エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます   作:グルグル30

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七彩の神

 

 しばらく道を歩いていた俺は、先にあった教会を見てふと呟いた。

 

「七彩教会か……セレスは修行頑張っているのかな」

 

 ナルル学園に入学する為に王都に来た俺は、直ぐさま王都の教会にいるモーリス司祭のところを訪ねた。

 かつて俺が告白をした相手――セレスのことを聞きたかったのだ。

 

 だが、帰ってきた言葉は、セレスは紫の神に仕える巫女に選ばれ、その修行の為に七彩教の本部である聖王国に召還されてしまったため、自分でも近況は詳しく知らないというものだった。

 

 俺はそれを聞いて素直に驚いた。

 セレスが巫女となり、しかもそれが紫の神のものだったからだ。

 

 ――この世界には神が実在する。

 

 かつて創世神がこの世界を作った後、かの存在はこの世界を管理するための自らの子である七彩の神を生み出した。

 虹の色に準えられたそれは、赤の神、橙の神、黄の神、緑の神、青の神、藍の神、紫の神の七柱の神であり、創世神はその神々を作った後に、この世界を去り、残された神々は、創世神の命令に従って世界の管理を始めた。

 

 最初の頃は特に問題はなかった。

 神々は下界と神界を自由に行き来し、成長を始めた下界の命達を、神として見守り続けていた。

 

 だが、やがて知性を持った存在――人族、魔族、獣族、エルフ、ドワーフ……等々が現れて互いに国を作って争い始めると趣きが変わる。

 一概に神が誰かを助けていいといえる状況ではなくなってしまったのだ。

 

 そんな中で冷静沈着な橙の神が他の神に言う。

 

「このまま俺達が自由に下界に行き、そして力を振るって誰かを助けることを続ければ、やがてそれぞれの勢力の味方になった神々同士が戦う事になり、その力によって下界に甚大な被害を与えてしまうかも知れない」

 

 神は強大な力を持っている。

 それが互いに敵同士として振るわれれば、下界が滅びることになる。

 それを危惧したのだ。

 

 その橙の神の言葉に他の神も頷いた。

 彼らは創世神から世界の管理を託されているため、そのように下界に何かしらの被害が現れてしまうのは、その場にいる誰であっても本意ではなかったのだ。

 

「神という存在は下界で深い関係となる相手を作ってはならない。なぜなら、神として公平に裁きを下すには、まるで駒を扱うかのように、個人の情報だけをみて、最善とも呼べる判断をしていかなければならないからだ」

 

 橙の神が警告するように言う。

 

「それを守ることが出来なければ、神という強大な力を持った存在が、特定個人に執着して、その相手の為に神の力を振るうようになってしまう」

 

 橙の神のその言葉に、藍の神が反発する。

 

「じゃあ、なに? オイラ達に下界に行くなって言うの!?」

 

 藍の神は既に下界に執着ができはじめていた。

 だからこそ思わず橙の神に反論してしまったのだ。

 

「いや、さすがにそこまでは言わない。ここまで下界を見守ってきた俺達の中には、既に下界に対して思い入れがあるものもいるだろうからな」

 

 そして橙の神は他の者達に提案する。

 

「だからこそ、ルールを作ろう」

「ルール?」

 

 疑問を覚えた他の神々に、橙の神は話し始めた。

 それは単純なものだった。

 

 これまで通り下界には自由に降りることが出来る。

 だが、もし、特定の個人や集団の為に力を貸したいと思ってしまったのなら、神界にいる残りの神に自分の力の大半を預けて、この世界で力を振るっても問題ないレベルまで力を落としてから行動すること。

 そして、力を預けたのなら、直ぐに神界に戻って力を取り戻し、神界からその集団を手助けすることがないように、本来の力を取り戻す時は、執着する対象が確実に存在しなくなる、寿命が存在する種族の中で、長命種であるエルフの寿命である五百年は眠りにつくこと。

 

 このように神界に座して、全ての人々を見守るという、神としての役割を放棄する際のルールを提案したのだ。

 

 この提案に神々は同意した。

 それにより、この世界を管理する神々の全てが同意することで行える、この世界のルールの改変――それによってこのルールは正式に定義されたものとなった。

 

 ルールは制定されたが、そうそうに使われることはないだろう。

 そう思っていた神々。

 だが、現実はそう上手くはいかず、次々と下界に降りる者が現れる。

 

 まず最初に初代勇者――アレクのご先祖様に惚れた赤の神――レジーリアが、勇者を妻として支えるために下界に墜ちた。

 

 その次はルールの提案者である橙の神――ウライトスだ。

 下界の者に執着する事はないと思っていた彼は、帝国で非道な目に合いながらも人々の善性を信じる少女を聖女として見初めた。

 彼は彼女が受ける扱いに耐えきれず、神としての力の大半を捨てて、彼女を助けるために下界へと降りたのだ。

 

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