エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます 作:グルグル30
リュークの転移であたし達はウルクの街に戻ってきた。
ダンジョンコアを持ったリュークはあたしに向かって言う。
「これで依頼は完了だな」
「そうね。色々と世話になったわ」
「随分と素直に礼を言うんだな」
「しっかりと目的は達成できたわけだしね」
あたしは皮肉げに返してきたリュークにそう言い返した。
そんなあたしの言葉にリュークは笑みを見せるとあたしに背を向けた。
「それじゃ、俺達はこれで失礼するわ」
そうやって去って行こうとするリューク。
それを見て何故か焦燥感に駆られたあたしはリュークに問いかけた。
「ねえ! また……あえる?」
その言葉にリュークは振り返った。
「……まあ、あえるんじゃないの? フェルノ王国の次期当主と長男長女は、基本的にナルル学園に入学するんだから、そこであえるだろ」
あたしはその言葉を聞いて嬉しくなった。
たった三日だけど、このダンジョン攻略で仲良くなれたリュークとまた会いたかったからだ。
「そう! それじゃあ、またね! リューク!」
「ああ、またな……」
リュークは言葉少なげにそう言うと転移で去っていた。
あたしはその後、別荘へと戻るとダンジョン攻略を達成したことを告げ、それをお父様に伝えるために本邸へと戻った。
あたしが本邸に戻ると何故かお父様が焦ったようにうろうろしていた。
「お父様!」
「ああ、エルザ!」
あたしに気付くとお父様はあたしを抱きしめてくれる。
「そんなに慌ててどうしたの?」
「そ、それがね……いや、一応エルザにも言っておいた方が良いか……」
そう言うとお父様はあたしに向かってその理由を話す。
「シーザック家の長男との婚約話を進めていたのは知っているだろう? その婚約相手がこともあろうに、エルザとの婚約が絶対に嫌だと突っぱねたらしいんだ」
「あたしの婚約相手が……?」
それを聞いてあたしは思わずそんな疑問の声を上げた。
公爵令嬢であるあたしとの婚約を嫌がる者なんているのかと。
「でも、近年急成長しているシーザック家の援助は、今のノーティス家には必要なものなんだ。だから婚約話を流させるわけにはいかない。嫌がる相手に嫁ぐなんてエルザにはきっと辛い思いをさせると思うけど……」
「お父様! それならもう心配はありません!」
あたしはお父様に向かって笑顔でそう宣言する。
お父様がそんなあたしを見て不思議そうな顔をするが、あたしから今回の原因がダンジョンであることと、そしてそれを攻略したことを伝えると真剣な表情となる。
「婚約破棄に協力した転移使いの少年……? それって」
「どうしたのお父様?」
「……いや、なんでもない」
お父様は何かを言おうとしたのを止めたようだった。
そして直ぐに別の話へと切り替える。
「そうか、エルザの頑張りで、もうシーザック家を頼る必要もなくなったんだんね。相手側も婚約破棄しようとしているし、これならわざわざ婚約関係を維持する必要もないけど、エルザはこの婚約をどうしたい?」
お父様にそう言われて、何故か唐突にリュークの顔が思い浮かぶ。
元々婚約を破棄するつもりだったが、そのリュークの顔を思い出すと、知らない相手なんかと婚約を維持する気持ちには絶対になれなかった。
ナルル学園に入ったらリュークにあえるし。
あたしは何故かそんなことを考えながらお父様に答える。
「そのまま破棄して!」
「わかった。じゃあ、向こうにもそう伝えるよ」
お父様はそう言って去って行く。
あたしは自分の部屋のベットに倒れると、一人呟いた。
「早くナルル学園に行きたいな……」
リュークと再会したら今度はどんなことをしようか、あたしはそんなことを考えながら眠りについた。