エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます   作:グルグル30

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生徒会

 

 程なくして俺達は生徒会室に到着する。

 手ぶらなユーナがドアを開けると中には何人かの人が作業を行っていた。

 

 うお~。攻略対象ばっか。

 

 俺はそれを見て思わずそんなことを思う。

 ヒロインであるクリスティアやレディシアだけではなく、ヒーローであるロベルトやアーケンなど錚々たる面々がその場にいた。

 

 やっぱり生徒会ってのは学園物でのメインだからな。

 そりゃ、攻略対象ばっかな状況にもなるわ。

 所謂、モブが存在できない聖域ってやつだな。

 

 今ここにいる生徒会メンバーは、ルーレリア学園でも生徒会のメンバーとして活動していた者達だ。

 つまるところ、このメンバーがそのまま繰り上げ式で、ルーレリア学園の方でも、生徒会として活動していたということなのだろうと俺は思った。

 

「君は……確かシーザック家のフレイだったかな。初めましてだね。私はクリスティア・フォン・フェルノ。この国の第一王女だ」

 

 そう言ってクリスティアはレディシアに視線を向けた。

 レディシアは面倒くさそうにしながらも、クリスティアに続く。

 

「わたくしは、レディシア・フォン・フェルノ。この国の……第二王女ですわぁ」

 

 それだけ言うとレディシアはまるで興味がないと視線を書類に戻した。

 その後もロベルトやアーケンなど挨拶が続き、俺の方も改めて自分のことを彼らへと説明する。

 一通り、自己紹介が済んだところで、クリスティアが切り出してきた。

 

「それで君は何をしにここに来たのかな? ただ書類を運ぶのを手伝ってくれたというだけなのかな?」

「いや、それだけではないです」

 

 クリスティアのその質問に俺はそう答える。

 

「もしかして、ユーナにしたように私に婚約を申し出るつもりかな? 確かに私には婚約者はいないが、残念だけど君は――」

「あ、クリスティア様には微塵も興味がないので、婚約を申し出られるとか、そんな心配はしないで大丈夫ですよ」

「はあ?」

 

 俺が入学式にユーナに告白したことを使って、親しみやすさを出す為か、冗談めかしてそう言ったクリスティアの言葉に、俺はマジトーンで明確に拒絶の言葉を返した。

 

 ぶっちゃけると割と不敬な行いだが、焦る俺にはそんな事よりも優先するべき事柄があった。

 それは、この場にいて会話を聞いているユーナに、変な誤解を齎さないようにすることだ。

 

 ここで迂闊にクリスティアの冗談に乗って、クリスティアと仲良く話し始めたら、自分に近づいて来たのは姉であるクリスティアを落とす為で、初めから自分に興味はなかったと誤解される可能性がある。

 そうなれば、やっぱりわたしよりもお姉様の方が良いよね、と姉妹がライバルの恋愛小説物のように、優秀な姉と自分を比べて、自分に自信がなくなって、俺との恋愛を諦めるという事態が発生するかも知れない。

 そうなれば、俺がユーナを恋人にする確率が、大幅に下がることになってしまう。

 

 だからこそ、俺はここできっぱりと否定するのだ。

 そして、告白したのをユーナだけにすることで、俺はユーナに指し示さなければならない、姉より優れた妹が存在するということを。

 

 その思いから出た返答に、クリスティアは冗談で言ったはずなのに、本気で振られて、困惑と怒りと羞恥が入り混じった表情で固まってしまった。

 

「ぷ、くくく、お姉様ったら、振るつもりが、逆に振られてますわぁ!」

「あ、それとレディシア様にも微塵も興味がないので、安心してください」

「あ゛?」

 

 レディシアもユーナの姉だからきっぱりと断っておこうと、ついでのようにレディシアを振ると、それまで上機嫌に笑っていたレディシアの顔が、怒りを堪えきれないと言わんばかりの表情へと変わり、こちらを凄まじい形相で睨んでくる。

 

 あっという間に次期王候補の二人に滅茶苦茶嫌われてしまったわけだが、好かれてしまうと家の格の関係から、無理矢理伴侶にされてしまう可能性もあるので、取り敢えずこれはこれで良かったとしよう。

 ただ、攻略対象であるこの二人にどれだけ嫌われても別に構わないが、その後ろ盾の存在達にも敵対されると、さすがにシーザック家が不味い。

 このまま双方と敵対するのを避けるために、俺は先程の発言をフォローするための言葉を放つ。

 

「つまり、俺は中立の立場を取るということです」

「……なるほど、そう言うことか。まあ、君の実家であるシーザック家は、いつの世も、そのような態度だったから、仕方のないことか」

 

 俺のその言葉を聞いて、クリスティアは納得したような表情をする。

 

