エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます 作:グルグル30
銀仮面――それは最近王国を騒がせる謎の存在だ。
不幸な目に合っている少年少女の元に現れ、颯爽とその問題を解決し、何処かへと去って行く孤高の存在。
多くの者がその正体を追い求めているが、未だに判明していない存在だ。
その銀仮面……何を隠そうこの俺こそがその正体である。
何故、俺がそんな慈善活動に興じているかというと、それは不幸な目に合っている攻略対象達を救うためだ。
「バットエンドトリガーが起動して、バットエンドルートに入って、攻略対象達が悲惨な目に合うって言うのは避けたいからな」
インフィニット・ワンは基本的にどのルートでも必ずハッピーエンドで終わる。
ストーリー上では、幾つもの選択肢による分岐や行動の結果によって、ストーリー自体の内容が変化したり、会話が変わるということもあるが、それらの分岐は最終的に一つの大きな支流に纏められ、攻略対象のハッピーエンドに辿り着く感じだ。
まるで主人公と攻略対象には、大きな運命によって、幸せな結末が約束されていると言わんばかりの幸せなストーリー。
だが、世の中にはそう言ったハッピーエンドよりも、攻略対象や主人公が悲惨な目にあって目が曇るのが見たいという客層もいるし、そう言った鬱要素がつまった物語も創作の中では主流なストーリーの一つでもある。
インフィニット・ワンは、グラフィックとシステムを犠牲にすることで、多数の攻略対象を用意し、無限とも言えるほどの様々なストーリーが楽しめるということを売りにしていたゲームだ。
だからこそ、プレイヤーを不快にさせない為に基本的にハッピーエンドの物語を作っていたが、鬱要素が存在する物語がないというのも、どんなストーリーもあるという看板に問題が生じるため、彼らはそう言ったストーリーも用意していたのだ。
それが、バットエンドルートだ。
実は各攻略対象には一つずつ、バットエンドとなるルートが容易されていて、通常プレイでは殆ど起こらないような特殊なフラグを踏むと、バットエンドトリガーが起動し、そのバットエンドルートに突入することになっているのだ。
特殊な客層以外の者の為に、ルートに入る際には『バットエンドルートに入りました。これから描かれるのは、あり得もしないもしもの可能性の話であり、正史は本来の運命通りに主人公と攻略対象がラブラブで幸せに終わる通常ルートです。それでもこの物語をプレイしますか』と懇切丁寧に警告を行い、『いいえ』を選択すれば通常ルートに戻してくれる。
そこまで過剰なほどに警告をしてくれるのは、ヒロインが悲惨な目に合ってしまうのを好まない層が誤って見るのを防ぐためと、バットエンドルートだけを抜き出してこんな風にヒロインが可哀想な目に合うゲームなんだと、ネット上でのネガキャンに使われるのを防ぐ為だったのだろうと言われている。
バットエンドルートをクリアすることによる実績や得点もないため、本当にそう言ったものが好きな人しか見たことがないだろう特殊なルートだ。
実際にインフィニット・ワンをやり込んだ俺でも、ヒロイン達のバットエンドルートは全ては見ておらず、逆にアヘらされるアリシアがエロかった、ヒーロー達のバットエンドルートの方が、ルートクリア率が多いという有様だ。
そんなこんなで幾つかのバットエンドルートしか知らないが、俺が知っているものだけでもその悲惨さはよく分かっている。
例えばエルザやレシリアのバットエンドルートがその例に挙げられる。
エルザのバットエンドルートは、ダンジョン攻略をサボることで起こる。
ダンジョンでは各攻略対象やメインキャラを連れて挑むことができ、そこでエロトラップに嵌まった彼ら彼女らの特別なCGやイベントを見ることが出来るが、それを行うごとにエルザルートのみで存在する意欲ゲージというゲージが減っていく。
