エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます   作:グルグル30

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デート

 

 そしてデート当日。

 俺はうきうきとした気持ちで屋敷を出た。

 

 昨日は滅茶苦茶気分が落ち込んで、常にいるはずもない視線に怯えていたような気もするが、一日も経てばある程度割り切れる。

 何よりもデートがあるということが、俺に無限の勇気を与えていた。

 

「人を待っているんです! やめてください!」

 

 待ち合わせ場所に向かっていると、そう言うユーナの声が聞こえた。

 俺が急いで駆け寄ると、そこではこの間見た光景が再現されていた。

 

「また、此奴らか……」

 

 来幸とデートした時に、来幸に絡んでいた男達。

 攻略対象とのデートイベントの時に、必ずと言って良いほどに現れて、主人公達のデートを妨害してくる、お邪魔虫役の存在が現れたのだ。

 

「前回、あれだけいたぶったのに、性懲りもなく、また現れるとか……イベントの強制力が凄いと言うべきか、馬鹿は治らないと言うべきなのか……」

 

 俺はそんなことを言いながらも、其奴らに近づいて声を掛けた。

 

「俺の連れに何かようか」

「ああん? なんだテメ――、って、テメーは!?」

「あ、兄貴! この間の奴っすよ!」

「ち! 此奴もお前の女かよ! お前達行くぞ!」

 

 そう言って男達は去って行った。

 それを見てユーナがキラキラした目で俺を見る。

 

「話しかけただけで追い払うなんて、さすが師匠です!」

「まあな」

 

 ユーナにおだてられて得意げになった俺はそう勝ち誇る。

 だが、続けて放たれたユーナの一言が、俺を硬直させる。

 

「でも、此奴もお前の女かよ……ってどう言う意味ですか?」

「さ、さあな……? あんな奴らが言うことを真に受けるな。ともかく街巡りを始めようじゃないか」

「ふ~ん……。まあ、行きましょうか」

 

 そう言ったユーナが俺の後を追って歩き出す。

 

 練習はばっちり! 最初に向かうのはアクセサリーショップだ!

 

☆☆☆

 

 アクセサリーショップについた俺達はアクセサリーを見ていた。

 

 デートをするなら訪れたい場所だと以前から思っていたこの店は、様々なアクセサリーを取り扱っており、俺の考え通りにデートに最適な場所だった。

 

 こうやって恋人とアクセサリーを見て、お互いにプレゼントする……的なことを、前世の頃からやってみたいと思っていたんだよな……。

 

 俺は確かな満足感を得ながらも商品を見ていく。

 だが、前回来幸と来た時に、あらかた商品を見てしまっているため、何処に何があるかわかっており、直ぐに手持ち無沙汰になってしまった。

 

 練習が悪い方向に働いたか……?

 

 思わずそんなことを思いながらも、ユーナの見ている物を見る。

 ユーナは銀の腕輪に目を奪われているようだった。

 

「それが気に入ったのか?」

「え? は、はい! これ師匠みたいな銀色で、良いものだな~、と」

「そうか、それじゃあ、それを買うか」

「いいんですか?」

「ああ、今日は俺の奢りだ」

 

 今回の街巡りは俺的にはデートだが、まだユーナとは恋人になっていないため、社会勉強の為の街巡りだということになっている。

 だから、俺は来幸の時のようにデートだから俺が買うとは言わずに、純粋に今日の催しは俺の奢りだと伝えて商品を購入しようとしたのだ。

 

 銀の腕輪を二つ手に取った俺を見て、ユーナが何か思いついたように言った。

 

「そうだ! 師匠も同じものを買いませんか?」

「師弟で同じものを付けるってことか?」

 

 ユーナの言葉に、思わず問い返した俺に、ユーナは答える。

 

「はい! 道場の一門は同じ服を着たりするって言うじゃないですか! それみたいにわたしと師匠もお揃いの何かを付けてみたいなって! ……ダメですか?」

「いや、構わないぞ。確かにそういうのがあった方が師弟感あるもんな……」

 

 そう言って俺は銀の腕輪を手に取った。

 その時にユーナが「あっ」と何かに気づいたように言う。

 

「そう言えば師匠は腕輪をもう付けてるんでしたっけ?」

「ああ、左腕に空蝉の羅針盤を付けてはいるな」

 

