エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます   作:グルグル30

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vs夢魔

 

 そんな訳で俺は今、メジーナの夢世界にいる。

 そこで起こっている事態を見て思わず呟いた。

 

「もう、クライマックスって感じじゃん……」

 

 俺の見る前では触手に絡まれたメジーナの姿があった。

 触手に絡まれているメジーナは既に裸で、触手はメジーナの胸を強調するように縛り、口と股の間に太い一本が刺さって、メジーナを嬲るように、何度もピストン運動を繰り返して、その度にメジーナがピクリピクリと痙攣したように動きながら、声にならない呻き声のようなあえぎ声を上げていた。

 

 完全に救助が間に合っていない状況。

 それを見て俺は思う。

 

「まあ、どちらにしろこうなる前に助けるのは無理か」

 

 ゲームではメジーナが寝た直後にアレクが夢世界に行ったため、メジーナが完全にやられる前にアレクが合流することが出来たが、俺の場合はメジーナが起きている間は部屋に侵入出来ない為、どうしてもタイムラグが発生してしまう。

 だからこそ、メジーナが既に被害に遭っている状況になってしまうのは、ある程度仕方のないことだと割り切らなければならなかった。

 

「一応、夢だから現実の体は無事だし」

 

 処女厨に配慮したのか夢の中で処女膜を破られても、現実世界の体では処女膜はそのまま残っているということにされていた。

 夢魔が現実でメジーナから搾取しているのは、あくまでメジーナの精気だけだったということだ。

 だからこそ、こんな完全にアウトな状況になっていても、一応全ての問題を解決するれば、物理的には何事もなかった状態に戻すことが出来る。

 

「正直、処女厨的にそれはありなのかって気はするけどな」

 

 夢の中で犯されまくっていても、現実では処女膜は無事だから、処女厨的には問題なしでオッケーと、インフィニット・ワンの制作陣は考えたのかも知れないが、そんなに簡単に処女厨が納得するのかと正直思わないこともない。

 処女厨の価値基準は個人ごとに差があると思うが、大半のユニコーンからして見れば、物理的にそれが無事だったとしても、一度でもやった経験があるというのなら、その時点でアウトになってしまうものではないかと俺は思う。

 

 ちなみに俺も処女厨の気質がどちらかと言えばある方だが、今回の件のように無理矢理犯されてなくなったような事態なら、現実であろうと夢世界であろうとも、セーフ判定をするタイプだ。

 さすがに本人の意思でもないのに無理矢理やられて、その女性に対して汚れているなんていうのは、幾ら何でも酷いんじゃないかと思っている。

 

 ただ、無理矢理やられたにしても、最終的に「悔しい……! でも感じちゃう! ビクンビクン!」となるようだったらそれはアウト判定だ。

 だってそうなった時点で其奴は快楽に墜ちているし、嫌悪感だけでなくなっているということは、犯人に対してどんな形であれ、好意寄りの気持ちが向いてしまっているということを示していることになる。

 つまるところ、俺的にはエロ小説にあるような無理矢理からの完落ちタイプは、最終的に心が犯人側に向いてしまっているからアウト判定だと言うことだ。

 

 分かりやすく言ってしまえば、俺に取っては、物理的な処女膜よりも、心の処女膜の方が何よりも大切だということだ。

 どんな理由があろうとも、嫌がることを止めて、犯人に体を許すことを無意識にでも認めてしまったら、それは大切な自分の体を、本当に好きな相手が出来るまで守ろうと考えている、心の処女膜を失ってしまっていると言えるのだ。

 

 とそんな下らないことを考えている場合じゃないなと俺は考えて駆け出す。

 

 しばらく駆けてメジーナに近づくと、さすがにメジーナが気付いたようだった。

 メジーナは俺へと目を向けると、恥ずかしさからか、全身を真っ赤に染めて、触手を口から外すと叫ぶ。

 

「見ないでぇえええええ!」

 

 そんなメジーナの言葉を聞きながら俺は剣を取り出す。

 

