エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます 作:グルグル30
キメラキマイラに向かって行った俺は手元に烈火を召還した。
これは空蝉の羅針盤を使いこなすことで得た新たな能力だ。
事前に無生物を自分の魔力で染めることで、その物体をマーキングし、自由にその物体を手元に召還することが出来る能力だ。
アースフュリーによって、こちら側に存在するのは、俺とキメラキマイラだけという状況になっている。
だからこそ、周りの目を気にすることもなく、こうやって銀仮面時に使用している魔道具を使用する事が出来る。
「烈火! 力を示せ!」
俺は炎の斬撃を生み出すと、それでキメラキマイラに斬り掛かった。
キメラキマイラは背中に翼を生み出して、それを躱すと、空中から俺に向かって先程と同じ、魔法で作った火球を放ってくる。
俺はそれを転移で躱した。
そしてその場所から炎の斬撃を生み出し、そしてその瞬間に反対側の位置へ転移して、そこからも炎の斬撃を飛ばす。
「がるぅ!」
逃げ場がないことに気付いたのだろう。
キメラキマイラは苛立たしそうにそう呻くと、肉体の一部を盛り上がらせて鞭のようなものを生み出し、それで炎の斬撃を受けて払い落とした。
炎の斬撃によってその鞭の部分は焼けただれるが、キメラキマイラの強力な再生力が、それをあっという間に再生してしまう。
「火力が足りないか……なら!」
俺は手元に羽扇のような魔道具――旋風扇を呼び出す。
「ボスラッシュで魔道具を手に入れまくった俺を舐めるなよ!」
旋風扇を振るうと突風が生み出される。
俺は風の動きを計算しながら、キメラキマイラの攻撃を躱し、次々と転移するとその場所で、旋風扇を振るい、次々と風を起こしていく。
計算された風のうねりは、それぞれがぶつかり合って、竜巻を巻き起こし、それ自体が強力な風を生み出して周囲を巻き込み始める。
「がうぅ……」
それをキメラキマイラは鬱陶しそうにするが、それ自体に攻撃力は無い。
だが、そこに炎があれば――話は別だ。
「烈火、力を示せ!」
俺は烈火を起動すると斬撃を竜巻に向ける。
「燃え死ねぇええええ!!」
「がぁぁああああああ!!!?」
竜巻に炎の斬撃が当たり、強力な火災旋風が生み出される。
キメラキマイラの各部が炎によって焼けただれ、全身が次々と燃え上がっていき、その苦しみから叫びを上げる。
キメラキマイラは何とかそこから飛び退こうとするが……。
「させるかよ!」
俺は転移でその方向へと飛ぶと、銛を取り寄せて投げることで、キメラキマイラの翼をぶち抜いた。
そして銛から自分の手に繋がった鉄線を、取り寄せた杭を上空に転移させ、重力を利用して地面に食い込ませることで固定し、キメラキマイラが簡単には火災旋風から逃げ出せないようにする。
「が、がぁ……」
やがて火災旋風は終わるが、黒焦げになりながらも、今だ生きているキメラキマイラが、こちらへの敵意を丸出しにしながら見ていた。
「これでも殺せないのか……さすが指名手配モンスター」
黒焦げになったキメラキマイラの体が再生していく。
このままではあと数分で完全回復してしまうだろう。
「仕方ない。お前には特別に、俺のとっておきを見せてやるよ」
俺はそう言うと手元に巨大な鉄球を召還した。
そして俺は、キメラキマイラに見せつけるように、雲一つない澄み渡った青空を指差した。
「俺の空蝉の羅針盤は、視認した範囲なら何処にでも転移させられる」
「がうぅ?」
「大切なのは視認ということだ。地上なら建物など何かしらの構造物でその視界は遮られることになるが……天には遮るものなどはない」
俺の足下にあったはずの鉄の塊は、キメラキマイラが気付かない間に、いつの間にか姿を消していた。
そして、天から轟音を上げて、何かが降ってくる音が聞こえる。
「さあ、神の怒りを受けるがいい!」
俺はそう言うとその場から転移で姿を消した。
そして、その場には、天からの落下物が――かつては神の怒りとも、天の火とも、言われた存在である燃え盛る隕石が降り注ぎ、巨大な鉄球であるそれは、キメラキマイラを消し炭にしながら、膨大な破壊力をその周囲に伝播させていく。
だが、禁呪であるアースフューリーによって壁が生み出されていたため、ユーナ達の方へと破壊の影響は及ばず、アースフューリーによって生み出された壁が破壊されたものの、何とか被害を俺がいた側だけで抑えることが出来た。
「質量兵器こそが最強だって、鉄血のオ○フェンズで習ったからな」
宇宙から放たれたダインスレイブの影響で、次々と討ち取られていった主人公達を思いながら、俺はただ一言そう呟いた。
これこそが、俺の奥の手。
空蝉の羅針盤の短距離転移の座標指定方法が目視なのを利用し、遮るものがない空を見上げることで、転移を利用して岩石や鉄球などを大気圏まで飛ばし、隕石として落下させて全てを破壊する技。
周囲に破壊の影響が広がるため、先程のアースフュリーのように、味方と離れた状態じゃないと軽々に使用できないが、その欠点を除けばどんな相手だろうと消し炭に出来ると自負する、最強の範囲攻撃というわけだ。
アレクの進むルート次第で、各国との戦争や内乱が起こる可能性があるため、そこで使うために出来れば秘密にしておきたい技だったが、今は時間が何よりも優先されるため、ここでその手札を俺は切ったのだ。
「さてと、直ぐにでもユーナの援護に行かなければ」
そう言うと俺はユーナの側へと転移した。