エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます 作:グルグル30
ノーティス領に転移した俺達は、ゲーム内でダンジョンがあった場所の近くにある街へと辿り着いていた。
どうして俺がノーティス領の転移座標を持っているかというと、それは馬車に空蝉の羅針盤の針を付着させて、それが次の街に着いたタイミングで、馬車に対して転移をし、街に転移座標用の針を設置して、転移で家に戻るという行為を繰り返して、大して労力も掛けずに各地に転移座標を作ったからだ。
その為、俺はフェルノ王国の街だけでは無く、他国の街であっても、既に大体の場所には転移座標を持っている状況にあるのだ。
ゲームと違って何個でも転移座標を設置出来て良かった。
まあ、転移先の管理が番号での管理で、何処の場所かというのが出てこないから、あまり無闇矢鱈に増やしたりは出来ないんだけどね。
俺はそんなことを考えながら、その街の冒険者ギルドへと足を運んだ。
そして迷うこと無く受付のお姉さんの元へと向かう。
「すみません!」
「ん? 如何したの坊や?」
子供である俺を見て受付の人はそうやって優しそうに言った。
これは使えると思った俺は、何処かの子供のふりをする高校性のように、あれれ~と言いそうな態度で子供を演じる。
「この辺で一番大きな岩がある場所って知ってる?」
「一番大きな岩……ケディオン大森林の大岩のことかな?」
「うん! それ! あの地図のどの辺にあるの?」
そう言って俺は売られているケディオン大森林の地図を指差した。
「え~と、この辺りかな」
そう言って受付の人はその場所を指差す。
「そっか~ありがとう~!」
俺は聞きたいことを聞けたのでそのまま外に出ようとする。
すると後ろから受付の人が声を掛けてきた。
「そこは魔物も多いから、子供が一人で行っちゃダメよ!」
「分かってる!」
それだけ言うとギルドから出た。
中の様子を見ていたレオナルドが引いた様子で言う。
「ちょ、フレイ様、さっきのはなんっすか? 何か鳥肌たったんすけど」
「情報収集の為に子供を演じただけだろうが、て言うか俺はまだ十一歳なんだから、ギリギリあの態度でも許される年齢だろ?」
「いや、まあ、そうかも知れないっすけど、ねえ?」
レオナルドが同意を求めるようにそう言うと、クレアがその通りだと同意するように頷いていた。
「此奴ら……ともかく、場所が分かったから行くぞ」
俺はゲーム知識でどの街の近くにダンジョンがあるかは知っていたが、インフィニット・ワンはRPGツ○ールで作ったような2Dドットゲーだったので、実際の場所がどの辺りにあるかが分からなかった。
だから、この街の冒険者ギルドで、ダンジョンの入口近くにあった特徴的な巨大な岩のオブジェクトが何処にあるのかを聞いたのだ。
目的の場所は、この街の南門を出て行った先にあるケディオン大森林の中心地辺りにあるらしいので、俺達は門を出るとそのまま森へと向かい――。
「あんた達! 何やってるの!」
突如馬車から声を掛けられて足を止めた。
俺達がふと後ろを振り向くと、馬車から一人の少女が降りてきた。
それを見て俺は思わず呻く。
この赤い髪に馬車の紋章……此奴エルザじゅねーか!
関わりたくない奴が出てきて苦い顔になる俺を余所に、エルザは俺達に向かってまくし立てるように言う。
「こんなに子供を連れてケディオン大森林に入るなんて自殺行為よ! そこのあんた! 保護者でしょ! なんでそんな危険な真似をしているの!?」
「ええ!? か、カミィ……」
エルザに突然詰め寄られたケイトスが助けを求めるように俺を見る。
俺は仕方ないとケイトスとエルザの間に割って入った。
「俺がケイトスに森に入りたいと言ったんだ。彼を責めないでくれ」
「あんた、貴族? 誰よ?」
俺が大人であるケイトスを従えていること。
そして俺の身なりから俺を貴族と判断したエルザがそう言う。
ここでシーザック家というのは簡単だが……。
いま、シーザック家が関与していることを知らせる訳にはいかない。
だから、俺は適当なホラを吹くことにした。
「オスティア男爵家の長男であるリュークだ。そう言うそちらはどなたかな?」
「あ、あたしは……ゼリース子爵家のエレンよ」
ちげーだろ! お前はノーティス家のエルザだろ!
と叫びたくなったものの、俺はそれを何とか飲み込んだ。
理由は分からないが、どうやらエルザがここに来ているという状況を、何とかして隠したいらしい。
「ともかく、このあたしが命令したんだから従いなさい」
「……わかりました、エレン様。俺達は忠告に従って街に引き返すことにします」
「ええ、それでいいのよ」
そう言って俺は来た道を戻る。
エルザも馬車に再度乗って、そのまま俺達と共に街へと入った。
そしてエルザの馬車が俺達より先に進んだ所で、俺は再び大森林の方へと足を向けてレオナルド達に言う。
「じゃ、行くか」
「ちょ、戻るんじゃないんすか?」
「エレンに言った通り、一度街には帰っただろう? その後はまた向かわないとまでは俺は言っていない」
「ええ……。そんな屁理屈言っていいんっすか~?」
レオナルドが心配そうにそう言うが、俺はそれを何の問題もないとレオナルド達に向かって言う。
「誰が馬鹿正直に言うことに従うかよ。ああいうお貴族様の横暴は、取り敢えず従ったふりをしておけばいいんだ」
「それ、そのお貴族様であるフレイ様がいうことじゃないよね……」
クレアから突っ込みが飛んでくるが俺はそれに反論する。
「俺は庶民派貴族だからいい~の。そうだよな、来幸? ケイトス?」
「はい。フレイ様の仰るとおりです」
「カミィは絶対ですぅ~」
「甘やかさずにちゃんと否定することは否定しないとダメだよ……?」
全面肯定の二人を見て突っ込むようにクレアはそう言った。
何だかんだノリが良くて話しやすい。
さすが攻略対象だな。
「さてと、じゃあ進むか、……エレンに見つからないようにな」
「っす。了解っす」
そんな風に下らない話で親睦を深めながら、俺達はケディオン大森林の中を順調に進んでいく。
出てくる魔物は大体がケイトスの水魔法と、レオナルドの剣で打ち倒されているため、俺は殆ど何もすることなかった。
そんな風に暇をしていたからか、俺は何処からか聞こえる音に気付く。
「~!」
「なあ、何か声が聞こえないか?」
「そうっすか?」
俺のその言葉に俺以外のメンバーが不思議そうに首を振った。
「~いで~!」
「やっぱり、何か聞こえるな。ちょっと見てくる。ここで待っていてくれ」
俺はそう言うと短距離転移を駆使し、空中を移動しながら、謎の音がする方向へと向かっていく。
徐々に明瞭になっていく音というか声。
転移でその現場に行って見れば、そこにはファングベアーというBランクの魔物と、それに襲われて涙目になりながら「来ないで~!」と叫んでいるエルザの姿がそこにあった。
「何でこんな所にエルザが一人でいるんだ?」
俺は一言そう呟くと、ファングベアーの上に転移し、頭部を剣で突き刺すことで殺すと、倒れ伏したファングベアーの上から、エルザに向かって呆れたように言った。
「こんな所に子供一人で来るなんて、馬鹿なんじゃないの?」