言った性格真反対の両名から、別々のルートとは言え、同じように愛を向けられるってのもおかしな話だもんな」

 

 万人に好かれる人間なんて居るはずはない。

 ましてや好みが真逆の人間が同じ人を好きになるのもおかしい。

 

 それが実現出来ているということは、そこには因果操作のような人知を超えた運命を操る何かしらの力が働いているということなのだろう。

 

 俺の言葉にクラウは頷く。

 そして続けるようにして言う。

 

「マスターは以前、メジーナ先輩達も含めた銀仮面ファンクラブに入っている、イベントを攻略しただけのヒロインの思いが強すぎると思ったことがあるよね?」

「ああ、確かに思ったことはあるな。幾ら何でも狂信的に惚れすぎだろって。こんなことになるなんて、やっぱりゲーム的というか、イベント攻略によって攻略対象の恋心がやばいことになるんだなと勝手に理由をつけて納得していたが……」

「あれは、マスターがイベント以上に彼女達を攻略しすぎたと言うのあるけど、アレクと添い遂げるという本来なかった因果を無理矢理作ったことで発生した、マスターを含む他の男達全てに対して恋をしないという負荷の反動というのもある」

 

 物語のヒロインというのは、それまで一度も他の男に恋することはなかったのに、主人公相手だと直ぐさま劇的な恋に落ちて、そのまま添い遂げることになる。

 アレクの場合はそれを再現するための負荷として、本来あり得た俺を含めた他の男との恋愛の可能性を無かったことにしているということだ

 

「つまり、ゲームという形で因果を知るマスターが因果を破壊したことで、負荷として消されていたマスターへの本来の思いが蘇り、そこにアレクがイベント攻略で得ることになっていた思いと、これまでのマスターに対する思いが追加された」

 

 そこまで言った所でクラウは纏めるようにして言う。

 

「結果として、一つだけでも恋愛に発展するほどの思いが三つも重なったことで、彼女達の思いは限界突破、オーバーヒートした。……それがあの惨状の原因」

 

 あの銀仮面ファンクラブのあたおか具合にも理由があったのだ。

 

 何と言うか、ここまで色々と説明が付くと、いっそ感心してしまう。

 だからこそ、俺は思わず呟いた。

 

「なるほどな……来幸達もそう言った経緯で、あんな感じになっているんだな」

「……それは違う。あれらは別件だと思う」

「別件? どういうことだ?」

 

 来幸達を銀仮面ファンクラブと違うと言ったクラウに俺は思わず問い返す。

 クラウは無表情ながら、どう答えたものかと言った雰囲気を見せて言った。

 

「……来幸達の記憶を取得すれば確定できる。マスターの記憶だけだと現状では確定的ではない推測しか出せない。マスターの為にもこの件に関しては、確定出来る情報が集まるまで明言は避けることにする」

「……? まあ、わかった。……どちらにしろ聞いたところでだしな」

 

 結局、来幸達が攻略対象であることは変わらない。

 例えそれが創世神によって無理矢理作られた運命だったとしても、彼女達自身はそれが因果操作によるものとは気付かずに、その気持ちが本物だと、彼を愛する気持ちは自分の意思だと信じて、アレクと恋に落ちてそのまま幸せに添い遂げるのだ。

 それは、誰かを好きになるという思いを何よりも大切にし、心の処女性を尊ぶ俺からして見れば、完全なアウト判定だ。

 

 それに俺が因果を破壊したとクラウは言っていたが、それが何処まで本当かもわからないからな……。

 

 因果が無くなったと信じて付き合いだした後、運命の通りにアレクに寝取られるとなったら、確実に立ち直れない。

 だからこそ、やはり、リスクのある攻略対象は、俺の恋愛対象になり得ない。

 

 俺がそう考えていると、話を元の流れに戻すようにクラウが言う。

 

「改めてもう一度言う。この世界の主人公はマスター。この世界、この時代は、全てマスターのために調整されて作られている」

「……」

「インフィニット・ワンと同じ世界のシステムも、原作知識をそのまま活用出来る環境も、殺しやすい勧善懲悪の敵役も、全てマスターが気兼ねなくこの世界を謳歌するために、創世神が用意した舞台装置。ここはマスターのための世界」

 

 インフィニット・ワンとそっくりなこの世界、この時代の全てが、俺の為に用意した作り物だとクラウは語る。

 

「だからこそ、この物語に初めからアレクは関係無かった。言ってしまえばこれは、マスターが異界神獣を倒すための物語」

 

 この物語は、アレクの物語に悪役転生した俺の物語ではなく、最初から俺が異界神獣を倒す為に導かれていた物語だとクラウは言う。

 

「だからこそ、最初の質問に対する回答は簡単。この物語の主人公であるマスターが、当機を必要だと考えてこの場に現れ、そして見事に完全な状態の当機を復活させることに成功した――それならそれが答え」

 

 つまり、この物語の主人公が俺であるのなら、必然的に俺がしようとした行動こそが、その物語のラスボスである異界神獣を倒す為のものに繋がっていると言える。

 

 だからこそ、異界神獣倒す方法とは――。

 

