エロゲー世界で悪役に転生したので、自分だけのヒロインを見つけます   作:グルグル30

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vs魔王&四天王

 

 魔王城の食堂で四人の魔族がテーブルを囲み、豪華な料理に舌鼓を打ちながら、楽しそうに談笑を続けていた。

 

「それにしても、バーグが人間に殺されてしまうとはな~」

 

 そう呟いた鳥のような翼が生えた人物は、風の四天王であるフリューだ。

 そのフリューの言葉に、前世の知識で言えば、アルラウネと呼ばれていそうな、体が植物で出来た女の姿をした、土の四天王であるアダマシアが言う。

 

「ふふふ……奴は四天王の中でも最弱……」

 

 アダマシアの言葉に続けるようにして、半魚人の姿をした水の四天王であるナベルが答える。

 

「人間如きに負けるとは魔族の面汚しよ……」

 

 そしてその言葉に、魔王であるゼノスが笑いながら言った。

 

「クハハハハ! お前達は頼もしいな! それでこそ、我が四天王だ!」

 

 そのゼノスの言葉に、残りの四天王も笑い出す。

 そして、思いついたようにフリューがゼノスに言った。

 

「なあ、魔王様! バーグが死んだってことは、次の奴を王国に派遣する必要があるだろ? その役目、俺に任せてくれよ!」

「ほう? やる気があるではないか、どうしてだフリュー?」

 

 そのゼノスの言葉に、フリューは邪悪ににやりと笑った。

 

「だって、王国への謀略の担当になれば、好き放題人間をいたぶれるんだろ? 俺だってバーグみたいに人間で遊びたいんだよ。うちの国の近くの村を襲って、人間を串刺しにするのもマンネリでさ、もっと面白いことをしたいわけ」

「それならば、拙者もその役目を担いたい。海には筋肉質な男しか出てこんのでな。王都に行けば女や子供などの上質な人間の肉を食すことが出来るであろう?」

 

 ナベルのその言葉に、アダマシアが嫌そうな顔をしながら言う。

 

「下等種とは言え、知性体を食すとは、半獣は本当に趣味が悪いな。別に人でなければ食料にならないと言うわけでもあるまいに」

「それをお前が言うのかアダマシア? お前は喰い殺しはしないが、生かさず殺さず、相手を苗床にして魔力を吸い続けるくせに」

「妾の行いは、魔力を吸い上げることで、自らが強くなるために必要なこと。下等種の人間共が家畜として、真っ当に己が役割を果たせるようにしとるだけじゃ。上位種である我等魔族は、そうやって人を上手く使って管理する必要がある。それが上に立つ者がすべき行いじゃ」

 

 そう言うとアダマシアはゼノスに言う。

 

「魔王様、妾ならバーグよりも上手く、人間共を利用し、フェルノ王国を、この魔王国の為の糧とすることが出来る。ここは妾を派遣してみんか?」

 

 四天王達の言葉を聞いたゼノスは「ふむ」と考えて言う。

 

「勇者が再び現れるとの予言に従い、その調査と攪乱の為に、バーグをフェルノ王国へと派遣したが、バーグはそれなりの成果を上げていた」

 

 そしてゼノスはにやりと笑う。

 

「バーグが提出してきた報告書、そこで描かれていた人間達の醜態。それは何よりも面白き、娯楽とも言えるような物語だった」

 

 そこでゼノスはアダマシアに目を向ける。

 

「それを考えるなら、ここはアダマシアに任せるべきだろうな。これからも、下等種共が足掻き、苦しむ様を私に報告してくれ」

「はは! 必ずやお役目を果たしてみせます!」

「これで話は決まりだ。さあ、宴の続きを楽しもう」

 

 ゼノスがそう言うと、和気藹々と四天王と喋り始めようとする。

 だが、その時、突然食堂への扉が開いた。

 

「誰だ!? 今は王の食事中だぞ!」

 

 ナベルがそう叫ぶ中、俺は姿を現した。

 

「人間だと……? 衛兵は何をやっている!?」

 

 俺の姿を見てアダマシアがそう叫ぶ。

 俺はその答えを示すように、血まみれの衛兵をその場に捨てた。

 

「これは……!」

「お初にお目にかかります。私はフェルノ王国シーザック公爵家のフレイ。そちらの四天王の一人であるバーグが我が国で齎した被害について結ぶ講和条約を決めるための全権大使の役割を担っております」

 

 俺は外交官の立場として一国の王に対する丁寧な礼を取った。

 それに対してゼノスは鼻で笑う。

 

「大使だと? そんなものを送ってきたのかフェルノ王国は」

「はい。此度の件でそちらに謝罪と相応の賠償をこちらは求めています」

「ククク、我等がそのようなものをすると思っているのか? お前達人間の国がどうなろうとも、我等に取ってはどうでもよいわ! むしろ、我等の娯楽になれたのだから、喜んで貰いたいくらいだな!」

 

 その言葉に四天王とともに「ははは」と笑い出す魔王。

 それを見て俺もにっこりと笑った。

 

「本当によかった」

「? 何を言っている?」

 

 突然何かに安心するように言った俺の言葉に、ゼノスがそう疑問を口にする。

 

「ゲーム通りの……いやそれ以上のクズでいてくれて。おかげで、バーグのせいで感じた苛立ちを、好き放題八つ当たりすることが出来る」

 

