エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます   作:グルグル30

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今回の話は結構エッチな感じになっているのでご注意ください。


千里ルート&ステラルート

 

「酷い目にあった……もう二度と大怪我なんてしない……!」

 

 俺はその覚悟を決めながら三日ぶりに学園に登校していた。

 

 医療行為のために行われたそれは、瓶の買い直しが間に合わなかった来幸の番も含めて、二度にわたる尊厳破壊を引き起こした。

 それは俺に対して、絶対に二度とこんなことは起こさないと、大怪我を絶対に負わないという覚悟を決めさせるのには十分だった。

 

 俺のそれの大きさや形状が、完全に来幸とレシリアに知られることになってしまったが、どうせキッカによって色々な人にバラされてしまったわけだし、一人や二人増えたところで変わらないさ……と心の中では泣きながらも、自分自身を無理矢理納得させて歩いていると、教室が騒がしいことに気付いた。

 故に俺は近くにいた友人達に、そのことについて質問する。

 

「トート、ベッグ。何かあったのか?」

「お、フレイ! 五日ぶりだね! 怪我はもういいのかい?」

「ああ、問題はない。俺の妹は優秀だからな」

 

 学園の休暇日も含めて、久しぶりにあったトートにそんなことを言われながら、俺はマッスルポーズを取ってその身の健在をアピールする。

 それを見て、トートとベッグは苦笑しながらも、俺が元気なことに安堵し、そして言ってきた。

 

「お前ほどの奴が魔物と戦って大怪我するとはな」

「まあ。俺だって油断することもある」

「気を付けろよ? 友人が死んだなんて、この歳で聞きたくないからな」

 

 そんな友人の温かい言葉を聞きながら、俺は教室の騒がしい方へと視線を向け、再度、トートとベッグに聞く。

 

「それで……あれはなんだ?」

「あれはうちのクラスにいる銀仮面ファンクラブの子だよ」

「いや、それはわかるけど……」

 

 俺は彼女達の中心にいる人物に目を向けた。

 そして思わず思う。

 

 うわ……千里とステラかよ……悪夢みたいな組み合わせだ。

 

 仲が良さそうに話す二人は、有益な攻略特典を持っているため、最初期に銀仮面として救いに行き、そしてその為にとても苦労した、俺に取って思い出したくない攻略対象たちだった。

 

☆☆☆

 

 攻略対象である遠峰千里は、髪色こそ黒ではなく青だが、巫女服を着ているなど和風要素の強い少女だ。

 

 何故フェルノ王国でそんな和風要素があるかと言うと、彼女が住む王国西部の一部地域は、元々は日本っぽい島国である神威列島が開拓して作り出した国が存在しており、神威列島から様々な文化を受け継いだそこを、二百年前にフェルノ王国が征服して自国に取り込んだからだ。

 土地は征服したが文化を破壊することなどはしなかったため、現在でも神威列島で行われているような和風の文化が残る形になっているのだ。

 

 この世界は基本的に七彩の神を神として崇めているが、地域によっては独自の信仰を行う事もあり、神威列島などは七彩の神と同時に自然信仰を行っていたりもしている。

 千里の家系である遠峰子爵家は、フェルノ王国の貴族であるのと同時に、フェルノ王国における自然信仰を祭る神社の元締めであり、その娘である千里も遠峰が持つ神社で巫女を務めているのだ。

 

 そんな彼女の悲劇は善意から始まることになる。

 

 何時ものように巫女として、神社で働いていた千里は、目の前で転んでしまったフードの男性が立ちあがるのを手伝う為に手を差し出した。

 このフードの男性こそが、千里ルートのラスボスであり、千里眼の力を持った魔族であるスイードだったのだ。

 スイードはこの出来事によって、千里に惚れてしまい、自らの能力を悪用して、千里へのストーカー行為を初めてしまうのだ。

 

 その日以来、何処に居ても誰かに見られているような感覚を味わう千里。

 彼女は必死に気のせいだと思いながらも、日々の仕事をこなしていくと、彼女の元に差出人不明の手紙が届くのだ。

 