 現在行われているクリスティア派とレディシア派の争いだが、その元を辿ると彼女達の母親の実家であるユーゲント公爵とダルベルグ公爵の派閥争いがある。

 大昔はここにノーティス公爵家も加わっていたらしいが、王国の穀物需要を担っているという立場から、政治に介入して領地が乱れることを他家から憂慮され、更に残りの二家にコテンパンにされたせいで、早々に王都での主導権争いを放棄し、現在の領地経営を重視する中立派になったので、その派閥争いには殆ど関わってこない。

 そのため、ユーゲント公爵家とダルベルグ公爵家の真っ二つに分かれた二派閥が、お互いに主導権を握ろうと争いあっている現状がこの国にはあるのだ。

 

 現在の主流派は、第一王女と第三王女の母親である正妃を送り出したユーゲント公爵側で、それを忌々しく思っているダルベルグ公爵側が何とかして、この王位継承権争いで勝利して主流派になろうとしている形だ。

 その為にダルベルグ公爵家側は数々の悪事をこなしており、ゲームでもその内容が明確に描写されていた所謂悪役とも言える存在なのである。

 

 そもそも、王女達が同い年なのが、その暗躍の結果だしな……。

 

 この国の王位は性別を問わずに長子継承となっている。

 その為、第一王女であるクリスティアが王位を継承するのが自然なのだが、第二王女のレディシアがほぼ同じ時期に生まれているのが、王位継承争いを起こさせることの原因になっている。

 なぜなら、建国時に当時の国王が決めた法では、次代に王位を継承するときに、一番年齢が上の子供に王位を継承するということになっているが、クリスティアとレディシアは同い年で、誕生日も一週間しか違いがないからだ。

 その一週間の間、何とかして王位の継承を阻止すれば、クリスティアとレディシアは、その後は同い年となり、王位継承権は同率となってしまうのだ。

 

 なんでそんなおかしな事が起こせる法になっているのかという話になるが、初代国王は農民上がりであり、妻が一人だけだったため、長子がそのまま王の地位を継げば良いと考えて、「一番年上の子が王位を継げばいいだろう」と明言したが、相手が一人だけならこれは長子継承という意味になるが、それ以降の王は、妻が複数いる真っ当な王族になってしまったことで、別の腹から同い年の王族が生まれる可能性が出てきてしまい、今回のようなおかしなことが起こる法になってしまったのだ。

 

 所謂、法律の抜け穴を突かれたという形だ。

 

 なぜ、そんな法の抜け穴を放置しているかと言うと、この法律は建国時に建国の英雄である初代王が作成したもので、他の建国時の法と同じように国の基礎となる憲法的な扱いをされているからだ。

 加えて、日本が憲法を殆ど変えないのと同じように、一度でも憲法を変えてしまえば、憲法を変えることが出来るという前例を作ることになる。

 この王位継承権に関する法自体は欠陥もあるし、変えても良いと多くの者が思っているが、他の建国時の法で既得権益を得ている者達が、それを改正することで、自分達が利益を得ている法律を改正されることに繋がることを恐れて、初代王が作成した法は神聖なもので、改変は許さないと猛反発している為に、改正が出来ない状況にあるのだ。

 

 これを無視して改正する為には、初代王の息子である2代目が、積極的に建国時の不完全な法を修正する必要があったが、国の方針を帝国よりにしたことで、若者からの受けは良かったが、大人達からは「せっかく自分達の国を作ったのに、なんで帝国の真似事なんかするんだ」と猛反発を受けていた為、国の方針に関わるところは改正しても、それ以外の大勢に影響しない、一番年齢が上の子供に王位を継承するなどは、初代王の意志を大切にしてますよ、と言うポーズの為に、あえて残されることになってしまったのだ。

 

 こうして抜け穴がある法が残ることになってしまったのだ。

 だが、この抜け穴については、歴代の王達も把握しており、彼らは妃の誰かに妊娠の兆候が見えた段階で、直ぐさま妃達との子作りを止めて、しっかりと子供達に年齢の差を作るということを行ってきた。

 もし仮に同い年で生まれてしまっても、暗黙の了解として、正妃の子供を優先するとなっていた為に、これまでのフェルノ王国の治世では、大した問題は起こらずにすんだのだ。

 

 しかし、今回は正妃に妊娠の兆候が見えたのとほぼ同時に、偶然第一側妃にも妊娠の兆候が見られたため、子作りを止めたが年齢差を作ることには失敗した……ということに表向きはなっている。

 そして、その上で野心に溢れるダルベルグ公爵が暗黙の了解を破り、王の子供で一番年上なのだから、レディシアにも第一位の王位継承権があるはずだ、と法律を盾に騒ぎ出したのが、今回の王位継承権争いの始まりだ、

 

 そんなこんなで、レディシアに第一位の王位継承権があると言う風になっているが、勿論、俺は、ゲームでの情報から、それが真っ赤な嘘であると知っているのだ。

 

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