エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます   作:グルグル30

74 / 132
囚われのフレイ

 

 無事屋敷に戻ってきた俺は、俺の死にそうなレベルの大怪我を見た来幸とレシリアに泣かれながらも、レシリアの治療によって一命を取り留めた。

 そうして、一段落ついた俺に訪れたのは、悲しみが終わった後に、二人に急速に湧き出した、大怪我を負うような真似をした俺への怒りだった。

 そうして何時間にも及ぶ説教を聞いた俺は、三日間の絶対安静の期間に動き回らないようにと、転移が出来ないように空蝉の羅針盤も取り上げられて、ベットに縛り付けられて拘束されている。

 

「あの……この拘束外してくれません?」

「ダメ!」

「駄目です!」

 

 両隣から強く否定されて俺は思わず押し黙る。

 そしてその二人が手に持ったスプーンが俺の口元へと向けられた。

 

「お兄様! レシィの手料理だよ! 美味しく食べてね!」

「食事です。食べてください」

 

 そう、ベットに拘束された俺を四六時中見張っているのは、来幸とレシリアの二人だった。

 彼女達は、俺が自分で取ることが出来ない食事を取らせるために、それぞれが作った手料理を、スプーンで掬って俺に食べさせようとしていた。

 

「……来幸お姉さん。お兄様はレシィの料理を食べるんだよ?」

「……レシリア様、フレイ様の食生活は私に一任されています」

 

 バチバチと音が聞こえそうな感じで、お互いに良い笑顔で向き合う二人。

 この二人は何故か昔から時折こうやって雰囲気がおかしくなるのだ。

 

「ともかく、お兄様食べて!」

「うごぉ!?」

 

 レシリアのスプーンが俺の口に放り込まれる。

 俺はそれに驚きながらも、何とか口の中に入ったものを咀嚼する。

 

「――っ!!! フレイ様! これが貴方の食事です!」

「ぐえぇ!?」

 

 そうしてレシリアの食事を食べている途中で、今度は来幸のスプーンが口の中に突っ込んできて、俺は呻き声を上げならそれを食べる。

 

「レシィの方が料理美味しいもん! お兄様はレシィの料理を食べるべきだよ!」

「ごおぉ!?」

「何を言っているんですか? 貴方よりも私の方がフレイ様好みの料理を作ることが出来ます。つまり、私の方が美味しい料理を作れる!」

「うごぉ!?」

 

 次々と二人が俺の口の中に料理を送り込む。

 味がなんだとか言ってるが、二つの料理が口の中で混ざって、もう口の中は滅茶苦茶な味で、それぞれの料理の味なんかわからない。

 

「レシィの方が美味しいよね! お兄様!」

「私の方が美味しいですよね! フレイ様!」

「いや、正直味とかわかんな――」

「じゃあ、もっと食べて! レシィの味を感じて!」

「そうです! 私の味を感じてください!」

「ぐぇええええ!?」

 

 何度も何度も放り込まれる料理。

 その度に俺は苦しんでいく。

 やがて二人の残弾がなくなって、スプーンが止まった時、俺は、俺の回答を心待ちしている二人に向かって言った。

 

「ど、どっちも美味しかったよ……」

 

 その言葉に、レシィは頬を膨らませ、来幸は不機嫌そうにして言う。

 

「「ちゃんとどっちがいいか決めて!」」

「はい! じゃ、じゃあ……来幸で……」

 

 どちらかに決めないと絶対に許さないという雰囲気に、俺は取り敢えず安牌な選択だろうと、来幸を指名することにした。

 それを聞いた来幸は勝ち誇った顔をして、レシリアはますます頬を膨らませ、まるでリスのように頬をパンパンにする。

 