 俺はそう言って自分の左腕をユーナに見せた。

 そこには俺が愛用している魔道具である空蝉の羅針盤がある。

 

「転移するときに使用している魔道具ですよね? 師匠は他にも魔道具を付けていたりとかするんですか?」

「そうだな。俺はそこそこ魔道具を持っているが、日常的に付けているのは、空蝉の羅針盤を除けば、この指輪二つとイヤリングだな」

 

 そう言って俺は片手の人差し指と中指に嵌めた指輪を見せる。

 

「この指輪は耐状態異常リングと環境適応リングだ。その名の通り、状態異常に対する耐性を付与するのと、環境に対する耐性を付与するものだ」

「環境に対する耐性ですか?」

 

 よく分からないという風にユーナがそう言うので、確かにこの言葉だけだとわからないよなと苦笑し、俺は師匠として説明を始める。

 

「標高が高い山の上に行くと気圧で体調を崩したり、砂漠や火山だと熱気でやられたり、豪雪地帯だと寒さにやられたりするだろ? 加えて人は水の中では息が出来ないから、直ぐに溺れ死んでしまう……これはそう言ったものを防ぐ効果があるんだ」

 

 言ってしまえば、モン○ンのクー○ードリンクなどのようなものだ。

 過酷な環境での戦闘や行動でキャラクターに入るダメージを防ぐ為の一品で、様々な土地を巡るこのゲームでは、面倒なら取り敢えず付けておけばいいと言えるような、とても便利なアイテムなのだ。

 

 性能の低い環境適応リングだと熱に対する耐性しかないが、イベントアイテムでもある俺が使用しているものは、パーティーメンバーの最大数である八個しか手に入らない代わりに、水の中だろうと空の上だろうと問題なく過ごすことが出来る、俺的にはかなり役に立つ代物だ。

 

「まあ、冒険者の必需品ってところだな。これがあるおかげで、冒険者達は火山とか危険な場所で活動できるってわけだ。あくまで環境への適応だけで、マグマとか直接的な脅威は防げないから、そこは注意する必要があるけどな」

「へぇ~凄いですね~」

 

 感心したようにユーナがそう言う。

 そんなユーナに、両耳に付けたイヤリングを見せた。

 

「それでこれが鷹の目のイヤリング。空から見下ろすように、別視点から周囲を視認することが出来るものだ。周囲の状況を把握するのに便利な物なんだよ」

 

 簡単に言えば、使用することで、三人称視点で周囲を見ることが出来るようになる魔道具だ。

 元々はとある攻略対象のルートクリア報酬であり、銀仮面としてその対象を救って確保した魔道具だ。

 これは俺に取ってかなり有用な魔道具で、銀仮面として手に入れたこれを、身バレのリスクを背負ってでも、フレイの時に使用するほど、使い勝手がいい物なのだ。

 

「まあ、俺が装備している魔道具は、ざっとこんな感じだな。勉強になったか?」

「はい!」

 

 ユーナの返事を聞いた俺は、銀の腕輪を、空蝉の羅針盤を付けていない方の腕に付けて、ユーナに見せた。

 

「俺は片腕に空蝉の羅針盤を付けているから、ユーナと同じ両方に付けるのは無理だが、それでも構わないか?」

 

 この腕は両方の腕に付けるタイプの腕輪だ。

 片方だけ別の腕輪を付けると、アンバランス感が目立つような作りになっている。

 

 出来るのなら片方だけ付けるという真似はしたくないが……。

 まあ、それでもいいか……。

 

 俺はそう思い直した。

 そもそも、俺は空蝉の羅針盤を見られないように、普段から腕輪が隠れるような服装を着ているため、おしゃれ的な面でおかしくても、そこまで気にならない。

 だから、師弟の絆を優先させて、腕輪を片腕に付けることにしたのだ。

 

「それでも構わないです!」

「よし、じゃあ、購入するか!」

 

 俺はペアとなっている腕輪を二つ購入し、片方を自らの腕に付けた。

 ユーナはそれを両方の腕に付けた。

 

「お揃いですね! 師匠!」

「そうだな」

 

 嬉しそうに笑うユーナの姿に自然と頬が綻ぶ。

 その後もショッピングは順調に進み、楽しい時間を過ごした俺達は、いよいよデートの本番とも言うべき、お化け屋敷へと向かった。

 

