午後4時 北海道にて。
赤鬼、青鬼の衣装を纏った大柄な男2人が、雪ふりしきる北海道の農道で立ち尽くしていた。
青鬼はガキ大将の成人男性、荒島真己。赤鬼はその後輩、士道 剣である。
その士道が、遠慮なのか自嘲なのかわからない感情を込め、笑いをこらえながらカメラを構える手力、同じく笑いをこらえる劉に話す。
「どうこれ...大丈夫?バレない?」
「違ェよ。バレるバレないじゃなくてよ、どうして俺達がこんな事しなくちゃなんねェの?」
劉が「そうだねぇ」と返す。北海道という極寒の地でも、その表情は変わることはない。
「どうしてこの風雪の中俺らはよ...こんな、こんな格好でこんな道端に立ってなくちゃなんない?俺ら昼飯抜きで立たされてよォ。...なんか悪いことでもしたか?」
ボヤキの止まらない荒島に返すのは手力だ。
「もうそろそろ撤収準備も終わるはずなんで。それが終わったら撤退しますから!どうにか我慢してください荒島さん」
「お前ら先にホテルに行くんだろ?」
もはや笑うしかないのか、「ヒャハハ」というような笑い声をあげる荒島。
「お前らいないともう本当に不安だよ」
「ご近所さんがもう不審者見る目でこっち見てくんだもん」
「悪ィ今度会った時死んでたらごめんなマジで」
「耐えるよ俺ら!25と23だもんもう」
それから数時間後
「俺と士道は電気を消して寝てたんだろ!?そこに出来上がった陽気なてめェがだ!『ドンドンドン!』ってしてきて俺がんだよって言ったら『寝てるのかい?』ってドア開けて入ってきてドカドカ入ってきたと思ったら電気をつけて『腹を割って話そう』と息巻いて来たんじゃねェか!」
「じゃあ説明してやるよどうせこれも使うんだろ動画に!!カメラ回してんだから!今日今ここで何があったのかをよォ!」
「俺は今日あれだよお前らご存知の誰に需要があるかも分からねェ日めくりカレンダー全国撮影ツアーの夜を迎えたわけだよ。これが投稿される時にはもう数量限定発売されてるあれだよ見ただろお前ら。俺はその日めくりカレンダーで北海道に飛んだ荒島真己だよ女子を楽しい場所に行かせて真冬の北海道に飛んだ青鬼の荒島だよ!」
「あのあと!俺はやァっとこのホテルについたわけだ!時間もねェから風呂入って飯食ってその後論文の書きかけを書き上げて!基地にいる叶先生とシャーロット博士と論文の添削やって!俺はもう精神的にもヘトヘトださぁ寝ようかとした時にまだスポンサーとの挨拶やらなんやらが終わってやァっと寝れるのが12時だお前ら!いいか、12時に俺が布団入って寝ようとしたんだ」
「すると現れたのがこの男女なんだよ!!」
大爆笑の劉。
カメラを構える女性隊員、夏侯は苦笑いを浮かべる。
「なんの気か知らねェけどもこいつが現れて、俺は別になんとも思ってねェよ?思ってねェのに腹を割って話そうとこの女は俺のとこに乱入してきた訳だ!」
「俺は別にこいつにわだかまりもなんも持ってねェ。仲もいいさ尊敬もしてるパイロットだ別にコイツと腹を割って話すことなんか何もねェ。ところがこいつは俺に腹を割って話そうと言って!何を話してェか知らないけども俺の部屋に居座っておいカメラ時計を映せ」
「0時52分だよ」
「もうかれこれコイツは1時間俺の部屋を離れようとしないんだそうだろ?」
「まだ話終わってないぞ視聴者まだ聴いてくれ」
「俺は再三『帰れっ!』て言ってるわけだ」
「戦闘機パイロットとしてはかなりの技術を持ってる中国のエースだ。人望も厚い。そいつに俺はさっきから
バカヤロー帰れ!即刻帰れ!
って再三罵声を浴びているにも関わらず帰らないんだよ」
そこで士道が口を挟む。
「...で、誰か呼んでませんでした?」
「おォそうだよ。で、苦肉の策で!この
「『お前の王子様が帰らねェから連れて帰ってくれ』っつったらそこのカメラマンなんて言った?」
「『わかりました、じゃあ手力さんの代わりにカメラ回しましょう』って言って手力からカメラ借りてなんなら今手力も違うカメラ持って今回してんだよどうだお前ら!おかしいだろこいつら!!お前らは知らねェと思うけど俺明日5時起きなんだよ!!!この時点で俺の睡眠時間はあと4時間だ!!」
「もう1つ言おう俺は今風邪っぽいんだ熱があるんだなのにこの男女は大爆笑しながらまだ俺と
腹を割って話そう
とするんだ!この状況を視聴者のお前らどう思いますか!!!」
ひとしきり話し終わった荒島に、劉が口を開く。
「いやね、僕が言いたいのは明日朝5時に起きなきゃならないよっていう。いわゆる確認に来たんだよね」
「あぁあぁそうかそうかそれならね?それならそう言ってくれりゃいいんだよ。なにも
腹を割って話そう
って息巻いて入って来なくても言い訳だろ!?」
「改めて荒島くんに明日5時だよって、5時起きだから寝過ごさないでねって言いに来たんだよ」
「うんそうだな?まぁまぁまぁ」
「そしたらね、荒島くんがね?なんかこう僕と、腹を割って話そうと...」
「違ェよそれは全然違うよもう!」
「いいか?ある朝5時に起きなきゃいけない男がだ夜中12時に寝ようとしているところに他人が腹を割って話そうと言って自分の部屋に1時間居座ったんだぞ。そいつに
おい!帰れ!
と言ったことは別になんの不思議もない!」
「だからね、荒島くんが怒ってないということを聞いたら」
「わかりました。明日5時に起きるんだな俺は」
「5時に起きるよ」
「わかりました。ということは...あァもう4時間だなこりゃいけねェ、こりゃ申し訳ございませんでした」
「『早く寝なさい』って言いに来たの僕は」
「あァおォうん。5時なんだから君は早く寝ろということをお前は12時から1時までの間に俺に語ってくれたんだな」
「そうそうそう。...話すことはもうないね?」
「もうもう大丈夫だぜ俺は」
「よしよしよし。じゃあ荒島くん明日頑張ってね!」
「そりゃもうやるぞぉ俺は。そのためにもあと4時間たっぷり寝て。頑張るぞォ...」
寝ぼけ眼で起きて、帰りは劉と士道に肩を貸されて帰っていったとさ!!!!めでたしめでたし!!!!!!
日めくりカレンダー
『健全な』写真のみで構成されたBURK広報部から発売される日めくりカレンダー。
去年から数量限定で男性隊員バージョン、女性隊員バージョン、両方のバリエーションで発売されており、価格はおよそ1つ5000円。
両方バージョンが若干売れ行きは悪いが、大まか均等に売れている。
朝5時起きの理由
士道の買い物と市場で海鮮丼を食べる為。
お金は夜のお詫びに劉が出した。
後日BURK公式SNSでその様子の写真が公開された。