「誰からだろう?」

 

 そう思って千里がその手紙を見ると、そこには『僕はずっと君のことを見ているからね』と書かれていた。

 

「ひっ!」

 

 千里はそれまで感じていた視線もあって、そう短く悲鳴を呟くと、周囲を見回して、自分を見る誰かがいるのかを確認する。

 

「だ、だれもいない……」

 

 ほっとした千里は、イタズラだろうと手紙を捨てると、そのまま巫女の仕事に戻っていく。

 そして、再び部屋に入ったとき、何故か机の上には捨てたはずの手紙と同じ便箋の手紙が、未開封の状態で置かれているのを目撃し、千里は驚きから思わず目を見開くのだ。

 

「どうして……」

 

 千里はその手紙に恐怖を感じていたが、それでも中身を確認しないといけないと、勇気を振り絞り、その内容へと目を通す。

 そこには『酷いな僕からの手紙を捨てないでよ。イタズラじゃなくて、君を愛している僕からの大切な手紙なんだからさ』と記載されていて、それを見た千里は、恐怖からその手紙を思わず落とす。

 

「イタズラじゃないの……」

 

 千里がそう呟いた時、部屋の入口の方で物音がする。

 振り向くとそこにはまた新たな手紙が落ちていた。

 

「え? さっきまで何もなかったのに……」

 

 千里はその手紙を拾い目を通す。

 そこには『好きだ好きだ好きだ好きだ』と愛の言葉が書き連ねており、そして最後に『朝から晩まで君を見続けるよ。それこそお風呂やトイレだって、君の全てを僕はちゃんと見るからね』と書かれていて、それを見た千里は「ひぃ……!」と恐怖の表情を浮かべ、まるで身を隠すかのように、座り込んで自分を抱え込むように丸くなるしかなった。

 

 こうして千里の地獄の日々は始まった。

 

 何処に居ても何をしても、常に誰かからの視線を感じる。

 それこそ、お風呂やトイレなどの完全なプライベートの時だって、千里は誰かから見られているという感覚を消せなかった。

 

 そして、あの日以来、毎日手紙が届いた。

 直接自室の机に置くなどされたその手紙に書かれた内容は徐々にエスカレートしていき、『千里ちゃんはまだ生えてないんだね。そう言う体質なのかな』とか、『飲み物の置きっぱなしは良くないよ。代わりの僕が飲んでおいたから』とか、彼女の私生活を赤裸々に覗いた内容を元にした、身の危険を感じるような内容になっていったのだ。

 

 その為に千里が手紙を無視し始めると、今度は壁に手紙の内容を記載するなど、千里が無視し出来ない方法で、千里へのメッセージをスイードは書き残していくのだ。

 そんな無視し出来ないスイードのメッセージで、ストーカーに私生活を完全に見られているという気持ち悪さと怖さを感じていた千里は、憔悴して徐々に病んでいってしまう。

 何とかしなければと思い直し、冒険者ギルドに依頼を出したことで、その依頼を受けてやってきたのがアレクだったのだ。

 

 アレクは憔悴する千里を見て、依頼書に書かれた以上に事態は深刻だと気付き、依頼を果たすために日夜周囲を張り込む。

 だが、遠見と隠蔽に秀でたスイードの足取りは掴めず、男を味方に引き込んだことを見て激怒したスイードの行為は更にエスカレートし、気付かぬ間に、食事にスイードが出した白い液体が混ぜられるなど、洒落にならない状況へと発展していく。

 

 身の危険を感じる千里。

 そんな日々の中で、常に側にいてくれるアレクだけが、彼女の安らぎだった。

 そしてある日、アレクは千里にとある策を提案する。

 

 それは自分達からスイードを追うことは無理だから、スイードを罠に嵌めておびき寄せて倒そうというものだった。

 そしてその為に、スイードが自分達を見ていることを利用し、自分達が性交をすると見せかければ、千里に恋心を抱いているスイードは、激怒して自分達の元に飛び出してくるのではないかと語ったのだ。