「いいもん! 朝昼晩と残り三日で八回も食事の機会は残ってるし、これ以外をレシィが勝てば良いだけだもん!」

「貴方にそんなことが出来ますか?」

「はぁ~!? 来幸お姉さん! 何言ってくれちゃってるの!?」

「私と貴方の差は歴然。全ての勝利は私が頂きます」

「余裕ぶっていられるのも今のうちだけだからね! いつか絶対に! そのお兄様のことなら何でも知ってますよっていうすまし顔をわからせてやる!」

 

 そんなことを来幸とレシリアが口論しているが、俺はそんな話を聞き流しながら、これがまだ八回も続くのか……と絶望に浸っていた。

 

 そんな時――。

 

「む? ……来幸、レシリア。どっちでも良いから拘束を解いてくれないか?」

「? どうしたのお兄様?」

「何かありましたか?」

 

 二人に聞かれてどう答えるかを悩む。

 だが、意識すればするほどそれは近くなる。

 

「いや、その……な。ちょっとお花摘みに」

「それね!」

「そう言うことでしたか」

 

 俺がそう言うと、二人は理解したのか頷いた。

 俺は拘束を解いてくれると思い、二人の行動を待つが、二人はごそごそと近くにある荷物を弄るだけで、ヒモを解いてくれない。

 

「おい、二人とも? 早く拘束を……結構やばいんだ」

 

 そんな俺の言葉に二人はにっこりと笑った。

 

「大丈夫だよ! お兄様! お兄様にはレシィがいるからね!」

「フレイ様、任せてください。私がしっかりと対処します」

 

 そう言って二人はガラスで出来た何かを取り出した。

 それを見て俺の顔は思わず引き攣る。

 

「おい……それはなんだ?」

「お兄様のおしっこを入れる瓶だよ?」

「寝たきりの方にトイレをして貰うための瓶です」

 

 二人が取り出した瓶を見て、俺は思わず声を張り上げた。

 

「いける! 自分で行けるから! そんなの必要ないから! 拘束を……! この拘束を解いてくれぇええええ!」

「ダメだよ! お兄様は絶対安静なんだから!」

「そうですよ。フレイ様の拘束を解くわけにはいきません」

 

 是が非でも応じないと言う態度を見せる二人に、俺は反論する。

 

「いや、これくらいは別に大丈夫だろ!?」

「ダメ! 無理をしてお兄様が死んだら如何するの! お兄様はレシィに取って何よりも大切な存在なんだから、ちゃんと守らなきゃいけないの!」

「私に取ってフレイ様は、他の何よりも大切な代わりのいない存在です! だからこそ、しっかりと守らないといけません!」

 

 そう言って明確に拒絶する二人。

 俺は説得の方向性を変えることにした。

 

「いや、そうは言うが……人の排泄物をケアするなんて嫌だろ!?」

「レシィとお兄様は兄妹だよ? 兄が出したものなら、妹はどんなものだって、受け止められるものだよ……だって家族だもん!」

「フレイ様……私はフレイ様の専属メイドです。フレイ様のお世話ならどんなことでも致します。それが例え下の世話であろうとも私は完璧にこなします!」

 

 暖簾に腕押しと言った感じに何を言っても二人を説得出来ない。

 そうこうしている間に俺のリミットが近づいてきた。

 

「あっあっ……まずい……!」

 

 そんな様子を見たのか、二人は顔を合わせると言った。

 

「始めるね! お兄様!」

「始めます! フレイ様!」

「ちょっ!?」

 

 二人はためらいもなく俺のズボンとパンツを引きずり下ろした。

 そしてそこに現れた俺のそれを見て呟く。

 

「こ、これがお兄様の……」

「これが……中に……」

 

 ゴクリと何故か二人が息をのむ。

 そうして二人はお互いに顔を見合わせた。

 

「フレイ様の危機です。争う訳にはいきませんね」

「そうだね! どっちがやるのか早く決めよう! じゃんけーん……」

 

 さっきまで争い合っていたのに、和気藹々と二人はじゃんけんで、俺の下の世話を今する人を決めようとしていた。

 

「やった! レシィの勝ち!」

「こんな時に……! 私は何故パーを出してしまったのでしょうか……!」

 

