エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます 作:グルグル30
「ふ……リューク様! 敵がきたっすよ!」
考え事をしながら、しばらく歩いていると最初の敵と接敵した。
ゴブリンが数体のその辺の森でも現れそうな相手だ。
「よし、レオナルドはそのまま敵を引きつけろ。クレアは後衛に近づこうとする敵をたたけ、来幸は弓で、ケイオスとエルザは魔法で攻撃だ」
「はあ!? ちょっとなんであたしも戦うことになってるの!?」
「無駄飯ぐらいは許さない。戦えるならお前も戦え」
俺はそう言うと剣を抜いて前線に出る。
そしてレオナルドが引きつけていない方のゴブリンに向かった。
空蝉の羅針盤を使って相手の死角に転移すれば瞬殺だろうけど、それじゃあレオナルドの訓練にならないからな。
その為に、今回はなるべく転移なしで敵と戦う。
「っし!」
俺の剣がゴブリンの頭部を切り落とした。
そしてそこでレオナルドに言う。
「スイッチ」
「っす!」
レオナルドが自分に集うゴブリンを弾くと、一歩下がって別のゴブリンを盾を使って防ぐように動く、そして弾かれたゴブリンには横から俺が斬り掛かった。
「二匹目と、三匹目と四匹目か」
飛んできた魔法が俺の近くにいた魔物を穿った。
レオナルドが避けて射線が空いたのを見て、即座に判断を行い、ケイオスとエルザが魔法で攻撃を行ったのだ。
「やるじゃん」
俺はエルザに向かって思わずそう言う。
エルザは自分が褒められたと理解したのか、胸を張って言った。
「あ、当たり前でしょ! あたしに出来ないことはないわ!」
「熊相手に負けそうになってちびってたのに?」
「ちびってない!」
そう、エルザは顔を赤くして言う。
それを見て俺は思う。
取り敢えずこれで気は紛らわせたかな?
貴族は学園に入れば必ず実戦経験を積むけど、この段階だとエルザが何処まで魔物と戦ったことがあるか分からんからな。
ゴブリンとは言え、命を奪ったのは初めてかも知れないし、こうやって茶化して流してあげた方が良いだろう。
そんな風に考えるとレオナルドが最後のゴブリンを叩き潰した。
「これで終わりっす」
「了解、怪我はないか?」
「はいっす」
「じゃ、魔石を回収して次に行こう」
そう言って魔石を拾おうとしたところで、後ろからエルザが俺の元へ怒りながら向かってきた。
「あんた。さっきから、あたしへのその気安い態度はなんなの?」
「俺はお前のダンジョン攻略の目的に協力することにしたが、お前の配下になったつもりはない。あくまで協力関係――俺とお前は対等な仲間だ。だから、俺がお前に気を使う必要はまるでない!」
「はぁ~! 何よそれ! あたしとあんたが対等だっていうの!? んなわけないでしょ! あたしは公爵令嬢よ!」
「そんなのダンジョンでは関係ないだろう。それに、お前がどう思っていようと、俺がそう思っているなら、それが全てだ」
そう言って俺は足下にある魔石を拾い、エルザに投げ渡す。
「ちょっと何するのよ」
「報酬の分配だよ。お前が倒した魔石だ、お前が持って行け」
「あたしの――魔石?」
渡された魔石を思わず見るエルザ。
俺はそのまま他の仲間に言う。
「じゃあ、お前ら先に進むぞ」
「ちょっと、あたしはこんなんじゃ誤魔化されない――」
尚もエルザが何か喚いているが、俺は適当に受け流しながら先に進んだ。
☆☆☆
「はあはあ……最深部はまだなの?」
疲れ果てた様子でエルザがそう口にする。
他のメンバーも疲労感が色濃く出ていた。
「さすがに敵が多いな……俺達しかいないからか」
まだゲームの時ほど成長はしていないが、その代わりゲーム時代と違って攻略しているのが自分達だけなので、それなりに敵と遭遇していた。
「戻る時の余力も考えないといけません。そろそろ引き上げるべきかと」
来幸が空蝉の羅針盤を使わない前提での提案をしてくる。
俺はそれに答える。
「いや、行き来はアレを使う。ここの攻略にそう時間を掛けるわけにもいかない」
「そうですか、わかりました」
「まあ、使うにしても、そろそろ帰還した方がよさそうではあるな」
次の部屋を確認したら帰るかと仲間にいい、そしてそれに仲間が了承したところで、俺達はその部屋に入った。
その部屋には敵は居なかったが、代わりにこれまでの部屋で見つからなかった、あるものがそこに存在していた。
「はあはあ……た、か、ら、ば、こ!」
息を荒くし、興奮した様子でクレアはそう言うと、あっという間に宝箱に近づいて罠がないかを弄って確認し始めた。
その明らかにあれな態度に俺の顔が引き攣る。
おいおい、まさかエロCG展開が来ちゃうのか!?
ここにはクレアの恋人でもあるレオナルドもいるし、貴族のご令嬢であるエルザもいるので、めったなことはしないで欲しいと思った俺は、直ぐさま転移で近づくと、「罠はない」と言って宝箱に迫ろうとしていたクレアを止めた。
「あ~。罠がないなら、エルザに開けさせてやろう」
「え~何でですか! アタイが開けたい! もう我慢出来ないんだ」
「お前がそんなんだから開けさせられないんだろ」
初の宝箱との遭遇だからかクレアの興奮度がやばい。
宝箱を開けた瞬間に絶頂してしまうとかやりそうでマジ怖い。
だから、俺は穏当に開けてくれそうなメンバーであるエルザに振ったのだ。
変に俺の臣下に開けさせると後で禍根が残りかねないし。
「あ、あたしが……?」
「ああ、兎に角開けてくれ、此奴に開けさせるのは不味そうって、何となく見れば理解してくれるだろう?」
「だがらばご~!!」
ゾンビのようになったクレアを抑えながら俺は言う。
この姿はレオナルド的にオーケーなのかと思ってみると、レオナルドは「本当に宝箱が好きなんっすね」と頭のネジが外れているのか、それとも恋は盲目と言うべきなのか、何故かほのぼのとしていた。
俺の言葉を受けたエルザは宝箱に近づくと、それを開ける。
クレアの叫びとともに中から出てきたのはイヤリングだった。
「安物のイヤリングね」
「まあ、ダンジョンの一層だからな」
それを見たエルザが思わず言った言葉に俺が応える。
「だけど、俺達のダンジョン攻略の成果でもある」
「私達のダンジョン攻略の成果……」
「記念に貰っていけよ。いらなかったら後で捨てればいいんだし」
「ふん! そこまで言うのなら、あたしが貰っていくわ!」
そう言ってエルザは懐に大事そうにイヤリングをしまった。
そして、クレアが怨嗟の籠もった目で俺を見る。
「酷いですよ。ふ……リューク様ぁああ!」
明らかに俺に対する好感度が大幅に下がっている。
だけどゴメンな。
お前の好感度はいらないんだわ。
そんな感じなのでフォローする必要はないのだが、これからのダンジョン攻略も踏まえて、俺は穏当に済ませるために頭を使う。
「悪かった。これ以降の宝箱は全部お前にやるからそれでチャラにしてくれ」
「約束ですよ~! 言質は取りましたからね!」
「はいはい。今日はここまでだ。全員帰るぞ! 俺に掴まれ!」
俺のその言葉にエルザ以外の全員が俺を触った。
「帰るって」
「こうするんだよ!」
そう言うと俺はエルザの腕を握る。
そして俺達は転移した。