 

 アレクに惚れ始めていた千里はそれに了承し、アレク達は神社の一室で行為を始めようとするのだ。

 アレクに首筋を舐められ、そして徐々に体を弄ばれながら、服を脱がされて、喘いでいく千里。

 千里が魔族なんて来ずにこのまま続いて欲しいと思う中で、そんな行いを許せないスイードはまんまと誘い出され、そしてアレク達に討伐されるのだ。

 そして、おびき出すための嘘とは言え、途中まで行為をしていた千里とアレクは体の火照りを抑えられず、更に敵を倒したという興奮もあり、お互いの気持ちを確かめた後に、そのまま二人で続きを開始して行為を楽しむのだ。

 そして、その行いで子供を身籠もった千里のために、アレクが神社の入り婿になる形で千里ルートは終了となる。

 

☆☆☆

 

 千里ルートは、こんな感じのルートなのだが、鷹の目のイヤリングが攻略特典の為、俺としては何とかして攻略しなくてはいけなかった。

 だが、原作でアレクが使用した攻略方法は、俺だけのヒロインの為に清い体でいたい俺には不可能であり、独自の攻略方法を探し出さなければならなかったため、想像以上に手間取る事態になってしまった。

 そのせいでゲームでアレクが解決したときよりも、長い時間、銀仮面として千里の護衛をすることになり、それに合わせてスイードの行為もどんどんとエスカレートしてしまったのだ。

 

 スイードの行為のエスカレートを受けて、千里の安全確保の為に、俺は常に千里の側にて、料理作りなど身の回りのことも、スイードの介入を受けないために、俺が全て作業を行うことになった。

 それは、アレクのようにあっさりと解決出来ないことに対する贖罪の気持ちから来る行為だったが、憔悴から病み始めていた千里は、銀仮面への依存をどんどん強めていくことになってしまったのだ。

 

 そうしてそんな中で千里に変化が生じる。

 

 銀仮面が用意したもの以外は何も信用出来ないと言い始めた千里は、常に銀仮面の行動を監視するようになり、それこそトイレや風呂の時すら、銀仮面の行動を覗き見しようとしてきたのだ。

 さすがにそれらは先に気付いて防いだが、それからも食事で使った箸などが消えたと思ったら、それを何故か千里が使っていたり、ふと千里の部屋に置いてある日記に目を通したら、そこには銀仮面の一日の行動がびっしりと全て記録されているなどの事態が発生し始めた。

 

 ……何と言うか、ミイラ取りがミイラになったのだ。

 

 最終的には護衛用の部屋で寝ようとしたところ、直ぐ側の部屋で寝ているはずの千里が、全裸になって突然部屋へと押し入り、そのまま襲われそうになって「やばい!」と転移を使おうとした瞬間に、その状況が我慢ならなかったのかスイードが乱入してきたのだ。

 

 俺はそのスイードを倒して鷹の目のイヤリングを回収したが、戦闘中の俺を見て、「どうして動けるの!? ちゃんと夕食に薬を入れたのに!?」と叫んだ千里が怖くなり、逃げるようにして神社を後にしたのだ。

 

 正直に言うと、薬盛ってくるとか普通にやばいし、真っ当な少女として成長出来るのか心配してたが、ナルル学園で再会した時は、こちらが銀仮面だと知らないのもあるだろうが、普通の少女として活動していたので、俺としてはほっと一安心した感じなのだ。

 だが、それはともかくとして、もし銀仮面だとバレたら、何をしてくるかわからない相手なので、フレイとして過ごすときでも、出来れば関わり合いになりたくない相手なのだ。

 

☆☆☆

 

 もう一人の攻略対象であるステラ・フォン・ゴーレックは、わがままお嬢様を体現した存在だ。

 

 就活に失敗したアレクが仕事を探していると、住み込みで高額な給金を貰える怪しい仕事を見つけ、そしてそれを受けに行くのだ。

 それこそが、ゴーレック家での執事の仕事であり、アレクはステラの専属執事として活動していくことになる。

 