 そうして勝敗はレシィに傾いた。

 俺はそんなレシィに向かって叫んだ。

 

「何でもいいから速くしてくれ! もう限界なんだ!」

 

 さすがにここで漏らすよりかは尿瓶に出した方が良い。

 そう、これは医療行為なんだ。

 だから、別にやられたって問題はないはずなんだ。

 

 俺が自分に言い聞かせてそれを待っていると、何故かレシィが俺のそれを握るように触った。

 

「わぁ……」

 

 興奮した様子でそう言うレシィを見て、俺は思わず言った。

 

「ちょっ!? 何触って!?」

「は、外さないようにしないとダメだから! それだけだから!」

 

 尿瓶にそれを当てて、中に尿を出せるようにするためと、レシリアは熱弁する。

 

 だけど、それってそっちの方を手に取る必要あった!?

 尿瓶の方を上手く動かせば、触ることなく、何とかなったんじゃないかな!?

 

「あれ? 何か上手く入らないな……?」

 

 そんな俺の思いも無視して、焦ったレシリアは、俺のそれを弄りながら、何とか狭い尿瓶の入口へと入れようとする。

 それを見て、俺は思わず叫んだ。

 

「何でそんな入口の狭いやつを買ってきたんだ!」

「だ、だって! 男の人のそれの大きさなんて! レシィ知らなかったんだもん! だから、これでいけるかなって!」

「じゃあ、来幸の方は!?」

「すみません。フレイ様。私の方も同じような大きさです……」

「嘘だろ!?」

 

 俺は二人が手に持つ瓶を見て思わずそう叫んだ。

 

 確かに、情報技術が未発達なこの国では、当然のようにエロ画像と言ったものは存在せず、前世のように逸物が見える全裸の銅像などもないため、異性が相手のそれの形状や大きさを知ることは難しい。

 貴族のメイドなどなら、主人の着替えや風呂の手伝いで、そう言ったものを見ているのではないかと思うかも知れないが、帝国の慣習を真似ているダルベルグ公爵派の一部の貴族ならともかく、冒険者が国を切り開いたこの国では、着替えなどのプライベートなことは可能な限り、自分の手でやるのが普通のため、中立派のシーザック家では、主人のそう言ったものを見る機会もないのだ。

 だからこそ、来幸とレシリアが男のそれの大きさや形状を知らず、入口が小さなものを買ってきてしまうことは不思議ではない……不思議ではないが――!

 

「普通は大きめのものを買ってくるだろ!」

 

 大きさがわからないのだから、普通は想定よりも大きな入口の物を買ってこようとするのではないか? そう言う意図を含んだ俺の言葉に、来幸とレシリアは何故か俺から視線を逸らして言う。

 

「ご、ごめんなさい!」

「申し訳ありません。考慮不足でした」

 

 二人がそうやって謝るが、ついに限界が近づいてきて、それを気にする余裕も失われていく。

 

「ま、まずい……! やばい!」

 

 ただやばいという状況しか言えない俺。

 そんな俺を見て、レシリアが言う。

 

「大丈夫だよお兄様!」

「何が大丈夫なんだよ!」

「レシィがしっかりと押さえるから、瓶の入口に向けて、このまましちゃおう!」

 

 そう言ってレシリアは瓶の入口を狙うようにそれを掴んで向ける。

 

「ちょ、妹に押さえてもらいながらって! どんなプレイだよ!」

「レシィとお兄様の初めての共同作業だよ!」

 

 あんまりなその状況に俺が叫ぶと、この状況に困惑しているのか、レシリアが訳のわからないことを言い始めた。

 

 だが、そんなことを気にしている余裕はもう無い。

 ついに、俺の限界は――その時がやってきて、俺は思わず叫んだ。

 

「やめ……! やめて……! あああ~~~~!」

 

 ……こうして俺は異世界で尊厳という大切なものを一つ失った。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。