「神となったマスターが当機を使用して異界神獣と戦う――それこそがこの世界の者達が異界神獣を倒す唯一の方法」

「それが、異界神獣を倒す為の手段か……」

 

 示された回答は俺が望むものではなかった。

 もっと異界神獣を簡単に倒せるような何かがあればいいと思っていたが、結果としては主人公である俺が頑張って戦えば倒せるというもの。

 そもそも、世界を守るという責任を負って異界神獣なんかと戦いたくないのに、異界神獣との戦いの矢面に立たされそうになっている。

 

「主人公……ね……」

 

 俺はそんな事実を受けて、思わずそう呟いた。

 何も世界に危機が訪れていなかった時ならいざ知らず、こうして世界に危機が陥った状況になって、そんな称号は、正直言って押し付けられたくない。

 何かしら主人公として活躍した褒美が、ハッピーエンドが約束されているのなら、それでも頑張っていたが、そんなものは俺には用意されていないしな。

 

 いや、それにしてもハッピーエンドか……。

 

「マスター?」

 

 異界神獣を倒す方法を聞いたのに良い反応をしない俺を見て、クラウがそんな風な疑問の声を俺に向けて投げかける。

 

「……なあ、クラウ。これは俺が異界神獣を倒す物語なんだよな? なら、創世神が介入しているのは異界神獣を倒すまでか?」

「恐らくそうだと思う。創世神の目的は世界の危機である異界神獣を倒すこと。それ以上の介入を行ってしまえば、創世神が遊ぶ未来に不必要な影響を残すことになりかねない。だからこそ、異界神獣を倒すまでしか介入はしてないと思う」

 

 つまりは、異界神獣を倒すまでのイベント……俺が通らなかったルートに関しては創世神の影響が残るが、異界神獣さえ倒してしまえば、新しく創世神の影響が出ることはないわけだ。

 

 なら、話は決まった。

 

「そうか、いいよ。それなら望み通り、主人公をやってやるよ」

 

 俺は何処かで俺の姿を見ているかも知れない創世神に向かってそう宣言する。

 

 本当はそこまでする必要はないと思っていた。

 だけど、この話を聞いて、俺の覚悟はもう決まった。

 

 創世神、俺はお前の望む通り、この世界の主人公として、異界神獣を打ち倒し、世界は救われましたというハッピーエンドで、この物語を終わらせてやるよ。

 だけどな、エンディングを迎えた後の主人公は自由なんだ。別の大陸に人知れず旅立ったり、田舎に引っ込んで穏やかな暮らしをしたり、物語の後に新たな主人公の人生が始まることも多い。

 だからこそ、俺は、このゲームをクリアした後、お前が作ったこのふざけた舞台を全部捨てて、誰かによる何かの影響も無い真っ新な新天地で、今度こそ、俺だけの理想のヒロインを見つけ出してやる!!

 

 俺はそう心の中で宣言する。

 

 例え、この世界を作り出した神が、俺が恋愛出来ないような舞台を作り出していたとしても関係ない!

 それなら、これまで積み上げてきたもの全てを捨ててでも! 俺はその舞台から逃げ出し! 創世神の影響がない場所で! 俺だけのヒロインを見つけるまでだ!!

 

 ――俺は絶対に! 俺だけのヒロインを得ることを諦めない!!

 




 真実を知ったフレイは、主人公になる覚悟と、戦いが終わった後に全てを捨てる覚悟を決めました。

 それにしても、キーファとか今の子は知ってるかな〜。

 最近のゲームだと殆ど起きないことですが、ゲームをプレイしていて一番嫌なのは、育てていたプレイヤーキャラの唐突な永久離脱だよね! ってことで、これがフレイがこの世界に悪役転生した理由でした。
 フレイの転生理由について、想像通りだったって人は結構いますかね?

 他の物語だと、主人公ではなく、わざわざ悪役に転生させた理由って、どんなものが多いのかあまり知らないと言うか、ちゃんと明確な理由とかなく、ただ悪役に転生しただけってものも多そうですが、この物語を作る上で悪役に転生する理由があるならと、自分なりに考えてみました。

 その結果が、作中でフレイが語っていた通り、死亡フラグや婚約者寝取りなど何らかの問題を背負っている悪役に、その問題が起こることを許せないと思う人物を転生させることで、その問題を解決する過程で、他の問題も解決しながら、前に進み続けてもらうためと言うのが、一番しっくりくる理由なのではないかと思い、この物語での悪役転生の理由にして見た感じです。

 端的に言うと、そう言った悪役転生なら、破滅フラグを複数用意したり、或いは一作目が終わった後に二作目の舞台を始めるなどして、周囲の環境を上手く調整するだけで、主人公は止まらずに走り続けてくれるから、創世神にとっては使い勝手がとても良いってことですね。
 そして、フレイにとって、この破滅フラグに当たるものが、攻略対象と言うことになります。