 ゴーレック家は子爵家でありながらも、宝石などの鉱物を扱う商売を生業としており、下手な伯爵家よりも裕福な貴族だった。

 そして、その一人娘であるステラは、その裕福さの恩恵を一番に受けており、貴族の価値観に染まったわがままお嬢様として、数々のトラブルを起こしていくことになるのだ。 

 

 多くの使用人達がやめていったのも、そんなステラに付いていけなかったからであり、アレクも初日から散々振り回されて疲弊することになる。

 だが、アレクに取っての試練は屋敷に帰ってきた後、お嬢様であるステラを風呂に入れるタイミングで発生するのだ。

 

 家に帰って早々に、「下僕、お風呂に入るわよ!」と言って、去っていたステラを、安堵の様子で見送って、ソファーでぐったりとするアレク。

 だが、直ぐにステラが戻ってきて言うのだ。

 

「ステラが風呂に入ると言っているのに、下僕は何故そこにいるの?」

「へ?」

「下僕らしくちゃっちゃと動きなさい!」

 

 唖然としたアレクを引っ張って、ステラは何処かへと進んで行く。

 アレクが何が何だかわからずに混乱していると、風呂場が見えてきたことで、どう言う状況か理解して言うのだ。

 

「ステラ様!? 何故、お……私をこのような所に!?」

「何故? 下僕がステラを洗うためでしょ?」

「はあっ!? い、いや、不味いでしょ! 自分で洗ってくださいよ!?」

「ステラが自分で洗うわけないじゃない! 下僕は貴族というものを知らないのね! 主人の体を洗うのは従者の仕事よ!」

 

 そう言って服を脱がすことをせがむステラ。

 

 ステラはダルベルグ公爵派の貴族であり、帝国のように着替えや風呂など、身の回りのことを全て従者に任せる、ごりごりの貴族を体現したような価値観を持っていたのだ。

 もっともそれは、女性に対して行う事もあることから、基本的に侍女が担当するものであり、年頃の少女相手だと考えれば、絶対に執事にはやらせないものとなっている。

 それが、アレクがやる嵌めになったのは、ステラについていた侍女が、ステラの横暴について行けずに全て辞めてしまったからだった。

 

 アレクは戸惑ったものの、就活に失敗していたこともあり、ここを追い出されたら、稼ぎがなくなってしまうため、ステラの命令に従って、次々と服を脱がしていく。

 ドレスを脱がし、ブラを外し、そしてパンツを外すところで、ゴクリと唾を飲み込んだアレクは、覚悟を決めてそれを下ろし、人生で初となる女性のその部分を目にすることになるのだ。

 

 そんなこんなで既に一杯一杯のアレクに対して、ステラは言う。

 

「いつまで時間を掛ける気!? さっさとステラを洗いなさい!」

「は、はい!」

 

 そうして風呂場に行ったアレクはあることに気付き、思わず顔を引き攣らせながら、ステラへと問いかける。

 

「あの……布がないんですけど?」

 

 体をゴシゴシと洗うための布がない。

 それについてステラはあっさりと答える。

 

「ステラは皮膚が弱いのよ。だから下僕の手で洗いなさい!」

「手で……? わ、わかりました……」

 

 アレクは恐る恐る手で石けんを泡立て、そしてそれでステラを触り、全身をなで回すかのように、ステラの体を洗っていく。

 柔らかいステラの感触を感じながら、腕やお腹と言ったとこから、胸と言うようなデリケートな場所、そしてステラに命じられて今日初めて見ることになった女性のその部分すらも、自らの手でしっかりと洗っていったアレクは、ステラの体が反応して出す小さなあえぎ声に興奮しながらも、何とかステラの全身を洗うことに成功するのだ。

 

 そうしてその中でアレクは理解する。

 ステラが完全に自分を男して見ていないことに。

 