☆☆☆

 

「これが最近王都に出来たというアトラクションですか……」

 

 物珍しそうにユーナがそれを見る。

 

「そうだな。お化けが出てくる屋敷での冒険を楽しむものだ」

 

 このお化け屋敷はゲームの頃からあった攻略対象とのデートスポットだ。

 それぞれのキャラ毎に違った反応を見ることができ、恐怖から主人公に抱きついてしまうという展開から、特定のビビりなキャラなら、恐怖による失禁シーンなどの特定のフェチの為の展開も楽しむことが出来る場所だ。

 俺には失禁に対するフェチは別にないが、前世の頃からの経験で、デートスポットならやっぱりお化け屋敷でしょ! というイメージがあったので、ここをデートで使う対象として選んでいたのだ。

 

「おやおや~カップルさんですか? 初々しい……あれ?」

 

 俺達の元にやってきた受付の女性が、喋っていた言葉を止めて首を傾げる。

 それを見て俺は内心焦った。

 

 この人、この間、来幸と来た時に受付だった人だ!

 

 シフトとかあるだろうに、偶然にもタイミングが被ってしまったらしい。

 俺が思わず焦りで硬直する中で、受付の女性が言う。

 

「君ってこの間――いや、初めまして! ようこそ、私達のお化け屋敷へ!」

 

 さすが、プロ。

 直ぐにそれまで話そうとしていた失言に気付き、それを止めて俺と初めて会ったていで、会話を続けてくれた。

 俺はその事に感謝のアイコンタクトを送りつつ、以前来幸と共に受けた説明を聞いて、ユーナと共に屋敷の中に入った。

 

 そして屋敷の中を順調に俺達は進んでいく。

 ユーナがお化けをあまり怖がらなかったのは予想外だったが、これはこれで、冒険に出たパーティーが屋敷の探索を楽しんでる感が出ているのでありだろう。

 来幸と来た時は俺も醜態を晒したが、さすがに二回目となれば、このリアルなお化け達にも耐性が出来ると言うものだ。

 

 しっかりと練習しておいて良かった。

 

「ここだな」

 

 俺は隠されていた鍵を見つけ出す。

 そんな俺を見て、考え事をしていたユーナが言う。

 

「師匠……手慣れてませんか?」

「え? な、何がだ?」

 

 俺はユーナのその言葉に思わず少し狼狽えながらもそう答えた。

 

「お化けが出てきても、出てくるとわかっているみたいに驚かないし、さっきから隠されたアイテムの場所を、すいすいと見つけているじゃないですか」

 

 俺はそこで悩んだ。

 ユーナにどう伝えるべきかと。

 

 先程と同じように気のせいで流そうとするが……。

 

「さっきの受付の人も反応おかしかったですよね? もしかして、私以外に弟子がいて、それでここに連れてきたりとかしたんじゃ……」

「それはない!」

 

 俺は強くユーナの言葉を否定した。

 そして隠しきれないと悟って、ため息を一つ吐くという。

 

「単純に今日ユーナを連れてくるに当たって、このお化け屋敷を下見してたんだよ。だから何が出てくるのか知っているんだ」

「下見ですか?」

「……師匠としてかっこ悪い所は見せられないからな」

 

 俺は照れくさそうにそう言う。

 発言の何処にも嘘は言っていない。

 ちょっと隠している部分もあるが、見栄を張るために練習したのは事実だ。

 

「そうですか……。すみません、師匠! わたし、そんな師匠の思いも無視して、こんなことを聞いてしまって……」

「いや、隠していた方が悪い。気にしていないから、そっちも気にせず、このお化け屋敷を楽しんでくれ」

 

 その後、俺達は屋敷の探索を続けた。

 しかし、微妙になってしまった雰囲気を戻すことは出来ず、どちらとも少し距離が空いた状態で屋敷を攻略することになってしまった。

 

☆☆☆

 

 微妙な雰囲気になってしまったお化け屋敷。

 それを終えた俺はレストランでの挽回を目指していた。

 

 しかし、お化け屋敷でのことを引き摺っているのか、会話はあるものの、そこまで話が弾まずに終わってしまう。

 