「烈火、力を示せ!」

 

 そして俺は真っ赤な刀身を持つその剣を振るった。

 それにより炎の斬撃が生まれ、触手を次々と焼き切る。

 

 この剣は烈火という名前の魔道具だ。

 その効果は単純明快で斬撃を炎属性に変えるというものだ。

 

 俺は魔力回路がダメになっているので魔法を使えない。

 だからこそ、転移に頼り切った戦闘スタイルを確立したわけだが、それは銀仮面の時には使うことが出来ない。

 故にこの烈火のように、ゲーム知識を使って各地から有用な魔道具を収集して、銀仮面専用装備として活用しているのだ。

 

 そんな魔道具の一つである空中でジャンプする靴の効果を使い、触手が切れたことで空中から落ちてくるメジーナをキャッチする。

 

 そのキャッチの仕方はお姫様抱っこだ。

 正直言ってお姫様抱っこは、俺のヒロインの為に取っておきたかったが、転移がないと落としてしまう可能性があるため、さすがに人命には変えられないと、メジーナを落とさずに確実にキャッチするために、お姫様抱っこすることにしたのだ。

 

「あの……」

「少し待ってくれ」

 

 恥ずかしそうに何かを聞き出そうとするメジーナを止めて、メジーナを抱えたまま、俺は急いで触手から距離を取り、そして地面にメジーナを降ろした。

 

 地面に降り立ったメジーナは、こちらをじろじろと見てくるが、それでナルル学園に通う後輩のフレイだと俺の正体に気付くことはない。

 何故なら、今の俺の姿は、ヒーローマスクのような銀色のフルフェンスの仮面を付け、それに合わせて自作した服と、量産品のマントで身を包んだ、何処からどう見てもヒーローでしかない男だからだ。

 

 前世でファッションセンスをモテる為に磨いた時に、服飾の勉強をしておいて良かった~。

 こんな工業製品がない世界だと、一つ一つ手作りだから、下手したら服のデザインから身バレしかねないからな。

 ボロい服なら見分けは付かないかも知れないが、それだとヒーロー感がゼロになるし。

 その点、自作をすれば完璧なヒーロー姿で、身バレの可能性もゼロにすることが出来る。

 

 ……最も、冷静に考えると自作のヒーロー姿で、格好付けて人を助けに行くっていう、黒歴史になりそうなほどこっぱずかしい所業を行っている形に、結果的になってしまっている。

 だが、俺は自分が銀仮面であることを、バラすつもりも、バレるつもりも、まるでない。

 つまり、誰もこんな所業をやっているのが俺だと気付かないのだから、どれだけ羞恥心を抱く行動をしたとしてもノーダメージだ。

 なんなら、最終的には、実は銀仮面の正体はアレクだったんだ! と全ての功績をアレクに押し付けるつもりだから、その辺の痛い部分も含めてアレクが全部被ってくれる。

 ちょっとばかし、アレクに悪いかも知れないが、結果的には名声と攻略対象達からの思いを得られて得をするのだから、それで相殺ってことにしてくれ。

 

 俺はそう考えてメジーナに話しかける。

 

「さてと、大丈夫かい、お嬢さん?」

 

 ちなみにこの銀仮面には、変声機の効果を持った魔道具が埋め込まれていて、何処かの子供探偵のように、それを使用することで、俺の声だとわからないようにすることができる。

 

 まあ、アニメでよくあるような、仮面付けてるけど声的にお前絶対彼奴だろ! みたいなので、何故か周囲にバレないというようなやつは、視聴者へのサービスみたいなもので、実際にやったら当たり前のようにバレる行いだからな。

 当然、ゲームを元にしているとは言え、今のこの世界で同じ事をやったら当たり前のようにバレるため、俺は声を変えているというわけだ。

 

 そんなこんなで、俺がフレイだとわからないメジーナは、俺の思惑通り、突然現れた俺という存在に戸惑いながらも返答を返す。

 

