エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます   作:グルグル30

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 感想での指摘で気付きましたが、『七彩の神』の話において、本来の意図と違った意味に捉えられてしまう箇所があったので修正しました。
 修正前の文言では、「力を預けたら直ぐに五百年眠る」という風な読み方が出来る文面になっていたので、本来の意図である「預けた力を取り戻す場合は五百年眠る」ということがわかる文面に修正しています。


紫の神

 

 話は逸れたが、ウライトスの後は、緑の神、藍の神、青の神、黄の神と、神々は次々と愛する相手を見つけ、そして下界へと降りていった。

 そうして神々が大半の力を失い、下界で自由に楽しく生きていく中で、全ての神の力を受け取り、一人神界に残る形になったのが紫の神だ。

 

 誰も愛することが出来なかった空っぽの神。

 だからこそ、公平に天から我等を見守って慈しんでくれる慈悲の神。

 それこそが紫の神なのだと七彩教は謳っている。

 

 つまるところ、他の神のように他者を愛したことがないやばい奴だが、でもだからこそ何事も公平に判断して、我々を見守ってくれる良い神でもあるんですよ、とこの世界の人々を不安にさせない為に言っているわけだ。

 

 まあ、そう言いたくなる気持ちは分かる。

 

 神としてのスタンスの最適解が、それこそシミュレーションゲームをプレイするプレイヤーのように、ゲームキャラの感情を考慮せず、自分の考えだけで必要な結果を得るための行動をしてくものだったとしても、それをやられるゲームキャラの立場からしたら、いつ無慈悲に自分が切り捨てられるのか分からなくて、その存在に対して恐怖を抱いてしまうものだろう。

 

 その存在の実在を知らなければ気にせず行動出来るのかも知れないが、この世界では神の存在は既に実証されているものである。

 故にこの世界の人々がパニックにならないように、七彩教はプロパガンダを行って、強大な力を持った紫の神のイメージアップ運動をしているわけだ。

 

 それに今更この世界の管理を投げ出されても困るだろうしな。

 

 今この世界で神としての力を充分に保持しているのは紫の神だけだ。

 そんな紫の神までも立場を捨てて下界に来てしまえば、有事の際に神としての権能を振るうことが出来る者がいなくなってしまう。

 それは困ると七彩教は思っている為、紫の神が神としての立場を捨てないように、ご機嫌を伺って、色々と手を尽くしているということだろう。

 

 そんなに神の力を失うことが問題なら、ルールを改定すればいいのではと思うかも知れないが、世界のルールの改定には神々全員の同意が必要なので、下界にいる神々が神界に戻って五百年の時を待つ必要がある。

 下界を今もエンジョイしている他の神々からしてみれば、そんな長い時間眠りにつきたくないというのが本音なので、紫の神に対する罪悪感を覚えながらも、ルールを改定するために神界に戻るつもりはないという感じなのだ。

 

 そんな感じで紫の神を利用しているが、神々は意外と仲は悪くないらしい。

 そもそも紫の神側は相手がいないから神界に残っているわけで不満はなく、末っ子であり、色々と押し付けてしまっている紫の神に対して、他の神々は恐ろしいほどに溺愛している状態にあるらしいからな。

 それこそ公の場で紫の神を馬鹿にすると、直ぐさま異端扱いされて、残りの神々が転移してやってきて、無慈悲に殺される事になるとのことだ。

 

 そら、七彩教も必死で紫の神を擁護するわけだよ。

 

 神が実在する世界での宗教の悲哀を見た気もするが、このような形態のおかげでこの世界の宗教は腐らずにいられるのだから、それはそれでいいことなのだろう。

 

「どちらにしろ、俺には関係ないことか」

 

 神々は現在もこの世界で自由に生きている。

 だが、その全てが攻略対象であり、俺の恋愛対象とはならない存在だ。

 

 例えば、赤の神であるレジーリアなんかは、自分の子孫であるアレクに初代の面影を見て、自分の子供であるかのように、甘やかしまくるストーリーが展開される。

 

 最終的にはアレクと一緒に赤ちゃんプレイでエッチをし始めたため、当時の俺は飲んでいたお茶を思わず吹き出して、パソコンを濡らしてしまうと言う悲劇的な事態に見舞われることになった。

 

 いや、マジで他人の赤ちゃんプレイとか見るものじゃないよな……。

 

 イケメンボイスのアレクが、「ママ~」とか「ばぶ~」とか「おしっこ~」と声優の迫真の演技で言いながら、パンツだけを着けた赤ちゃんスタイルで、はいはいしているCGが画面上に表示されるのだ。

 あれを見て吹き出さない人間はいないと俺は思う。

 

 まあ、そんなこんなだから俺は神々には興味がない。

 だから、神様事情とか宗教とかがどうなっていようと構わないのだ。

 むしろ、関わりたくないというのが本音だ。

 