 このままではいけないと思った俺は、ユーナに対して切り込むことにした。

 

「なあ、ユーナ。どうしてそこまで他の弟子がいないか気にするんだ?」

 

 俺の発言にユーナの手が止まった。

 そして手に持った箸を置くと、俺に向かって言う。

 

「それは……わからないです……」

「わからない?」

 

 俺はそのユーナの言葉に思わず問い返してしまった。

 ユーナは顔を俯かせてその思いを吐露する。

 

「はい……。わからないんです。どうして聞いてしまうのか。ただ、師匠が自分以外の弟子と一緒にここに来たと思うと。こう、胸の辺りがモヤモヤして、思わず問いただしてしまうんです」

「そうか……」

 

 う~ん。これはもしかしてユーナが俺に惚れて嫉妬しているってことなのか!?

 いや、そう判断するのはまだ早いか、単純にお気に入りの師匠を別の誰かに奪われることが嫌ってだけなのかもしれん。

 

 俺は慎重にそう考える。

 それは恋だよ、とよくあるキャラのように無責任に言うことは出来るし、それによってユーナを落とす方向に持って行くことも出来るかもしれないが、それはユーナの師匠ポジである俺がやることではない。

 

 だからこそ、俺はユーナに向かって言う。

 

「師匠として言っておく。気持ちをわからないままにしておくな」

「え? ど、どうしてですか?」

 

 突如として俺から厳しい言葉を言われ、思わずユーナが問い返す。

 

「取り返しの付かない決定的な場面は、こちらの事情と関係無く、突然自分達の前に現れて、勝手に去って行く」

 

 俺は過去を思い出しながらそう呟く。

 自分すら気付かぬ淡い恋心……そう言うと何やら美しいものに聞こえるが、それに対する現実は悲惨だ。

 なぜなら、誰もが恋をするようないい女というのは、基本的に彼女に恋心を抱いた自分以外の誰かによって、あっという間に奪い去られて、其奴のものとなってしまうからだ。

 

 あとから、俺は彼奴に惚れてたんだ……なんて気付いた所で、それはただの負け犬の遠吠えにしかならない。

 そして、そんな風に負け犬になってしまえば、全てを諦めて、何事もなかったかのように友人として過ごし、新たな恋を探しに行くしかなくなる。

 

 ――そうでないと辛くなるのは自分だからだ。

 

 BSS(僕が先に好きだったのに)という言葉がある。

 大抵の場合では、恋愛弱者を馬鹿にするために使われたりする言葉だが、俺からして見れば、この気持ちを抱いたことがない奴なんて殆どいないだろうと、お前達にはそうやって俺らを馬鹿にする資格はあるのかと、思わずそんなことを考えてしまう言葉だ。

 

 現実は残酷だ。

 モテる人間はとことんまでモテて、モテない人間は何処までもモテない。

 だからこそ、多くの者が同じ相手を好きになってしまうが、その様々な人から好意を集めた相手は、多くの恋愛相手をものにして来た恋愛強者にあっさりと持って行かれて喰われてしまう。

 好きな相手を得られなかったその他大勢の者達は、それを羨ましそうに眺めながら、別の誰かを探しに行くか、蹲って絶望によって傷つき続けるしかない。

 

 ごく一部のモテる者達だけが、本当に好きな相手を、自分だけのヒロインやヒーローを手に入れて、好きな相手との恋愛という最高の日々を満喫することが出来る。

 一方でその他大勢の者達は、そう言ったヒロインやヒーローへの恋の気持ちを持ちながらも、恋愛をしたことがないのは恥ずかしいからとか、どんな相手であろうとも恋人が欲しいなどと言って、俺達、私達のレベルだと、この程度の相手しかいないからと、本当に恋した相手を忘れ、これが現実的な恋愛だと嘯いて、妥協を重ねて選んだ相手と、一番じゃないけど好きな相手と恋愛が出来た、自分達は本物の恋愛をしたんだと、モテる者達の恋愛の真似事をした偽物で、自分を誤魔化して満足した気になる。

 

 ――くそったれが!

 それの何処が恋愛なんだ!

 ただの逃避じゃないか!

 

 俺はそう強く思う。

 

 俺がしたいのはそんな紛い物の恋愛じゃない!