 ステラは風呂以外のことでも、侍女にやらせていた世話を全てアレクに任せたが、風呂での行為も含めてその全てを恥ずかしがらなかったのだ。

 それに気付いたアレクは気持ちが楽になり、自分もステラを女性として意識せずに、主として懸命に支えるように活動していく。

 あるときはステラのわがままを叶え、あるときは襲い来る盗賊からステラを守り、あるときはステラと家族の仲を取り持つなど、執事として完璧な働きを見せて、活躍していくアレク。

 

 そんなわがままな自分を見捨てずに尽くしてくれるアレクを見て、ステラは徐々にアレクの惹かれていくようになる。

 そして、二人の関係に変化が訪れていくのだ。

 

 何時ものように風呂に入ったアレクは、ステラが腕を広げるのを待った。

 だが、ステラはモジモジとして腕を広げない。

 

「どうしましたか? ステラ様?」

「な、なんでもないわ!?」

 

 そう言うとステラは手を広げた。

 だが、その顔は真っ赤であり、脱いだ上半身も真っ赤に火照っていた。

 

「ステラ様、なんだか顔が赤いですね? 熱ですか?」

 

 そう言ってアレクが、ステラのおでこに自分のおでこを合わせると。

 

「ひゃぃ!?」

 

 そう変な声を出して、ステラは倒れそうになってしまう。

 

「危ない!」

 

 そう言ってアレクに抱きかかえられ、ステラの顔はより一層赤くなった。

 

「お嬢様?」

「な、な、な、なんでもないって言っているでしょ!」

 

 そう言うとステラはアレクから離れ、これまで一度も自分で脱がなかった湿ったパンツを自分で脱ぐと、直ぐに風呂場へと入っていってしまう。

 

 ここまでの展開でわかるだろうが、ステラのストーリーコンセプトは立場の逆転であり、これまで異性を意識せずに恥ずかしげもなく肌を晒していた少女が、恋に落ちたことで恥を知り、これまでの行動を恥ずかしく思いながらも、行動を改められずに耐性が付いてしまった相手に好き放題されてしまうという話なのだ。

 性を全く意識していなかった少女が、恋心から性を理解して女性になっていくというのは、ニッチだが刺さる人には刺さる内容で、ステラはインフィニット・ワンでの人気ヒロインの一人なのだ。

 エロというのは慣れてくると、そう言った自分に刺さるニッチな方向へと、どんどん進んでしまうものなので、こう言う物の方が意外と人気が出たりするのだ。

 

 風呂場へと先に入ったステラはアレクに捕獲されてしまう。

 

「ステラ様、そうやって逃げられたら、体を洗えませんよ」

「ア、アレク……ひゃん!」

 

 そう言っていつも通りに手で洗っていくアレク。

 だが、いつも通りのはずなのに、ステラはそれに快感を覚えて、いつもより大きな声で、その快楽に反応してしまう。

 

「あっ、んっ、アレクっ! 今日は自分で……」

「ステラ様、何時もと様子が違いますね。体調が悪いのかもしれません。速く体を洗って医師に見て貰いましょう」

 

 そう言ってアレクの手のスピードが速くなる。

 それによってステラは言葉も放てない状況になってしまった。

 

「んっ、あんっ! あっ!」

 

 やがてアレクの手はステラの大事な所へと向かう。

 

「あっ! ん~~~~!」

 

 それによって達してしまったステラは、アレクの目の前で水分をまき散らし、腰が抜けて風呂場に尻餅をついてしまうのだ。

 

「え?」

 

 思わぬ事態に唖然とするアレクに対して、恥ずかしそうに顔を真っ赤にしたステラは、わがままお嬢様の顔を見せながら言った。

 

「アレク! まだ洗っていない所があるわ!」

 

 やけくそ気味に言うと、ステラはアレクのそれを指差した。

 

「アレクのそれで、ステラを奥まで、ゴシゴシとしっかり洗いなさい!」

「ス、ステラ様……!? それは……!?」

「命令よ! 下僕ならさっさと主を洗いなさい!」

「……わかりましたステラ様。しっかりと奥まで洗わせて頂きます」

 