――――――――

 悪役転生の理由を語ったついでに幾つか補足をします。
 特に補足がいらないって人はここから下は無視して大丈夫です。

 今回の話で薄々気付いている人もいると思いますが、レシリアルートは異界神獣を倒す為に必要なフラグとして用意されたルートです。
 言ってしまえばあれは、異界神獣を倒すと言うフレイの物語における、チュートリアルというか、共通ルートに当たるものとなります。
 その為に創世神はディノスという敵を用意して、確定でディノスを倒す展開を起こさせるために、因果操作でレシリアを殺して、レシリア(ゲーム)が誕生するように仕向けた感じです。

 何故そこまでしたのかというと、紫の神と出会わせてコネを作らせながら、空蝉の羅針盤という初期装備をフレイにプレゼントするためです。
 それは決して創世神の心遣いから来るものでは無く、単純に初期装備はキャラクターの成長の方向性を大きく決めることになるので、手を抜きたくなかったというだけです。
 プレイヤーキャラのキャラメイクは、ゲームの難易度を大きく変えるもので、ゲームを進める上で最も重要な事柄ですからね。
 結果的にフレイはまんまと乗せられて、転移を多用する戦闘スタイルを確立する方向で成長した感じです。

 ディノス戦までが共通ルートとなるので、そこから先はフレイの行動次第で無数にルート分岐していく形となります。
 転移能力を持ったフレイの行動範囲は広く、来幸を見つけて従者にする展開もあれば、来幸を見つけずに七彩教に所属する巫女に出会う展開も、旅人である獣人の少女と出会う展開もあります。

 そんな風に、無数にあったフレイの出会い、その中からフレイと相手が相思相愛になれる可能性がある者を、創世神は片っ端からアレクの攻略対象にして寝取らせることで防いできたわけですが、そうなると『フレイが相思相愛なんてそんな状況になれたのかよ』と思いますよね。
 ただ実は意外なことに、フレイの理想は高いようで案外低いので、目的を達成することはそこまで難しくない形となります。

 結局のところ、フレイは、恋人になる相手については、自分のことを嘘偽り無く愛してくれて、その愛を裏切って他の男の元に行くこと無く、最後まで添い遂げてくれて、一緒にハッピーエンドを迎えられると、そう自分自身が心の底から信じられる相手が欲しいと考えています。
 それ以外の部分に関しては、アレクに寝取らせた攻略対象が多種多様なように、特にこだわりはなく、結構自由度が高い感じです。

 作中世界はフレイにゲーム世界だと誤認させるために、全体的に見た目のレベルが創世神によって底上げされている状態で、言ってしまえばモブでも可愛い状況なので、フレイにとって許容範囲内の女性は大勢世界にいる形となります。
 そして、それだけ全体の量が多ければ、当然その中には性格が良い子も何人も含まれることになり、来幸やシルフィーのような本編のように病んだ状況でなくても、愛し合った相手と添い遂げるという気概を持った人も出てくることになります。
 フレイは恋人になった相手を愛し続けると決めているため、その二人が出会えば相思相愛で幸せに人生を過ごすことが出来ると言うわけです。

 逆説的に言うと、アレクに寝取らせたタイプの攻略対象達は、試行回数の大勝利と言わんばかりに、シミュレートによる無数のルート分岐の中で、世界中を転移によって飛び回れるフレイが妥協せずに探し出した、恋愛相手を裏切ることもない、内面も含めて全てが優れた素晴らしい女性達と言う事になります。
 言ってしまえば、元からどこかヒロイン気質というものがある者達だったので、フレイと恋愛する運命を消して、アレクへの恋愛感情を持たせる運命を付けるだけで、手間暇かけずに、あっさりと攻略対象に仕立て上げることが出来たので、創世神としてもにっこりでした。

 ちなみに、アレクに寝取らせヒロインの第一号は来幸です。

 シミュレーターの中で、創世神が初期装備をフレイに与えて、後はお任せと言った感じで放置していたら、転生なしフレイが「うわっ! 忌み子がいる! 関わり合いになりたくないから避けよう……」と言って見捨てたせいで、奴隷商人に捕まって非業の死を遂げるはずだった来幸を、転生ありフレイは「黒髪が忌み子なんて許せない」と言って、来幸を拾ってしまったので、来幸が生存することになってしまいました。
 そのシミュレートでは、まだ創世神が来幸を認識する前だったので、フレイの原作知識でも来幸は攻略対象ではなく、運命の相手(アレク)という自分を裏切る証拠だと、フレイが思うものを来幸が持ち合わせていなかったため、フレイは来幸を本編のようにこっ酷く振ることもなく、そのまま互いに惹かれあって愛し合った感じです。
 そうしてフレイは前世の悲願であった、ボーイミーツガールの幸せなハッピーエンドを堪能しましたが、世界的には異界神獣を倒す人がいなくなるバットエンドだったので、その後、あっさりと世界は異界神獣に滅ぼされて、そのシミュレートは終わりました。
 馬車馬の如く働かせる為に、フレイを悪役転生させたのは良いけど、転生ありなしの環境差異を考慮に入れてなかったせいで、創世神は最初で躓いた感じですね。

 それを見て、創世神はこれはいかんと考え、シミュレーターを全力で使いながら、せっせせっせと、シミュレートの結果、転生ありのフレイと恋愛する可能性があるとわかった女性を、どんどんとアレクの攻略対象に変えていった形になります。
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