 俺は、自分を偽ることなく、心の底から本気で一番だと言い合って、愛し合えるような、俺だけのヒロインとの本物の恋愛をしたい!

 そうでなければ、その恋愛に意味などないのだ!

 

 俺は――自分に嘘が付けない。

 だからこそ、自分にはこのレベルが丁度良いからと、恋心を誤魔化して、手頃な相手と付き合って、求めていた恋愛をした気になるなんてことは出来ない。

 

 こう言うと大抵の人は俺を馬鹿にするだろう。

 モテない癖に、何の取り柄もない癖に、何を偉そうに言っているのかと。

 自分のレベルを見て、もっと底辺にいろよと。

 

 だが、俺はそれに反論させて貰おう。

 むしろ、逆だ。

 俺には何もないからこそ、自分だけには嘘をつきたくないのだ。

 

 だって、何もない俺に残された、ただ一つのものが俺の心だからだ。

 それにすら嘘をついて捨ててしまえば、俺は本当の負け犬に、自分というものが何もない人形のような存在に墜ちてしまう。

 

 人は誰だって人生の意味を求めている。

 俺は前世のように、自分に嘘をついて、人形のように自分を捨てて、世界を彩る飾りとして、モブの一人として、誰かの為に消費されて、道具のようにうち捨てられるのはもうゴメンなのだ。

 

 ただ生きているだけでは人は真の意味で生きているとは言えない。

 果たしたい願いが、なすべき思いがあり、それを持ち続けることで、ようやくその人間は、人として人生を謳歌することが出来るのだ。

 

 だからこそ、自分の気持ちがわからないなどという逃げは許されない。

 

 自分の気持ちをしっかりと理解して、それを果たすために行動する……。

 誰かに奪われる前に、自分がそれを手にするために。

 そうしなければ何も勝ち得ることは出来ない。

 

 俺は前世で何も出来ずに死んで、今世へと転生したときに、やっとそれを理解したのだ!

 

 だからこそ、俺は断言するようにユーナに告げる。

 

「その時に自分の心すらわからない状況だと、本当は得たかった大切な何かを取りこぼすことになるぞ」

「大切な何かを取りこぼす……」

「ああ、後から気付いてももう遅い。現実にリセットなんてものはないからな」

 

 俺の言葉を聞いて考え込んでしまったユーナに、俺は言った。

 

「まあ、よく考えてみるといいさ。自分自身の心に問いかけてな」

 

 そうして俺達は黙ったまま二人で食事を続けた。

 そうして食事を終えた俺たちは別れた。

 

 一言言えることがあるとすれば……。

 今回のデートは大失敗に終わったということだろう。

 




 自分が何も持っていないと薄々感じ取っているからこそ、ブライドやこだわりに固執して、自分を変えることが出来ないと言う、持たざる者にたまに現れるメンタルパターンです。
 フレイは今世では、貴族だったり、神の血引いていたりと、どちらかと言えば持っている側の人間なのですが、如何せん前世の認識が強すぎて、今でも持たざる者メンタルで行動しています。

 そんなフレイからしてみれば、好きな相手と付き合ったら勝ち、妥協を重ねた相手と付き合ったら負け、好きな相手を諦めて別の好きな相手を探しに行くのはノーゲームって感じです。
 妥協を混ぜ込んで好きと言う気持ちにしたもので、本当に心の底から楽しめる恋愛を行えるはずがないと考えています。

 ここからはチラ裏的な作者の考えによる補足なので無視しても問題ありません。
――――――――――――

 個人的には転生によるやり直しは、リセット(初期状態からのやり直し)ではなく、リスタート(引き継いだ状態からのやり直し)だと思っています。

 その為、転生物の作品としては、リセット的な、前世の頃のこだわりやプライドなどの強い感情が出てこずに、前世の存在をただの情報源と扱って、新しい自分だと割り切って行動する作品よりも、リスタート的な、前世の頃の強い感情を引き継いで、前世のことを後悔しながらも頑張る無職○生のような作品や、前世でやれなかったことをやろうとする陰の○力者になりたくてのような作品の方が、転生の意味を感じたり、前世を簡単に捨てられない人間味を感じるので好きです。

 そんな作者の考えもあって、本作の主人公も、前世の頃に抱いた強い気持ちをしっかりと引き継いで、今世で生きる形となっています。
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