 そう言ったアレクは、それを使ってステラの中をゴシゴシとする。

 アレクとステラはその快楽に身を任せ――やがてアレクはステラの執事兼夫として、ステラを支え、様々なプレイをしていくことになるとなって、ステラルートの物語は終了するのだ。

 

☆☆☆

 

 ステラルートは、こんな感じのルートなのだが、耐状態異常リングが攻略得点の為、俺としてはこのルートも、何とかして攻略しなければならなかった。

 だが、ステラルートは、男性として意識しない相手に様々な普通の女性なら恥ずかしがるようなことをさせて、後からそれを意識させてその恥ずかしがる顔を楽しむというストーリーのため、お風呂イベントも含めて、必須となるエロイベントが多く、俺的には避けたい相手であった。

 これが、俺だけのヒロインに対してのものなら、嬉々としてやりたいと思ってしまうだろうが、恋愛対象にもならない攻略対象相手にそれを行うのは、俺に取っては拷問にも等しい。

 だから、クレアの時のように他人に譲り、耐状態異常リングという上前を撥ねたい所だったが、下手な相手に譲ると、最初のお風呂イベントの時に、ステラが襲われて終わりになってしまう可能性が高かった。

 

 そのため、性欲に流されない男を選ぶ必要があるが、このなんちゃって中世でそんな人材を見つけるのも難しい。

 なら、女性メイドを派遣するのはどうだとも思ったが、そうすると執事だから起こるイベントが起こらない可能性もあるし、仮に起こったとしても襲撃イベントなどで戦力が足りずに詰みかねない。

 色々と戦闘技術を仕込んでる来幸なら、もしかしたら護衛イベントも含めてこなせるかも知れないと思って提案したが、「私にフレイ様以外のメイドをやれと言うんですか?」と全く笑っているように見えない笑顔で威圧された為、結局俺は銀仮面として自分でやることにしたのだ。

 

 そうして銀仮面として執事の募集に行ったが、あっさりと執事として雇われることになった。

 その時はまだ銀仮面の噂が広がっていない状況だったので、端的に言えば仮面を付けたものすごく怪しい男なのだが、原作で侍女を雇うの諦めて執事としてアレクを雇ったように、どうやら既にステラに着いていけずに、世話をする存在がいないような状況に陥っていたらしく、怪しくても一発合格になったのだ。

 だからと言って雇うのはどうなんだとか、そういう子供に無関心に見える態度が、ステラを傷付けて、わがままお嬢様にするんじゃないのかとか、色々と思ったりもしたが、ともかく執事になることに成功したのだ。

 

 そうしてアレクと同じようにわがままお嬢様の世話を続けて、その日の夜のイベントである鬼門のお風呂イベントが始まった。

 だが、もとより俺だけのヒロインの為に清い体でいるつもりの俺は、そこで一計を案じた。

 

「何をしているの下僕! さっさと脱がせなさい!」

 

 そう言うステラに対して、俺は毅然とした態度で言う。

 

「お断りします」

「は? 今なんて言った?」

「お断りしますといいました」

 

 それを再度聞いたステラの顔が怒りで真っ赤に染まる。

 そしてその怒りのままに俺に向かって言うのだ。

 

「お前! 下僕のくせにステラの言うことが聞けないの! これは命令よ! ステラを脱がせなさい!」

「何度もいいますがお断りします」

「……! ふざけないで! お前なんてクビにして別の男を――!」

 

 怒りのままにステラがその言葉を言い切る前に、俺の右手はステラの頬をはたいていた。

 

「っ!? 今、何をしたの!?」

「ステラ様を叩きました」

「!! お父様にもぶたれたこともないのに! 貴方は――」

 

 そう言うステラの両肩を、俺はガシッと掴んだ。

 それによってステラはビクッとし、その勢いが止まる。

 そして俺は、そんなステラをしっかりと見つめて言った。

 

「ステラ様……ご自身を大切にしてください」

 

