エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます   作:グルグル30

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レシリアの襲撃

 

「フレイ様、お話があります」

 

 屋敷に帰ってくつろいでいると来幸が神妙な顔をしながらそう切り出した。

 

「ん? なんだ?」

 

 俺は思わずそう問い返す。

 直近で何か問題になるような出来事があっただろうか?

 

「フレイ様は、ユーナ様と今良い感じに関係が進んでいるのですよね?」

「ああ、師弟としての絆も深まった。そろそろ次の段階に進み始めてもいい頃合いかも知れないな」

 

 来幸の言葉に俺は考えながらそう応えた。

 かなりの期間、師弟として活動して十分に仲良くなれたと思っている。

 

 それに何より、あの施術についても、初めてやったあの日から、今日までに何回も実行しているのだ。

 それこそ、下手な付き合い立ての恋人よりも、ユーナの肌に触れている時間が長いのではないかと思えるほどだ。

 

 ここまで来たら、いっその事、師匠から恋人へと、恋愛関係を進めてしまっても良いのではないだろうかと俺は考えていた。

 

 他の師匠物だと、どのタイミングでそう言う関係にシフトしてるんだっけ?

 子供から育てるパターンだと大人になったとき、無機物系師匠のパターンだと人化した瞬間に、世話してきたヒロインに食われるイメージがあるけどな~。

 

 まあ、あまり他を参考にしてもしょうがないか、これは俺の物語なんだから。

 

 俺はそう他のパターンについて考えるのを止めた。

 単純に自分の状況だけを考えればそろそろ動き出してもいい頃合いだ。

 

「でしたら、デート……などもするのですよね?」

「まあ、そうだな」

 

 来幸の言葉に俺は思わず顔がにやけてしまう。

 デート――言葉だけは知っていたが一度もやったことのない行為。

 それをついに俺が実行することが出来るのだ。

 

 これで前世の無念を一つ晴らすことが出来る。

 俺がそう思っていると来幸が自分の胸に手を当てて言う。

 

「でしたら、私とデートしてくれませんか?」

「ん? なんでだ?」

 

 俺の純粋な疑問を抱いた言葉に来幸は答える。

 

「練習です。デートをしたことのないフレイ様が、いきなり本命のユーナ王女とデートをしてしまえば、何かしらのミスをしてしまい、デートが破談しかねません」

「確かにそれもそうだな……」

 

 俺は来幸の言葉に一理あると考える。

 何せデートは人生初体験だ。

 何処までうまく出来るかわからない。

 

 前世の世界では、初デートでの印象は、その後の関係に大きく影響すると言われていた。

 初デートで情けない姿を見せたら、挽回も出来ずにそのまま幻滅され、あっという間に破局という状態になってしまうかもしれないのだ。

 

 加えて言えば、俺はユーナの師匠ポジションについている。

 師匠とは弟子が頼りにする相手であり、そんな相手が初デートであたふたして、失敗するなんてことがあれば、師匠は頼りない男だったと、これまでの信頼も含めて失い、ユーナの師匠ポジションまで失いかねない。

 

 それを考えれば、絶対に失敗しないように、初デートでも頼れる男という姿を見せるために、事前に練習しておくのはありかもしれない。

 

「そうだな。じゃあ――」

 

 俺がそう言おうとした時、ドンと扉が大きく開いた。

 そちらに目を向けて、俺はそこにいる人物に気付く。

 

「レシリア!? なんでここに!?」

「来ちゃった! お兄様!」

 

 そこにいたのはレシリアだった。

 最近、七歳になったレシリアはてこてこと歩いて来ると、そのまま椅子に座った俺を椅子にして、その上に座り始める。

 

「レシリア、甘えたいのは分かるが、ちゃんと事情を説明してくれ、お前はシーザック領にいるはずだろ? なんでここにいるんだ?」

「お兄様が全然レシィに会いに来てくれないから会いに来たの!」

 

 迷うことなくそう口にしたレシリアに、俺は思わず言った。

 

「この間の誕生日会であったばかりだろ?」

「うん。でもあれくらいじゃ、レシィはお兄様成分を補充出来ないの!」

「お兄様成分て……」

 

 なんだその謎成分。

 俺がそう思っているとレシリアは俺から降りて、ビシッと俺に指を向けると、無い胸を張ってどや顔で宣言する。

 

「兄には妹を一日に一回甘やかさないといけない義務があるんだよ! お兄様はそれに違反したから、今日はレシィと一日中ゴロゴロするの刑に処します!」

 

 なんだそりゃ? と思わず思ってしまうが、恐らく覚えた難しい言葉を使いたいお年頃という奴なのだろう。

 俺も同じくらいの年齢の時に、義務とか刑とか友達との遊びの中で、意味もわからずきゃっきゃきゃっきゃと使っていた覚えがある。

 それに忙しすぎてレシリアのことを余り構ってやれなかったのも事実だ。

 

 ここはいっちょ兄として付き合ってやるか!

 

 俺はそう考えてレシリアの話に乗る。

 

「そうだな。それはしかたない。今日は一日、レシリアとゴロゴロするか!」

「やった! 大好きお兄様!」

 

 そう言ってレシリアが俺に抱き付いてくる。

 俺は椅子に座りながらそれを受け止めた。

 

 猫のように腕の中で頬ずりをするレシリア。

 俺はそんなレシリアの頭を撫でた。

 

「んっ! お兄様に包まれているみたい……」

「まあ、実際に包んでいるからな」

 

 安心するかのように、俺の腕の中で大人しくするレシリアに、俺はそう返した。

 

「御本読んで!」

 

 レシリアがそう言ってくるので俺は来幸に言った。

 

「来幸、何か良い感じの本を探して持ってきてくれ」

「っ! ……わかりました」

 

 珍しく不服な雰囲気を出しながら来幸が部屋から出て行く。

 そして来幸が出て行った当たりで、レシリアが服の袖を掴んで引っ張った。

 

「ねえ! お兄様! 学園やこちらの生活での、お兄様の活躍を聞かせて!」

「活躍ってほどのことはしてないけどな……」

「お兄様のことなら! レシィ! 何でも知りたいの!」

「しょうがないな……」

 

 可愛い妹にそこまで言われたのなら断れない。

 

 俺は、レシリアを椅子に座った俺の上に乗せながら、ここ最近起こったたわいもない話をレシリアとしていく。

 やがて、来幸が本を持ってきたので、それをレシリアに読み聞かせてあげた。

 

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