「あ、はい。助けてくれてありがとうございます……その……」

「私は銀仮面。悲惨な目に合っている少年少女の味方さ」

 

 ギザったらしく何処かのヒーローのように俺はそう言う。

 正体を隠すためにはロールプレイが必要なのだ。

 

「君はここがただの夢だと思っているのだろうがそれは違う」

「え!? どういうことですか!?」

「ここは君の思い出の品である懐中時計に取り憑いた、夢魔という魔族が作った夢世界であり、君はその被害者なんだ」

 

 俺は簡潔に状況を説明した。

 このメジーナはアレクと共に夢魔について調査したわけではないため、夢魔に関する情報を何も持っていないのだ。

 

「君が毎日見ていた淫夢はこの魔族が作ったものだったんだよ」

「そ、そうなんですか……」

 

 メジーナはそれだけ言うとぽろぽろと泣き始めた。

 俺はそれを見て思わずメジーナに対して聞く。

 

「どうした?」

「いえ、良かったと思って……。毎日毎日、自分が犯される夢を見て、不安だったんです。私が心の底ではそんなふしだらなことを望んでいて、そのせいでこんな夢を見ているのだと、そう思ったら眠ることが出来なくなって……」

 

 ゲームでのメジーナがアレクに言ったように思いの丈を打ち明ける。

 

「こ、こんなに夢で犯された私は、もう汚れきって――」

「それは違うよ」

「え?」

 

 俺の言葉に不思議そうな顔をするメジーナに言う。

 

「これは夢魔が見せた淫夢だ。そしてそんな世界で毎日悲惨な目に合いながらも、君は先程のようにこの淫夢に抵抗し、この状況を嫌がっていたじゃないか」

 

 俺は先程までの彼女の姿を思い出しながら言う。

 ゲームでの夢世界メジーナは、夢魔によって淫夢を見せられ続けた長さの関係か、ここにいるメジーナと違い、もう完全に調教されきっていて、触手に犯されてたりすることを、快楽を得るために楽しんでいる状況だった。

 だが、ここにいるメジーナは、まだ淫夢を見始めてからそれほど経っていないせいか、ゲームでのメジーナと違い、触手による辱めをしっかりと嫌がり、そんな状況を見られたことを恥ずかしがる心を持っていた。

 

 つまり、心の処女膜は無事だったのだ。

 これは俺判定ではメジーナは汚れていないということになる。

 だからこそ、それを伝えるために言う。

 

「君は汚れてなんかいないよ。その心が淫夢を受け入れない限り、夢の中で何度嬲られようとも、君自身は美しく綺麗なままだ」

「あ……」

 

 そう言って俺は羽織っていたマントをメジーナに被せた。

 メジーナの豊満な裸体を見続けるのは、さすがに俺にもダメージになる。

 

「だから君はただ誇るといい。快楽に負けずに気高くあれた君自身を、強い気持ちを持ち続けることが出来た君の強さを」

「銀仮面様……」

 

 きっとアレクなら事情を知ってしまったとしても、そんな君を誇らしいと思って受け入れてくれるはずだ。

 俺みたいに処女膜がどうとかも、モテ男であるアレクなら考えもしないだろうし、夢の中で犯されたことなんてないに等しいだろう。

 つまり、君がやがて恋する運命の相手に対しては、何の問題もない状況だよ、と内心で俺はそう考えて、触手へと振り返る。

 

「後は私に任せたまえ、君の悪夢は今日終わる。この銀仮面が、君を辱める悪夢の元凶を殺してみせよう!」

 

 そう言って俺は駆け出した。

 

 要救助者の救助は完了!

 後はこのデカブツを倒すだけだ!

 

 まだ成長しきっていないのか、夢世界の入口であるこの場で、夢魔が存在しているのは好都合だった。

 夢世界を冒険する必要もなく、今日中に戦いを終わらせることが出来る。

 

「烈火、力を示せ!」

 

 再び烈火を起動させ、触手を焼きつつ先に進む。

 そんな俺に対して触手が迫った。

 

「っち!」

 

 俺はそれを躱すが、死角から何本もの触手がやってきて、それが体にぶち当たり、そして吹き飛ばされる。

 

「がはっ!?」

 

 その場で転げながらも追撃を受けないように素早く立って移動する。

 

 つよっ!?

