エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます 作:グルグル30
案外呆気なかったな~。
来幸の誘拐事件からそれなりの月日が経ったある日、俺はあの時の戦いを思い出してふとそう思った。
あの後、ジーク達によって黒神教は一斉摘発され、少なくとも領内の黒神教については、七彩教に改宗するか、皆殺しされることになり、一連の事件は幕を閉じた。
他の土地にも黒神教は残っているだろうが、一番重要な初代が残した魔導書はこちらで抑えているし、しつこく逃げ回っていた組織の頭を潰した以上、大規模な活動や、強引な勧誘は出来ず、信仰は残っていても、それを組織としては維持出来ず、淘汰されて消えていくだろう。
ゲーム時代の彼らはもっと大規模な組織であり、それこそ国を揺るがしかねない存在だったのだが、一領主によって根絶できてしまうなど、正直肩透かしも良いところだ。
早めに事件が起こって潰せたのが良かったのか?
俺はふとそう思う。
黒神教は教祖や幹部が闇魔法を使うことで、他者の洗脳や記憶操作を行って、強引に信者を増やし、勢力を拡大してきた存在だ。
だからこそ、何度組織が壊滅的な被害を受けても、直ぐに勢力を取り戻して、この世界で暗躍を続ける事ができた。
だが、今回は完全に勢力を取り戻したゲーム時代と違って、魔力が強く闇魔法による洗脳が効き辛い上に、耐精神魔法用の装備がある貴族の騎士団によって勢力を削がれた後であり、その削がれた勢力を取り戻す前の段階で教祖を仕留めることができたから、洗脳によって信者になった者の数も少なく、今回のように容易く倒せたのではないかと思う。
本来ならそのような状況なら、じっくりと身を潜めて勢力の回復に努めるべきなのだろうが、洗脳によって信者にされた者は、そう言った損得を考えることも出来ず、ただ教義に従って偶然噂を知った来幸を攫いに来たのでは無いかと、これまで調べた情報から俺は考えていた。
教祖達もさすがに想定していなかったのではないだろうか。
騎士団にコテンパンにやられて、勢力回復に都合がいいとやってきた管理されていない海洋都市で、魔族を倒した存在を確認しに行かせたら、偶然黒髪を見つけた信者が暴走したあげく、その黒髪を連れ去ってきて、仕方なく儀式をしていたら、攫われた少女を追ってきた相手に踏み込まれて、その場で自分達が殺されてしまうなんていうギャグみたいな出来事は。
魔法の洗脳による狂信は、どれだけ打ちのめされても、再度立ち直るだけの狂気を得られたが、一方で無理な状況でも無理矢理立ちあがるため、一歩間違えれば今回のように容易く崩壊する、砂上の楼閣と言えるようなものだったのかも知れないなと思う。
端的に言ってしまえばいい教訓だ。
自分が魔法を使って相手を洗脳するときは、その洗脳内容については、しっかりとどうするか決めて、注意しながら使って行こうと心に決めた。
「ま、いずれにせよ。欲しい物は手に入った」
手に持った闇魔法の魔導書を弄りながらそう呟く。
既にこの魔導書に書かれていた魔法は全て覚えた。
この闇魔法の魔導書は闇の魔力を持った黒髪の存在以外でも、闇魔法を扱えるようにするために自らを神と自称した初代の教祖が作り上げたもので、平民でも使用できるように低燃費で使用できるものとなっている。
その為、ボロボロになった俺の魔力回路でも、高位の攻撃魔法以外は習得し、扱う事ができるような代物だった。
「来幸も最近は、一禍のような万能メイドになってきたし、頃合いかもな」
誘拐事件の後、更にやる気に満ちた来幸は、さすが攻略対象者と言えるような優秀さを発揮して、あっという間にシーザック家の使用人の中でもトップクラスの完全完璧なメイドになっていた。
それに加えて、リノアの恋愛小説等様々な恋愛本をこっそりと横流して、恋愛に対する知識もしっかりと深めさせた。
故に、協力者とするための話をするのに万全の状態が整ったと言える。
俺はそう考えると近くのメイドに「大事な話があるから、一人で俺の部屋に来るように来幸に言っておいてくれ」と伝えて、部屋で待つ。
しばらくすると外から扉をノックされ、来幸の声が聞こえてくる。
「フレイ様、中に入ってよろしいでしょうか?」
「ああ、いいぞ」
少し緊張したかのような来幸の声。
それに相対する俺も緊張を隠しきれなかった。
ここでの会話で今後の活動の状況が大きく変わるのだ。
だからこそ、俺は部屋に入ってきた来幸を真剣な表情で見つめる。
絶対に彼女を俺の協力者に仕立て上げる――!
俺はそう意気込むと来幸に語りかけ始めた、
捕捉ですが作中世界における闇魔法の位置づけは、平民~下位貴族には大体効くが、中位以上の貴族には余り効かず、更に大体精神攻撃に対する自動反撃用の装備を持っているので使えない状況にあります。
そのため、黒神教は平民層で爆発的に勢力を増加させていきますが、それを見た貴族勢に不穏分子としてもろとも始末されて、勢力が激減して別の土地に逃げ去るということを繰り返している組織です。
最終的に始末し損ねた平民信者と、貴族に蹴散らされた平民の貴族に対する憎しみだけをその土地に残していく、たちの悪い存在で、時間をかければかけるほど、いつか爆発する爆弾としての信者や対貴族への勢力を増やしていく厄介な存在です。
貴族からは邪教として嫌われていますが、自領で邪教が広まっていたと言うのは恥なので、平民ごと始末するだけ始末して、他領との情報共有などの連携とかはあまり取っていません。
あと今回、フレイは闇魔法を一部の高位の攻撃魔法を除いて全て習得したと言っていますが、催淫系のものについては、純愛を求める俺には必要ないなと流し見しているため、後々そう言う闇魔法があったということ自体を普通に忘れてしまいます。