 俺の心からの言葉を聞いたステラは、それまでの怒りも忘れて、きょとんと目を丸くする。

 

「お前、何を言って……」

「男に肌を洗わせる……それがどれだけ危険なことか、貴方だって少しもわからないわけではないでしょう?」

「下僕は男である前に執事よ! だから何の問題もないわ!」

 

 ステラが本気でそう思っていることはゲームで理解している。

 結局、アレクに恋心を抱くまで、執事として自分の体を洗うアレクに何の羞恥心も持っていなかったしな。

 

 だけど、それじゃあ困るんだよ。

 無防備なままだと、いつまで経っても後任に安心して、従者の役割を渡すことが出来ないのだ。

 

 だから、俺は徹底的に押すことにした。

 

「執事であろうとも男ですよ。ステラ様。これが私以外の男だったら、ステラ様は自らを洗わせている男に襲われるかもしれません」

 

 そこでステラはようやくその可能性に気付いたのか、少し罰の悪そうな顔をしながらも言う。

 

「ふんっ! 確かにそうかも知れないけど、それならそれで、別に構わないわ! どうせステラが襲われた所で――」

 

 そう言ったステラを、俺は再び平手打ちにする。

 

「二度も……!」

「ステラ様! 私は怒っているのです!」

「……!」

「先程も私は申し上げました! ご自身を大切にしてくださいと! それなのに! 貴方はまた自らを軽視した発言をした!」

「そ、それは……ステラがいいと言ってるのよ! 部外者がステラの考えに口を出さないで!」

「部外者ではありません! 私は貴方の執事です!」

「な……!」

「だからこそ、何度も言います! ご自身を大切にしてくださいと!」

 

 ぶっちゃけ、今日雇われただけだから、部外者も良いところなのだが、それを言ったら話は終わってしまうので、そのまま勢いで押す。

 そうしていると、ステラが理解出来ないと言うように言う。

 

「どうして、お前はそこまで……」

「それは貴方が大切だからです」

「……!!!」

 

 攻略対象としてハッピーエンドにしないといけないからな。

 下手に自暴自棄になってバットエンドに行っても困る。

 

「私は執事です。貴方を大切に思うからこそ、私は、すべきでないこと、貴方の為にならないことは、しっかりとそれをステラ様に伝え、そしてそれでも行おうとするのなら貴方を叱ります! 貴方が正しい道を進み、そして幸せな人生を歩めるように! それが執事と言うものです!」

 

 そもそも執事でもない俺が、アニメとか漫画とかで見た執事を元に、なんちゃって執事論を盛大に語る。

 俺の言葉を聞いたステラは、目に涙を浮かべ始めた。

 

「ステラの為に、ステラを叱ってくれるのは、貴方が初めてよ……」

 

 そう、ステラがわがままお嬢様になったのは、ゲームでのステラルートを元にすれば、わがまま放題な自分を、両親が叱らなかったからだ。

 その為に、ステラは両親からどうでも良い存在に見られているのではないかと不安になり、両親に目を向けて貰うために、よりわがままを言って暴れるようになっていたのだ。

 

 言ってしまえば、愛されてるか不安で暴れる子供と言った所だ。

 

 普通ならさすがに注意が入るだろうが、ゴーレック家は裕福な家で、暴れたとしても問題ないだけの資産があった。

 それに加えて両親はわがままなステラをどうしていいかわからずに、暴れるほどに逆に遠ざけるようになってしまったのだ。

 

 そうなったステラは周囲の者に愛を求めたが、暴れまくるわがままお嬢様について行けるものは少ない。

 次々と侍女が愛想を尽かして止めていったことで、彼女にはわがままな自分という存在しか残らない状態になってしまったのだ。

 

 今にして思えば、風呂なども含めて全てを任せるのも、侍女に自分を見て欲しいからとかだったのかも知れないなと思う。

 

 ともあれ、そう言った状態のステラを見捨てずに付き合い続けたからこそ、ステラルートではアレクに徐々に惹かれていったのだ。

 