 なんだこれ!? 殺意満点の触手とか、ただの兵器やろ!?

 

 次々と襲ってくる触手の質量に苦戦する。

 油断すれば死角から襲ってくるような意地悪さが夢魔にはあった。

 

 原作の頃からパーティーで戦う予定のラスボス。

 さすがに一筋縄で行くような敵ではなかった。

 

 そんな相手に魔道具だけの縛りプレイとかクソゲーかよ!

 

 俺は思わずそんなことを内心で愚痴りながら、諦めることなく、果敢に夢魔に対して攻め込んでいく。

 

 ゲームの時はメジーナが魔法タイプで、あっさりと大ダメージを与えていたため、思ったほど強くなかった印象だが、魔法を使えない俺だと、物理特化のこのタイプは恐ろしく強い敵だった。

 

 ちらりと助けてくれないかなぁ~とメジーナを見ると、両手を組み合わせ、まるで勇者の戦いを祈りながら待つ王女のように、俺の戦いを見守っていた。

 

 くそぉ……、一人でやるしかないのか……! 転移を使いたい……!

 

「烈火! 力を示せ!」

 

 触手を再び焼きながら俺は夢魔に近づく。

 

「こうなったら、出し惜しみはなしだ! 全て焼き切る……!」

 

 俺はそれだけ言うとオドから出てくる魔力を烈火に注ぎまくる。

 それによって生まれた強力な炎の斬撃は触手ごと夢魔を包み、その全てを焼き尽くして夢魔を殺した。

 

「やはり魔力……! 魔力は全てを解決する……!!」

 

 俺はそんなことを言いながら、夢魔を倒した余韻を感じていると、夢世界が振動を始めるのを感じた。

 

「銀仮面様!」

「これで元凶は打ち倒した! 君の懐中時計は、もしかしたら夢魔がいない夢世界へと、自由に行き来出来るようになる力を持つかも知れないが、決して使――」

 

 全てを言い切る前に夢世界から俺達は追い出された。

 

☆☆☆

 

「銀仮面様!」

 

 メジーナが目を覚ますとそこには既に誰もいなかった。

 周囲を見渡すと懐中時計を入れた引き出しを開けた後があるが、それ以外にはこの部屋に何の異常も見られない。

 

「全部夢だった……?」

 

 メジーナが思わずそう思い、自らの体を確かめようとすると、自らの体を覆う布団とは違った布の存在に気付く。

 

「これ……! 銀仮面様のマント!?」

 

 それは夢の中で裸の自分を思って着せてくれた銀仮面のマントだった。

 メジーナはそこに残った銀仮面の臭いを嗅ぎ、夢世界であったことが全てただの夢ではなく、実際にあったことだと実感した。

 

「私を助けてくれたんですね……」

 

 そう思っただけでメジーナの体は火照り、下腹部が熱くなっていく。

 メジーナはベットから出ると懐中時計を手に取った。

 

「夢魔のいない夢世界へといける力を持った懐中時計……。銀仮面様が言いたかったのはこれを積極的に使って色んな人の為になることをしろということですね」

 

 それだけ言うとメジーナは大切そうに懐中時計をしまい、そのままベットに入ってそれまでの不眠症の分まで寝ようとして――。

 おもむろに何かを考えると、それを止めて自らの服を脱ぎ捨てて、夢世界の時と同じように全裸で銀仮面のマントを羽織り、ベットに入り込む。

 

「銀仮面様に包まれているみたい……」

 

 マントについた銀仮面の臭いを全身で感じながら、メジーナは眠りについた。

 それはこれまでの人生の中で最も安らかに熟睡出来る時間だった。

 




 語っている言葉は良いことを言っている風に聞こえるけど、そこに到る過程を聞くと全てが台無しになる感
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