荒島 真己のスキキライ   作:平均以下のクソザコ野郎

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今日の更新が1回だけだと思ったか?2回だよ
あと初の男性メイン回だよ


センパイノニチ・ジョウ

「じゃあなみっちゃん!また顔出せよー!」

「潰れてなきゃまた来てやるよ!」

 

休日の昼。

昼食を取るサラリーマンやバイトに向かう大学生などが多く入り乱れる時間帯に、荒島は1人、中学からの友人が店長を務める小さなレストランを後にした。

時刻は14時。自宅に帰るには少し早い時間に、どうすべきか考えながら歩いていると、ふと見覚えのある顔を発見した。あれは___

 

「多月さん?」

 

「BURK」の特別調査隊に同じく選ばれた先輩男性隊員、多月 草士郎である。荒島の頭には、士道と鶴千の犬猿コンビに手を焼く元教官コンビの片割れ...という失礼な認識しか荒島にはない。この街中をぶらぶら散歩するようなイメージも、同様になかった。

 

「...つけてみるか」

 

そして荒島 真己という人間は、他人のプライベートを察して去るような殊勝な人間ではないのである。人に振り回され、同じ数だけ振り回す。そんな人間が、プライベートなどをよく知らない先輩を発見して、大人しく帰るはずがなかったのだ。

 

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

尾行を開始しておよそ15分。

荒島が多月について得た情報は、この通りである。

① 割とドジ

頭を看板にぶつけたり、自分の靴紐を踏んでしまったり。

大丈夫かとハラハラさせられるような振る舞いが目立っている。

② 知り合いに悪人面が多い

男女共に悪そうな顔した奴らが多い。直前なんてヤクザの親分とその愛人みたいな2人と楽しそうに話してた。

③ 路地裏ばっか行く

猫じゃん。

これはまぁ尾行に気付いてる感じもある。

 

「...荒島、そろそろ出てきて貰っても構わないぞ」

「...あー、いつからバレてましたか?」

「友人と話していた時からだな。異星人かと思ったが、まさかお前だったとは」

「いや紛らわしい真似してすんません」

 

頭を軽く下げて謝る荒島。それを見て多月は軽く笑うと、

 

「いや何、気になってしまったならしょうがない。お前はそういう人間だと、叶先生から聞いていたからな」

「あー...そいつはどうも」

「...そうだな、荒島。今はまだ暇か?」

 

 

 

 

「...ここは」

 

荒島と多月が訪れたのは、孤児院。

主に怪獣被害によって発生した孤児を引き取っている場所であり、BURKを初めとした様々な団体が支援し、協力することで成り立っている。

 

「お前も知ってるみたいだな」

「えぇ、BURKが表立って支援してるとか__」

 

2人がBURKの隊員証を門にかざして開くと、1人の女性がこっちへと向かってくる。

 

「多月さま!今日はいかがされたんですかー!?」

 

デニム製でできたシスターなどが着用するような頭巾に、その下の豊かな金髪とパンツの上からでもわかるほどにむっちりとした太ももが特徴的な女性だ。しかし、もっとも目を引くのはその身長。

180cm台の身長を持つ荒島よりも、頭ひとつ分高いのである。

 

「エリアさん。いつもお出迎えありがとうございます」

「いえいえ!あぁ、荷物お持ちします!そちらもBURKの?」

「あァ、はい。荒島といいま゛ッ」

 

横っ腹に襲いかかる強い衝撃。

 

「な、何だァ?」

「...誰だーっ!おまえーっ!」

「コウジくん!?だめですよちょっと!」

「コウジそのお兄さんは違う人だぞ!」

 

コウジと呼ばれたその少年は荒島の腰を抱きしめるようにして荒島の顔を見て再び口を開く。

 

「バーカ!」

「あ゛ぁ!?」

 

その瞬間にコウジはジャングルジムに逃げていく。

 

「....クククク...」

「...あ、荒島」

「荒島さま...?」

「上ォォ等だあのガキ追いかけ回して捕まえてやらァ!!!」

 

ーーーーーーー

ーーーー

 

「全然捕まらねェ...嘘だろ...」

「あー、まぁこの孤児院広いからな...」

「すみませんすみません...!」

 

10分後。結局コウジを捕まえられなかった荒島は、元の多月とエリアが立っていた所へ戻ってきた。紙袋は手に持っておらず、中身はカステラなどのお菓子だった為に孤児院の中にしまってきたらしい。

 

「...んで、多月さんは結局、孤児院になんの用があって来たんです?差し入れ?」

「まぁそうだな。今日みたいなお菓子だったり本だったりが多い」

「多月さまは高い頻度でこちらの様子を見に来てくださったり、子供たちの相手もして頂いたりもしてるんですよ!...私も、多月さまにこの孤児院を働く場所として紹介していただいたんです!」

「へェ...んで、あなたは?エリアさん..,だっけ?どっから来たの?海外?」

「海外...と言えばそう...ですね?」

 

多月を見るエリア。

 

「...あぁ、荒島は大丈夫だ。偏見はないぞ」

「そうでしたか!」

「...えっ何?あっもしかして...」

 

エリアは荒島の言葉に同意するように頷くと、僅かな黄金の光を放ち、その姿を変える。

岩のような頭、黒い体色に3つ連結した結晶体。そして曲線的なボディーライン。それは...

 

『私は、グレゴール人のエリアと申します。この孤児院のボディーガード...のようなものです』

 

喋りながら、先程までの人間態に戻っていく。

 

「はー...確かに宇宙人がBURKに協力してんのは知ってたけど、こんな所にまで...」

「ふふふ、驚きましたか?エネルギーが足りなくなっていた所を多月さまに助けて頂いたのです」

「正確に言えば、寄生された怪獣相手に戦闘を挑むも敗北。そこから地球へ...で、こっちに移ったんだ」

「今でも納得してないです。なんでこっちの打撃通じてるはずなのに怯んでないんですかー!?」

 

頬を膨らませ、腕を振るエリア。

 

「...寄生された怪獣?」

「あぁ、まだこちらでは確認されていないんだがな...」

「そうなんですよ!リベンジマッチしたいですけど…そうしたら多月さまも、ウルトラマンも困りますね...」

「...何もなきゃ、いいんすけどねェ...」

「...そうだな、せめて...ここに来る子供たちがいなくなるくらいに、平和になっていると嬉しい」

 

午後の穏やかな日差しの下、3人は静かに思いを馳せた。




孤児院=BURKや役所の子ども課など、様々な団体が協力して創設した大きな孤児院。保育園から高校生までの多くの孤児を受け入れている。教育などについては近くの学校などに任せ、孤児たちの帰る場所としての側面が強い。人間がスタッフの割合の多くを占めるが、今回登場したエリアの他に、男性のチェーン星人(ライト、レフト)、女性のクレア星雲人がスタッフとして所属している。

グレゴール人エリア=グレゴール人の1人であり、孤児院スタッフの宇宙人たちのリーダー。頭に付けたフードは、映画で見たシスターへの憧れから。スタッフになる前のチェーン星人2人組をしばき回して更生させて引き入れるなど、種族も相まってかなりの武闘派。多月とは1年前から(おそらくカイナ前から?)の付き合い。

寄生された怪獣=エリアとの戦闘の後死亡。寄生した物質は消えた。
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