 俺はそれほど長い時間を掛けるつもりはない。

 だからこそ、初手で強引にでもステラを大切にしてることを伝え、そしてステラの意識を変えさせることで、その他のステラルートで起こる細々とした問題を解決し、完璧なハッピーエンドを目指そうと思ったのだ。

 

「泣きたいときは泣いていいのです。ステラ様」

 

 俺はそう言って、うれし泣きするステラの背中をさする。

 やがて落ち着いたステラの晴れ晴れとした表情を見て、俺は言った。

 

「一人でお風呂に行けますね?」

 

 キメ顔で言った俺に対してステラが言う。

 

「一人で入るやり方がわからないわ!」

「……では、今日だけは私がやります」

 

 何としまらない状況だが、ステラにやり方を教え、ステラが一人で風呂に入れるようにした。

 

 そうして、ステラの執事としての日々が始まったが、ここで予想外の事態が発生した。

 俺の説教を受けて、少しまともになったステラは、わがままを言うことが少なくなったのだ。

 それによって、起こるはずだったイベント発生が、後にずれ込むことになり、短期決戦を目指したはずが、長期戦へと移行することになってしまっていた。

 

 ステラルートのストーリーは黒幕のような存在がいるわけではなく、わがままお嬢様の行動など様々な要因で、突発的に発動する問題から、ステラを守って行くことが必要になる。

 そうした中で、少しずつわがままお嬢様であるステラの評判を上げ、同時にステラが成長していくことで、周囲の状況を変えていくことがこのイベントの攻略ルートなのだ。

 端的に言えば、わがまま行動を取らなくなったために、評判を上げることに繋がるイベント事態が起こらなくなってしまったというわけだ。

 

 そうしてずるずるとステラの執事を続ける中で、徐々にステラの様子に変化が現れ始めた。

 

 元々は活発に外出するタイプだったが、徐々にその外出する回数が減り、家に居ることが多くなっていった。

 そして、常に執事として俺を側に置こうとしてきたのだ。

 

 その様子を見て俺は悟った。

 銀仮面という存在に、ステラは依存し始めているのではないかと。

 

 わがままお嬢様が起因による周囲の評判の変化がなかったため、周囲の者が自分を認めてくれるという実感を味わうことなく、それでいて執事である俺は、ステラに説教するなどステラを見ていることから、ステラがもうこの執事だけがいればいいと思うようになってしまったのだ。

 

 それに気付いてやばいと俺は焦った。

 

 何せステラは、俺の食事に酢を大量に混ぜると行った事や、執事の部屋に無断で侵入して俺の荷物を漁るなど、わざと俺に説教されるための行動を初めてしまったからだ。

 

 愛を実感するためにイタズラをする。

 その対象が銀仮面だけになった時点で、俺は待つことを止めて、行動に移ることを決めた。

 

 イベントが発生するのを待てないため、わざとステラがそこに行くという噂を流し、そしてサクラを雇って先導して、事件を起こす。

 もうなりふり構っていられない俺は、ともかくあらゆる手を尽くして原作イベントを再現し、ステラと両親の仲を取り持ったのだ。

 

 そうして俺は、ステラが銀仮面を逃さないようにするために用意していた首輪や、それを付けたことに対する説教をして貰うための、どんな説教をされるつもり何だよと言わんばかりの、大人の玩具が満載の説教部屋という存在を見なかったことにしながら、ステラの両親に契約の完了を告げてさっさとその場から逃げ去ったのだ。

 

 その後はどうなかったか心配だったが、こちらも千里と同じように学園であった時は普通の女子になっており、奔放な部分は残っているものの、以前のような傍若無人なわがままはなくなったので、ステラルートを攻略したことで落ち着いたんだなと、ほっと一安心したのだ。

 

 もっとも、千里と同じように、銀仮面だとバレたら、お仕置きされるためとして、どんなことをしてくるかわからない相手なので、フレイとして過ごすときでも、出来れば関わり合いになりたくない相手なのだ。

 

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