 バーグは、俺のユーナをヒロインにするための計画の邪魔をした。

 だが、その恨みをぶつけようにも、バーグは既にユーナとクリスティアによって倒されてしまっており、その恨みをぶつける相手はもういない。

 だからこそ、バーグの上司であり、責任者でもある、魔王達にバーグの代わりに恨みをぶつけようと思っていたのだ。

 

 そして、憂さ晴らしをするのなら、その相手はクズであればあるほどいい。

 なぜなら、その方が倒した時にスカッとするからだ。

 

 それが、世の中で勧善懲悪が求められている理由だな。

 下手に悪役に事情があると、ぶっ倒した後にその物語について、なんかすっきりとしないモヤモヤとした気持ちになるが、明確な悪役ならそんな感情にもならず、敵を倒すという過程を最大限楽しむことが出来る。

 

 突入するタイミングを見計らって思わず魔王達の会食を見てしまったが、そこで聞いたゲーム時代でも描写されていなかったクズエピソードを受けて、俺は全力で憂さ晴らしできる事を思わず喜んでしまったのだ。

 

「人のシマを勝手に荒らしてくれたんだ。落とし前付けて貰わないとな?」

 

 俺はそんな悪役染みたことを言うと、舐められたと思ったゼノスが、他の四天王に対して命令をする。

 

「その人間を八つ裂きにしろ!」

「死ね! 人間! アクアランス!」

 

 ゼノスの命を受けたナベルは水の槍を放つ。

 俺は手元に巨大な四角い鉄の塊を取り寄せて、それを防いだ。

 

「そんなもので防いだところでな~! 俺は飛べるんでね!」

 

 その鉄の塊を飛び越えて、フリューが俺に向かって槍を投擲してきた。

 俺はもう一つ鉄の塊を取り寄せると、その二つの鉄塊と共に上空へ転移して、フリューの攻撃を避ける。

 

「此奴……転移能力を……! ならば広範囲攻撃で! プラントディ――」

「遅い。もう準備は済んだ」

「っがは!?」

 

 魔法を唱えようとしていたアダマシアは、方向を変えて転移させることで、突如として飛来してきた鉄塊に引き飛ばされて宙を舞う。

 

「アダマシア! ぐへ!?」

 

 飛べるフリューがカバーに入ろうとするが、そのフリューにももう一つの鉄塊がぶつかり、フリューは弾き飛ばされた。

 

「さあ、まだまだ行くぞ!」

 

 俺は空中に転移した後も、次々と鉄塊と取り寄せ、そして重力で落下するそれを、転移で次々と飛ばしていく。

 

「ちっ! ウォーターブラスト!」

 

 ナベルは自らにも鉄塊が迫っているのに気づき、他の二人の二の舞にならないように、それを水の魔法で弾き返す。

 

 ――だが、そんなことをしても無駄なのだ。

 

「勢いを付けてくれて助かったよ」

 

 俺はそう言うと、ナベルによって弾き返された鉄塊を、その勢いを持ったまま、ゼノスの元へと転移させた。

 

「は? ぐひゃ!?」

「魔王様!? ごっ!?」

 

 自分が戦いに巻き込まれると思っていなかったのだろうか、ゼノスは情けない悲鳴を上げて、鉄塊に引き飛ばされてしまう。

 それに驚いたナベルにも、同じように鉄塊をぶつけ、魔王と四天王は、仲良く鉄塊に弾き飛ばされながら宙を漂う。

 

「こ、これはまさかディ――ぐえ!?」

 

 何かにゼノスが気付くが、それを口にすることもなく、別の鉄塊に轢かれて、弾き飛ばされて何も言うことが出来ない。

 ゼノス以外の者達も状況を打壊しようと魔法を使ったり、或いは肉体で鉄塊を受け流そうとするが、魔法を放てば鉄塊をその前に転移させて、その魔法をただの加速装置へと変えさせ、肉体で防ごうにも鉄塊の威力は容易に魔族達の骨を粉砕して、もはや身動きすら出来ない状況に追い込まれていた。

 

 上に抜ければ、下に叩きおとされ、下に抜ければ、上に弾き飛ばされる。

 次々と増えて行く鉄塊によって、中央に在り続けるように、鉄塊で弾き飛ばされまくった魔族は、まるでピンボールの球のように、ただただ圧倒的な質量という暴力に蹂躙され、その肉体をボコボコに壊されていく。

 

「ははは! この技はピンボールと名付けよう!」

 

 俺はそう言って魔族のピンボールを続ける。

 途中で、得点になるような盤面として、火炎瓶を放り投げて、そこに魔族をぶつけたり、とけどけの鉄球を混ぜたりしていると、元気に喚いていた魔族の皆さんは、やがて何も言葉を発することもなくなってしまった。

 

 それからしばらく様子見を続け、もういいかなと思った俺は、ピンボールを解除して、鉄塊達を地面へと降ろした。

 それと同時にずっと弾き飛ばされていた魔王と四天王は、まるで生ゴミがその場に落ちるかのように、べたという音を立てて、地面へと落下する。

 

 全身の骨が砕けたのか、落下したあと身動きも取れない四天王に、俺はわざとらしく歩いて近づくと言った。

 

「さすが、魔族。これくらいじゃ、致命傷にもならないか。じゃあ、身動きも封じたことだし、次の工程に……親睦を深めるためのツアーに行こうか?」

 

 俺は割とまだいけそうな魔族の頑丈さににっこりとすると、痛みからから全身が震えだした四天王の体を触り、大使として魔族とのオハナシをするための、楽しいツアーの為に転移した。

 

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