エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます   作:グルグル30

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ラースルート

 

「途中までしか言えなかったが、メジーナはちゃんとあの懐中時計を使わないようにしてくれるよな……?」

 

 あの懐中時計はメジーナルートのクリア特典だ。

 アイテム欄から使用する事でいつでも夢魔がいない夢世界に行くことができ、その世界でセッ○スしないと出られない部屋などの様々なエロトラップを、攻略対象に対して行使出来るようになるという極悪な代物だ。

 

 夢という扱いの為か、各攻略対象のルートに影響を与えることはなく、それぞれの攻略対象ごとのエロトラップの反応を見れるという代物だった。

 ただ、対象者が完全に覚えていない夢という扱いだけではなく、メジーナのように現実世界でも夢の記憶を保持させることも出来るようで、特定の攻略対象だとあの懐中時計で事前に夢の中で開発をすると、特殊分岐に入ってその分岐専用の会話や、エッチなプレイが拝めるようになっていたりしたものだ。

 

 そんな夢という自由度が高くて危険なものだから、正直に言えばあの魔道具は俺の手元において管理した方が良いのものだが、ゲームでのメジーナの祖父との思い出や、あの懐中時計への思いを知っているため、それを奪い取るという真似をすることが出来ず、注意するだけで終わらせることになったのだ。

 

「まあ、大丈夫だろ。生真面目気質の委員長タイプだし、ああいうものの危険性も分かっているだろうから、悪用なんて絶対にしないって」

 

 俺はゲーム知識からそんなことを言うと、学生寮から離れるように歩き出し、そこで自らの外套がなくなっていることを思い出して、思わずため息を吐く。

 

「ゲームでは夢世界で使ったアイテムが現実世界でも減ってたけど……。まさかそんなところが再現されているとはな」

 

 夢世界から帰ってきた後、俺のマントが何故か消えていた。

 何とか探そうと思ったが、メジーナが起きる気配を感じて、直ぐさまその場所から退避したのだ。

 転移をするところを見られるわけにもいかないし、何よりもゲームではイベント後にメジーナとのエッチシーンがあった。

 銀仮面状態であったとしても、俺だけのヒロイン以外と、そんな関係になるわけにはいかない

 だからこそ、俺は原作通りの展開になる前に逃げ出してきたのだ。

 

「装備を変更した扱いでメジーナが付けていたのか……? まあ、今更考えた所で取り戻せないんだからどうしようもないか……所詮安物だし」

 

 夢世界でアイテムを失うと現実世界でもそう行動して、そのアイテムを消費するのかもしれないなと、俺は思わずその現象を考察する。

 どちらにしても、銀仮面の姿を隠すために買ったただのマントで、魔道具とかでもないため、問題ないかと気持ちを入れ直す。

 

「さてと、あとは――っ!?」

「おっとやるじゃねーか!」

 

 俺は突然殺気を感じて思わずその方向へ剣を振るう。

 堅い何かがぶつかるような音の後に、剣をぶつけた場所が爆発した。

 

「っく――!」

 

 俺はその勢いを受け流しながら、襲撃者の方へと向き直る。

 そこには尖った角を持ち、まるで籠手のように発達した武器のような腕を持った――拳を突き出した一人の魔族の姿があった。

 

「ラース……」

 

 その存在を知っていた俺は思わずそう呟く。

 それは戦闘狂魔族とプレイヤーから言われていた攻略対象の一人だった。

 

「へぇ……オレのこと知っているのか? お前、何者だ?」

 

 ラースが興味深そうにそう言う。

 だが、俺にはそれよりも気にかかることがあった。

 

「なんかお前……ちっちゃくね……?」

 

 そう、俺の前にいるラースは、ゲームで見た女性的な体型をした存在ではなく、まるで俺と同世代のような小さな子供の体をしていたのだ。

 

☆☆☆

 

 ラースは四天王であるバーグの娘であり、王国で騒乱を起こすために、バーグの手下として様々な暗躍を起こっていた存在だ。

 その暗躍を偶然妨害したアレクに目を付けて、そのアレクをラースが襲撃することで、ラースルートのイベントが始まっていく。

 

