エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます   作:グルグル30

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恋愛小説(バイブル)

 

 フレイがユーナ王女の師匠になったらしい。

 ユーナ周りに網を張っていたあたしは直ぐにその情報を知った。

 それを聞いてあたしが感じたのは焦りだった。

 

「不味い……このままだとフレイがユーナをヒロインにしてしまう」

 

 元からあたしを振ってユーナを選んでいたのだ。

 ユーナがその気になってしまったら、その場でゴールインしてしまうだろう。

 

「負けたくない……特にユーナ王女には」

 

 入学式の日、フレイに振られたことはあたしのトラウマだ。

 そして、同じ日にフレイを振ったユーナは、あたしの憎悪の対象でもある。

 だからこそ、ユーナとフレイがくっ付くことだけは認めたくなかった。

 

「やはり、これをやるしかないというの……?」

 

 あたしは恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、男向けの恋愛小説のその一文へと目を向けていた。

 そこでは、朝急いでいた少女が、物語の主人公である少年とぶつかってしまい、それによって倒れてしまったことで男にパンツを見られ、それから男に朝にぶつかった少女だと意識されて始まる物語が綴られていた。

 

 正直言って恥ずかしい。

 貴族令嬢としては絶対にしてはいけない行為だ。

 でも、だからこそ、フレイには効くかも知れない。

 

「やる。やるわ。あたしならきっと出来る。うん、出来る!」

 

 あたしはそう自信を付けるとフレイを付け狙った。

 だが、彼奴は意外と常に周囲を警戒しているので、なかなかそのタイミングを掴むことが出来ないでいた。

 

 しかし、遠くから見ているからよく分からなかったが、何故かメジーナ先輩と話した後、フレイの集中力が切れたように見えた。

 だからこそ、あたしは急いで先回りをして、フレイに見事ぶつかったのだ。

 

 勢いが少し足りなかったので、わざとらしく自分で後ろに飛び、そして尻餅をつく要領で上手くスカートを上に被せてパンツを見せる。

 今日持ってきたのは、フレイが興奮するような、とっておきの色っぽいパンツだ。

 

 いつか、初夜で男の人に裸を見せるときに使いなさいと、お母様に渡された品だが、フレイになら今見せたって構わない。

 そう思っているとあたしに気付いたフレイが言った。

 

「パンツ見えてるぞ、エルザ」

「見せてんのよ」

 

 自分でそう言った時、唐突に恥ずかしさが押し寄せるのを感じた。

 

 あたしは一体何をしているの!?

 

 自分で自分の行動が信じられない。

 なんで今、あたしはフレイにパンツを見せているのだろうか。

 あたしはふと冷静になってしまったのだ。

 

「見せてんのって……ええ……」

「男はこう言うのが好きなんでしょ! 恋愛小説で読んだわ!」

「まあ、そうだけど……狙ってやるもんじゃないだろ……」

「あたしはやるのよ! アンタが好きなヒロインになるためにね!」

 

 そう、あたしはフレイに見て貰うために、自分自身を自分の意思で、フレイが好むヒロイン像へと飾り立てることに決めていた。

 

 誇りでもあり、窮屈なこでもあった、自分を飾り立ているという行為。

 自分じゃない自分を見せているのにもかかわらず、以前のような感情を抱かずに、むしろこれ自体が楽しくて心地よいような気がしていた。

 それは何故なのかと考えて、好きな相手に気に入られるように、自分の意思で自分の思うがままに変えているから何だなとあたしは理解する。

 

 好きな男の為ならどんな自分にでもなれる。

 ありのままの自分を見て貰ったことで好きになったのに、そうではない自分を見せることでも好意を持てるなんて、本当にあたしはフレイという存在に、心の底から恋をしてしまってるんだなと思う。

 

 そしてそんなことを考えていると、フレイにパンツを見られているというこの状況に関して、段々と興奮を覚えてきて、快楽を感じ始めてきた。

 

 だって、今あたしはフレイに見られているのだ。

 普通なら見せないところを、恋人じゃないと見せないところを。

 

 他の男に見られたのなら嫌悪しか感じないが、愛している相手であるフレイなら、それは快楽に変わってしまうのだ。

 

「んっ」

 

 フレイに気付かれない音量であたしは思わず喘いでしまった。

 そして、同時にあの時のように下着に湿り気が帯びるのを感じる。

 

 ば、ばれてないよね……黒い下着で良かった……。

 

 あたしは内心冷や汗を流しながらそう思う。

 これが何時も白いパンツで、それがシミによって変色するところを見られてしまったら、あたしはフレイに、勝手に自分でパンツを見せて、勝手に自ら性癖を開拓して、気持ちよくなってしまうふしだらな女とみられてしまうところだった。

 

「ほら、隠せよ」

 

 フレイはそう言ってめくれ上がったスカートを元に戻した。

 そして、あたしに手を差し出してくるので、それを手に取って立ちあがる。

 

「全く、自分を大切にしろよ?」

「大切にしてるわ! それでも使い時ってやつはあるのよ!」

「いつか運命の相手が来た時に、黒歴史になるぞ」

「それならもう来ているから問題はないわ!」

「……そう言う奴に限って、後から後悔することになるんだよな」

 

 「フラグだよ。フラグ」とフレイは言って、そのまま歩いて行こうとする。

 そんなフレイに向かって、顔を真っ赤にしたあたしは言った。

 

「今日はこの辺で勘弁して上げるわ……。だけど覚悟しなさい! あたしにはまだ恋愛小説(バイブル)に記載された多数の技が残されているのだから!」

 

 あたしは負け惜しみのようにそう言うとそのまま走り去った。

 スライムの媚薬を飲んだわけでもないのに、あの時と同じように、体が熱く、お腹の下がじゅくじゅくとしていた。

 

 これは夢としたあの時や、フレイに手料理を食べて貰った夜などのように、フレイを思って、することをして発散しないといけないかも知れない。

 

 あたしは起き上がらせて貰った時にフレイが握った手を見ながらそう思った。

 




 他のヒロインがドロドロになっていく中で、一人だけHENTAIの道を進み始めたエルザ……快楽に対する防御力がゼロなのがあかんかったんや……。
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