この意欲ゲージはダンジョンの階層を進むことで回復するが、その回復が追いつかずにゼロになってしまうと、バットエンドトリガーが起動し、バットエンドルートへと入ることになってしまうのだ。
その条件の内容から、インフィニット・ワンで一番入った者が多い、バットエンドルートだと言える。
実際に俺も、ヒロイン達のエロトラップのエッチなCGを見て楽しんでいたら、うっかり意欲ゲージをゼロにしてしまい、折角だからとそのままバットエンドルートをプレイしたのがエルザルートのバットを見た切っ掛けだ。
エルザのバットエンドルートに入ると、その瞬間にダンジョンが崩壊を始める。
嫌な予感がしつつもダンジョンを脱出したアレクが見たのは、ダンジョンコアを手に掲げて凱旋する一人の冒険者の姿だった。
そう、アレクが遊び惚けている間に、別の者が大会を優勝してしまったのだ。
その男は元からの目的である大会の景品であるエルザを手に入れる。
熱いキスを交わすエルザと男、それを見て思わず唖然としてしまったアレクの横を通り過ぎる際にエルザが言う。
「役立たず」
まるでアレクに夫になって欲しかったと言わんばかりに、悲しそうにアレクだけに聞こえるように言ったエルザはそのまま去って行った。
そしてアレクはその場で膝を突き打ちひしがれることになる。
このバットエンドでストーリーは終了。
そのままエンディングに向かうと思うだろう。
だが、そうはならない。
――なぜならこれは、バットエンドではなく、バットエンドルートだからだ。
ルートと名が付いているようにアレクを操作して、バットエンドへと向かって行く世界で行動することが出来るのだ。
アレクが打ちひしがれた翌日以降に、ノーティス家の屋敷を訪ねると、その中を自由に散策することが出来る。
その時に屋敷にいる子供のメイドに話しかけると、「夜な夜なエルザ様の苦しそうな声が聞こえるの」と心配そうにしている話を聞かされたり、エルザのベットを調べるとエルザの???が手に入るなど。
アレクより、(ダンジョン攻略が)ずっとはやい!! と言わんばかりに、何処かの寝取られキャラのネタを片っ端から詰め込んだ内容で、プレイヤーにエルザが他のモブ男に寝取られたのだと強烈に植え付けてくる。
そうして全ての情報を調べ終えることで、ストーリーが進行し、最後には何を思ったのか、夜中に屋敷に侵入したアレクが、エルザの寝室を覗き込み、そこでエロ墜ちマゾ化してモブ男に喘がされまくるエルザの姿を目撃して発狂したところで、エルザのバットエンドルートは終わり、エンディングへと移ることになる。
最終的にはエンディングで、アレクがただダンジョンを攻略するだけの狂戦士となりましたと語られて、このルートはおしまいだ。
この一連の流れでエルザに惚れていたプレイヤーの脳は破壊され、アレク視点による覗き見アングルの迫真の寝取りCGで興奮することが出来る一部の者だけが、拍手喝采を行うというなんとも言えない悲惨な状況になる。
だが、これはどちらかというとまだマシな方だ。
なぜなら、アレクとエルザは付き合っていた訳じゃないから、厳密には寝取られではないし、その状況に陥ったのもストーリー上ではアレクの怠慢とされるものであることに加えて、ダンジョンを攻略するというエルザの目的自体は達成しているからだ。
このようにバットエンドルートはキャラによってその悲惨さの差が違う。
今回のようなダメージを受けやすい寝取られや、逆にご褒美と言えるような、戦闘狂魔族による腹上死や、夢魔に取り憑かれた先輩を助けられずに、お互いに現世の肉体は精気を吸われて死んだけど、夢の世界で淫らに楽しく暮らしてますというようなものに加えて、悲惨というよりもギャグみたいな落ちとなるものあるからだ。
そんな風にまだマシなバットエンドルートも少なからずあるが、それでも悲惨な目に合うキャラは多く、中にはここまでやるかと言わんばかりに、愉悦勢が歓喜しそうなほどに徹底的に曇らされるヒロインもいるのだ。
俺が見た中で一番酷かったのはレシリアバットエンドルートだ。