「下手にイベントを踏んで、気に入られでもしたら、終わりだもんな……」

 

 この世界で一番誰が偉いかと聞かれれば、それは間違いなく神だ。

 それこそ王侯貴族なんてものは目でもなく、もし神に「伴侶になれよ」とでも言われたら、それこそ死んで人生を諦めるくらいしか逃げ道がないほどだ。

 

 だからこそ、俺は神々と関わるつもりはない。

 幸い、紫の神以外は、名前も顔も知っているから、見かけたら避けるようにしておけば、特に俺との接点は生まれないだろうと考えている。

 

「紫の神だけは何の情報もないが……まあ、下界には降りてこないか」

 

 唯一、何の情報もないのが紫の神だ。

 

 インフィニット・ワンの制作陣が、元々最後のダウンロードコンテンツの目玉にするつもりだったのか、作中でその姿が登場することはなく、神界にいる神の真名を言うことは恐れ多いとかいうよく分からない理屈で、作中ではその名前すら登場せずに紫の神とかあの子とか言われるだけだった。

 そんな状況なのでゲームをやり込んだ俺でも何の情報も得られていないのだ。

 ただ、この世界を管理するという神としての立場があることから、そうそう下界に降りてくることもないだろうし、そこまで心配することではないと思っている。

 

「せめて最後のダウンロードコンテンツをプレイ出来ていればな……」

 

 インフィニット・ワンは多数のダウンロードコンテンツが実施されている。

 俺はその全てを購入しており、最後のダウンロードコンテンツと世間から言われていた紫の神のものに関しても、何時もと同じように購入しようと考えていた。

 

 実際かなり楽しみにしていたのだ。

 何せ、今までのダウンロードコンテンツと違い、前情報は殆どなし。

 世界の存亡に関わるような敵が現れ、インフィニット・ワンの世界に生きる全ての人々が関わるような、壮大なストーリーになるとだけ告知されていた。

 そして追加されるヒロインは、その敵である少女と、紫の神の二人で、双方の視点から世界の存亡に関わる戦いに関与出来ると。

 

 だが、結局、俺はそれをプレイする前に死んで――あれ?

 

「俺って、どうなって死んだんだっけ?」

 

 今まで何故かずっと疑問に思わなかったが、自分の死の瞬間が思い出せない。

 インフィニット・ワンの最後のダウンロードコンテンツが発売される前までの記憶はしっかりとあるが、それ以降の記憶が抜け落ちたように思い出せなかった。

 

「まあ。転生なんてしているんだから記憶に抜けがあってもおかしくないか……」

 

 何らかの方法で自分でも気付かない形で突然死したのかも知れない。

 あるいは転生の拍子に三十歳以降の記憶が消えてしまった可能性もある。

 どちらにしろ記憶がない以上、それ以上の追求は不可能だ。

 

「だけどもしこれが意図的なものだとしたら……」

 

 自然現象かと思われた悪役転生は誰かの意図によるもので、その誰かに取って都合が悪いからと、俺の記憶の一部を消去していたのだとしたら……。

 

「其奴の目的はなんだ?」

 

 俺をこの世界に転生させることで、何かしらの目的を果たさせたいのなら、世界の存亡に関わる情報なんて重要なものは記憶させておいた方が良いものだ。

 それなのに何故か其奴は俺の記憶を消す形で転生させている。

 

「そもそもアレクに転生させろよ……」

 

 何よりもこの世界で活躍して欲しいというのなら、主人公のアレクに転生させるのが筋というものではないだろうか?

 そうすれば俺もこの世界の人間として、何の制限もなく攻略対象と恋をして、この世界を楽しみながら、より積極的に行動して、ゲーム通りに問題を解決していく事が出来たはずなのだ。

 

 意図の読めない黒幕の行動に、モヤモヤしながらも、俺は目的地へと向かった。

 




 伏線回、今回の話はこの物語的に重要な話です。
 あと、この物語では、ちゃんと何故悪役転生をしたのか、という理由を用意してあり、最終章で明かすことになる予定です。

 フレイが30歳以降の前世の記憶がないと言うことで、もしかしたらその時期に恋人を作ったりしてるかもしれないと思うかもしれませんが、フレイの最高の恋愛への妄執は、魂にこびりついたヘドロのようなもので、一度でもちゃんと恋愛出来ていれば、そこまで拗らせてないので、普通に恋人は出来て居ません。
 なので、30歳以降の記憶がないことで出る可能性は、もしかしたらフレイの前世は、妻なし、子供なし、友人達も彼等が家庭を優先したせいで疎遠となり、結果的に孤独な老人となって孤独死した後に、30歳以降の記憶を消されて転生したかもしれないと言った、より悲惨な前世の状況の可能性が、出てくるだけです。
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