 バーグの教育で人族なんてゴミみたいなものだと思っていたラースは、自分でも簡単に倒すことができないアレクを見て、父親が言うほど人間も捨てたものではないんじゃないかと思う。

 そこでアレク相手に決着を付けられなかったラースは、その後も何度もアレクに対して戦いを挑み、その過程で徐々に人族という存在を認めていくことになるのだ。

 

 そしてある日、何時ものように夜中にやってきたラースを見たアレクは、襲撃に来たと考えて思わず身構える。

 だが、ラースの口から意外な言葉が放たれた。

 

「なあ、オレに人族の普通の暮らしってのを教えてくれないか?」

「何で俺が魔族相手にそんなこと……」

「頼むぜ、お前しか相手がいないんだよ。お礼ならちゃんとするからさ、ほら、人族の男ってこう言うのが好きなんだろう?」

 

 そう言ったラースは自らの服を脱ぎ出す。

 戦闘狂な魔族のくせに、お姫様のように整った美しい体を見たアレクは、自らの欲望を抑えきれずに、ラースに半ば襲われるようにエッチをし、そしてラースの頼みを引き受けることになるのだ。

 

 そして翌日、ラースに外套を被せ、アレクはラースに人族の文化を教える。

 そうやって、何度も何度も、アレクとラースは、人族の文化をラースに教えるためという名目で、デートを重ね、そしてその度にエッチをして互いを感じ合い、そして次第に惹かれ合っていく。

 

 そんな日々の中で、何時もと同じようにエッチをしようとしたアレクを、ラースは止めてアレクに対して言う。

 

「今日は何時もと趣向を変えないか?」

「どういうことだ?」

「オレはお前と恋に落ちたただの人のようにお前としたい。そういう風に演技をしてプレイを楽しみたいと思ってる」

「いいね。そう言う演技をするプレイも大好きだ。それでやろう」

 

 そうアレクの了解が取れたこともあり、ラースはそれこそ気の強い魔族ではなく、アレクに恋したただの少女のようにアレクに喘がされる。

 

「あっ! アレク……! こんなの初めて! 気持ちいい……!」

「ラース! そんなお前も大好きだぞ!」

 

 まるで初めてアレクとエッチをするかのようなたどたどしさを見せ、そしてアレクを求めて健気に何度も腰を振るラース。

 あの戦闘狂魔族がただの少女のようになる……そんな演技ができる事に驚くプレイヤーも多く、同時に強気な少女が貞淑な少女に変わって、アレクを求めるというのが所謂ギャップ萌えとなり、多くの人が心を掴まれることになった。

 

 そうしてアレクと一風変わったエッチをしたラースだが、それにより少し雰囲気の変わったラースを見て、バーグはラースとアレクの関係に気付くのだ。

 

「思わぬ拾い物だと思っていたのだがな。人族如きに靡いた道具などいらん。お前には私が殺す価値すらない。そこで人のように何も出来ずに朽ち果てるがいい」

 

 それだけ言うとバーグはラースを地下牢に閉じ込めて去って行く。

 閉じ込められたラースはここで朽ち果てるのかと、自分の状況に絶望し、そしてまだアレクと人の世界で一緒に暮らしたかったと思う。

 

 そんなラースの元に、バーグを倒したアレクが辿り着く。

 まるで囚われの姫が救い出されるようにアレクに救われたラースは、バーグの呪縛から解放してくれて、そして自らを助けてくれたアレクに完全に惚れ、ただの人としてアレクの妻になることを決意し、子供を求めてアレクとおっぱじめる。

 そう、やばんな戦闘狂の蛮族であったラースは、アレクとの日々を繰り返していくことで、普通の女の子のように変わり、最後にはお姫様のように救われたことで、アレクに対して完落ちしてしまったのだ。

 

 そんなこんなで田舎でアレクとラースは、普通の夫婦として幸せに暮らしたというエピローグが流れて、ラースルートは終了となる。

 

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