エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます 作:グルグル30
セレスは目の前の少年――フレイを愛おしく思いながらも口にする。
「もし、まだ我をヒロインにしたいというのなら、我のところまで上がってくることじゃ、もし我のところまで其方がこれたのなら、その時こそ、我は其方のヒロインに――」
「あのセレス様」
「……なんじゃ。いいときに。我を邪魔することはお主でもゆるさんぞ」
立場を忘れたモーリス司祭の言葉に、いい気分で喋っていたセレスは、水を差されたことにイライラとしながらそう答える。
モーリス司祭はそれに怯えながらも、フレイを指さして言った。
「その……。フレイ君はもう気絶してますよ」
「なに?」
そう言ってフレイを見ると、意識を失ってぐったりとしていた。
それを見て、再びセレスは腹を抱えて笑う。
「ヒロインだなんだの言っておったのに、おなごにキスされただけで気絶してしまうとは、本当にういやつよ其方はのう!」
そう言うと気絶したフレイの耳に口を寄せ、彼だけに聞こえるように呟いた。
「其方は我に振られた後も、多くのおなご達に我にしたのと同じように告白し、其方だけのヒロインを探すのであろう。その過程でおなごの心を得たり、或いは其方が目的を達成して、おなごと恋仲になることもあるであろう」
そこまで言うとセレスは楽しくて仕方ないといった風に笑う。
「我はその全てを許そう。其方の全てを受け入れよう。なぜなら其方がおなごに好かれようとする限り、其方は前に進み続けるからじゃ。そして進み続ければ其方はその存在を昇華し、やがて我の元まで辿り着く、さすれば其方は我をヒロインにすることができる」
セレスは聞く者が聞けば淫靡に聞こえるような艶かしい口調で言った。
「其方に教えてやろう。どのような物語であれ、物語のヒロインというのは、最後の最後、数多の苦難を乗り越えた末に、辿り着き、結ばれる最後の女のことを指す言葉なのじゃ」
そしてセレスは決定付けるかのようにその言葉を口にする。
「其方のヒロインはこの我だ」
まるで獲物を見つけた獣のように執着が籠もった目でフレイを見るセレス。
「其方は我の体液を取り込んだ。それがあれば我は其方をずっと見ていられる。待っているぞ、其方が我の元まで上がってくるのを」
それだけ言うとセレスはフレイの元を離れた。
何が何だか分からないというジークとリノアを無視して、モーリス司祭を連れて部屋から出て行く。
そしてふと振り返り、部屋の方を見つめた。
愛おしそうに見るその執着の目を見てモーリス司祭は頭を抱える。
(なんてことだ……! 他の方々と違い、今まで誰にも興味を示してこなかったセレス様が、こんなところであんな少年に執着してしまうなんて! こんなことなら、頼まれてもここに連れてくるんじゃなかった……!!)
モーリス司祭は頭を悩ませながら帰る。
自分の上司達に……何よりも神々になんと報告すればいいのかと。