荒島 真己のスキキライ   作:平均以下のクソザコ野郎

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ゴア・イサツ(後編)

「いやぁアラシマくん君は飲めるなぁ!どうだいもう一杯!」

「いえいえそちらこそォ!」

「あなたうふふ飲みすぎですわようふふふふふ」

「お母様も酔いすぎですよぉ!ヴィルヘルミーナお水持ってきてください!」

「わ、わかった。おば様ほら、お水ですよ」

 

食後。

夕食に舌鼓を打った後に皿洗いを済ませた荒島は、リーゼロッテの父に晩酌に誘われ、両親と一緒に飲んでいる所だった。

 

「リーゼロッテが君のような青年を連れてくるとは思っても見なかった!どうだい、娘は!」

「こっちの方でもよく部下をまとめてますよ。セイバー隊の人間からも信頼されてるようで」

「そうかそうかぁ...いやネ、実を言えば、少しだけ心配だったんだよ」

「はァ...一体何を?よくできた娘さんでしょう」

 

父親は自分の手元と、壁の写真に目を向け、ぽつりぽつりと語る。

 

「...うちはそもそも、軍隊に所属する事はあっても、戦いに出ることは少なかったんだ」

「?それは、どういう事ですか」

「軍楽隊を知っているかネ。国王陛下や、君たちの天皇陛下の御前で演奏を行う軍の音楽隊。本来、ヴァルトシュタインはその軍楽隊を排出する事に特化した...と言うと過言かもしれないが、まぁ、それが多い家だったのだ」

「...はァ、本当ですか」

「そうだとも。現に私と私の妻は同じ軍楽隊であったし、家系図等でも軍楽隊の方が多い。娘息子たちも、あの年齢からすれば異様とも言える楽器の腕前だ。...リーゼロッテを除けば、だがネ」

 

再び目をふせる父親。

 

「あの子は、楽器も、歌も歌えない、弾けないらしいんだよ」

「...えェ?」

「いや、君がそんな反応をするのはわかる。かなり珍しい部類の症状らしくてネ。実際生活には影響はないんだが」

「...大丈夫だったんですか?かなり真面目でしょう、リーゼロッテは」

「最初のうちはかわいそうなくらい落ち込んでいたんだが...1週間程で持ち直してネ。妻が言うには、『それなら戦闘機に乗って演奏する所を守ります』と言いだして...それで今だ」

「随分急ですね!?」

「そうだろう?...だが、安心した事も事実なんだ。...あんなリーゼロッテは、もう見たくはない」

 

そう話した丸い顔は、父親としての優しさと、少しの不安がわかる表情が浮かんでいた。

 

「...そうだ、アラシマ君。もしよかったら、君が娘を____「やっとお母様寝かしましたぁあ!」「ァ....ァ....」

 

ヴィルヘルミーナを引きずり、居間に入ってくるのはリーゼロッテ。ヘアゴムを取られ、長い金髪が下ろされている。

 

「おォ...随分と苦労したみたいだなァ」

「もぉぉぉぉなんで荒島さんかお父様手伝ってくれないんですかぁ!?聞こえませんでしたぁ!?」

「いや、最近壁を防音素材にしたから...」

「...そうでした...手紙にありましたもんね...忘れてました...ヴィルヘルミーナ...哀れな犠牲....」

「か...勝手に殺すな...」

 

 

 

「いやしかし、君はとても子供っぽい青年だと聞いていたが、まさか庭にあんな雪像ができるとは!」

「その節はすみません...」

「ははは、いやいや。何も怒っている訳ではないさ。最初こそ驚いたが、見れば中々よくできてる。君は彫刻もやるのかい?」

「荒島さんは大体のことはよくできますよねぇ?着ぐるみ作れますしバスも運転できますし」

「なんなら開発と整備もしていたような気もするが」

「あー、雪像とかバス運転はバイトと趣味ですかね。叶先生がその、金を出してくれたんで。開発と整備はただの叶先生とか整備士の補助だ」

 

叶の名前を聞いた時、父親の眉がぴくりと動いた。

 

「うん?叶先生と知り合いなのかい?」

「知り合い、というか...義理の息子で。おr..私の事を引き取ってくださったんです」

 

父親はそれを聞くと顎に手を当てて考え込むと、突然立ち上がり書斎(らしき方向)に駆け込む。しばらく待つと、1つのファイルを持って戻ってきた。

 

「それは?」

「私もよくはわからないんだが...どうやら叶先生に届けて欲しいそうだ。郵送だと問題があるようだから、必ず手渡しで渡してくれ...と」

 

そのファイルのタイトルには、こう書かれていた。

 

"第三細菌 デックアールブについての考察と実験"

 

「.....デック...アールブ...?」

 

 

 

 




やっと!!!!!!やっと名前出せた!!!!!!!!!!!!

以下ゴア・イサツ編に出た設定解説

前編
ヴァルトシュタイン家=ドイツ語では"森の石"という意味の名前。反対にすれば石ノ森。これが仮面ライダーだったら重要ワードだった。この姓で有名な人はベートーヴェンのパトロン、フェルディナント・フォン・ヴァルトシュタイン。ぶっちゃけ軍学隊の家にしようと思ったのはこの人いたから。

叶の友人=叶と同年代かちょっと上くらいの女性。見た目イメージは特に決めてない。強いて言うならかっこいい系?叶の初恋がこの人だったらいいなって。叶と様々な事について意見を戦わせ合った。

花茶ジャンキー=中国出身宝塚女優の劉静。荒島に突発的に花茶の押し売りと布教をする。
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中編
リーゼロッテの父=軍楽隊の隊長。現在は引退し、楽器店経営。前編では仕事の為の話し合いをしていた。
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後編
デックアールブ=今作のメインヴィラン。というかラスボス。
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