エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます   作:グルグル30

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宣言する信念

 

「あれ……俺は……」

 

 俺は再び目を覚ますと周囲を見渡した。

 何か凄いことがあったような気がするが思い出せない。

 俺は気絶する前に何をしていた?

 

「フレイ! 目が覚めたの!」

「母様? 俺は一体……」

「フレイ……。お前、何処まで覚えている?」

「何処まで? 確か……そうセレスに振られて、そこから先は……うっ! 思い出せない!」

 

 思い出そうとするとずきんと頭が痛んだ。

 それを見てリノアが言う。

 

「無理に思い出さなくて大丈夫よ! 私達にも何が何だか分からなかったし!」

「そうなのですか? 思い出すべき、いい思い出だったような気も、少しだけするのですが……」

「フレイ、お前にはまだ早い」

 

 そう言ってジークとリノアは止めてくる。

 なんだかよく分からないが、二人がそう言うのならそうなのだろう。

 頭を切り替えた俺は、忘れていたことを二人に聞いた。

 

「そう言えば、あの魔族を倒した時に出た魔道具は何処ですか?」

「ん? あれか? それはここにある」

 

 そう言ってジークが魔道具を見せる。

 間違いないゲームで見たのと同じ代物だ。

 

「これ、俺が貰ってもいいですか?」

「まあ、構わないぞ。お前が倒したものだしな」

 

 そう言ってジークが渡してきた魔道具を受け取る。

 それは方位磁石のようなデザインをした魔石が埋まった腕輪であり、それを付けてその部分に手をかざすと、薄透明な針のようなものを出すことができた。

 

「父様、魔力回路がダメになって、俺のこれからが心配なのかもしれませんが、これがあれば今まで以上に俺は強くなれます」

「ん? どういうことだ?」

「こういうことです」

 

 そう言うと俺は腕輪の機能を使って転移した。

 そしてジークの後ろの少し離れた場所に立つ。

 

「いつの間に後ろに……これは転移か!?」

「はい。あの魔族は転移を使っていたので、魔道具もそれに関した能力だと思っていましたが、その予想は当たっていましたね」

 

 もっともそれは俺がゲーム時代にこの魔道具を知っていたから言えることだ。

 インフィニット・ワンでは各攻略対象ごとにストーリーがあり、そして攻略対象達の問題を解決した時点でゲームクリアとなる。

 そのような作りになっているが故に、各ルートを回る実績要素として、ラスボスを倒した時に魔道具やスキル、強化アイテムが手に入るようになっているのだ。

 

 レシリアルートのラスボスであるディノスが落とすこの魔道具もその一つ。

 これは目視できる範囲ならどこへでも短距離転移が可能で、しかも取り出して使う透明な針を付けた場所なら、どれだけ離れていようとも転移出来ると言う優れものだった。

 

 遠距離転移の方はゲームだと十五カ所までだったっけ。

 それでも作中の魔道具の中では強力で使いやすいものだ。

 

 たぶん、ディノスを倒すまで、逃げ回って暗躍するために、他のルートに比べてお使いクエストなどが多かったことから、制作陣がレシリアルートの景品に軽く色を付けたのだろうと俺は考えている。

 

 まあ、正直あんな奴の元になった魔道具はあんまり使いたくはないけどな。

 それでも便利なんだから仕方が無い。

 

 この世界では魔物や魔族は、魔素が集まり魔石が埋まれ、そこに意思が宿ると、その意思が魔物や魔族を形作り、それらの存在になると言われている。

 そのため、事前に部位切断しておかないと、魔物や魔族を殺した時点で、それらはまるで何もなかったかのように、魔石だけを残して消えてしまうのだ。

 

 加えて言えば、長い年月を得て成長した魔物や魔族の魔石は、属性を持った特別な魔石になったり、力を持った魔道具に変化したりするのだ。

 そうなった奴らは一段階、他の魔物や魔族よりも強くなるらしい。

 

 勿論これは、実績用の魔道具を落とす為だけの理由付けである。

 ただ、その設定が現実化しても、普通に反映されているのは、俺に取って助かった点の一つだ。

 

「魔道具なら発動に魔力回路を使いません」

 

 そう言って元のベットに俺は戻った。

 

「魔力回路が生み出す魔力は少なくなってしまいますが、それでもこうして直接魔力を使えるなら、まだ平民以上には魔力が使えると思います」

 

 魔法は魔力回路が生み出しているマナと言われる魔力しか使えないが、身体強化などは魂が生み出しているオドと呼ばれる魔力を使用する。

 ジークのように平民なのに、身体強化などをバンバン使えるのは、この魂が生み出す魔力であるオドが多いからなのだ。

 

 そのジークの息子である俺もオドの総量は多いため、真っ当な貴族には魔力量では勝てないだろうが、それでも最低限戦えるだけの魔力は残っており、マナだけではなくオドも燃料として使える魔道具なら、それなりに戦う事はできるのだ。

 

「まあ、それはそうかも知れないが……。だが、縁談とかで苦労するぞ」

「構いません。もとより俺は、俺だけのヒロインを、父様のように見つけるつもりなんです。魔力回路がダメだからと蔑むような者は、俺のヒロインに相応しくありません。むしろ選別できて好都合です」

 

 そんな俺の言葉に両親は顔を見合わせた。

 

「父様、母様、絶対に俺は素敵な恋愛をして幸せになってみせます! だから、俺が自分だけのヒロインを探すのを見守って協力してくれませんか?」

「まあ、俺達も恋愛結婚だしな」

「そうね。魔力回路で見るような相手は、初めから避けたほうがいいものね。私は応援するわ。フレイのその目的を」

 

 それを聞いて俺はにっこりと笑った。

 

「ありがとうございます! 絶対に俺だけのヒロインを見つけてみせます!」

「え、ええ……」

「あ、ああ……」

 

 遠くで両親が「恋愛に夢を見すぎるところは俺の血がいけなかったのか」とか、「私が隠していた恋愛小説をフレイが見てたのが原因かも……」と微妙そうな顔で何やら小声で話しているが俺には聞き取ることができなかった。

 

 ともあれ、両親の了承は得た。

 まだ六歳、前世の年まで、まだ二十年以上残っている。

 俺のヒロイン探しは、まだ始まったばかりだ!

 

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